6331−58
平成14年6月27日
各関係機関長
各病害虫防除員 殿
宮崎県病害虫防除所長
平成14年度病害虫発生予報第3号について
平成14年度病害虫発生予報第3号を発表したので送付します。
平成14年度病害虫発生予報第3号
向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。
○ 発生予報の概要
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作 物 名
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病 害 虫 名
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発 生 量 |
本文での
記載ページ |
平年比 |
早期水稲
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穂いもち
紋枯病
斑点米カメムシ類 |
やや多
並
やや多 |
2
2
2 |
普通期水稲
|
葉いもち
紋枯病
ツマグロヨコバイ
ヒメトビウンカ
セジロウンカ
トビイロウンカ
コブノメイガ |
やや多
並
並
並
並
並
並 |
2
2
2
3
3
3
3 |
露地キュウリ(中山間地域)
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べと病
うどんこ病
斑点細菌病
アザミウマ類
ハスモンヨトウ等の鱗翅目害虫 |
並
並
並
並
並 |
3
3
3
4
4 |
果樹全般 |
果樹カメムシ類 |
やや多 |
4 |
かんきつ
|
かいよう病
黒点病
ミカンハダニ
チャノキイロアザミウマ |
並
並
並
並 |
4
4
4
5 |
茶
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炭疽病
カンザワハダニ
チャノコカクモンハマキ
チャハマキ
チャノホソガ
チャノミドリヒメヨコバイ
チャノキイロアザミウマ
|
並
やや少
やや少
やや少
並
並
並
|
5
5
5
5
5
5
6
|
|
○ これまでの気象経過と作物の生育
・早期水稲の出穂は平年より1週間程度早く6月14〜15日が最盛期であった。
・温州みかんは裏年に当たり、新梢数は多く着果数は少ない傾向にある。
○ 7月の気象予報
気温は平年並か平年より高く、降水量・日照時間は平年並と予想されている。
(1か月予報 鹿児島地方気象台6/21発表)
○ 発生予報の根拠および防除対策
1 穂いもち
病害虫発生予察注意報第3号(平成14年6月5日発表)参照
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率70.9%(平年27.8%)、発病株率30.1%(平年11.5%)は平年よりやや多い。
2) 7月の気温は平年並か高く、降水量・日照時間は平年並と予想されている。
[防除上の注意]
1) 雨が続く場合、感染の危険性が高いので雨間でも防除を行う。
2 紋枯病
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率2.1%(平年4.8%)、発病株率0.3%(平年0.4%)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 穂ばらみ期の防除が基本となるが、上位葉鞘への進展が続く場合は2回目の散布を行う。
3 斑点米カメムシ類
病害虫発生予察注意報第4号(平成14年6月11日発表)参照
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率25.0%(平年12.5%)、20回振り虫数0.9頭(平年0.2)は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 穂揃期とその7〜10日後の2回防除を厳守する。その後も発生が見られる場合には追加防除を行う。
2) 出穂の早い水田には集中的に飛来する恐れがあるので注意する。
1 葉いもち
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率3.6%(平年1.3%)、発病株率%0.3(平年0.1%)は平年よりやや多い。
2) 7月の気温は平年並か高く、降水量・日照時間は平年並と予想されている。
[防除上の注意]
1) 本田初期の発生に注意し初期防除を徹底する。雨が続く場合、感染の危険性も高いので雨間に防除する。
2) 早期水稲に置いては、長期残効型箱施薬剤の一部で効果の低下事例が確認されたので、育苗箱施薬剤を使用している場合でも、今後の発生には十分注意し、初期防除に心がける。
2 紋枯病
[予報の根拠]
1) 例年7月中旬に初発し最高分けつ期頃から発生好適条件になる。
2) 7月の気温は平年並か高く、降水量・日照時間は平年並と予想されている。
3 ツマグロヨコバイ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率5.4%、株当り虫数0.01頭は前年並みである。
4 ヒメトビウンカ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率3.6%、株当り虫数0.01頭は前年より多い。
5 セジロウンカ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率1.8%、株当り虫数0.01頭は前年より少ない。
[防除上の注意]
1) 梅雨期に飛来成虫が著しく多い場合には、早めに防除する。
2) 育苗箱施薬剤を実施したほ場では、薬効期間が長いので発生状況を見て防除する。
6 トビイロウンカ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の巡回調査では発生未確認である。
[防除上の注意]
1) 梅雨期に飛来する成虫の次世代の幼虫期から産卵前までが防除適期である。
2) 育苗箱施薬剤を実施したほ場では、薬効期間が長いので発生状況を見て防除する。
7 コブノメイガ
[予報の根拠]
1) 本年の初飛来は6月15日で平年(7月3日)より早いが、飛来数は多くない。
[防除上の注意]
1) 飛来時期や飛来数は年により変動が大きいので発生予察情報に注意する。
1 べと病
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率44.4%(平年29.9%)、発病葉率2.9%(平年3.9%)は平年並である。
2) 7月の降水量は平年並と予想されている。
[防除上の注意]
1) 多発すると防除が困難なので、予防散布あるいは初期防除に重点を置く。
2) 草勢の衰えは発生を助長するので、肥料切れしないよう肥培管理に注意する。
2 うどんこ病
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率66.7%(平年41.3%)、発病葉率2.9%(平年4.1%)は平年並である。
2) 7月の降水量は平年並と予想されている。
[防除上の注意]
1) 最初は葉の裏に発生しやすいので注意し、早期発見に努め初期防除を徹底する。
2) 葉が老化すると多発する傾向にあるので、老葉はなるべく除去し通風・採光をよくする。
3 斑点細菌病
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率22.2%(平年23.0%)、発病葉率0.3%(平年1.9%)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 本細菌は被害植物の残さ内で2年以上生存するので、被害植物はほ場から持ち出し処分する。
2) 側枝・下葉の切除は晴天日に行い、曇雨天などの多湿時には行わない。
4 アザミウマ類
[予報の根拠]
1) 6月中旬には66.7%のほ場で発生が認められたが、いずれも葉当り虫数0.1頭以下の微発生である。
[防除上の注意]
1) 高密度になると防除効果が低くなるので、早期発見に努め初期防除を徹底する。
5 ハスモンヨトウ等の鱗翅目害虫
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率11.1%(平年2.9%)、被害葉率0.2%(平年0.1%)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 早期発見に努め初期防除を徹底する。
1 果樹カメムシ類
病害虫発生予察注意報第1号(平成14年5月20日付け)参照
[予報の根拠]
1) 延岡市に設置したフェロモントラップでのチャバネアオカメムシ誘殺数は、平成11〜13年と比べて最も多い。
2) チャバネアオカメムシの越冬成虫数は、果樹カメムシ類が多発生し被害が大きかった平成8年に次いで多い。
[防除上の注意]
1) 果樹カメムシ類は園外から飛来し、地域や時期によって発生量が大きく変動するので、園内外を見回り、早期発見、早期防除に努める。
1 かいよう病
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率3.7%(平年15.7%)、発病葉率0.4%(平年1.4%)は平年並である。
2) 7月の降水量は平年並と予想されている。
[防除上の注意]
1) 防除適期は開花直前、落花後、梅雨期、秋芽生育期である。
2 黒点病
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率48.1%(平年17.9%)、発病葉率4.3%(平年4.0%)は平年よりやや多い。
2) 7月の降水量は平年並と予想されている。
[防除上の注意]
1) 防除適期は幼果期、梅雨期、8〜9月上旬であるが、降水量が多いほど発生が多くなるので、降水量300mmを散布間隔の目安として薬剤散布を行う。
3 ミカンハダニ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率48.1%(平年33.8%)は平年よりやや多く、寄生葉率4.0%(平年5.9%)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 生息密度が高くなると防除が困難になるので、寄生葉率30%(1葉当たり虫数0.5〜1頭)を目安に防除を行う。
4 チャノキイロアザミウマ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の巡回調査では発生未確認である。
[防除上の注意]
1) 5月中旬から9月上旬の間、数回防除する。
1 炭疽病
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率26.3%(平年45.4%)は平年よりやや少なく、u当り病葉数2.0(平年2.8)は平年並である。
2) 7月の降水量は平年並と予想されている。
[防除上の注意]
1) 新芽の生育期に雨が多いと発生しやすい。開葉期に防除を行い、多発生が予想されるときには数日後に追加防除する。
2 カンザワハダニ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率47.4%(平年57.2%)、寄生葉率4.7%(平年10.8%)は平年よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) 同一薬剤の連用を避け、作用性の異なる薬剤のロ−テ−ション散布を実施する。
3 チャノコカクモンハマキ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の巡回調査では発生未確認である。
2) 第2世代の発蛾最盛期は7月3半旬頃と予想される。
[防除上の注意]
1) 防除適期は、発蛾最盛期から7〜10日後である。
4 チャハマキ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の巡回調査では発生未確認である。
[防除上の注意]
1) チャノコカクモンハマキの発蛾最盛期と10日以上差がなければ、チャノコカクモンハマキと同時に防除できるので発生予察情報に注意する。
5 チャノホソガ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率26.3%(平年25.5%)、u当り巻葉数1.2(平年1.1)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 三角巻葉前に防除することが必要で、発蛾最盛期の約10日後(葉裏の表皮下でトンネル状に潜行している時期)が防除適期である。
6 チャノミドリヒメヨコバイ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の払い落し調査による発生面積率57.9%(平年47.5%)、払い落とし虫数2.3頭(平年2.0頭)は平年並である。
[防除上の注意]
1) チャノキイロアザミウマとの同時防除とする。
7 チャノキイロアザミウマ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の払い落し調査による発生面積率57.9%(平年73.2%)は平年よりやや少なく、払い落し虫数13.7頭(平年18.7頭)は平年並
である。
[防除上の注意]
1) 3番茶期の防除では、摘採前使用日数に注意する。
○ その他
1 防除等の詳細については「平成14年度病害虫・雑草防除等指導指針」を参照する。
2 農薬の使用に当たっては、農薬安全使用基準の遵守並びに危被害の発生防止に努める。特に水質汚濁性農薬ベンゾエピン剤(商品名、マリックス乳剤、粒剤等)は使用しないこと。
3 発生量(程度)の区分
多 い (高 い) やや多いの外側10%の度数の入る幅
やや多い (やや高い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
平年並 平年値を中心として40%の度数の入る幅
やや少ない (やや低い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
少ない (低 い) やや少ないの外側10%の度数の入る幅
(平年値は過去10年間の平均)
○ お知らせ(http://www.jppn.ne.jp/miyazaki/)
病害虫防除所では、ホームページに病害虫発生予報の根拠となる情報等を登録しています。ぜひご利用ください。
(最近の追加登録内容)
・病害虫発生予察注意報第1号(果樹カメムシ類)を登録
・病害虫発生予察注意報第2号(葉いもち)を登録
・病害虫発生予察注意報第3号(穂いもち)を登録
・病害虫発生予察注意報第4号(斑点米カメムシ類)を登録
6月から当防除所のメールアドレスが変更になりましたのでご注意ください。
新E-mail:miyabou@blue.ocn.ne.jp