6331−111

                           平成15年11月28日

 各関係機関の長

 各病害虫防除員  殿

                         宮崎県病害虫防除所長

       平成15年度病害虫発生予報第8号について

 平成15年度病害虫発生予報第8号を発表したので送付します。


  平成15年度病害虫発生予報第8号

 

 向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。

○ 発生予報の概要





























 



作 物 名
 



 病 害 虫 名
 


 発 生 量 の

  平年比



記載ページ
 


冬春キュウリ



 


べと病
うどんこ病
褐斑病
灰色かび病
アザミウマ類


  やや少
   並
   並
   並
   並


 2
 2
 2
 2
 2


冬春ピーマン


 


斑点病
うどんこ病
アザミウマ類
コナジラミ類


   並
  やや多
   並
   ―


 3
 3
 3
 3


冬春トマト


 


葉かび病
コナジラミ類
トマト黄化葉巻病(TYLCV)
ハモグリバエ類


   並
   並
   ―
  やや多


 3
 3
 4
 4


冬春イチゴ

 


うどんこ病
ハダニ類
アブラムシ類


   並
  やや多
  やや多


 4
 4
 4


カンキツ類


ミカンハダニ


  やや少


 5


チャ
 


カンザワハダニ
 


  やや少
 


 5
 

 11月中旬の冬春キュウリは収穫初期、冬春ピーマンは収穫期、冬春トマトは収穫前、冬春イチゴは収穫前、温州みかんはほぼ収穫終了、茶は秋整枝後であった。

12月の気象予報 

  平年より曇りや雨の日が多く、気温は平年より高く、降水量は平年並か平年より多く、日照時間は平年並か平年より少ないと予想されています。

                (1か月予報 鹿児島地方気象台11/21発表)

○ 発生予報の根拠および防除対策



 


冬春キュウリ
 

1 べと病

 [予報の根拠]

 1) 11月中旬の発生面積率5.0%(平年38.4%)、発病葉率0.1%(平年5.6%)は平年より少ないが、これは収穫が始まったばかりのほ場が平年より多かったためと考えられ、今後は収穫最盛期を迎え草勢の衰えたほ場では発生しやすくなる。

 2) 12月の気温は平年より高く、日照時間は平年並か平年より少ないと予想され、べと病の発生に好適である。

 [防除上の注意]

 1) 湿度が高いときには多発しやすく、多発すると防除が困難となるので、予防散布に重点をおき発生が見られたら初期防除を徹底する。

 2) 肥料切れや草勢の衰えは発生を助長するので、肥料切れしないように肥培管理に注意する。

2 うどんこ病

 [予報の根拠]

 1) 11月中旬の発生面積率60.0%(平年43.8%)は平年よりやや多く、発病葉率6.1%(平年6.8%)は平年並である。

 [防除上の注意]

 1) 病勢が進展してからでは防除効果が低くなるので、発病を確認したら早めに防除する。

 2) 耐性菌を生じやすいので、同一系統薬剤の連続散布を避ける。

 3) 乾燥時に多発するので、ほ場が過乾燥にならないように管理に注意する。

3 褐斑病

 [予報の根拠]

 1) 11月中旬の発生面積率10.0%(平年17.1%)は平年並、発病葉率0.7%(平年3.8%)は平年よりやや少ない。

 2) 12月の気温は平年より高く、降水量は平年並か平年より多いと予想されている。

 [防除上の注意]

 1) 多発してからの防除は困難なので、初期防除を徹底する。

 2) 窒素質肥料の多用は発病を助長し、過繁茂になって通風を妨げるので適正な肥培管理に努める。

 3) 下葉の老化した発病葉はほ場外に持ち出し処分する。

4 灰色かび病

 [予報の根拠]

 1) 11月中旬の巡回調査では発生未確認である。

 2) 12月の気温は平年より高く、降水量は平年並か平年より多いと予想されている。

 [防除上の注意]

 1) 曇雨天が続く時は、日中でも加温機を稼働させるなど除湿に努める。

 2) 発生初期の防除を徹底する。なお、薬剤耐性菌が出現しやすいので、作用性の異なる薬剤のローテーション散布を行う。

5 アザミウマ類

 [予報の根拠]

 1) 11月中旬の発生面積率5.0%(平年7.5%)、葉当り虫数0.1頭(平年0.5頭)は平年並である。

 [防除上の注意]

 1) 多発してからでは防除効果が低くなるので、低密度の内に防除する。



 


冬春ピーマン
 

1 斑点病

 [予報の根拠]

 1) 11月中旬の発生面積率18.2%(平年32.9%)、発病葉率0.4%(平年0.5%)は平年並である。

 [防除上の注意]

 1) 多湿条件では発生した場合の被害も大きくなるので、除湿に努める。

 2) 病原菌が侵入した後の防除効果は低いので、予防散布を行う。

2 うどんこ病

 [予報の根拠]

 1) 11月中旬の発生面積率36.4%(平年38.2%)は平年並、発病葉率 6.2%(平年2.4%)は平年より多い。

 [防除上の注意]

 1) 乾燥した条件で発生しやすいので、乾燥させすぎないようにする。

 2) 病勢が進展してからでは防除効果が低いので早期発見に努め、発病を確認したら早めに防除する。

3 アザミウマ類

 [予報の根拠]

 1) 11月中旬のミナミキイロアザミウマの発生面積率36.4%(平年55.0%)は平年よりやや少なく、10花当り寄生虫数2.8頭(平年2.1頭)は平年よりやや多い。

 2) 11月中旬のヒラズハナアザミウマの発生面積率18.2%(平年32.0%)は平年並、10花当り寄生虫数0.2頭(平年2.5頭)は平年よりやや少ない。

 [防除上の注意]

 1) ミナミキイロアザミウマは10花当り寄生虫数が1頭から被害果が出始める。また多発してからでは防除効果が低くなるので、低密度の内に防除を徹底する。

4 コナジラミ類

 [防除上の注意]

 1) 従来、「京ゆたか」、「京鈴」などのグリーンピーマンでは一般的に発生の認められなかったシルバーリーフコナジラミが、西都、児湯地区のピーマンで広く確認されており、今後の発生増加が懸念されている。多発するとスス病を併発し生育を妨げ、品質低下の原因ともなるので発生初期に防除する。



 


冬春トマト
 

1 葉かび病

 [予報の根拠]

 1) 11月中旬の巡回調査では発生未確認である。

 [防除上の注意]

 1) 多湿条件で発生しやすいので、ハウスの換気を良くする。

 2) 発病初期の防除を徹底する。

2 コナジラミ類

 [予報の根拠]

 1) 11月中旬の巡回調査では10ほ場中8ほ場で発生を確認したが、いずれも葉当り虫数0.5頭以下の微発生であった。

 [防除上の注意]

 1) シルバーリーフコナジラミはトマト黄化葉巻病を媒介するので、下記の「3 トマト黄化葉巻病(TYLCV)」を参考に防除する。

3 トマト黄化葉巻病(TYLCV)

   病害虫発生予察注意報第1号(平成15年8月11日発表)参照

 [防除上の注意]

 1) 宮崎市及び周辺地域で被害が発生している。トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)はシルバーリーフコナジラミによって他の株に次々に伝染していくことから、発病株は見つけ次第抜き取り、施設外に埋没処分するかビニール等の袋に枯死するまで隔離する。

 2) 栽培施設内外の雑草及び栽培植物はシルバーリーフコナジラミの増殖を助長する種類が多いので、除草を徹底し栽培目的以外の作物や観葉植物等を栽培しない。

 3) シルバーリーフコナジラミの施設への侵入を防ぐために、施設の開口部は最低0.8mm目以下の防虫ネットを設置すると効果が高い。

 4) 施設内に黄色粘着トラップを設置し、シルバーリーフコナジラミの早期発見と初期防除に努める。 

4 ハモグリバエ類

 [予報の根拠]

 1) 11月中旬の発生面積率70.0%(平年46.7%)は平年よりやや多く、寄生葉率3.4%(平年5.2%)は平年並である。

 [防除上の注意]

 1) 多発してからの防除効果は低いので初期防除に努める。



 


冬春イチゴ
 

1 うどんこ病

 [予報の根拠]

 1) 11月中旬の発生面積率16.6%(平年27.3%)、発病葉率2.7%(平年4.9%)は平年並である。

 [防除上の注意]

 1) 葉裏に発生しやすいので早期発見に努め、初期防除を徹底する。

 2) 激しく発病すると防除効果が低くなるので、予防に重点をおき、発病後は散布間隔を短くするなど発病初期の防除を徹底する。

 3) 発病果など被害部は伝染源になるので早めに取り除きほ場内に放置しない。

2 ハダニ類

 [予報の根拠]

 1) 11月中旬の発生面積率58.3%(平年31.7%)、寄生株率14.0%(平年9.1%)は平年よりやや多い。

 [防除上の注意]

 1) 収穫期に寄生数が増加してからの防除は困難なので、低密度時から防除を徹底する。

 2) 株整理後の葉数が少なくなった時期に薬剤散布を行うと防除効果が高くなる。茎葉繁茂時には散布圧を強めて、葉裏に良くかかるように散布する。

 3) 薬剤感受性の低下を避けるため、同一薬剤・系統の薬剤の連用を避ける。

3 アブラムシ類

 [予報の根拠]

 1) 11月中旬の発生面積率41.6%(平年22.0%)は平年よりやや多く、寄生株率8.7%(平年2.8%)は平年より多い。

 [防除上の注意]

 1) 開花期に薬剤を使用する場合は十分注意し、ミツバチに影響の少ない薬剤を寄生株とその周辺に部分散布する。

 2) 株整理後の葉数が少なくなった時期に薬剤散布を行うと防除効果が高くなる。茎葉繁茂時には散布圧を強めて、葉裏に良くかかるように散布する。



 


カンキツ類
 

1 ミカンハダニ

 [予報の根拠]

 1) 11月中旬の発生面積率51.8%(平年62.9%)、寄生葉率11.9%(平年21.1%)は平年よりやや少ない。

 [防除上の注意]

 1) 冬季のマシン油乳剤の防除効果は高いので必ず実施する。

 2) 薬剤感受性の低下を避けるため、同一薬剤・系統の薬剤の連用を避ける。



 


 チャ
 

1 カンザワハダニ 

 [予報の根拠]

 1) 11月中旬の発生面積率40.0%(平年49.6%)は平年よりやや少なく、寄生葉率3.6%(平年5.0%)は平年並である。

 [防除上の注意]

 1) 薬剤感受性の低下を避けるため、同一薬剤・系統の薬剤の連用を避ける。

 

 その他

1 農薬適用の有無などについては次のホームページで確認する。

  日本植物防疫協会ホームページ http://www.jppn.ne.jp

  農林水産省ホームページ    http://www.maff.go.jp/nouyaku

2 農薬の使用に当たっては、農薬安全使用基準の遵守並びに危被害の発生防止に努める。特に水質汚濁性農薬ベンゾエピン剤(商品名、マリックス乳剤、粒剤等)は使用しないこと。

3 発生量(程度)の区分

  多  い    (高  い)   やや多いの外側10%の度数の入る幅

  やや多い   (やや高い)  平年並の外側20%の度数の入る幅

  平年並              平年値を中心として40%の度数の入る幅

  やや少ない  (やや低い)  平年並の外側20%の度数の入る幅

  少ない     (低  い)  やや少ないの外側10%の度数の入る幅

                   (平年値は過去10年間の平均)

○ お知らせ

  病害虫防除所では、ホームページ(アドレスはhttp://www.jppn.ne.jp/miyazaki)で情報を提供しています。予察情報の根拠となる地域別調査データ、防除対策等を登録しています。ぜひご利用ください。

  最近の主な登録内容は次のとおりです。

 @ 病害虫発生予察注意報(トマト黄化葉巻病)

 A 病害虫発生予察特殊報(トルコギキョウ葉巻病(仮称))

 B 病害虫発生予察注意報(ハスモンヨトウ)