6331−90
平成14年8月26日
各関係機関の長
各病害虫防除員 殿
宮崎県病害虫防除所長
平成14年度病害虫発生予報第5号について
平成14年度病害虫発生予報第5号を発表したので送付します。
平成14年度病害虫発生予報第5号
向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。
○ 発生予報の概要
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作 物 名
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病 害 虫 名
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発 生 量 の
平年比 |
記載ページ
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普通期水稲
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穂いもち
紋枯病
ごま葉枯病
トビイロウンカ
斑点米カメムシ類 |
やや多
やや少
やや多
並
並 |
2
2
2
2
2 |
露地きゅうり
|
べと病
褐斑病 |
並
やや多 |
3
3 |
施設果菜類 |
ウイルス媒介害虫 |
― |
3 |
大豆及び野菜類全般 |
アブラムシ類
ハスモンヨトウ等鱗翅目害虫 |
並
並 |
3
3 |
かんきつ
|
黒点病
かいよう病
ミカンハダニ |
やや少
やや少
並 |
4
4
4 |
果樹全般 |
カメムシ類 |
やや多 |
4 |
茶
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炭疽病
もち病
輪斑病(新梢枯死症)
チャノコカクモンハマキ
チャハマキ
チャノホソガ
カンザワハダニ
チャノミドリヒメヨコバイ
チャノキイロアザミウマ
|
並
並
やや多
やや少
やや少
並
やや少
やや少
やや少
|
5
5
5
5
5
6
6
6
6
|
|
○ 作物の生育状況(8月中旬)
普通期水稲は幼穂形成期〜乳熟期、露地きゅうりは中山間地では収穫最盛期、温州みかんは果実肥大期、茶は3番茶の摘採後であった。
○ 9月の気象予報
気温は平年並、降水量は平年並か少なく、日照時間は平年並か多いと予想されている。(1か月予報 鹿児島地方気象台8/20発表)
○ 発生予報の根拠および防除対策
1 穂いもち
病害虫発生予察注意報第6号(平成14年7月30日発表)参照
[予報の根拠]
1) 8月中旬の葉いもちの発生面積率62.5%(平年52.3%)は平年並、発病株率26.3%(平年15.6%)は平年よりやや多く、北諸県では発病程度の高いほ場もある。
2) 9月の気温は平年並、降水量は平年並か少ないと予想されている。
[防除上の注意]
1) 穂ばらみ後期と穂揃期が防除適期であるが、特に葉いもちの発生が多いほ場では、穂揃期の7〜10日後に追加散布する。
2)
2 紋枯病
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率42.9%(平年51.7%)は平年よりやや少なく、発病株率5.7%(平年10.3%)は平年より少ない。
2) 9月の気温は平年並、降水量は平年並か少ないと予想されている。
[防除上の注意]
1) 穂ばらみ期以降はイネの抵抗性が弱まり、高温下では上位葉鞘へ進展しやすいので注意する。
3 ごま葉枯病
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率16.1%(平年2.8%)、発病度2.3(平年0.2)は平年より多い。
[防除上の注意]
1) 出穂後の本病の発生は穂枯れにつながるので、穂揃期前後に防除する。
4 トビイロウンカ
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率8.9%(平年20.9%)、10株当たり虫数0.1頭(平年1頭)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 成虫、幼虫とも株元に生息しているので、粉剤や液剤を散布するときは、株元まで薬剤が十分到達するようにする。
5 斑点米カメムシ類
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率7.1%(平年9.7%)、20回振り虫数0.1頭(平年0.3頭)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 本虫による被害は品質を低下させ等級格下げの主要因になるので、広域一斉防除に努める。
2) 防除適期は穂揃期とその7〜10日後で、上位等級確保のためにはこの2回防除が必要であり、いもち病との同時防除剤も効率的である。
1 べと病
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率69.3%(平年75.7%)は平年並、発病葉率30.2%(平年16.1%)は平年よりやや多い。
2) 9月の気温は平年並、降水量は平年並か少ないと予想されている。
[防除上の注意]
1) 多発すると防除が困難なため、予防散布あるいは発生初期に防除の重点をおく。
2) 草勢の衰えは発生を助長するので、肥料切れしないように肥培管理に注意する。
2 褐斑病
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率53.9%(平年40.7%)は平年並、発病葉率14.4%(平年8.6%)は平年よりやや多い。
2) 9月の気温は平年並、降水量は平年並か少ないと予想されている。
[防除上の注意]
1) 多発してからの防除は困難なので、初期防除を徹底する。
2) 昨年多発したほ場では特に注意する。
1 ウイルス媒介害虫
[防除上の注意]
1) ウイルス病の多くは害虫によって伝搬され、特に生育初期に感染するほど被害が大きくなるので、育苗時から媒介害虫の防除を徹底する。また育苗に当たっては近紫外線カットフィルムや寒冷紗等の防虫網を張りウイルス媒介害虫の侵入を防止するとともに、周辺雑草の除去を行い生息場所を少なくする。さらに害虫の寄生がないことを確認して定植する。
1 アブラムシ類
[予報の根拠]
1) 8月中旬の露地キュウリでの発生は平年並である。
2) 佐土原町に設置した黄色水盤トラップによる誘殺数は、7月3半旬以降少ない。
[防除上の注意]
1) 定期的な防除を実施する。
2) 作用性の異なる薬剤のローテーション散布を行う。
2 ハスモンヨトウ等鱗翅目害虫
[予報の根拠]
1) 8月中旬の露地きゅうりでのハスモンヨトウ発生面積率7.7%(平年33.0%)、被害葉率0.1%(平年2.5%)は平年並である。
2) フェロモントラップによる8月のハスモンヨトウ誘殺数は、西都市では平年並、都城市と佐土原町では平年より少ない。
3) 西都市に設置したフェロモントラップによる8月のオオタバコガ誘殺数は、平年より多い。
[防除上の注意]
1) 幼虫が大きくなると薬剤が効きにくくなるので、早期発見に努め若令幼虫期に防除する。
1 黒点病
[予報の根拠]
1) 8月中旬の果実での発生面積率14.8%(平年50.2%)、発病果率0.4%(平年10.5%)は平年より少ない。
[防除上の注意]
1) 雨媒伝染性の病害で、果実への感染時期は梅雨期と8〜9月頃である。
2) 雨の多い年には多発する恐れがあるので、降水量300mmを散布間隔の目安として散布する。
3) 伝染源は枯れ枝で、直径5〜10mm程度の枝が保菌率が高いので、枯れ枝の剪除に努める。
4) 剪定や肥培管理に注意して樹勢の維持に努め、枯れ枝の発生を抑える。
2 かいよう病
[予報の根拠]
1) 8月中旬の果実での発生面積率3.7%(過去7か年平均7.1%)、発病果率0.2%(過去7か年平均0.6%)は過去7か年平均より少ない。
[防除上の注意]
1) 薬剤防除は予防散布を原則とし、発病した枝葉は伝染源となるので可能な限り取り除き園外に持ち出し焼却する。
2) 風雨により発病が増加するので、防風垣を整備して枝葉を痛めないようにする。
3) 台風の襲来が予想されるときは、事前の薬剤散布が望ましいが、通過後は速やかに散布する。
3 ミカンハダニ
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率48.1%(平年48.5%)は平年並、寄生葉率3.9%(平年12.1%)は平年よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) 果実に寄生すると収穫果実の外観を損なうので防除を徹底する。
2) 生息密度が高くなると防除効果が劣るので、寄生葉率30%、10葉当たり虫数5〜10頭を目安に、増殖初期に防除を行う。
1 カメムシ類
病害虫発生予察注意報第7号(平成14年8月15日発表)参照
[予報の根拠]
1) フェロモントラップによるチャバネアオカメムシの誘殺数は、延岡市では7月下旬に急増し、都農町では8月上旬に急増した。
2) 西都市における8月上旬のヒノキ毬果1個当りカメムシ口針鞘数は19本であり、毬果からの離脱基準である25本に近くなっている。
3) 宮崎市や日南市・清武町の一部のミカン園で8月上旬以降、チャバネアオカメムシの飛来が確認されている。
[防除上の注意]
1) 加害時期や発生量は場所による変動が大きいので、早期発見、早期防除に努める。
1 炭疽病
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率68.4%(平年63.3%)は平年並、u当たり病葉数9.2(平年5.1)は平年よりやや多い。
2) 9月の気温は平年並、降水量は平年並か少ないと予想されている。
[防除上の注意]
1) 病原菌は開葉して間もない軟らかい新芽にしか進入できないので、新芽の生育期が防除適期である。
2) 秋季の発生は秋芽の充実を損ない、来年の一番茶の品質収量に悪い影響を与え、伝染源にもなるので徹底した防除が必要である。
3) 雨が多いと発生しやすい。多発が予想される時は、開葉期とその数日後の2回散布が必要である。
2 もち病
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積は未確認である。
[防除上の注意]
1) 常発地では秋芽の萌芽期から生育期にかけて防除する。
2) 秋芽に多発した場合は、秋芽の生育停止期から翌年の萌芽前までに銅剤を散布する。
3 輪斑病(新梢枯死症)
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率36.8%(過去8か年平均17.3%)、u当たり病葉数4.3(過去8か年平均0.4)は過去8か年平均より多い。
[防除上の注意]
1) 新梢枯死症は輪斑病菌によって起こる枝枯れである。萌芽から開葉期にかけて、包葉などが取れたときにできる傷口から感染する。秋芽の萌芽期〜生育期に防除を行う。
4 チャノコカクモンハマキ
[予報の根拠]
1) 8月中旬のほ場での発生は未確認で、平年よりやや少ない。
2) フェロモントラップによる誘殺数は、平年よりやや少ない傾向にある。
[防除上の注意]
1) 都城に設置したフェロモントラップによる誘殺状況では、第2世代の発蛾最盛期は平年より5日程度早い7月20日から25日で、第3世代の発蛾最盛期は8月下旬と予想される。
2) ハマキ天敵を利用する場合の防除適期は発蛾最盛期の10日後、薬剤防除の場合は発蛾最盛期の7日から10日後である。
5 チャハマキ
[予報の根拠]
1) 8月中旬のほ場での発生は未確認で、平年並である。
[防除上の注意]
1) 通常チャノコカクモンハマキと同時に防除するが、成長すると葉をとじ合わせ防除効果が落ちるので、チャノコカクモンハマキの発生時期と10日以上異なる場合は別に防除する。
6 チャノホソガ
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率26.3%(平年32.9%)、u当巻葉数0.9(平年0.9)は平年並である。
2) フェロモントラップによる誘殺量は、平年よりやや少ない傾向にある。
[防除上の注意]
1) 本虫は秋芽の三角巻葉内で越冬し翌年の発生源となり、またダニ類・アザミウマ類の越冬場所ともなるので、三角巻葉前に防除する。
7 カンザワハダニ
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率15.8%(平年27.7%)、寄生葉率0.5%(平年1.6%)は平年よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) 同一薬剤の連用を避け、作用性の異なる薬剤のロ−テ−ション散布を実施する。
8 チャノミドリヒメヨコバイ
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率52.6%(平年65.1%)、払い落し虫数2.6(平年5.3)は平年よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) 秋芽の萌芽直後から1、2葉期の防除に重点を置く。
9 チャノキイロアザミウマ
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率21.1%(平年61.0%)、払い落し虫数0.6頭(平年14.1頭)は平年よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) 秋芽の萌芽直後から1、2葉期の防除に重点を置く。
2) チャノミドリヒメヨコバイとの同時防除とする。
○ その他
1 防除等の詳細については「平成14年度病害虫、雑草防除等指導指針」を参照する。
2 農薬の使用に当たっては、農薬安全使用基準の遵守並びに危被害の発生防止に努める。特に水質汚濁性農薬ベンゾエピン剤(商品名:マリックス乳剤、粒剤等)は使用しないこと。
3 発生量(程度)の区分
多 い (高 い) やや多いの外側10%の度数の入る幅
やや多い (やや高い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
平年並 平年値を中心として40%の度数の入る幅
やや少ない (やや低い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
少ない (低 い) やや少ないの外側10%の度数の入る幅
(平年値は過去10年間の平均)
○ お知らせ
病害虫防除所では、ホームページに病害虫発生予報の根拠となる情報等を登録していますのでご利用ください。
ホームページ http://www.jppn.ne.jp/miyazaki/
E-mail miyabou@blue.ocn.ne.jp
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