6331−174

                           平成15年2月26日

 各関係機関の長

 各病害虫防除員  殿

                           宮崎県病害虫防除所長

       平成14年度病害虫発生予報第11号について

 平成14年度病害虫発生予報第11号を発表したので送付します。


  平成14年度病害虫発生予報第11号

 向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。

○ 発生予報の概要




































 



作 物 名
 



 病 害 虫 名
 


 発 生 量 の

  平年比



記載ページ
 


早期水稲


スクミリンゴガイ


   並



冬春キュウリ
(促成栽培)


 


べと病
うどんこ病
灰色かび病
褐斑病
ミナミキイロアザミウマ


   並
  やや多
   並
  やや多
  やや少







冬春キュウリ
(半促成栽培)


 


べと病
うどんこ病
灰色かび病
褐斑病
ミナミキイロアザミウマ


   並
   並
   並
   並
   並







冬春ピーマン


 


斑点病
うどんこ病
ミナミキイロアザミウマ
ヒラズハナアザミウマ


  やや少
  やや多
  やや少
   並






冬春トマト


 


灰色かび病
葉かび病
コナジラミ類
ハモグリバエ類


   並
   並
   並
   並






冬春イチゴ
 


うどんこ病
ハダニ類


  やや多
   並




かんきつ


ミカンハダニ


   並




 


カンザワハダニ
 


   並
 



 

作物の生育状況(2月中旬)

  早期水稲は播種期、冬春キュウリ・冬春ピーマン・冬春トマト・冬春イチゴは収穫期で、カンキツ・茶は休眠期であった。

3月の気象予報

  気温は平年より高く、降水量は平年並か平年より多く、日照時間は平年並か平年より少ないと予想されています。(1か月予報 鹿児島地方気象台2/14発表)

○ 発生予報の根拠および防除対策



 


早期水稲
 

1 スクミリンゴガイ

 [予報の根拠]

 1) 水稲収穫後未耕起水田(佐土原町)での2月中旬のu当たり生貝数8.2頭及び用水路でのu当たり生貝数39頭は、過去3か年平均並である。

 2) 水田における生貝率75.6%(昨年75.0%)、用水路における生貝率87.1%(昨年83.7%)は昨年並である。

 [防除上の注意]

 1) 水田に生息する貝は、耕耘により破砕し防除する。この場合、土壌が硬いほど、耕耘ピッチが小さいほど、貝が大きいほど殺貝効果が高い。耕耘する深さは殺貝効果にあまり違いがないので、貝が主に越冬生息している土壌表層部を細かく耕耘することが最も有効である。

 2) 用排水路からの侵入を防ぐため水の出入り口にネットを設置する。

 3) 田植後2〜3週間はできるだけ水深1cm以下の浅水管理とする。

 4) 貝の生息が多い場合には、薬剤の育苗箱施用と本田施用を実施する。

   登録農薬は、育苗箱施用薬剤としては、エカマート粒剤、パダン粒剤4があり、本田施用薬剤としてはエカマート粒剤、パダン粒剤4、キタジンP粒剤、ルーバン粒剤、パダンバッサ粒剤、パダンミプシン粒剤がある。



 


冬春キュウリ(促成栽培)
 

1 べと病

 [予報の根拠]

 1) 2月中旬の発生面積率78.5%(平年80.9%)、発病葉率19.4%(平年22.8%)は平年並である。

 [防除上の注意]

 1) 多発してからの防除効果は低いので、予防あるいは初期防除に重点をおく。

 2) 草勢の衰えは発生を助長するので、肥料切れしないように肥培管理に注意する。

2 うどんこ病

 [予報の根拠]

 1) 2月中旬の発生面積率64.3%(平年40.0%)は平年よりやや多く、発病葉率14.4%(平年4.6%)は平年より多い。

 [防除上の注意]

 1) 葉裏から発生するので、葉裏を観察して、初発時にすみやかに薬剤散布を行う。

 2) 老化すると多発する傾向にあるので老化葉はなるべく除去し透光通風をよくする。

3 灰色かび病

 [予報の根拠]

 1) 2月中旬の発生面積率14.3%(平年38.2%)は平年よりやや少なく、発病果率0.5%(平年2.7%)は平年並である。

 [防除上の注意]

 1) ハウス内の換気をよくし、過湿防止に努める。

 2) 発生初期の防除を徹底する。なお薬剤耐性菌が出現しやすいので、作用性の異なる薬剤のローテーション散布を行う。

4 褐斑病

 [予報の根拠]

 1) 2月中旬の発生面積率57.1%(平年27.3%)は平年よりやや多く、発病葉率5.1%(平年4.1%)は平年並である。

 [防除上の注意]

 1) 多発してからの防除効果は低いので、初期防除を徹底する。

 2) 換気をはかり、高温多湿にならないように努める。

 3) 窒素質肥料の多用は避ける。

5 ミナミキイロアザミウマ

 [予報の根拠]

 1) 2月中旬の発生面積率7.1%(平年19.8%)、10葉当り寄生虫数1.0頭(平年5.9頭)は平年よりやや少ない。

 [防除上の注意]

 1) 多発してからの防除効果は低いので低密度のうちに防除を徹底する。



 


冬春キュウリ(半促成栽培)
 

1 べと病

 [予報の根拠]

 1) 2月中旬の発生面積率20.0%(平年18.6%)、発病葉率0.6%(平年1.5%)は平年並である。

 [防除上の注意]

 1) 多発してからの防除効果は低いので、予防あるいは初期防除に重点をおく。

 2) 草勢の衰えは発生を助長するので、肥料切れしないように肥培管理に注意する。

2 うどんこ病

 [予報の根拠]

 1) 2月中旬の発生面積率20.0%(平年16.9%)、発病葉率1.0%(平年1.6%)は平年並である。

 [防除上の注意]

 1) 葉裏から発生するので、葉裏を観察して、初発時にすみやかに薬剤散布を行う。

 2) 老化すると多発する傾向にあるので、なるべく老化葉は除去し透光通風をよくする。

3 灰色かび病

 [予報の根拠]

 1) 2月中旬の巡回調査では発生未確認である。

 [防除上の注意]

 1) ハウス内の換気をよくし、過湿防止に努める。

 2) 発生初期の防除を徹底する。なお薬剤耐性菌が出現しやすいので、作用性の異なる薬剤のローテーション散布を行う。

4 褐斑病

 [予報の根拠]

 1) 2月中旬の発生面積率20.0%(平年17.6%)、発病葉率0.2%(平年0.8%)は平年並である。

 [防除上の注意]

 1) 多発してからの防除効果は低いので、初期防除を徹底する。

 2) 換気をはかり、高温多湿にならないように努める。

 3) 窒素質肥料の多用は避ける。

5 ミナミキイロアザミウマ

 [予報の根拠]

 1) 2月中旬の巡回調査では1ほ場で発生していたが、1葉当り寄生虫数0.1頭以下の微発生である。

 [防除上の注意]

 1) 多発してからの防除効果は低いので低密度のうちに防除を徹底する。



 


冬春ピーマン
 

1 斑点病

 [予報の根拠]

 1) 2月中旬の巡回調査では発生未確認である。

 [防除上の注意]

 1) 多湿条件では発生した場合の被害も大きくなるので、除湿に努める。

 2) 病原菌が侵入した後の防除効果は低いので、予防散布を行う。

2 うどんこ病

 [予報の根拠]

 1) 2月中旬の発生面積率45.5%(平年43.9%)は平年並、発病葉率8.2%(平年4.7%)は平年よりやや多い。

 [防除上の注意]

 1) 乾燥した状態で発生しやすいので、乾燥させすぎないようにする。

 2) 病勢が進展してからの防除効果は低いので早期発見に努め、発生後は散布間隔を短くするなど徹底した防除を行う。

3 ミナミキイロアザミウマ

 [予報の根拠]

 1) 2月中旬の発生面積率18.2%(平年44.1%)は平年より少なく、10花当り寄生虫数0.4頭(平年2.0頭)は平年よりやや多い。

 2) 芯部の寄生虫数は、先月は50芯当り4.6頭であったが2月中旬の巡回調査では0.1頭に減少している。

 [防除上の注意]

 1) ミナミキイロアザミウマは10花当り1頭程度の寄生虫数で被害果が出始める。また多発生してからの防除効果は低いので、低密度のうちに防除を徹底する。

4 ヒラズハナアザミウマ

 [予報の根拠]

 1) 2月中旬の発生面積率18.2%(平年33.2%)、10花当り寄生虫数2.8頭(平年6.5頭)は平年並である。

 [防除上の注意]

 1) 果実での被害はミナミキイロアザミウマより小さいが、薬剤感受性が異なるので多発生時には注意する。



 


冬春トマト
 

1 灰色かび病

 [予報の根拠]

 1) 2月中旬の発生面積率10.0%(平年19.4%)、発病果率0.6%(平年0.4%)は平年並である。

 [防除上の注意]

 1) 多湿条件で発生しやすいので、ハウスの換気を良くする。

 2) 被害果・被害茎葉は伝染源になるのでハウス外に持ち出し、土中に埋める等の処分を行う。

2 葉かび病

 [予報の根拠]

 1) 2月中旬の巡回調査では発生未確認である。

 [防除上の注意]

 1) 多湿条件で発生しやすいので、ハウスの換気を良くする。

 2) 発病初期の防除を徹底する。

3 コナジラミ類

 [予報の根拠]

 1) 2月中旬の巡回調査では発生未確認である。

 [防除上の注意]

 1) 発生密度の把握と捕殺を兼ねて黄色粘着トラップを設置する。

 2) コナジラミ類の発生を確認したらすみやかに防除する。

 3) トマト黄化葉巻病はシルバーリーフコナジラミによって他の株へ伝染するので、

  発病株は早期に抜根し、ほ場から持ち出し埋没処分する。

4 ハモグリバエ類

 [予報の根拠]

 1) 2月中旬の発生面積率20.0%(過去9か年平均37.6%)、寄生葉率0.8%(過去9か年平均4.9%)は過去9か年平均並である。

 [防除上の注意]

 1) 多発してからの防除効果は低いので初期防除及び寄生葉の焼却処分に努める。



 


冬春イチゴ
 

1 うどんこ病

 [予報の根拠]

 1) 2月中旬の葉での発生面積率16.6%(平年33.1%)は平年よりやや少なく、発病葉率2.3%(平年1.6%)は平年よりやや多い。

 2) 2月中旬の果実での発生面積率41.7%(平年20.1%)、発病果率2.3%(平年1.1%)は平年よりやや多い。

 [防除上の注意]

 1) はじめ葉裏に発生しやすいので初期発生の発見に努め、初期防除を徹底する。

 2) 激しく発病すると防除効果が低くなるので、予防に重点を置き、発病後は散布間隔を短くするなど、発病初期の防除を徹底する。

 3) 発病果など被害部は伝染源になるので、早めに取り除きほ場内に放置しない。

2 ハダニ類

 [予報の根拠]

 1) 2月中旬の発生面積率41.6%(平年43.1%)、寄生株率11.5%(平年8.4%)は平年並である。

 [防除上の注意]       

 1) 寄生数が増加してからの防除効果は低いので、低密度時から防除を徹底する。

 2) 株整理後の葉数が少なくなった時期に薬剤散布を行うと防除効果が高くなる。茎葉繁茂時には特にノズルを下方から上向きにして散布し、葉裏に良くかかるようにする。

 3) 薬剤感受性の低下を避けるため、同一系統薬剤の連用を避ける。



 


かんきつ
 

1 ミカンハダニ

 [予報の根拠]

 1) 2月中旬の発生面積率55.6%(平年45.3%)は平年よりやや多く、寄生葉率5.9%(平年7.1%)は平年よりやや少ない。

 2) 100葉当り虫数22.4頭(平年27.9頭)は平年並である。

 [防除上の注意]

 1) 越冬密度の高いほ場や冬季マシン油を散布できなかったほ場では、春季(3月上中旬、萌芽前)にマシン油による防除を行う。



 



 

1 カンザワハダニ

 [予報の根拠]

 1) 2月中旬の摘採面における発生面積率53.3%(平年37.2%)、寄生葉率2.4%(平年3.7%)は平年並である。

 2) すそ部における発生は、面積率60.0%(過去8か年平均58.9%)、寄生葉率10.7%(過去8か年平均7.8%)である。

 [防除上の注意]

 1) 防除適期は、増殖が始まる前の密度の低い時期(3月上中旬)で、株の内部やすそ部の葉裏に多く生息しているので、十分な薬液が到達するように丁寧に散布する。

 

 

 その他

 1 防除等の詳細については「平成14年度病害虫、雑草防除等指導指針」を参照する。

 2 農薬の使用に当たっては、農薬安全使用基準の遵守並びに危被害の発生防止に努める。特に水質汚濁性農薬ベンゾエピン剤(商品名、マリックス乳剤、粒剤等)は使用しないこと。

 3 発生量(程度)の区分

   多  い    (高  い)    やや多いの外側10%の度数の入る幅

   やや多い   (やや高い)  平年並の外側20%の度数の入る幅

   平年並              平年値を中心として40%の度数の入る幅

   やや少ない  (やや低い)  平年並の外側20%の度数の入る幅

   少ない     (低  い)   やや少ないの外側10%の度数の入る幅

                    (平年値は過去10年間の平均)

○ お知らせ

 1 病害虫防除所では、ホームページで情報を提供しています。予察情報の根拠となる地域別調査データ、防除対策等を登録しています。ぜひご利用ください。

   ホームページ  http://www.jppn.ne.jp/miyazaki/

   E−mail     miyabou@blue.ocn.ne.jp

 2 最近の登録情報

  @ 失効農薬一覧表