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平成15年7月31日
各関係機関の長
各病害虫防除員 殿
宮崎県病害虫防除所長
平成15年度病害虫発生予報第4号について
平成15年度病害虫発生予報第4号を発表したので送付します。
平成15年度病害虫発生予報第4号
向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。
○ 発生予報の概要
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作 物 名
|
病 害 虫 名
|
発 生 量 の
平 年 比 |
本文での
記載ページ |
普通期水稲
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葉いもち
紋枯病
セジロウンカ
トビイロウンカ
コブノメイガ |
やや少
並
並
並
やや多 |
2
2
2
2
2 |
野菜類全般
|
アブラムシ類
ハスモンヨトウ等の鱗翅目(チョウ目)害虫 |
やや多
並
|
3
3
|
露地キュウリ(中山間地域) |
べと病
うどんこ病 |
やや少
やや多 |
3
3 |
トマト
|
トマト黄化葉巻病(シルバーリーフコナジラミ) |
―
|
3
|
果樹全般 |
果樹カメムシ類 |
並 |
4 |
カンキツ
|
かいよう病
黒点病
ミカンハダニ |
やや多
やや多
並 |
4
5
5 |
チャ
|
炭疽病
もち病
チャノコカクモンハマキ
カンザワハダニ
チャノキイロアザミウマ
チャノミドリヒメヨコバイ
|
やや多
やや多
並
やや少
やや少
やや少
|
5
5
5
5
6
6
|
|
○ 作物の生育状況(7月中旬)
・普通期水稲は分けつ最盛期、露地キュウリは中山間地では収穫最盛期、温州みかんは果実肥大期、茶は3番茶の摘採前後であった。
○ 8月の気象予報
気温は平年並、降水量は平年並か平年より多く、日照時間は平年並か平年より少ないと予想されている。 (1か月予報 鹿児島地方気象台7/18発表)
○ 発生予報の根拠および防除対策
1 葉いもち
[予報の根拠]
1) 7月中旬の巡回調査では発生未確認である。
2) 8月の気温は平年並、降水量は平年並か平年より多いと予想されている。
[防除上の注意]
1) 葉いもちの見られるほ場では早めに防除する。
2) 穂いもちについては、出穂前に粒剤を施用するか、粉剤または液剤による穂ばらみ後期と穂揃期の防除を徹底する。
2 紋枯病
[予報の根拠]
1) 7月中旬の巡回調査では発生未確認である。
2) 8月の気温は平年並、降水量は平年並か平年より多いと予想されている。
[防除上の注意]
1) イネの抵抗性が低下する幼穂形成期から穂ばらみ期にかけて上位葉鞘に進展するので、防除は穂ばらみ期に行い、その後も上位葉鞘への進展が続く場合は2回目の防除を実施する。
3 セジロウンカ
[予報の根拠]
1) 6月21日から7月15日にかけて、まとまった数の飛来が都城・延岡・国富の予察灯で確認された。この期間の予察灯への飛来数は、都城では前年よりやや少な いが、延岡・国富では前年より多い。
2) 7月中旬の発生面積率80.4%(平年73.8%)は平年並、10株当り虫数7.0頭(平年9.0頭)は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 幼穂形成期頃に多発生すると吸汁による生育抑制、下位茎葉の黄変枯死、出穂の遅れが生じるので、発生状況を見て若齢幼虫期に防除する。
4 トビイロウンカ
[予報の根拠]
1) 6月21日から7月15日にかけて、都城市及び延岡市の予察灯でそれぞれ4頭ずつの飛来が確認された。この期間の予察灯への飛来数は、都城市及び延岡市では前年より多い。
2) 7月中旬の発生面積率1.8%(平年10.2%)は平年並、10株当り虫数0.1頭未満(平年2.0頭)は平年よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) 育苗箱施薬剤を実施していないほ場では増殖に注意し、7月下旬〜8月上旬頃の短翅型雌の防除を徹底する。(要防除密度は短翅型雌成虫が株当たり0.2頭)
5 コブノメイガ
病害虫防除速報第3号(平成15年7月15日発表)参照
[予報の根拠]
1) 6月下旬を中心に予察灯への飛来があった。
2) 7月中旬の発生面積率64.3%(平年56.7%)は平年並、被害葉率1.7%(平年0.6%)は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 防除適期は、粒剤を使用する場合は発蛾最盛期で、粉剤及び水和剤等を使用する場合は幼虫ふ化期(発蛾最盛期の7日後)である。
1 アブラムシ類
[予報の根拠]
1) 黄色水盤トラップでの誘殺状況は、平年並である。
2) 7月中旬の露地キュウリでの発生面積率35.7%(平年13.34%)は平年より多く、葉当り虫数2.6頭(平年2.2頭)は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 作用性の異なる薬剤のローテーション散布を行う。
2 ハスモンヨトウ等の鱗翅目害虫
[予報の根拠]
1) フェロモントラップでの誘殺状況は平年並である。
2) 7月中旬の巡回調査では、露地キュウリ14ほ場のうち2ほ場で被害を確認したが、被害葉率1%未満の微発生である。
[防除上の注意]
1) 早期発見に努め、若齢幼虫期の防除を徹底する。
1 べと病
[予報の根拠]
1) 7月中旬の発生面積率50.0%(平年80.7%)、発病葉率4.8%(平年15.7%)は平年よりやや少ない。
2) 8月の降水量は平年並か平年より多いと予想されている。
[防除上の注意]
1) 多発すると防除が困難なので、予防散布あるいは初期防除に重点を置く。
2) 草勢の衰えは発生を助長するので、肥料切れしないよう肥培管理に注意する。
2 うどんこ病
[予報の根拠]
1) 7月中旬の発生面積率21.4%(平年36.7%)は平年並、発病葉率4.9%(平年3.3%)は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 最初は葉の裏に発生しやすいので注意し、早期発見に努め初期防除を徹底する。
2) 葉が老化すると多発する傾向にあるので、老葉はなるべく除去し通風・採光をよくする。
1 トマト黄化葉巻病(シルバーリーフコナジラミ)
[防除上の注意]
1) 宮崎市及び周辺地域でトマト黄化葉巻病の被害が拡大している。トマト黄化葉巻病は発病以後の収穫が皆無になる恐ろしい病気で、シルバーリーフコナジラミによって他の株に次々に伝染する。発病株は伝染源となるので家庭菜園のトマトも含め、見つけ次第抜き取り処分する必要がある。
2) 育苗・栽培施設内外の雑草その他栽培植物はシルバーリーフコナジラミの増殖を助長する種類が多いので、除草を徹底し栽培目的以外の作物や観葉植物等を栽培しない。
3) シルバーリーフコナジラミの施設への侵入を防ぐために、育苗・栽培施設の開口部は、1mm目以下の防虫ネットを設置するとともに、育苗期間中の防除を徹底する。
4) 施設内に黄色粘着トラップを設置し、コナジラミの密度を低下させる。
1 果樹カメムシ類
[予報の根拠]
1) 最近(6月16日〜7月15日)のチャバネアオカメムシ誘殺数は、過去4年間の比較では平成13年に次いで少ない。
表1 フェロモントラップによるチャバネアオカメムシ及び
ツヤアオカメムシの誘殺数(6月16日〜7月15日)
|
|
延 岡 市 |
都 農 町 |
|
チャバネ |
ツヤアオ |
チャバネ |
ツヤアオ |
平成15年 |
40 |
1 |
19※1 |
1※1 |
平成11年 |
72 |
2 |
119 |
1 |
12年 |
389 |
3 |
602 |
0 |
13年 |
2 |
0 |
15 |
0 |
14年
|
412
|
3
|
138
|
0 |
|
※1:7月11日〜15日は欠測
[防除上の注意]
1) 果樹カメムシ類は園外から飛来し、地域や時期によって発生量が大きく変動するので、園内外を見回り、早期発見・早期防除に努める。
1 かいよう病
[予報の根拠]
1) 7月中旬の日向夏の果実調査では、発生面積率40.0%(平年12.0%)、発病果率2.8%(平年0.8%)は平年よりやや多い。
1) 7月中旬の日向夏の春葉調査では、発生面積率20.0%(平年42.2%)、発病葉率1.6%(平年3.0%)は平年並である。
2) 8月の降水量は平年並か平年より多いと予想されている。
[防除上の注意]
1) 発病した枝葉は伝染源となるので可能な限り取り除き園外に持ち出して焼却する。
2) 風雨による枝葉の損傷を少なくするため防風垣を整備する。特に台風の襲来が予想される時は事前に薬剤散布を行う。
2 黒点病
[予報の根拠]
1) 7月中旬の果実での発生面積率48.1%(平年21.8%)は平年より多く、発病果率9.4%(平年3.2%)は平年よりやや多い。
2) 8月の降水量は平年並か平年より多いと予想されている。
[防除上の注意]
1) 伝染源となる枯れ枝は、可能な限り取り除き園外に持ち出して焼却処分する。
2) 雨が多いと多発する恐れがあるので、積算降水量300mm毎又は1か月おきに薬剤散布を行う。
3 ミカンハダニ
[予報の根拠]
1) 7月中旬の発生面積率25.9%(平年39.2%)は平年よりやや少なく、寄生葉率6.4%(平年5.9%)は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 生息密度が高くなると防除が困難になるので、寄生葉率30%(1葉当たり虫数0.5〜1頭)を目安に防除を行う。
1 炭疽病
[予報の根拠]
1) 7月中旬の発生面積率84.2%(平年54.4%)は平年より多く、u当り病葉数7.2(平年5.9)は平年よりやや多い。
2) 8月の降水量は平年並か平年より多いと予想されている。
[防除上の注意]
1) 新芽の生育期に雨が多いと発生しやすい。開葉期に防除を行い、多発生が予想されるときには追加防除する。
2 もち病
[予報の根拠]
1) 7月中旬の発生面積率15.8%(平年4.9%)、u当り病葉数0.8(平年0.5)は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 秋芽の生育期に雨が多いと感染しやすい。特に中山間地域では発生が多いので秋芽の生育期に薬剤散布をする。
3 チャノコカクモンハマキ
[予報の根拠]
1) 7月中旬の発生面積率5.3%(平年12.4%)、u当り巻葉数0.1(平年0.5)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 都城市に設置したフェロモントラップ調査では、発蛾最盛期は平年並の6月11日〜15日で、次の発蛾最盛期は平年と同様の7月下旬と予想される。
5 カンザワハダニ
[予報の根拠]
1) 7月中旬の発生面積率5.3%(平年17.2%)、寄生葉率0.1%(平年1.2%)は平年より少ない。
[防除上の注意]
1) 同一薬剤の連用を避け、作用性の異なる薬剤のロ−テ−ション散布を実施する。
6 チャノキイロアザミウマ
[予報の根拠]
1) 7月中旬の発生面積率52.6%(平年69.8%)は平年よりやや少なく、払い落とし虫数4.1頭(平年17.6頭)は平年並である。
[防除上の注意]
1) この時期は卵・幼虫・蛹・成虫が混在し、とくに蛹は地表面にいて防除効果が低いので残効性の長い薬剤か1週間間隔での連続散布を行う。
7 チャノミドリヒメヨコバイ
[予報の根拠]
1) 7月中旬の払い落とし調査による発生面積率63.2%(平年70.5%)は平年よりやや少なく、払い落とし虫数2.2頭(平年5.3頭)は平年より少ない。
[防除上の注意]
1) チャノキイロアザミウマとの同時防除とする。
○ その他
1 農薬適用の有無などについては次のホームページで確認する。
日本植物防疫協会ホームページ http://www.jppn.ne.jp
農林水産省ホームページ http://www.maff.go.jp/nouyaku
2 農薬の使用に当たっては、農薬安全使用基準の遵守並びに危被害の発生防止に努める。特に水質汚濁性農薬ベンゾエピン剤(商品名、マリックス乳剤、粒剤等)は使用しないこと。
3 発生量(程度)の区分
多 い (高 い) やや多いの外側10%の度数の入る幅
やや多い (やや高い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
平年並 平年値を中心として40%の度数の入る幅
やや少ない (やや低い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
少ない (低 い) やや少ないの外側10%の度数の入る幅
(平年値は過去10年間の平均)
○ お知らせ
病害虫防除所では、ホームページ(アドレスはhttp://www.jppn.ne.jp/miyazaki)で情報を提供しています。予察情報の根拠となる地域別調査データ、防除対策等を登録しています。ぜひご利用ください。
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