6331−163
                           平成15年1月27日
 各関係機関の長
 各病害虫防除員  殿
                           宮崎県病害虫防除所長
       平成14年度病害虫発生予報第10号について
 平成14年度病害虫発生予報第10号を発表したので送付します。

  平成14年度病害虫発生予報第10号
 
 向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。
○ 発生予報の概要
























 


作 物 名
 


 病 害 虫 名
 

 発 生 量 の

  平年比


記載ページ
 

冬春キュウリ



 

べと病
うどんこ病
灰色かび病
褐斑病
ミナミキイロアザミウマ

   並
   並
  やや少
   並
   並






冬春ピーマン


 

斑点病
うどんこ病
ミナミキイロアザミウマ
ヒラズハナアザミウマ

  やや少
   並
   並
  やや多





冬春トマト


 

灰色かび病
葉かび病
コナジラミ類
ハモグリバエ類

   並
  やや多
   並
   並





冬春イチゴ


 

うどんこ病
アブラムシ類
ハダニ類
 

   並
  やや多
   並
 




 
作物の生育状況(1月中旬)
  冬春キュウリの促成栽培・冬春ピーマン・冬春トマト・冬春イチゴは収穫期で、冬春キュウリの半促成栽培は定植直後であった。
2月の気象予報
  気温は平年より高く、降水量・日照時間は平年並と予想されています。   
            (3か月予報 鹿児島地方気象台1/20発表)
○ 発生予報の根拠および防除対策


 

冬春キュウリ
 
1 べと病
 [予報の根拠]
 1) 促成キュウリでは、1月中旬の発生面積率81.3%(平年72.8%)は平年よりやや多く、発病葉率10.1%(平年19.9%)は平年より少ない。
 [防除上の注意]
 1) 多発すると防除が困難なので、予防あるいは初期防除に重点をおく。
 2) 草勢の衰えは発生を助長するので、肥料切れしないように肥培管理に注意する。
2 うどんこ病
 [予報の根拠]
 1) 促成キュウリでは、1月中旬の発生面積率56.3%(平年42.2%)は平年よりやや多く、発病葉率5.7%(平年5.3%)は平年並である。
 2) 半促成キュウリでは、1月中旬の発生面積率25.0%(平年29.3%)、発病葉率0.3%(平年2.9%)は平年並である。
 [防除上の注意]
 1) 葉裏から発生するので、葉裏を観察して、初発時にすみやかに薬剤散布を行う。
 2) 老化すると多発する傾向にあるので、なるべく老化葉は除去し透光通風をよくする。
3 灰色かび病
 [予報の根拠]
 1) 促成キュウリでは、1月中旬の発生面積率6.3%(平年32.4%)、発病果率0.1%(平年1.8%)は平年よりやや少ない。
 [防除上の注意]
 1) ハウス内の換気をよくし、過湿防止に努める。
 2) 発生初期の防除を徹底する。なお薬剤耐性菌が出現しやすいので、作用性の異なる薬剤のローテーション散布を行う。
4 褐斑病
 [予報の根拠]
 1) 促成キュウリでは、1月中旬の発生面積率50.0%(平年27.4%)は平年よりやや多く、発病葉率1.3%(平年3.4%)は平年並である。
 2) 半促成キュウリでは発生未確認である
[防除上の注意]
 1) 多発してからの防除効果は低いので、初期防除を徹底する。
 2) 換気をはかり、高温多湿にならないように努める。
 3) 窒素質肥料の多用は避ける。
5 ミナミキイロアザミウマ
 [予報の根拠]
 1) 促成キュウリでは、1月中旬の発生面積率16.7%(平年18.7%)、10葉当り寄生虫数4.3頭(平年2.4頭)は平年並である。
 [防除上の注意]
 1) 多発してからの防除は著しく困難なので低密度のうちに防除を徹底する。


 

冬春ピーマン
 
1 斑点病
 [予報の根拠]
 1) 1月中旬の発生は未確認である。
 [防除上の注意]
 1) 多湿条件では発生した場合の被害も大きくなるので、除湿に努める。
 2) 病原菌が侵入した後の防除は困難なので、予防散布を行う。
2 うどんこ病
 [予報の根拠]
 1) 1月中旬の発生面積率54.6%(平年47.6%)、発病葉率5.5%(平年4.7%)は平年並である。
 [防除上の注意]
 1) 乾燥した状態で発生しやすいので、乾燥させすぎないようにする。
 2) 病勢が進展してからの防除は困難なので早期発見に努め、発生後は散布間隔を短くするなど徹底した防除を行う。
3 ミナミキイロアザミウマ
 [予報の根拠]
 1) 1月中旬の発生面積率36.4%(平年28.6%)、10花当り寄生虫数1.4頭(平年1.1頭)は平年並である。
 [防除上の注意]
 1) ミナミキイロアザミウマは10花当り1頭程度の寄生虫数で被害果が出始める。また多発してからの防除は困難なので、低密度のうちに防除を徹底する。
4 ヒラズハナアザミウマ
 [予報の根拠]
 1) 1月中旬の発生面積率36.4%(平年29.9%)、10花当り寄生虫数5.4頭(平年6.2頭)は平年よりやや多い。
 [防除上の注意]
 1) 果実での被害はミナミキイロアザミウマより小さいが、薬剤感受性が異なるので多発時には注意する。


 

冬春トマト
 
1 灰色かび病
 [予報の根拠]
 1) 1月中旬の巡回調査では発生未確認である。
 [防除上の注意]
 1) 多湿条件で発生しやすいので、ハウスの換気を良くする。
 2) 被害果・被害茎葉は伝染源になるのでハウス外に持ち出し、土中に埋める等の処分を行う。
2 葉かび病
 [予報の根拠]
 1) 1月中旬の発生面積率20.0%(平年6.8%)は平年よりやや多く、発病葉率0.2%(平年0.4%)は平年並である。
 [防除上の注意]
 1) 多湿条件で発生しやすいので、ハウスの換気を良くする。
 2) 発病初期の防除を徹底する。
3 コナジラミ類
 [予報の根拠]
 1) 1月中旬の巡回調査では20%のほ場で発生を確認したが、いずれも1葉当り寄生虫数は0.1頭以下の微発生である。
 [防除上の注意]
 1) 発生密度の把握と捕殺を兼ねて黄色粘着トラップを設置する。
 2) コナジラミ類の発生を確認したらすみやかに防除する。
 3) トマト黄化葉巻病はシルバーリーフコナジラミによって他の株へ伝染するので、
  発病株は早期に抜根し、ほ場から持ち出し埋没処分する。
4 ハモグリバエ類
 [予報の根拠]
 1) 1月中旬の発生面積率30.0%(過去9か年平均47.9%)、寄生葉率2.0%(過去9か年平均5.6%)は過去9か年平均並である。
 [防除上の注意]
 1) 多発してからの防除は困難なので初期防除及び寄生葉の焼却処分に努める。


 

冬春イチゴ
 
1 うどんこ病
 [予報の根拠]
 1) 1月中旬の葉での発生面積率16.7%(平年39.2%)、発病葉率0.7%(平年2.8%)は平年並である。
 2) 1月中旬の果実での発生面積率8.3%(平年30.5%)、発病果率0.2%(平年1.7%)は平年並である。
 [防除上の注意]
 1) はじめ葉裏に発生しやすいので初期発生の発見に努め、初期防除を徹底する。
 2) 激しく発病すると防除がきわめて困難になるので、予防に重点を置き、発病後は散布間隔を短くするなど、発病初期の防除を徹底する。
 3) 発病果など被害部は伝染源になるので、早めに取り除き、ほ場内に放置しない。
2 アブラムシ類
 [予報の根拠]
 1) 1月中旬の発生面積率16.6%(平年12.6%)は平年並、寄生株率3.8%(平年1.2%)は平年よりやや多い。
 [防除上の注意]       
 1) 薬剤感受性の低下を避けるため、同一系統の薬剤の連用を避ける。
3 ハダニ類
 [予報の根拠]
 1) 1月中旬の発生面積率50.0%(平年40.1%)、寄生株率10.2%(平年7.7%)は平年並である。
 [防除上の注意]       
 1) 寄生数が増加してからの防除効果は低いので、低密度時から防除を徹底する。
 2) 株整理後の葉数が少なくなった時期に薬剤散布を行うと防除効果が高くなる。茎葉繁茂時には特にノズルを下方から上向きにして散布し、葉裏に良くかかるようにする。
 3) 薬剤感受性の低下を避けるため、同一系統の薬剤の連用を避ける。
 その他
 1 防除等の詳細については「平成14年度病害虫、雑草防除等指導指針」を参照する。
 2 農薬の使用に当たっては、農薬安全使用基準の遵守並びに危被害の発生防止に努める。特に水質汚濁性農薬ベンゾエピン剤(商品名、マリックス乳剤、粒剤等)は使用しないこと。
 3 発生量(程度)の区分
   多  い     (高  い)    やや多いの外側10%の度数の入る幅
   やや多い   (やや高い)  平年並の外側20%の度数の入る幅
   平年並               平年値を中心として40%の度数の入る幅
   やや少ない  (やや低い)  平年並の外側20%の度数の入る幅
   少ない      (低  い)   やや少ないの外側10%の度数の入る幅
                          (平年値は過去10年間の平均)
○ お知らせ
 1 病害虫防除所では、ホームページで情報を提供しています。予察情報の根拠となる地域別調査データ、防除対策等を登録しています。ぜひご利用ください。
   ホームページ  http://www.jppn.ne.jp/miyazaki/
   E−mail     miyabou@blue.ocn.ne.jp
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