6331−20
平成14年4月26日
各関係機関長
各病害虫防除員 殿
宮崎県病害虫防除所長
平成14年度病害虫発生予報第1号について
平成14年度病害虫発生予報第1号を発表したので送付します。
平成14年度病害虫発生予報第1号
向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。
○ 発生予報の概要
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作 物 名
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病 害 虫 名
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発 生 量 |
本文での
記載ページ |
平年比 |
早期水稲
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葉いもち
スクミリンゴガイ
イネミズゾウムシ |
並
やや多
やや多 |
P2
P2
P2 |
冬春きゅうり
(半促成)
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べと病
うどんこ病
褐斑病
ミナミキイロアザミウマ |
並
やや多
やや多
並 |
P2
P2
P3
P3 |
冬春ピ−マン
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斑点病
うどんこ病
ミナミキイロアザミウマ |
やや少
やや多
やや多 |
P3
P3
P3 |
冬春トマト
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葉かび病
コナジラミ類
ハモグリバエ類 |
やや多
並
やや少 |
P3
P3
P4 |
野菜・工芸作
物全般 |
アブラムシ類
ハスモンヨトウ |
やや少
やや多 |
P4
P4 |
かんきつ
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そうか病
かいよう病
ミカンハダニ |
並
並
やや多 |
P4
P5
P5 |
茶
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炭疽病
カンザワハダニ
チャノコカクモンハマキ
チャハマキ
チャノホソガ
チャノミドリヒメヨコバイ
チャノキイロアザミウマ
クワシロカイガラムシ
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並
やや多
並
やや多
並
並
やや多
―
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P5
P5
P5
P5
P6
P6
P6
P6
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○ これまでの気象経過
2月下旬から4月上旬にかけて平均気温は平年より高めに推移し、作物の生育が促進された。この時期の降水量は平年より少なく、田植え用水が不足する地域もあった。
○ 5月の気象予報
気温は平年並か平年より高く、降水量・日照時間は平年並の見込み。
(1か月予報 鹿児島地方 気象台4/19発表)
○ 発生予報の根拠および防除対策
1 葉いもち
[予報の根拠]
1) イネの草丈は平年よりやや高く、葉令は平年よりやや進んでいる。
2) 育苗箱施薬剤による防除面積は、前年並で栽培面積の5割を越えると見込まれる。
3) 5月の気温は平年並か平年より高く、降水量は平年並と予想されている。
[防除上の注意]
1) 気象条件に注意し、ほ場での初発生を確実に把握する。病斑が認められたら直ちに粉剤または液剤で防除する。
2) 育苗箱施薬をしていないほ場では、発生初期の防除が手遅れにならないよう注意する。
2 スクミリンゴガイ
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率20.9%(平年14.9%)、u当たり貝数1.2頭(平年1.0頭)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 水田の入排水口には金網を張り、貝の侵入を防止する。
2) 貝の生息数が多い場合は、捕殺するか粒剤の水面施用を行う。
3) 粒剤の水面施用に際しては水管理に十分注意し、水深が3cm程度になるように調整し、少なくとも4日間はかけ流し、落水はしない。
3 イネミズゾウムシ
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率79.2%(平年40.8%)、百株当たり成虫数6.2頭(平年4.9頭)は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 成虫が10株当たり5頭以上のほ場では、粒剤の水面施用を行う。水面施用に当たっては水管理に十分注意し、水深が3p程度になるように調整し、少なくとも4日間はかけ流しや落水はしない。
1 べと病
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率74.9%(平年82.0%)は平年よりやや少なく、発病葉率21.9%(平年21.7%)は平年並である。
[防除上の注意]
1) ハウス内の換気を良くし、高温多湿にならないように注意する。
2) 肥料切れやなり疲れによる草勢の衰えは発生を助長するので肥培管理に注意する。
2 うどんこ病
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率50.0%(平年27.4%)、発病葉率12.0%(平年4.4%)は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 整枝・誘引・老化葉の摘葉等を行い、採光・通風を良くする。
2) 耐性菌の発達を避けるため、同一系統薬剤の連用を避け、作用性の異なる薬剤を輪番で使用する。
3 褐斑病
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率50.0%(平年20.7%)は平年より多く、発病葉率7.2%(平年2.8%)は平年よりやや多い。
4 ミナミキイロアザミウマ
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率16.7%(平年27.0%)、10葉当たり虫数0.2頭(平年1.4頭)は平年よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) 収穫の終わった発生ハウスは陽熱利用による蒸し込みを行って死滅させる。
1 斑点病
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率36.4%(平年54.9%)は平年よりやや少なく、発病葉率2.7%(平年9.5%)は平年より少ない。
[防除上の注意]
1) ハウス内の換気を良くし、高温多湿にならないように注意する。
2) 整枝を行って茎葉が過繁茂にならないように管理する。
2 うどんこ病
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率63.7%(平年38.8%)、発病葉率9.0%(平年5.7%)は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) ハウス内の換気を良くし、高温にならないように注意する。
2) 茎葉が過繁茂にならないように整枝を行い、発病葉は除去する。
3 ミナミキイロアザミウマ
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率45.5%(平年39.2%)、10花当たり虫数3.4頭(平年2.4頭)は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 本虫は薬剤抵抗性が発達しやすいので、同一薬剤の連用を避け、作用性の異なる薬剤の輪番で使用する。
1 葉かび病
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率9.1%(平年14.0%)は平年並、発病葉率4.4%(平年1.9%)は平年よりやや多い。
2 コナジラミ類
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率9.1%(平年14.1%)は平年よりやや少なく、10葉当たり虫数2.0頭(平年2.9頭)は平年並である。
[防除上の注意]
1) トマト黄化葉巻病ウイルス(TYLCV)を媒介するシルバーリーフコナジラミの野外への分散を防ぐために、栽培終了後は株を引き抜き、施設を1週間以上密閉して本虫を死滅させた後、残さを処分する。
3 ハモグリバエ類
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率9.1%(過去7年平均34.6%)、寄生葉率1.9%(過去7年平均2.7%)は過去7年平均よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) 多発してからの防除は困難なので、被害葉の焼却処分及び初期防除に努める。
2) 栽培終了後は、土壌全面をビニルマルチで覆うかハウスを蒸し込んで死滅させる。
1 アブラムシ類
[予報の根拠]
1) 黄色水盤トラップによる有翅虫誘殺数(佐土原町)は、平年よりやや少ない。
2 ハスモンヨトウ
[予報の根拠]
1) フェロモントラップによる誘殺数(佐土原町)は、平年よりやや多い。
1 そうか病
[予報の根拠]
1) 3月中旬調査では、越冬病葉は未確認であった(平年値:発生面積率8.1%)。
2) 4月中旬の新葉調査では、発生未確認であった(平年値:発生面積率7.6%、発病葉率0.3%)。
3) 5月の降水量は平年並と予想されている。
[防除上の注意]
1) 防除適期は萌芽期・落花期・幼果期であるが、県南では7日程度、県北では10日程度平年より生育が早いので、適期を逃さないように注意する。
2 かいよう病
[予報の根拠]
1) 3月中旬の越冬病葉調査では、発生面積率7.4%(平年19.7%)は平年並であった。
2) 4月中旬の新葉調査では、発生未確認であった(中晩柑の平年値:発生面積率18.7%、発病葉率1.3%)。
3) 5月の降水量は平年並と予想されている。
[防除上の注意]
1) 防除適期は開花直前、落花後、梅雨期、秋芽生育期であるが、平年より生育が早いので、適期を逃さないように注意する。
3 ミカンハダニ
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率44.4%(平年21.3%)、寄生葉率7.0%(平年3.0%)は平年より多い。
[防除上の注意]
1) 生息密度が高くなると防除が困難になるので、寄生葉率30%(1葉当たり虫数0.5〜1頭)を目安に防除を行う。
1 炭疽病
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率66.7%(平年37.3%)、u当たり病葉数1.6(平年3.1)は平年並である。
2) 5月の降水量は平年並か、平年よりやや多いと予想されている。
2 カンザワハダニ
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率73.3%(平年49.1%)、寄生葉率13.5%(平年6.2%)は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 同一薬剤の連用を避け、作用性の異なる薬剤のロ−テ−ション散布を実施する。
2) 合ピレ剤の春季使用はリサ−ジェンスが発生しやすいので注意する。
3 チャノコカクモンハマキ
[予報の根拠]
1) 4月中旬の巡回調査では発生未確認であった(平年値:発生面積率0.8%)。
2) フェロモントラップによる誘殺状況(川南町)から判断すると、越冬世代の発蛾最盛期は4月2半旬で平年より10日程度早い。
[防除上の注意]
1) 第2世代幼虫の防除適期は、第1世代の発蛾最盛期から10日後であるが、平年より早くなることが予想されるので注意する。
4 チャハマキ
[予報の根拠]
1) 4月中旬の巡回調査では発生未確認であった(平年値:発生面積率1.5%)。
2) 川南町・都城市・田野町に設置のフェロモントラップによる誘殺数は、いずれも平年より多い。
[防除上の注意]
1) 発蛾最盛期を確認して、チャノコカクモンハマキの発蛾最盛期と10日以上差がなければ、チャノコカクモンハマキと同時に防除する。
5 チャノホソガ
[予報の根拠]
1) 4月中旬のu当巻葉数は0.1未満の微発生で、平年よりやや少ない。
2) フェロモントラップによる誘殺状況(川南町)から判断すると、越冬世代の発蛾最盛期は3月4半旬で昨年より10日程度早く、誘殺数は昨年並である。
[防除上の注意]
1) 三角巻葉前に防除することが必要で、発蛾最盛期の約10日後が防除適期である。
2) 脱皮阻害剤は遅効性なので卵期に散布する。
6 チャノミドリヒメヨコバイ
[予報の根拠]
1) 4月中旬の払い落し調査では発生未確認で、平年並である(平年値:発生面積率7.2%、払落虫数0.1頭)。
7 チャノキイロアザミウマ
[予報の根拠]
1) 4月中旬の払い落し調査による発生面積率66.7%(平年32.5%)、払い落とし虫数2.2頭(平年2.8頭)は、平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 例年、2番茶期から発生が増えてくるので注意する。
8 クワシロカイガラムシ
[防除上の注意]
1) 第2世代幼虫の防除適期は幼虫ふ化開始から1週間後、または幼虫ふ化最盛期であるが、第1世代の幼虫ふ化は平年より7日から10日早くなっているので、ふ化状況をよく観察し防除する。
2) 薬剤散布は量を多めに(10a当たり1,000リットル)、枝幹に十分かかるようていねいに行う。
○ その他
1 防除等の詳細については「平成14年度病害虫・雑草防除等指導指針」を参照する。
2 農薬の使用に当たっては、農薬安全使用基準の遵守並びに危被害の発生防止に努める。特に水質汚濁性農薬ベンゾエピン剤(商品名、マリックス乳剤、粒剤等)は使用 しないこと。
3 発生量(程度)の区分
多 い (高 い) やや多いの外側10%の度数の入る幅
やや多い (やや高い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
平年並 平年値を中心として40%の度数の入る幅
やや少ない (やや低い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
少ない (低 い) やや少ないの外側10%の度数の入る幅
(平年値は過去10年間の平均)
○ お知らせ(http://www.jppn.ne.jp/miyazaki/)
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