6331−86
平成15年9月30日
各関係機関の長
各病害虫防除員 殿
宮崎県病害虫防除所長
平成15年度病害虫発生予報第6号について
平成15年度病害虫発生予報第6号を発表したので送付します。
平成15年度病害虫発生予報第6号
向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。
○ 発生予報の概要
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○ 作物の生育状況(9月中旬)
普通期水稲は乳熟期〜黄熟期、露地キュウリは中山間地域では収穫終期、沿海地帯では収穫期、温州みかんは収穫前、茶は秋芽生育期であった。
○ 10月の気象予報
気温は平年並か平年より高く、降水量・日照時間は平年並と予想されています。
(1か月予報 鹿児島地方気象台9/26発表)
○ 発生予報の根拠および防除対策
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1 べと病
[予報の根拠]
1) 9月中旬の発生面積率84.7%(平年61.8%)、発病葉率21.5%(平年13.4%)は平年より多い。
[防除上の注意]
1) 湿度が高いときには激発しやすく、激発すると防除が困難となるので、予防散布に重点をおき発生が見られたら初期防除を徹底する。
2) 肥料切れや草勢の衰えは発生を助長するので、肥料切れしないように肥培管理に注意する。
2 うどんこ病
[予報の根拠]
1) 9月中旬の発生面積率23.1%(平年39.1%)、発病葉率0.7%(平年4.0%)は平年よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) 病原菌は葉裏から侵入するので、葉裏にかけむらがないように防除する。
2) 被害が広がると防除しにくいので、発病を確認したら早めに防除する。
3) 耐性菌を生じやすいので、同一系統薬剤の連続散布を避ける。
3 褐斑病
[予報の根拠]
1) 9月中旬の発生面積率46.2%(平年46.6%)は平年並、発病葉率11.8%(平年7.6%)は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 多発してからの防除は困難なので、初期防除を徹底する。
2) 窒素質肥料の多用は発病を助長し、過繁茂になって通風を妨げるので適正な肥培管理に努める。
3) 下葉の老化した発病葉はほ場外に持ち出し処分する。
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1 モザイク病(急性萎凋症)
[予報の根拠]
1) 9月中旬の露地キュウリの巡回調査では、発生株率平年並であった。
2) 9月中旬の露地キュウリの巡回調査では、アブラムシ類の発生は平年並であった。
3) 佐土原町(総合農試)に設置した黄色水盤トラップによる有翅虫誘殺数は、平年よりやや少なく推移している。
[防除上の注意]
1) アブラムシ類によって媒介されるウイルス病であり、発病してからでは手遅れとなるので育苗期からアブラムシ類の防除を徹底する。
2) 施設の開口部には、寒冷紗や防虫ネットを張り、アブラムシ類の飛来を防止する。
3) アブラムシ類の生息場所となるハウス内外の雑草は除草する。
4) 発病株はほ場外に持ち出し処分する。
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1 ハスモンヨトウ等のチョウ目害虫
病害虫発生予察注意報第2号(平成15年9月26日発表)参照
[予報の根拠]
1) 9月中旬の露地キュウリでの発生面積率84.6%(平年31.3%)は平年より多い。
2) 9月中旬のダイズでの発生面積率100%(平年95.8%)は平年並、食害度29.8(平年20.7)は平年よりやや多いが、ほ場によっては甚発生のほ場も認められる。
3) 西都市茶臼原に設置したフェロモントラップでは、8月6半旬、9月3半旬に多数誘殺された。
[防除上の注意]
1) 幼虫が大きくなると薬剤が効きにくくなるので、早期発見に努め若令幼虫期に防除する。
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1 トマト黄化葉巻病及びトルコギキョウ葉巻病(仮称)
病害虫発生予察注意報第1号(平成15年8月11日発表)及び病害虫発生予察特殊報第1号(平成15年8月4日発表)参照
[防除上の注意]
1) 宮崎市及び周辺地域でトマト黄化葉巻病の被害が拡大している。また、宮崎市ではトルコギキョウ葉巻病も新たに発生が確認された。いずれもトマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)によって発病し、トマト黄化葉巻ウイルスはシルバーリーフコナジラミによって他の株に次々に伝染していくことから、発病株は見つけ次第抜き取り、施設外に埋没処分するかビニール等の袋に枯死するまで隔離する。
2) 育苗又は栽培施設内外の雑草及び栽培植物はシルバーリーフコナジラミの増殖を助長する種類が多いので、除草を徹底し栽培目的以外の作物や観葉植物等を栽培しない。
3) シルバーリーフコナジラミの施設への侵入を防ぐために、育苗又は栽培施設の開口部は1mm目以下の防虫ネットを設置するとともに、育苗期間中の防除を徹底する。
4) 施設内に黄色粘着トラップを設置し、シルバーリーフコナジラミの密度を低下させる。
5) 定植後は、シルバーリーフコナジラミの防除を徹底する。
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1 ミカンハダニ
[予報の根拠]
1) 9月中旬の発生面積率29.6%(平年43.7%)は平年よりやや少なく、寄生葉率10.0%(平年12.0%)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 果実に寄生すると収穫果実の外観を損なうので防除を徹底する。
2) 生息密度が高くなると防除効果が劣るので、寄生葉率30%、10葉当たり虫数5〜10頭を目安に、増殖初期に防除を行う。
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1 果樹カメムシ類
[予報の根拠]
1) 延岡市、国富町の予察灯では8月中旬以降、チャバネアオカメムシの誘殺が平年並に増加している。
2) フェロモントラップでのチャバネアオカメムシ及びツヤアオカメムシ誘殺数は、県北地域では8月6半旬以降平年並に増加している。
3) 県北地域の一部のミカン園では9月上旬から飛来が確認されている。
[防除上の注意]
1) 果樹カメムシ類は園外から飛来し、地域や時期によって発生量が大きく変動するので、園内外を見回り、早期発見・早期防除に努める。
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1 炭疽病
[予報の根拠]
1) 9月中旬の発生面積率57.9%(平年53.7%)は平年並、u当り病葉数2.8(平年6.6)は平年よりやや少ない。
2 チャノコカクモンハマキ
[予報の根拠]
1) 9月中旬のほ場での発生は未確認である。
2) 都城市及び三股町に設置したフェロモントラップ調査では、8月5半旬に発蛾最盛期があり、平年よりやや早い。
3 チャハマキ
[予報の根拠]
1) 9月中旬のほ場での発生は未確認である。
4 チャノホソガ
[予報の根拠]
1) 9月中旬の発生面積率52.6%(平年57.2%)、u当たり巻葉数1.5(平年3.5)は平年よりやや少ない。
5 カンザワハダニ
[予報の根拠]
1) 9月中旬の発生面積率42.1%(平年30.7%)、寄生葉率4.2%(平年2.3%)は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 同一薬剤、系統の連用を避け、作用性の異なる薬剤のロ−テ−ション散布を実施する。
6 チャノミドリヒメヨコバイ
[予報の根拠]
1) 9月中旬の発生面積率31.6%(平年29.9%)、寄生葉率1.3%(平年1.5%)は平年並である。
7 チャノキイロアザミウマ
[予報の根拠]
1) 払い落とし調査による9月中旬の発生面積率31.6%(平年39.7%)は平年よりやや多く、払い落し虫数0.6頭(平年6.3頭)は平年よりやや少ない。
○ その他
1 農薬適用の有無などについては次のホームページで確認する。
日本植物防疫協会ホームページ http://www.jppn.ne.jp
農林水産省ホームページ http://www.maff.go.jp/nouyaku
2 農薬の使用に当たっては、農薬安全使用基準の遵守並びに危被害の発生防止に努める。特に水質汚濁性農薬ベンゾエピン剤(商品名、マリックス乳剤、粒剤等)は使用 しないこと。
3 発生量(程度)の区分
多 い (高 い) やや多いの外側10%の度数の入る幅
やや多い (やや高い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
平年並 平年値を中心として40%の度数の入る幅
やや少ない (やや低い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
少ない (低 い) やや少ないの外側10%の度数の入る幅
(平年値は過去10年間の平均)
○ お知らせ
病害虫防除所では、ホームページ(アドレスはhttp://www.jppn.ne.jp/miyazaki)で情報を提供しています。予察情報の根拠となる地域別調査データ、防除対策等を登録しています。ぜひご利用ください。
最近の主な登録内容は次のとおりです。
@ 病害虫発生予察注意報(ハスモンヨトウ)
A 病害虫発生予察注意報(トマト黄化葉巻病)
B 病害虫発生予察特殊報(トルコギキョウ葉巻病)