6331−95

                           平成15年10月27日

 各関係機関の長

 各病害虫防除員  殿

                         宮崎県病害虫防除所長

       平成15年度病害虫発生予報第7号について

 平成15年度病害虫発生予報第7号を発表したので送付します。


  平成15年度病害虫発生予報第7号

 

 向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。

○ 発生予報の概要




























 



作 物 名
 



 病 害 虫 名
 


 発 生 量 の

  平年比



記載ページ
 


施設野菜全般

 


アブラムシ類
ハスモンヨトウ
ハモグリバエ類


   並
  やや多
   並


 2
 2
 2


冬春キュウリ


 


べと病
うどんこ病
褐斑病
ミナミキイロアザミウマ


   並
   並
   並
   並


 3
 3
 3
 3


冬春ピーマン

 


うどんこ病
ミナミキイロアザミウマ
コナジラミ類


   並
  やや多
   ―


 3
 4
 4


冬春トマト
 


葉かび病
トマト黄化葉巻病(TYLCV)


   並
   ―


 4
 4


冬春イチゴ
 


うどんこ病
ハダニ類


  やや少
   並


 4
 5


カンキツ類


ミカンハダニ


  やや少


 5


チャ
 


カンザワハダニ
 


  やや多
 


 5
 

 

 冬春キュウリは生育初期〜収穫始期、冬春ピーマンは定植直後、冬春トマトは生育初期、冬春イチゴ生育初期、温州みかんは収穫期、茶は秋芽生育期であった。

11月の気象予報 

  気温は平年並か平年より高く、降水量・日照時間は平年並と予想されています。 

               (1か月予報 鹿児島地方気象台10/24発表)

 

○ 発生予報の根拠および防除対策



 


施設野菜全般
 

1 アブラムシ類

 [予報の根拠]

 1) 佐土原町(総合農試)に設置した黄色水盤トラップによる有翅虫誘殺数は、平年よりやや少なく推移している。

 2) 10月中旬の冬春ピーマン及び冬春キュウリでの発生は平年並である。

 3) 10月中旬の冬春イチゴでの発生面積率50.0%(平年22.4%)は平年よりやや多いが、寄生株率は平年並である。

 [防除上の注意]

 1) キュウリやピーマン等多くの作物にウイルス病を媒介するので、有翅虫の飛来防止に努めるとともに、作用性の異なる薬剤のローテーション散布を定期的に行う。

2 ハスモンヨトウ

  病害虫発生予察注意報第2号(平成15年9月26日発表)参照

 [予報の根拠]

 1) 西都市茶臼原に設置したフェロモントラップでは、10月に入って多数誘殺されている。(図1)

 2) 10月中旬の大豆での発生はやや多い。

 [防除上の注意]

 1) 幼虫が大きくなると薬剤が効きにくくなるので、早期発見に努め若令幼虫期に防除する。

 

 

 

 








 

 

 

 

  

  図1 ハスモンヨトウの誘殺数(西都市茶臼原)

     注:本年5月2・3半旬は欠測

2 ハモグリバエ類

 [予報の根拠]

 1) 10月中旬の冬春トマトでの発生面積率50.0%(平年50.5%)、被害葉率1.9%(平年7.9%)は平年並である。

 2) 10月中旬の冬春キュウリでの発生面積率36.4%(前年29.4%)、寄生葉率5.5%(前年2.1%)は前年より多い。

 [防除上の注意]

 1) 発生を確認したら早めに防除する。



 


冬春キュウリ
 

1 べと病

 [予報の根拠]

 1) 10月中旬の発生面積率9.1%(平年20.0%)、発病葉率0.4%(平年3.0%)は平年並である。

 [防除上の注意]

 1) 湿度が高いときには激発しやすく、激発すると防除が困難となるので、予防散布に重点をおき発生が見られたら初期防除を徹底する。

 2) 肥料切れや草勢の衰えは発生を助長するので、肥料切れしないように肥培管理に注意する。

2 うどんこ病

 [予報の根拠]

 1) 10月中旬の発生面積率27.3%(平年40.4%)、発病葉率2.5%(平年5.2%)は平年並である。

 [防除上の注意]

 1) 病勢が進展してからでは防除効果が低くなるので、発病を確認したら早めに防除する。

 2) 耐性菌を生じやすいので、同一系統薬剤の連続散布を避ける。

 3) 乾燥時に多発するので、ほ場が過乾燥にならないように管理に注意する。

3 褐斑病

 [予報の根拠]

 1) 10月中旬の巡回調査では発生未確認である。

 [防除上の注意]

 1) 多発してからの防除は困難なので、初期防除を徹底する。

 2) 窒素質肥料の多用は発病を助長し、過繁茂になって通風を妨げるので適正な肥培管理に努める。

 3) 下葉の老化した発病葉はほ場外に持ち出し処分する。

4 ミナミキイロアザミウマ

 [予報の根拠]

 1) 10月中旬の巡回調査では9.0%のほ場で発生を確認したが、葉当り虫数0.1頭以下の微発生である。

 [防除上の注意]

 1) 多発してからでは防除効果が低くなるので、低密度の内に防除する。



 


冬春ピーマン
 

1 うどんこ病

 [予報の根拠]

 1) 10月中旬の巡回調査では発生未確認である。

 [防除上の注意]

 1) 乾燥した条件で発生しやすいので、乾燥させすぎないようにする。

 2) 病勢が進展してからでは防除効果が低いので早期発見に努め、発病を確認したら早めに防除する。

 

 

2 ミナミキイロアザミウマ

 [予報の根拠]

 1) 10月中旬の発生面積率45.5%(平年35.8%)は平年並、10花当り寄生虫数1.1頭(平年0.8頭)は平年よりやや多い。

 [防除上の注意]

 1) 10花当り寄生虫数が1頭から被害果が出始める。また多発してからでは防除効果が低くなるので、低密度の内に防除を徹底する。

3 コナジラミ類

 [防除上の注意]

 1) 従来、「京ゆたか」、「京鈴」などのグリーンピーマンでは一般的に発生の認められなかったシルバーリーフコナジラミが、西都、児湯地区のピーマンで広く確認されており、今後の発生が懸念されている。多発するとスス病を併発し生育を妨げ、品質低下の原因ともなるので発生初期に防除する。



 


冬春トマト
 

1 葉かび病

 [予報の根拠]

 1) 10月中旬の巡回調査では発生未確認である。

 [防除上の注意]

 1) 多湿条件で発生しやすいので、ハウスの換気を良くする。

 2) 発病初期の防除を徹底する。

2 トマト黄化葉巻病(TYLCV)

   病害虫発生予察注意報第1号(平成15年8月11日発表)参照

 [防除上の注意]

 1) 宮崎市及び周辺地域で被害が発生している。トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)はシルバーリーフコナジラミによって他の株に次々に伝染していくことから、発病株は見つけ次第抜き取り、施設外に埋没処分するかビニール等の袋に枯死するまで隔離する。

 2) 栽培施設内外の雑草及び栽培植物はシルバーリーフコナジラミの増殖を助長する種類が多いので、除草を徹底し栽培目的以外の作物や観葉植物等を栽培しない。

 3) シルバーリーフコナジラミの施設への侵入を防ぐために、施設の開口部は0.8mm目以下の防虫ネットを設置すると効果が高い。

 4) 施設内に黄色粘着トラップを設置し、シルバーリーフコナジラミの早期発見と初期防除に努める。 



 


冬春イチゴ
 

1 うどんこ病

 [予報の根拠]

 1) 10月中旬の巡回調査では発生未確認である。

 [防除上の注意]

 1) 始め葉裏に発生しやすいので早期発見に努め、初期防除を徹底する。

 2) 激しく発病すると防除効果が低くなるので、予防に重点をおき、発病後は散布間隔を短くするなど発病初期の防除を徹底する。

 3) 発病果など被害部は伝染源になるので早めに取り除きほ場内に放置しない。

2 ハダニ類

 [予報の根拠]

 1) 10月中旬の発生面積率30.0%(平年26.7%)、寄生株率4.4%(平年5.4%)は平年並である。

 [防除上の注意]

 1) 収穫期に寄生数が増加してからの防除は困難なので、低密度時から防除を徹底する。

 2) 株整理後の葉数が少なくなった時期に薬剤散布を行うと防除効果が高くなる。茎葉繁茂時には散布圧を強めて、葉裏に良くかかるように散布する。

 3) 薬剤感受性の低下を避けるため、同一薬剤・系統の薬剤の連用を避ける。



 


カンキツ類
 

1 ミカンハダニ

 [予報の根拠]

 1) 10月中旬の発生面積率37.0%(平年49.7%)は平年よりやや少なく、寄生葉率3.3%(平年17.6%)は平年より少ない。

 [防除上の注意]

 1) 生息密度が高くなると防除効果が劣るので、寄生葉率30%、10葉当たり虫数 5〜10頭を目安に、増殖初期に防除を行う。

 2) 薬剤感受性の低下を避けるため、同一薬剤・系統の薬剤の連用を避ける。



 


 チャ
 

1 カンザワハダニ 

 [予報の根拠]

 1) 10月中旬の発生面積率42.1%(平年34.9%)は平年並、寄生葉率7.8%(平年4.8%)は平年よりやや多い。(図2)

 [防除上の注意]

 1) 薬剤感受性の低下を避けるため、同一薬剤・系統の薬剤の連用を避ける。

 

 

 







 

 

 

 

 

 

  図2 カンザワハダニの寄生葉率

 その他

1 農薬適用の有無などについては次のホームページで確認する。

  日本植物防疫協会ホームページ http://www.jppn.ne.jp

  農林水産省ホームページ    http://www.maff.go.jp/nouyaku

2 農薬の使用に当たっては、農薬安全使用基準の遵守並びに危被害の発生防止に努める。特に水質汚濁性農薬ベンゾエピン剤(商品名、マリックス乳剤、粒剤等)は使用しないこと。

3 発生量(程度)の区分

  多  い    (高  い)   やや多いの外側10%の度数の入る幅

  やや多い   (やや高い)  平年並の外側20%の度数の入る幅

  平年並              平年値を中心として40%の度数の入る幅

  やや少ない  (やや低い)  平年並の外側20%の度数の入る幅

  少ない     (低  い)   やや少ないの外側10%の度数の入る幅

                    (平年値は過去10年間の平均)

○ お知らせ  

  病害虫防除所では、ホームページ(アドレスはhttp://www.jppn.ne.jp/miyazaki)で情報を提供しています。予察情報の根拠となる地域別調査データ、防除対策等を登録しています。ぜひご利用ください。

  最近の主な登録内容は次のとおりです。

 @ 病害虫発生予察注意報(ハスモンヨトウ)

 A 病害虫発生予察注意報(トマト黄化葉巻病)

 B 病害虫発生予察特殊報(トルコギキョウ葉巻病(仮称))