6331−153
                           平成14年12月24日
 各関係機関の長
 各病害虫防除員  殿
                           宮崎県病害虫防除所長
       平成14年度病害虫発生予報第9号について
 平成14年度病害虫発生予報第9号を発表したので送付します。

  平成14年度病害虫発生予報第9号
 
 向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。
○ 発生予報の概要
























 


作 物 名
 


 病 害 虫 名
 

 発 生 量 の

  平年比


記載ページ
 

冬春キュウリ




 

べと病
うどんこ病
灰色かび病
菌核病
褐斑病
ミナミキイロアザミウマ

  やや少
   並
  やや少
   並
  やや少
  やや少







冬春ピーマン



 

斑点病
うどんこ病
灰色かび病
菌核病
ミナミキイロアザミウマ

   並
  やや多
   並
  やや少
   並






冬春トマト

 

葉かび病
コナジラミ類
ハモグリバエ類

   並
   並
   並




冬春イチゴ

 

うどんこ病
ハダニ類
 

   並
  やや少
 



 
作物の生育状況(12月中旬)
  冬春キュウリ・冬春ピーマン・冬春トマト・冬春イチゴは収穫期であった。
1月の気象予報
  気温は平年並か高く、降水量は平年並か多く、日照時間は平年並と予想されています。
             (1か月予報 鹿児島地方気象台12/20発表)
○ 発生予報の根拠および防除対策


 

冬春きゅうり
 
1 べと病
 [予報の根拠]
 1) 12月中旬の発生面積率52.7%(平年61.5%)、発病葉率7.3%(平年14.0%)は平年よりやや少ない。
 [防除上の注意]
 1) 多発すると防除が困難なので、予防あるいは初期防除に重点をおく。
 2) 草勢の衰えは発生を助長するので、肥料切れしないように肥培管理に注意する。
2 うどんこ病
 [予報の根拠]
 1) 12月中旬の発生面積率42.1%(平年41.9%)、発病葉率4.9%(平年5.7%)は平年並である。
 [防除上の注意]
 1) 葉裏から発生するので、葉裏を観察して、初発時にすみやかに薬剤散布を行う。
 2) 老化すると多発する傾向にあるので、なるべく老化葉は除去し透光通風をよくする。
3 灰色かび病
 [予報の根拠]
 1) 12月中旬の巡回調査では、発生未確認である。
 [防除上の注意]
 1) ハウス内の換気をよくし、過湿防止に努める。
 2) 発生初期の防除を徹底する。なお薬剤耐性菌が出現しやすいので、作用性の異なる薬剤のローテーション散布を行う。
4 菌核病
 [予報の根拠]
 1) 12月中旬の発生面積率15.8%(平年18.6%)、発病果率0.4%(平年1.4%)は平年並である。
[防除上の注意]
 1) ハウス内の換気を良くし、過湿防止に努める。
 2) 初期発生の防除に重点を置く。
5 褐斑病
 [予報の根拠]
 1) 12月中旬の発生面積率21.0%(平年32.1%)は平年より少なく、発病葉率5.0%(平年3.7%)は平年並である。
[防除上の注意]
 1) 多発してからの防除は困難なので、初期防除を徹底する。
 2) 換気をはかり、高温多湿にならないように努める。
 3) 窒素質肥料の多用は避ける。
6 ミナミキイロアザミウマ
 [予報の根拠]
 1) 12月中旬の巡回調査では、26%のほ場で発生を確認したが、いずれも葉当り0.5頭以下の微発生である。
 [防除上の注意]
 1) 多発してからの防除は著しく困難なので低密度のうちに防除を徹底する。


 

冬春ピーマン
 
1 斑点病
 [予報の根拠]
 1) 12月中旬の発生面積率9.1%(平年43.2%)は平年より少なく、発病葉率0.3%(平年3.7%)は平年よりやや少ない。
 [防除上の注意]
 1) 気温20〜25℃で、多湿のとき発生しやすいので、除湿に努める。
 2) 病原菌が侵入した後の防除は困難なので、予防散布を行う。
2 うどんこ病
  病害虫発生予察注意報第8号(平成14年11月27日発表)を参照する。
 [予報の根拠]
 1) 12月中旬の発生面積率72.7%(平年48.5%)は平年よりやや多く、発病葉率3.3%(平年5.5%)は平年並である。
 [防除上の注意]
 1) 乾燥した状態で発生しやすいので、乾燥させすぎないようにする。
 2) 病勢が進展してからの防除は困難なので早期発見に努め、発生後は散布間隔を短くするなど徹底した防除を行う。
3 灰色かび病
 [予報の根拠]
 1) 12月中旬の巡回調査では、発生未確認である。
 [防除上の注意]
 1) ハウス内の換気をよくし、過湿防止に努める。
 2) 発生初期の防除を徹底する。なお薬剤耐性菌が出現しやすいので、作用性の異なる薬剤のローテーション散布を行う。
4 菌核病
 [予報の根拠]
 1) 12月中旬の巡回調査では、発生未確認である。
 [防除上の注意]
 1) ハウス内の換気を良くし、過湿防止に努める。
 2) 花弁の発病を確認したら直ちに防除する。
5 ミナミキイロアザミウマ
 [予報の根拠]
 1) 12月中旬のミナミキイロアザミウマの発生面積率45.5%(平年47.1%)は平年並、10花当り寄生虫数3.5頭(平年2.3頭)は平年よりやや多い。
 [防除上の注意]
 1) ミナミキイロアザミウマは10花当り1頭程度の寄生虫数で被害果が出始める。また多発してからの防除は困難なので、低密度のうちに防除を徹底する。


 

冬春トマト
 
1 葉かび病
 [予報の根拠]
 1) 12月中旬の巡回調査では発生未確認である。
 [防除上の注意]
 1) 通風が悪く多湿条件で発生しやすいので、ハウスの換気を良くする。
 2) 肥料切れしないように施肥を適正に行う。
2 コナジラミ類
 [予報の根拠]
 1) 12月中旬の巡回調査では10%のほ場で発生を確認したが、いずれも1葉当り寄生虫数は0.5頭以下の微発生である。
 [防除上の注意]
 1) 発生密度の把握と捕殺を兼ねて黄色粘着トラップを設置する。
 2) コナジラミ類の発生を確認したらすみやかに防除する。
 3) トマト黄化葉巻病はシルバーリーフコナジラミによって他の株へ伝染するので、
  発病株は早期に抜根し、ほ場から持ち出し埋没処分する。
3 ハモグリバエ類
 ハモグリバエ類
 [予報の根拠]
 1) 12月中旬の発生面積率40.0%(過去9か年平均50.0%)、寄生葉率2.2%(過去9か年平均7.9%)は過去9か年平均並である。
 [防除上の注意]
 1) 多発してからの防除は困難なので、被害葉の焼却処分及び初期防除に努める。


 

冬春イチゴ
 
1 うどんこ病
 [予報の根拠]
 1) 12月中旬の発生面積率25.0%(平年45.3%)、発病葉率2.3%(平年3.8%)は平年並である。
 [防除上の注意]
 1) はじめ葉裏に発生しやすいので初期発生の発見に努め、初期防除を徹底する。
 2) 激しく発病すると防除がきわめて困難になるので、予防に重点を置き、発病後は散布間隔を短くするなど、発病初期の防除を徹底する。
 3) 発病果など被害部は伝染源になるので、早めに取り除き、ほ場内に放置しない。
2 ハダニ類
 [予報の根拠]
 1) 12月中旬の発生面積率25.0%(平年39.9%)、寄生株率1.1%(平年7.8%)は平年並である。
 [防除上の注意]       
 1) 寄生数が増加してからの防除は困難なので、低密度時から防除を徹底する。
 2) 株整理後の葉数が少なくなった時期に薬剤散布を行うと防除効果が高くなる。茎葉繁茂時には特にノズルを下方から上向きにして散布し、葉裏に良くかかるように  する。
 3) 薬剤感受性の低下を避けるため、同一系統の薬剤の連用を避ける。
 その他
1 防除等の詳細については「平成14年度病害虫、雑草防除等指導指針」を参照する。
2 農薬の使用に当たっては、農薬安全使用基準の遵守並びに危被害の発生防止に努める。特に水質汚濁性農薬ベンゾエピン剤(商品名、マリックス乳剤、粒剤等)は使用しないこと。
3 発生量(程度)の区分
  多  い    (高  い)   やや多いの外側10%の度数の入る幅
  やや多い   (やや高い)  平年並の外側20%の度数の入る幅
  平年並              平年値を中心として40%の度数の入る幅
  やや少ない  (やや低い)  平年並の外側20%の度数の入る幅
  少ない     (低  い)   やや少ないの外側10%の度数の入る幅
                     (平年値は過去10年間の平均)
○ お知らせ
  病害虫防除所では、ホームページで情報を提供しています。予察情報の根拠となる地域別調査データ、防除対策等を登録しています。ぜひご利用ください。
  ホームページ  http://www.jppn.ne.jp/miyazaki/
  E−mail     miyabou@blue.ocn.ne.jp