6331−189

                           平成15年3月31日

 各関係機関の長

 各病害虫防除員  殿

                           宮崎県病害虫防除所長

       平成14年度病害虫発生予報第12号について

 平成14年度病害虫発生予報第12号を発表したので送付します。


  平成14年度病害虫発生予報第12号

 向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。

○ 発生予報の概要

































 



作 物 名
 



 病 害 虫 名
 


 発 生 量 の

  平年比



記載ページ
 


早期水稲

 


いもち病
スクミリンゴガイ
イネミズゾウムシ


   ―
   並
   ―





野菜・工芸作物


アブラムシ類
 


   並
 



 


冬春キュウリ
(半促成栽培)

 


べと病
うどんこ病
褐斑病
ミナミキイロアザミウマ


  やや少
   並
   並
   並






冬春ピーマン


 


斑点病
うどんこ病
ミナミキイロアザミウマ
ヒラズハナアザミウマ


   少
  やや多
  やや多
   並






冬春トマト


 


灰色かび病
葉かび病
コナジラミ類
トマト黄化葉巻病(TYLCV)


   並
  やや多
   並
   ―






かんきつ

 


そうか病
かいよう病
ミカンハダニ


   並
   ―
   並






 


カンザワハダニ
 


   並
 



 

作物の生育状況(3月中旬)

  早期水稲は育苗期、冬春キュウリ・冬春ピーマン・冬春トマトは収穫期で、かんきつ・茶は休眠期であった。

4月の気象予報

  平年より晴れの日が多く、気温・降水量は平年並、日照時間は平年並か平年より多いと予想されています。    (1か月予報 鹿児島地方気象台3/21発表)

○ 発生予報の根拠および防除対策



 


早期水稲
 

1 いもち病

 [防除上の注意]

 1) 曇雨天が続くと、稲が葉いもちにかかりやすい体質になるので、気象条件に注意し、初発生を見逃さず発生初期までに防除する。

 2) 同一系統の薬剤の連用は、薬剤耐性菌が発生しやすいので避ける。

2 スクミリンゴガイ

 [予報の根拠]

 1) 水稲収穫後未耕起水田(佐土原町)での2月中旬のu当たり生貝数8.2頭及び用水路でのu当たり生貝数39頭は、過去3か年平均並である。

 2) 水田における生貝率75.6%(昨年75.0%)、用水路における生貝率87.1%(昨年83.7%)は昨年並である。

 [防除上の注意]

 1) 用排水路からの侵入を防ぐため水の出入り口にネットを設置する。

 2) 田植後2〜3週間はできるだけ水深1cm以下の浅水管理とする。

 3) 貝の生息が多い場合には、薬剤の育苗箱施用と本田施用を実施する。

   登録農薬は、育苗箱施用薬剤としては、エチルチオメトン・チオシクラム剤、カルタップ剤があり、本田施用薬剤としてはエチルチオメトン・チオシクラム剤、カ  ルタップ剤、IBP剤、ベンスルタップ剤、カルタップ・BPMC剤、カルタップ・MIPC剤がある。

3 イネミズゾウムシ

 [防除上の注意]

 1) 昨年発生の見られた水田で育苗箱施薬剤を使用していない水田では、発生が目立ち始めたら(10株当たり成虫数5頭)粒剤の水面施用を行う。

 2) 未発生地域では水稲の食害痕に注意し、発生を認めたら直ちに粒剤の水面施用を行う。

 3) 粒剤の水面施用を行う場合は、できるだけ魚介類に影響の少ない薬剤を使用し、4〜5日間は水を止める。



 


野菜・工芸作物
 

1 アブラムシ類

 [予報の根拠]

 1) 黄色水盤トラップ(佐土原町)での3月上旬〜中旬の誘殺数は、10頭(平年16.4頭、前年14頭)で平年よりやや少ない。

 [防除上の注意]

 1) ウイルス病の媒介を防ぐため育苗期から防除を徹底する。育苗期の寒冷紗被覆はコナジラミ類などの飛来防止にも有効である。

 2) 露地栽培では、シルバープラスチックフィルムやシルバーストライププラスチックフィルム等でマルチを行うと、有翅虫の飛来が少なくなる。

 3) 多発すると防除効果が低下するので、有翅虫の早期発見に努め生息数が少ないうちに防除する。



 


冬春キュウリ(半促成栽培)
 

1 べと病

 [予報の根拠]

 1) 3月中旬の発生面積率42.9%(平年52.8%)、発病葉率3.3%(平年7.9%)は平年よりやや少ない。

 [防除上の注意]

 1) 多発してからの防除効果は低いので、予防あるいは初期防除に重点をおく。

 2) 草勢の衰えは発生を助長するので、肥料切れしないように肥培管理に注意する。

2 うどんこ病

 [予報の根拠]

 1) 3月中旬の発生面積率28.6%(平年22.4%)は平年並、発病葉率7.0%(平年2.9%)は平年よりやや多い。

 [防除上の注意]

 1) 葉裏から発生するので、葉裏を観察して、初発時にすみやかに薬剤散布を行う。

 2) 老化すると多発する傾向にあるので老化葉はなるべく除去し透光通風をよくする。

3 褐斑病

 [予報の根拠]

 1) 3月中旬の発生面積率14.3%(平年32.8%)は平年よりやや少なく、発病葉率2.3%(平年2.6%)は平年並である。

 [防除上の注意]

 1) 多発してからの防除効果は低いので、初期防除を徹底する。

 2) 換気をはかり、高温多湿にならないように努める。

 3) 窒素質肥料の多用は避ける。

4 ミナミキイロアザミウマ

 [予報の根拠]

 1) 3月中旬の発生面積率14.3%(平年6.6%)は平年よりやや多く、10葉当り寄生虫数7.0頭(平年1.4頭)は平年より多いが、これは県北地域の1ほ場の寄生虫数がこの時期としては例年と比較して特に多かったことによるもので、全般的には発生程度は低く、今後も平年並を上回ることはないと予想される。

 [防除上の注意]

 1) 多発してからの防除効果は低いので低密度のうちに防除を徹底する。



 


冬春ピーマン
 

1 斑点病

 [予報の根拠]

 1) 3月中旬の発生面積率9.1%(平年44.2%)、発病葉率0.1%(平年

  4.7%)は平年より少ない。

 [防除上の注意]

 1) 多湿条件では発生した場合の被害も大きくなるので、除湿に努める。

 2) 病原菌が侵入した後の防除効果は低いので、予防散布を行う。

2 うどんこ病

 [予報の根拠]

 1) 3月中旬の発生面積率90.9%(平年43.4%)は平年より多く、発病葉率4.5%(平年4.2%)は平年並である。

 [防除上の注意]

 1) 乾燥した状態で発生しやすいので、乾燥させすぎないようにする。

 2) 病勢が進展してからの防除効果は低いので早期発見に努め、発生後は散布間隔を短くするなど徹底した防除を行う。

3 ミナミキイロアザミウマ

 [予報の根拠]

 1) 3月中旬の発生面積率72.7%(平年37.5%)は平年よりやや多く、10花当り寄生虫数1.2頭(平年1.7頭)は平年並である。

 2) 芯部の寄生虫数は、先月は50芯当り0.1頭であったが3月中旬の巡回調査では1.5頭に増加している。

 [防除上の注意]

 1) ミナミキイロアザミウマは10花当り1頭程度の寄生虫数で被害果が出始める。また多発生してからの防除効果は低いので、低密度のうちに防除を徹底する。

4 ヒラズハナアザミウマ

 [予報の根拠]

 1) 3月中旬の発生面積率27.3%(平年38.5%)、10花当り寄生虫数5.6頭(平年6.2頭)は平年並である。

 [防除上の注意]

 1) 果実での被害はミナミキイロアザミウマより小さいが、薬剤感受性が異なるので多発生時には注意する。



 


冬春トマト
 

1 灰色かび病

 [予報の根拠]

 1) 3月中旬の発生面積率10.0%(平年29.3%)は平年よりやや少なく、発病果率0.3%(平年0.9%)は平年並である。

 [防除上の注意]

 1) 多湿条件で発生しやすいので、ハウスの換気を良くする。

 2) 被害果・被害茎葉は伝染源になるのでハウス外に持ち出し、土中に埋める等の処分を行う。

2 葉かび病

 [予報の根拠]

 1) 3月中旬の発生面積率30.0%(平年10.7%)、発病葉率1.5%(平年0.5%)は平年よりやや多い。

 [防除上の注意]

 1) 多湿条件で発生しやすいので、ハウスの換気を良くする。

 2) 発病初期の防除を徹底する。

3 コナジラミ類

 [予報の根拠]

 1) 3月中旬の巡回調査では4ほ場で発生を確認したが、いずれも葉当り寄生虫数 0.5頭以下の微発生である。

 [防除上の注意]

 1) 発生密度の把握と捕殺を兼ねて黄色粘着トラップを設置する。

 2) コナジラミ類の発生を確認したらすみやかに防除する。

4 トマト黄化葉巻病(TYLCV)

 [防除上の注意]

 1) トマト黄化葉巻病はシルバーリーフコナジラミによって他の株へ伝染するので、発病株は早期に抜根し、ほ場から持ち出し埋没処分する。

 2) ほ場周辺の雑草はシルバーリーフコナジラミの寄主植物になるので除草を徹底する。

 3) 栽培終了時には10日間程度ハウスの蒸し込みを行い、トマトを枯死させてシルバーリーフコナジラミを死滅させることによって施設外への分散を防ぐ。



 


かんきつ
 

1 そうか病

 [予報の根拠]

 1) 3月中旬の越冬葉調査では、1ほ場で発生を確認したが微発生である。

[防除上の注意]

 1) 重点防除時期は、萌芽期・落花期・梅雨期である。

2 かいよう病

[防除上の注意]

 1) 防除は予防散布が原則であり、防除適期は発芽前(3月中下旬)・開花直前・花弁落下後・秋芽生育期である。

3 ミカンハダニ

 [予報の根拠]

 1) 3月中旬の発生面積率33.3%は平年よりやや多く、寄生葉率9.0%は平年よりやや少ない。

 2) 100葉当り寄生虫数28.2頭(平年32.1頭)は平年並である。

 3) 県北地域で発生面積率・発生程度ともに高い。

   表―1 ミカンハダニの地域別発生状況(3月中旬)


         地域 調査地点数 発生面積率 寄生葉率  100葉当り寄生虫数


         県北    7     85.8%    29.1%     102.0頭

         県央   14     21.4       2.7         3.4

         県南    6      0        0          0


 



 



 

1 カンザワハダニ

 [予報の根拠]

 1) 3月中旬の摘採面における発生面積率33.3%(平年53.3%)、寄生葉率2.8%(平年6.5%)は平年よりやや少ない。

 2) すそ部における発生は、面積率33.3%(過去8か年平均64.0%)、寄生葉率4.1%(過去8か年平均9.9%)である。

 [防除上の注意]

 1) 一番茶萌芽期の防除は、発生が多くやむを得ない場合のみとする。

 

 

 

 その他

 1 防除等の詳細については「平成14年度病害虫、雑草防除等指導指針」を参照する。

 2 農薬の使用に当たっては、農薬安全使用基準の遵守並びに危被害の発生防止に努める。特に水質汚濁性農薬ベンゾエピン剤(商品名、マリックス乳剤、粒剤等)は使用しないこと。

 3 発生量(程度)の区分

   多  い     (高  い)    やや多いの外側10%の度数の入る幅

   やや多い   (やや高い)  平年並の外側20%の度数の入る幅

   平年並               平年値を中心として40%の度数の入る幅

   やや少ない (やや低い)   平年並の外側20%の度数の入る幅

   少ない    (低  い)      やや少ないの外側10%の度数の入る幅

                        (平年値は過去10年間の平均)

○ お知らせ

 1 病害虫防除所では、ホームページで情報を提供しています。予察情報の根拠となる地域別調査データ、防除対策等を登録しています。ぜひご利用ください。

   ホームページ  http://www.jppn.ne.jp/miyazaki/

   E−mail  miyabou@blue.ocn.ne.jp

 2 最近の登録情報

  @ 失効農薬一覧表

 3 農薬取締法が改正されました。

 

  昨年、無登録農薬が全国的に流通し、使用されている実態が明らかとなり、国民の「食」に対する信頼を損なう大きな問題となりました。

 

  このため、昨年12月に農薬取締法が改正され、本年3月10日から施行されま した。

   

   主な改正点は、

   @ 無登録農薬の製造、輸入、使用の禁止(販売は従来から禁止)

   A 農薬使用基準に違反する農薬使用の禁止

   B 罰則の強化

 

  等があり、農薬を製造・輸入・販売・使用するすべての国民に関係する内容です。   

   農家だけでなく、家庭菜園や花壇や芝の手入れをする方であっても、農林水産省の登録番号のある安全性の確保された農薬を、ラベルをよく読んで使うことが必要です。