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平成15年8月28日
各関係機関の長
各病害虫防除員 殿
宮崎県病害虫防除所長
平成15年度病害虫発生予報第5号について
平成15年度病害虫発生予報第5号を発表したので送付します。
平成15年度病害虫発生予報第5号
向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。
○ 発生予報の概要
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○ 作物の生育状況(8月中旬)
普通期水稲は幼穂伸長期〜穂ばらみ期、大豆は栄養成長期、露地キュウリは中山間地では収穫期、温州みかんは果実肥大期、茶は3番茶の摘採後であった。
○ 9月の気象予報
気温は平年並か平年より高く、降水量・日照時間は平年並と予想されている。(1か月予報 鹿児島地方気象台8/22発表)
○ 発生予報の根拠および防除対策
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1 穂いもち
[予報の根拠]
1) 8月中旬の葉いもちの発生面積率16.1%(平年51.6%)は平年より少なく、発病株率5.9%(平年16.2%)は平年よりやや少ないが、一部では葉いもちの発病程度が高いほ場もある。
[防除上の注意]
1) 葉いもちの発病程度が高いほ場では、収穫前使用日数等に注意して穂揃期に防除する。
2 紋枯病
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率16.1%(平年51.3%)、発病株率3.1%(平年10.0%)は平年より少ない。
2) 9月の気温は平年並か平年より高いと予想されている。
[防除上の注意]
1) 穂ばらみ期以降はイネの抵抗性が弱まり、高温多湿条件下では上位葉鞘へ進展しやすいので、発病程度が高いほ場では、収穫前日数に注意して防除する。
3 ごま葉枯病
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率8.9%(平年3.8%)は平年よりやや多く、発病度0.4(平年0.4)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 出穂後の本病の発生は穂枯れの原因になるので、穂揃い期前後に防除する。
4 トビイロウンカ
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率1.8%(平年20.0%)は平年よりやや少なく、10株当り虫数0.1頭未満(平年0.7頭)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 成虫・幼虫ともに株元に生息しているので、防除の必要があるときは株元まで薬剤が十分到達するようにする。(要防除密度は短翅型雌成虫が株当たり0.2頭)
5 斑点米カメムシ類
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率3.6%(平年10.3%)、20回振り虫数0.04頭(平年0.3頭)は平年よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) 本虫による被害は品質を低下させ等級格下げの主要因になるので、穂揃期とその7〜10日後に防除するが、残存虫が多い場合は収穫前使用日数等に注意して追加防除する。
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1 ハスモンヨトウ等のチョウ目害虫
[予報の根拠]
1) 8月中旬の調査時点での、ハスモンヨトウの食害を受けた大豆のほ場面積率は83.3%(過去8か年平均74.8%)、食害度は17.3(過去8か年平均 7.1)で、過去8か年平均より多い。
2) 8月中旬の露地キュウリの調査では、ハスモンヨトウ等チョウ目害虫の食害を受けたほ場面積率は77.0%(平年31.7%)、被害葉率4.8%(平年2.4%)で平年よりやや多い。
3) フェロモントラップの7月下旬から8月中旬の誘殺状況は、ハスモンヨトウは西都市では平年より少なく、都城市では平年並となっている。またオオタバコガは西都市で過去2か年と同程度、タバコガは西都市で過去2か年より少ない。
[防除上の注意]
1) 早期発見に努め、若齢幼虫期の防除を徹底する。
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1 ウイルス媒介虫(アブラムシ類、アザミウマ類、コナジラミ類)
[防除上の注意]
1) ウイルス病の多くは害虫によって伝搬され、特に生育初期に感染するほど被害が大きくなる。育苗時から媒介虫の防除を徹底し、ウイルスの感染防止と苗による本圃への害虫の持ち込み防止を図る。また栽培に当っては防虫網や近紫外線カットフィルムを張りウイルス媒介虫の侵入を防止するとともに、害虫の生息場所となる周辺雑草の除去を行う。
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1 べと病
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率38.5%(平年75.5%)は平年より少なく、発病葉率11.1%(平年17.6%)は平年よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) 多発すると防除が困難なので、予防散布あるいは初期防除に重点を置く。
2) 草勢の衰えは発生を助長するので、肥料切れしないよう肥培管理に注意する。
2 褐斑病
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率46.2%(平年46.1%)、発病葉率9.2%(平年10.0%)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 多発してからの防除は困難なので初期防除を徹底する。
2) 昨年多発したほ場では特に注意する。
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1 トマト黄化葉巻病(シルバーリーフコナジラミ)
病害虫発生予察注意報第1号(平成15年8月11日発表)参照
[防除上の注意]
1) 宮崎市及び周辺地域でトマト黄化葉巻病の被害が拡大している。トマト黄化葉巻病は発病以後の収穫が皆無になる恐ろしい病気で、シルバーリーフコナジラミによって他の株に次々に伝染する。発病株は伝染源となるので家庭菜園のトマトも含め、見つけ次第抜き取り処分する必要がある。
2) 育苗又は栽培施設内外の雑草及び栽培植物はシルバーリーフコナジラミの増殖を助長する種類が多いので、除草を徹底し栽培目的以外の作物や観葉植物等を栽培しない。
3) シルバーリーフコナジラミの施設への侵入を防ぐために、育苗又は栽培施設の開口部は1mm目以下の防虫ネットを設置するとともに、育苗期間中の防除を徹底する。
4) 施設内に黄色粘着トラップを設置し、シルバーリーフコナジラミの密度を低下させる。
5) 定植後は、シルバーリーフコナジラミの防除を徹底する。
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1 果樹カメムシ類
[予報の根拠]
1) 最近(7月16日〜8月15日)のチャバネアオカメムシ誘殺数は、過去4か年の比較では、平成12年及び平成14年より少ない。
表1 フェロモントラップによるチャバネアオカメムシ及び
ツヤアオカメムシの誘殺数(7月16日〜8月15日)
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注1:8月6日〜10日は欠測
[防除上の注意]
1) 果樹カメムシ類は園外から飛来し、地域や時期によって発生量が大きく変動するので、園内外を見回り、早期発見・早期防除に努める。
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1 黒点病
[予報の根拠]
1) 8月中旬の果実での発生面積率は85.2%(平年44.3%)で平年より多く、発病果率は、20.7%(平年10.0%)で平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 伝染源となる枯れ枝は、可能な限り取り除き園外に持ち出して焼却処分する。
2) 雨が多いと多発する恐れがあるので、積算降水量300mm毎又は1か月おきに薬剤散布を行う。
2 かいよう病
[予報の根拠]
1) 8月中旬の日向夏の果実調査では、発生面積率60.0%(平年25.3%)、発病果率4.4%(平年1.3%)は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 発病した枝葉は伝染源となるので可能な限り取り除き園外に持ち出して焼却する。
2) 風雨による枝葉の損傷を少なくするため防風垣を整備する。特に台風の襲来が予想される時は事前に薬剤散布を行う。
3 ミカンハダニ
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率は66.6%(平年49.1%)、寄生葉率は18.7%(平年12.1%)で平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 生息密度が高くなると防除が困難になるので、寄生葉率30%(1葉当たり虫数0.5〜1頭)を目安に防除を行う。
4 チャノキイロアザミウマ
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率14.8%(平年6.4%)、寄生果率0.6%(平年 0.2%)は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 果実に寄生すると収穫果実の外観を損なうので、10果当り虫数3頭を目安に増殖初期に防除する。
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1 炭疽病
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率57.9%(平年61.9%)は平年並、u当り病葉数15.0(平年5.3)は平年より多い。
[防除上の注意]
1) 新芽の生育期に雨が多いと発生しやすい。開葉期に防除を行い、多発生が予想されるときには追加防除する。
2 もち病
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率5.3%(平年4.2%)、u当り病葉数0.1(平年0.2)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 秋芽の生育期に雨が多いと感染しやすい。特に中山間地域では発生が多いので秋芽の生育期に防除する。
3 輪斑病(新梢枯死症)
[予報の根拠]
1) 8月中旬の輪斑病の発生面積率5.3%(過去9か年平均19.5%)、u当り病葉数0.1(過去9か年平均0.9)は過去9か年平均よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) 新梢枯死症は輪斑病菌によって起こる枝枯れで、萌芽から開葉期にかけて、包葉などが取れたときにできる傷口から感染するので、伝染源となる輪斑病が見られるほ場では秋芽の萌芽期〜2葉期に防除するが、輪斑病が多いほ場では5〜7日間隔で2回防除する。
4 チャノコカクモンハマキ
[予報の根拠]
1) 8月中旬の巡回調査では発生未確認である。
(平年値は、発生面積率10.0%、u当り巻葉数0.5枚)
[防除上の注意]
1) 都城市に設置したフェロモントラップ調査では、発蛾最盛期は7月21日〜25日で、次の発蛾最盛期は平年よりやや早い8月下旬と予想される。
5 チャハマキ
[予報の根拠]
1) 8月中旬の巡回調査では発生未確認である。
(平年値は、発生面積率6.5%、u当り巻葉数0.2枚)
[防除上の注意]
1) 通常チャノコカクモンハマキと同時に防除できるが、その発蛾最盛期と10日以上異なる場合は別に防除する。
6 カンザワハダニ
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率5.3%(平年24.9%)、寄生葉率0.1%(平年1.4%)は平年より少ない。
[防除上の注意]
1) 同系統薬剤の連用を避け、作用性の異なる薬剤のロ−テ−ション散布を実施する。
7 チャノキイロアザミウマ
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率47.4%(平年53.1%)は平年並、100葉当り虫数4.4頭(平年14.8頭)は平年よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) この時期は卵・幼虫・蛹・成虫が混在し、とくに蛹は地表面にいて防除効果が低いので残効性の長い薬剤か1週間間隔での連続散布を行う。
8 チャノミドリヒメヨコバイ
[予報の根拠]
1) 8月中旬の発生面積率57.9%(平年61.8%)、100葉当り虫数2.4頭(平年4.7頭)は平年並である。
[防除上の注意]
1) チャノキイロアザミウマとの同時防除とする。
○ その他
1 農薬適用の有無などについては次のホームページで確認する。
日本植物防疫協会ホームページ http://www.jppn.ne.jp
農林水産省ホームページ http://www.maff.go.jp/nouyaku
2 農薬の使用に当たっては、農薬安全使用基準の遵守並びに危被害の発生防止に努める。特に水質汚濁性農薬ベンゾエピン剤(商品名、マリックス乳剤、粒剤等)は使用しないこと。
3 発生量(程度)の区分
多 い (高 い) やや多いの外側10%の度数の入る幅
やや多い (やや高い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
平年並 平年値を中心として40%の度数の入る幅
やや少ない (やや低い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
少ない (低 い) やや少ないの外側10%の度数の入る幅
(平年値は過去10年間の平均)
○ お知らせ
病害虫防除所では、ホームページ(アドレスはhttp://www.jppn.ne.jp/miyazaki)で情報を提供しています。予察情報の根拠となる地域別調査データ、防除対策等を登録しています。ぜひご利用ください。
最近の主な登録内容は次のとおりです。
@ 病害虫発生予察注意報(トマト黄化葉巻病)
A 病害虫発生予察特殊報(トルコギキョウ葉巻病)
B トマト黄化葉巻病対策のチラシを掲載