6331−45
平成15年6月27日
各関係機関の長
各病害虫防除員 殿
宮崎県病害虫防除所長
平成15年度病害虫発生予報第3号について
平成15年度病害虫発生予報第3号を発表したので送付します。
平成15年度病害虫発生予報第3号
向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。
○ 発生予報の概要
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○ 作物の生育状況(6月中旬)
早期水稲は平年より生育が早く、出穂が始まっているほ場も見られ、普通期水稲は移植直後〜活着期であった。温州ミカンは果実肥大期、茶は2番茶収穫前後であった。
○ 7月の気象予報
向う1か月の天候は、平年と同様に曇りや雨の日が多く、気温は平年並か高く、降水量・日照時間は平年並と予想されている。
(1か月予報 鹿児島地方気象台6月20日発表)
○ 発生予報の根拠および防除対策
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病害虫防除情報(葉いもち、斑点米カメムシ類)参照(平成15年6月12日発表)
1 穂いもち
[予報の根拠]
1) 6月中旬の葉いもちの発生面積率18.8%(平年33.6%)、発病株率 3.8%(平年14.5%)は平年並である。
2) 7月の気温は平年並か高く、降水量・日照時間は平年並と予想されている。
[防除上の注意]
1) 雨が続く場合、感染の危険性が高いので雨間でも防除を行う。
2 斑点米カメムシ類
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率2.1%(前年25.0%)、20回振り虫数0.02頭(前年0.9頭)は前年より少ない。
2) 6月上旬のイタリアンライグラスにおけるすくい取り調査による生息数は、平年よりやや少ないが、被害の大きかった平成13年と同程度である。
[防除上の注意]
1) 米の上位等級確保のためには穂揃期とその7〜10日後の2回防除を厳守する。その後も発生が見られる場合には追加防除を行う。
2) 出穂の早い水田には集中的に飛来する恐れがあるので注意する。
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1 葉いもち
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率1.8%(平年1.7%)、発病株率0.14%(平年0.1%)は平年並である。
2) 7月の気温は平年並か高く、降水量・日照時間は平年並と予想されている。
[防除上の注意]
1) 本田初期の発生に注意し初期防除を徹底する。雨が続く場合、感染の危険性も高いので雨間に防除する。
2) 補植用の取り置き苗は葉いもちが発生しやすく、本田への伝染源になりやすいので補植が終わったら処分する。
2 セジロウンカ
[予報の根拠]
1) 予察灯調査による本年の初飛来は平年並の6月13日である。
2) 6月中旬の普通期水稲における発生面積率1.8%、株当り虫数0.01頭は前年より少なかったが、6月24日にこの時期としては多い飛来があった。
[防除上の注意]
1) 梅雨期に飛来成虫が著しく多く、株当たり虫数が4頭以上になると稲の生育が抑制されるので早めに防除する。
2) 育苗箱施薬剤を実施したほ場では、薬効期間や発生状況を考慮して防除する。
3 コブノメイガ
[防除上の注意]
1) 都城及びえびの市に設置した捕虫用蛍光灯トラップによると、6月24日にこの時期としては多い飛来があった。
2) 防除適期は飛来世代の次世代の発蛾最盛期に粒剤を施用するのが効果的なので、病害虫除所のホームページ等の発生予察情報に注意する。
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1 疫病・炭疽病
[防除上の注意]
1) 水はけが悪いほ場や長雨が続いたときに発生が多くなるので、ほ場の排水を良くするとともに、雨による泥の跳ね上がりを防ぐために高畝マルチにして定植する。
2) 多発すると防除が難しくなるので予防散布や発生初期に防除する。
3) 散布降雨が続く場合は降雨の合間に防除し、発病株や発病果実は見つけ次第ほ場外に持ち出して処分する。
2 斑点細菌病
[防除上の注意]
前記「疫病・炭疽病」の「防除上の注意」の他、次のことに注意する。
1) 側枝・下葉の切除は晴天時に行い、曇雨天などの多湿時には行わない。
2) 窒素質肥料の多用は発生を助長するので避ける。
3 ハスモンヨトウ等の鱗翅目(チョウ目)害虫
[予報の根拠]
1) フェロモントラップによるハスモンヨトウ及びタバコガ、オオタバコガの誘殺数は、4月以降平年並で推移している。
[防除上の注意]
1) 早期発見に努め、若齢幼虫を対象に防除する。
4 アブラムシ類
[予報の根拠]
1) 黄色水盤トラップによる誘殺数は、5月4半旬からは雨天が多く平年より少なく推移しているが、好天の6月1半旬には平年並の誘殺数があった。
[防除上の注意]
1) 各種のウイルス病を媒介するので、発生初期の防除に努める。
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1 土壌病害
[防除上の注意]
土壌病害のみられたハウスでは、収穫後被害残さを施設外に持ち出し焼却処分する。また、ハウス内は耕起を行って残さの分解を早めることが重要である。
PMMoV等による土壌伝染性ウイルス病は、臭化メチル剤によって的確に防除する。
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1 トマト黄化葉巻病(TYLCV)
[防除上の注意]
1) トマト黄化葉巻病はシルバーリーフコナジラミによって伝染するので、発病株は見つけ次第抜根し、ほ場から持ち出し埋没処分する。
2) 育苗施設も含めて、栽培ほ場内外の雑草その他栽培植物はシルバーリーフコナジラミの寄主植物となるので、除草を徹底し栽培ほ場内外で不要な作物や観葉植物等を栽培しない。
3) 栽培終了後は株を抜き取り、10日間程度施設を密閉してシルバーリーフコナジラミを死滅させた後、残さを処分する。
4) 育苗施設の開口部は、シルバーリーフコナジラミの侵入を防ぐために、1mm目以下の防虫ネットを設置し、育苗期間中は定期的に防除する。
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1 果樹カメムシ類
[予報の根拠]
1) フェロモントラップによる最近1か月間(5月4半旬〜6月3半旬)のチャバネアオカメムシの誘殺数は、都農町では最近の5か年間では最も少ないが、延岡市では平成14年、平成11年に次いで多い。
2) 予察灯による誘殺数は平年並である。
表1 フェロモントラップによるチャバネアオカメムシ及び
ツヤアオカメムシの誘殺数(5月4半旬〜6月3半旬)
延 岡 市 都 農 町
チャバネ ツヤアオ チャバネ ツヤアオ
平成11年 125 4 153 13
12年 86 10 524 46
13年 4 0 64 0
14年 284 26 75 0
15年 112 17 26 0
[防除上の注意]
1) 果樹カメムシ類は園外から飛来し、地域や時期によって発生量が大きく変動するので、園内外を見回り、早期発見、早期防除に努める。
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1 黒点病
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率48.1%(平年22.2%)、発病葉率1.7%(平年0.7%)は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 防除適期は幼果期、梅雨期、8〜9月上旬であるが、降水量が多いほど発生が多くなるので、降水量300mmを散布間隔の目安として薬剤散布を行う。
2 かいよう病
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率11.1%(平年14.3%)、発病葉率0.18%(平年0.20%)は平年並である。
2) ミカンハモグリガの発生は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 梅雨期に予防散布する。
2) ミカンハモグリガの防除に務める。
3 ミカンハダニ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率25.9%(平年34.6%)は平年並、寄生葉率1.5%(平年5.9%)は平年よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) 生息密度が高くなると防除が困難になるので、寄生葉率30%(1葉当たり虫数0.5〜1頭)を目安に防除を行う。
4 チャノキイロアザミウマ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の巡回調査では発生未確認である。
[防除上の注意]
1) 5月中旬から9月上旬の間、数回防除する。
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1 炭疽病
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率57.9%(平年42.9%)、u当たり病葉数4.2枚(平年2.9枚)は平年よりやや多い。
2) 7月の降水量は平年並と予想されている。
[防除上の注意]
1) 3番茶を摘採する茶園では3番茶芽の萌芽期〜1葉期に防除し、3番茶を摘採しない茶園ではさらに秋芽の生育期にも防除する。
2 もち病
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率10.5%(平年11.0%)、u当り病葉数0.3枚(平年1.1枚)は平年並である。
2) 7月の降水量は平年並と予想されている。
[防除上の注意]
1) 潜伏期間が約10日間と短いので、3番茶を摘採する常発地では3番茶の萌芽期〜展葉期に防除する。
3 カンザワハダニ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率31.6%(平年52.7%)は平年より少なく、寄生葉率2.3%(平年8.4%)は平年よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) 同一薬剤の連用を避け、作用性の異なる薬剤のロ−テ−ション散布を実施する。
4 チャノコカクモンハマキ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の巡回調査では発生未確認である。
[防除上の注意]
1) フェロモントラップ調査による発蛾最盛期は、田野町では6月2〜3半旬、都城市及び三股町では6月3〜4半旬で、次回の発蛾最盛期は7月中下旬と考えられる。
2) 顆粒病ウイルスによる防除適期は、発蛾最盛期の10日後であるが、そのころは紫外線が強く、顆粒病ウイルスの活性が低下しやすいので曇天日や夕方に散布する。
5 チャハマキ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の巡回調査では発生未確認である。
[防除上の注意]
1) チャノコカクモンハマキの発蛾最盛期と10日以上差がなければ、同時防除する。
6 チャノホソガ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率36.8%(平年22.6%)は平年より多く、u当り巻葉数0.9枚(平年0.9枚)は平年並である。
2) フェロモントラップ調査による発蛾最盛期は、田野町では6月5半旬、都城市及び三股町では6月5〜6半旬である。
[防除上の注意]
1) フェロモントラップ調査による発蛾最盛期は、田野町では5月5半旬、都城市及び三股町では5月5〜6半旬であり、次回の発蛾最盛期は、6月下旬〜7月上旬と予想される。防除適期は発蛾最盛期の約10日後である。
2) 脱皮阻害剤は遅効性なので卵期に散布する。
7 チャノミドリヒメヨコバイ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率31.6%(平年31.8%)、寄生葉率1.8%(平年2.0%)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 萌芽直後から1、2葉期を重点に防除する。
8 チャノキイロアザミウマ
[予報の根拠]
1) 6月中旬の発生面積率68.4%(平年65.9%)、寄生葉率6.4%(平年11.1%)は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 例年、2番茶期から発生が増えてくるので注意する。
9 クワシロカイガラムシ
[防除上の注意]
1) 最近、増加傾向にあるので発生を確認したら早めに防除する。
2) 防除適期は幼虫ふ化開始から1週間後、または幼虫ふ化最盛期なので、ふ化状況をよく観察して防除する。なお、川南町での幼虫ふ化最盛期は6月下旬〜7月上旬と考えられる。
3) 薬剤散布は、枝幹に十分かかるように適切量をていねいに行う。
○ その他
1 重点病害虫防除のねらい等については、「平成14年度病害虫・雑草防除等指導指針」を参照するが、農薬適用の有無などについては次のホームページで確認する。
日本植物防疫協会ホームページ http://www.jppn.ne.jp
農林水産省ホームページ http://www.maff.go.jp/nouyaku
2 農薬の使用に当たっては、農薬安全使用基準の遵守並びに危被害の発生防止に努める。特に水質汚濁性農薬ベンゾエピン剤(商品名、マリックス乳剤、粒剤等)は使用しないこと。
3 発生量(程度)の区分
多 い (高 い) やや多いの外側10%の度数の入る幅
やや多い (やや高い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
平年並 平年値を中心として40%の度数の入る幅
やや少ない (やや低い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
少ない (低 い) やや少ないの外側10%の度数の入る幅
(平年値は過去10年間の平均)
○ お知らせ
病害虫防除所では、ホームページ(アドレスはhttp://www.jppn.ne.jp/miyazaki)で情報を提供しています。予察情報の根拠となる地域別調査データ、防除対策等を登録しています。ぜひご利用ください。
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