6 3 3 1−75
平成14年7月29日
各関係機関の長
各病害虫防除員 殿
宮崎県病害虫防除所長
平成14年度病害虫発生予報第4号について
平成14年度病害虫発生予報第4号を発表したので送付します。
平成14年度病害虫発生予報第4号
向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。
○ 発生予報の概要
|
作 物 名
|
病 害 虫 名
|
発 生 量 |
本文での
記載ページ |
平年比 |
普通期水稲
|
葉いもち
穂いもち
紋枯病
セジロウンカ
トビイロウンカ
コブノメイガ
斑点米カメムシ類 |
やや多
やや多
並
並
並
並
やや多 |
2
2
2
2
2
3
3 |
野菜類全般
|
アブラムシ類
ハスモンヨトウ等の鱗翅目害虫 |
並
並 |
3
3 |
露地キュウリ(中山間地域)
|
べと病
うどんこ病
褐斑病 |
やや多
やや少
並 |
3
3
4 |
果樹全般 |
果樹カメムシ類 |
やや多 |
4 |
かんきつ
|
かいよう病
黒点病
ミカンハダニ |
並
並
並 |
4
4
4 |
茶
|
炭疽病
輪斑病
チャノコカクモンハマキ
チャハマキ
チャノホソガ
カンザワハダニ
チャノキイロアザミウマ
チャノミドリヒメヨコバイ
|
やや多
やや多
やや少
やや少
やや多
やや少
やや少
並
|
5
5
5
5
5
6
6
6
|
|
○ 作物の生育状況(7月中旬)
・普通期水稲は分けつ最盛期、露地キュウリは中山間地では収穫最盛期、温州みかんは果実肥大期、茶は3番茶の摘採前後であった。
○ 8月の気象予報
気温は平年より高く、降水量は平年より多く、日照時間は平年並か平年より少ないと予想されている。
(1か月予報 鹿児島地方気象台7/26発表)
○ 発生予報の根拠および防除対策
1 葉いもち
[予報の根拠]
1) 7月中旬の発生面積率62.5%(平年21.6%)、発病株率23.3%(平年6.7%)は平年より多い。
2) 8月の気温は平年より高く、降水量は平年より多いと予想されている。
[防除上の注意]
1) 育苗箱施薬剤を使用している場合でも発生状況には十分注意し、初期防除に心がける。その場合、育苗箱施薬剤と同系統の薬剤の使用は避ける。
2 穂いもち
[予報の根拠]
葉いもち参照。
[防除上の注意]
1) 葉いもちの防除を徹底する。
2) 穂ばらみ後期と穂揃期が防除適期であるが、特に葉いもちの発生が多いほ場では、穂揃期の7〜10日後に追加散布する。
3) 雨が続く場合、感染の危険性が高いので雨間でも防除を行う。
3 紋枯病
[予報の根拠]
1) 7月中旬の発生面積率1.8%(平年1.3%)、発病株率0.07%(平年0.1%)は平年並である。
2) 8月の気温は平年より高く、降水量は平年より多いと予想されている。
[防除上の注意]
1) 最高分けつ期頃から発生好適条件となり、イネの抵抗性が低下する幼穂形成期から穂ばらみ期にかけて上位葉鞘に進展する。
2) 防除は穂ばらみ期に行い、その後も上位葉鞘への進展が続く場合は2回目の防除を実施する。
4 セジロウンカ
[予報の根拠]
1) 6月20日から25日にかけてまとまった数の飛来が都城の予察灯で確認された。7月3半旬までの予察灯への飛来数は、都城・延岡・国富ともに前年より多い。
2) 7月中旬の発生面積率75.0%(平年74.9%)、株当り虫数0.3頭(平年1.7頭)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 育苗箱施薬剤を実施していないほ場では増殖に注意し、飛来世代の次世代幼虫を対象に防除する。
2) 育苗箱施薬剤を実施したほ場では、発生状況を見て防除する。
5 トビイロウンカ
[予報の根拠]
1) 6月15日から7月15日にかけて断続的に都城・延岡・国富の予察灯への飛来が確認された。7月3半旬までの予察灯への飛来数は、都城・延岡・国富ともに前 年より多い。
2) 7月中旬の本田での発生は未確認である。
[防除上の注意]
1) 育苗箱施薬剤を実施していないほ場では増殖に注意し、7月下旬〜8月上旬頃の短翅型雌の防除を徹底する。(要防除密度は短翅型雌成虫が株当たり0.2頭)
6 コブノメイガ
[予報の根拠]
1) 6月20日から25日を中心に予察灯への飛来があった。
2) 7月中旬の発生面積率28.6%(平年51.8%)、被害葉率0.1%(平年0.6%)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 第1世代の発蛾最盛期は、中部は7月21〜23日、西・北諸県は23〜26日、東臼杵は24〜28日で、第2世代の発蛾最盛期は第1世代の発蛾最盛期のおよそ 28日後の8月下旬と予想される。
2) 防除適期は、粒剤を使用する場合は発蛾最盛期で、粉剤及び水和剤等の液剤を使用する場合は幼虫ふ化期(発蛾最盛期の7日後)である。
7 斑点米カメムシ類
[予報の根拠]
1) 早期水稲での発生面積率は平年並であったが、生息密度は平年よりやや多かった。
2) 飼料作物の栽培面積が増加している。
3) 8月の気温は平年より高いと予想されている。
[防除上の注意]
1) 出穂の早い水田には集中的に飛来する恐れがあるので注意する。
2) 穂ぞろい期とその7〜10日後の2回防除を厳守する。その後も発生が見られる場合は追加防除を行う。
1 アブラムシ類
[予報の根拠]
1) 黄色水盤トラップでの誘殺状況は、平年並である。
2) 7月中旬の露地キュウリでの発生面積率14.3%(平年16.4%)、葉当り虫数0.7頭(平年0.7頭)は平年並である。
3) 8月の気温は平年より高いと予想されている。
[防除上の注意]
1) 作用性の異なる薬剤のローテーション散布を行う。
2 ハスモンヨトウ等の鱗翅目害虫
[予報の根拠]
1) フェロモントラップでの誘殺状況は平年並である。
2) 7月中旬の巡回調査では、露地キュウリ14ほ場のうち1ほ場で被害を確認したが、被害葉率1%未満の微発生で、平年並である。
2) 8月の気温は平年より高いと予想されている。
[防除上の注意]
1) 早期発見に努め初期防除を徹底する。
1 べと病
[予報の根拠]
1) 7月中旬の発生面積率92.8%(平年79.7%)、発病葉率23.5%(平年15.1%)は平年よりやや多い。
2) 8月の降水量は平年より多いと予想されている。
[防除上の注意]
1) 多発すると防除が困難なので、予防散布あるいは初期防除に重点を置く。
2) 草勢の衰えは発生を助長するので、肥料切れしないよう肥培管理に注意する。
2 うどんこ病
[予報の根拠]
1) 7月中旬の発生面積率14.3%(平年39.9%)、発病葉率0.8%(平年5.5%)は平年よりやや少ない。
2) 8月の降水量は平年並と予想されている。
[防除上の注意]
1) 最初は葉の裏に発生しやすいので注意し、早期発見に努め初期防除を徹底する。
2) 葉が老化すると多発する傾向にあるので、老葉はなるべく除去し通風・採光をよくする。
3 褐斑病
[予報の根拠]
1) 7月中旬の発生面積率7.1%(平年30.2%)、発病葉率0.4%(平年1.8%)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 多発してからの防除は困難なので、初期防除を徹底する。
2) 昨年多発したほ場では特に注意する。
1 果樹カメムシ類
[予報の根拠]
1) チャバネアオカメムシの越冬成虫数は、果樹カメムシ類が多発生し被害が大きかった平成8年に次いで多い。
2) フェロモントラップでのチャバネアオカメムシ誘殺数は、延岡市では、7月5半旬に急増し平成11年の調査開始以降では最多となっている。
[防除上の注意]
1) 果樹カメムシ類は園外から飛来し、地域や時期によって発生量が大きく変動するので、園内外を見回り、早期発見・早期防除に努める。
1 かいよう病
[予報の根拠]
1) 7月中旬の発生面積率11.1%(平年17.1%)は平年並、発病葉率0.5%(平年1.0%)は平年よりやや少ない。
2) 8月の降水量は平年より多いと予想されている。
[防除上の注意]
1) 発病した枝葉は伝染源となるので可能な限り取り除き園外に持ち出して焼却する。
2) 風雨による枝葉の損傷を少なくするため防風垣を整備する。特に台風の襲来が予想される時は事前に薬剤散布を行う。
2 黒点病
[予報の根拠]
1) 7月中旬の果実での発生面積率22.2%(平年22.8%)は平年並、発病果率1.0%(平年3.3%)は平年よりやや少ない。
2) 8月の降水量は平年より多いと予想されている。
[防除上の注意]
1) 伝染源となる枯れ枝は可能な限り取り除き園外に持ち出して焼却処分する。
2) 雨が多いと多発する恐れがあるので、降水量300mmを散布間隔の目安として薬剤散布を行う。
3 ミカンハダニ
[予報の根拠]
1) 7月中旬の発生面積率51.8%(平年39.6%)は平年よりやや多く、寄生葉率4.4%(平年6.1%)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 生息密度が高くなると防除が困難になるので、寄生葉率30%(1葉当たり虫数0.5〜1頭)を目安に防除を行う。
1 炭疽病
[予報の根拠]
1) 7月中旬の発生面積率73.7%(平年54.8%)は平年よりやや多く、u当り病葉数4.1(平年6.1)は平年よりやや少ない。
2) 8月の降水量は平年より多いと予想されている。
[防除上の注意]
1) 新芽の生育期に雨が多いと発生しやすい。開葉期に防除を行い、多発生が予想されるときには数日後に追加防除する。
2 輪斑病
[予報の根拠]
1) 7月中旬の発生面積率26.3%(過去7か年平均11.3%)はやや多く、u当り病葉数4.1(過去7か年平均0.5)は過去7か年と比べてもっとも多い。
[防除上の注意]
1) 摘採機等によってできた傷口から病原菌が侵入・感染・発病するので、摘採直後に防除する。
2) 新梢枯死症は輪班病菌によって起こる枝枯れである。萌芽から開葉期にかけて、包葉などが取れたときにできる傷口から感染する。秋芽の萌芽期〜生育期に防除を行う。
3 チャノコカクモンハマキ
[予報の根拠]
1) 7月中旬の巡回調査では、発生未確認である。
2) 三股町に設置したフェロモントラップ調査では、第2世代の発蛾最盛期は7月2半旬頃で平年より10日以上早い。
3) 都城市・田野町に設置したフェロモントラップ調査では、誘殺数は平年より少ない。
[防除上の注意]
1) 第3世代の発蛾最盛期は三股町では8月3半旬頃と予想される。防除適期は発蛾最盛期の7〜10日後である。
4 チャハマキ
[予報の根拠]
1) 7月中旬の巡回調査では、発生未確認である。
2) フェロモントラップ調査では、だらだらと誘殺され発蛾最盛期がわかりにくいが、誘殺数は平年並か、平年よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) 成長するとかたく葉をとじ合わせ防除効果が落ちるので、ふ化後間もない若齢幼虫期に防除する。
5 チャノホソガ
[予報の根拠]
1) 7月中旬の発生面積率26.3%(平年27.2%)は平年並、u当り巻葉数1.7(平年0.5)は平年より多い。
[防除上の注意]
1) 三角巻葉前の、葉裏の表皮下でトンネル状に潜行している時期が防除適期である。
2) 脱皮阻害剤は遅効性なので卵期に散布する。
6 カンザワハダニ
[予報の根拠]
1) 7月中旬の発生面積率10.5%(平年22.8%)、寄生葉率0.3%(平年2.3%)は平年よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) 同一薬剤の連用を避け、作用性の異なる薬剤のロ−テ−ション散布を実施する。
7 チャノキイロアザミウマ
[予報の根拠]
1) 7月中旬の払い落し調査による発生面積率26.3%(平年74.9%)、払い落し虫数2.1頭(平年20.1頭)は平年より少ない。
[防除上の注意]
1) この時期は卵・幼虫・蛹・成虫が混在し、とくに蛹は地表面にいて防除効果が低いので残効性の長い薬剤か1週間間隔での連続散布を行う。
8 チャノミドリヒメヨコバイ
[予報の根拠]
1) 7月中旬の払い落し調査による発生面積率73.7%(平年70.4%)、払い落とし虫数4.4頭(平年5.5頭)は平年並である。
[防除上の注意]
1) チャノキイロアザミウマとの同時防除とする。
○ その他
1 防除等の詳細については「平成14年度病害虫・雑草防除等指導指針」を参照する。
2 農薬の使用に当たっては、農薬安全使用基準の遵守並びに危被害の発生防止に努める。特に水質汚濁性農薬ベンゾエピン剤(商品名、マリックス乳剤、粒剤等)は使用しないこと。
3 発生量(程度)の区分
多 い (高 い) やや多いの外側10%の度数の入る幅
やや多い (やや高い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
平年並 平年値を中心として40%の度数の入る幅
やや少ない (やや低い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
少ない (低 い) やや少ないの外側10%の度数の入る幅
(平年値は過去10年間の平均)
○ お知らせ(http://www.jppn.ne.jp/miyazaki/)
病害虫防除所では、ホームページに病害虫発生予報の根拠となる情報等を登録しています。ぜひご利用ください。
(最近の追加登録内容)
・病害虫発生予察注意報第5号(普通期水稲の葉いもち)を登録
・斑点米カメムシ類の発生状況調査結果を登録
・チャハマキフェロモントラップデータを登録
6月から当防除所のメールアドレスが変更になりましたのでご注意ください。
新E-mail:miyabou@blue.ocn.ne.jp