6331−126
平成16年1月6日
各関係機関の長
各病害虫防除員 殿
宮崎県病害虫防除所長
平成15年度病害虫発生予報第9号について
平成15年度病害虫発生予報第9号を発表したので送付します。
平成15年度病害虫発生予報第9号
向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。
○ 発生予報の概要
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作 物 名
|
病 害 虫 名
|
発 生 量 の
平年比 |
記載ページ
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施設果菜類
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コナジラミ類
(主にシルバーリーフコナジラミ) |
やや多
|
2
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冬春キュウリ
|
べと病
うどんこ病
褐斑病
灰色かび病
菌核病
ミナミキイロアザミウマ |
並
やや多
やや多
やや少
やや少
並 |
2
2
2
3
3
3 |
冬春ピーマン
|
斑点病
うどんこ病
ミナキイロアザミウマ |
並
並
並 |
3
3
3 |
冬春トマト
|
葉かび病
灰色かび病
ハモグリバエ類
トマト黄化葉巻病(TYLCV) |
並
並
並
― |
4
4
4
4 |
冬春イチゴ
|
うどんこ病
アブラムシ類
ハダニ類
|
並
やや多
やや多
|
4
5
5
|
|
○ 12月中旬の冬春キュウリ、冬春ピーマン、冬春トマト、冬春イチゴは収穫期であった。
○ 1月の気象予報
平年と同様に晴れの日が多く、気温・降水量は平年並、日照時間は平年並か平年より多いと予想されています。(1か月予報 鹿児島地方気象台1月2日発表)
○ 発生予報の根拠および防除対策
1 コナジラミ類(主にシルバーリーフコナジラミ)
病害虫発生予察注意報第3号(平成16年1月6日発表)参照
[予報の根拠]
1) 12月中旬の冬春キュウリでの発生面積率11.1%(平年4.9%)は平年より多く、葉当り成虫数0.09頭(平年0.04頭)は平年よりやや多い。
2) 12月中旬の冬春トマトでの発生面積率20.0%(平年2.0%)は平年よりやや多く、葉当り成虫数0.16頭(平年0.05頭)は平年より多い。
3) 12月中旬の冬春ピーマンでの発生面積率は27.3%、葉当り成虫数は0.02頭で、主に児湯及び中部地域で発生している。
[防除上の注意]
1) 高密度になると防除効果が低くなるので発生初期から防除する。
2) 薬剤抵抗性が発達しやすいので、系統の異なる薬剤をローテーションで使用する。
3) 多発時には卵、幼虫、蛹、成虫が混じって生息し1回の防除では効果が低いので、5〜7日置きに2〜3回、かけむらがないように防除する。ただし、収穫前使用日数が7日以上の同一種類の農薬を続けて使用する場合は、7日以上開けて使用する。
4) トマトでは、後述の「冬春トマト 4 トマト黄化葉巻病(TYLCV)」を参考にして防除する。トマト以外の作物でも、シルバーリーフコナジラミの野外分散を防 ぐための処置を行う。
1 べと病
[予報の根拠]
1) 12月中旬の発生面積率55.8%(平年60.0%)は平年並、発病葉率6.0%(平年13.7%)は平年よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) 湿度が高いときには多発しやすく、多発すると防除が困難となるので、予防散布に重点をおき発生が見られたら初期防除を徹底する。
2) 肥料切れや草勢の衰えは発生を助長するので、肥料切れしないように肥培管理に注意する。
2 うどんこ病
[予報の根拠]
1) 12月中旬の発生面積率66.7%(平年36.7%)は平年より多く、発病葉率4.6%(平年5.2%)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 病勢が進展してからでは防除効果が低くなるので、発病を確認したら早めに防除する。
2) 耐性菌を生じやすいので、系統の異なる薬剤をローテーションで使用する。
3) 乾燥時に多発するので、ほ場が過乾燥にならないように管理に注意する。
3 褐斑病
[予報の根拠]
1) 12月中旬の発生面積率55.6%(平年31.6%)は平年よりやや多く、発病葉率3.1%(平年4.1%)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 多発してからの防除は困難なので、初期防除を徹底する。
2) 窒素質肥料の多用は発病を助長し、過繁茂になって通風を妨げるので適正な肥培管理に努める。
3) 下葉の発病葉はほ場外に持ち出し処分する。
4 灰色かび病
[予報の根拠]
1) 12月中旬の巡回調査では発生未確認である。
[防除上の注意]
1) 曇雨天が続く時は、日中でも加温機を稼働させるなど除湿に努める。
2) 発生初期の防除を徹底する。なお、薬剤耐性菌が出現しやすいので、系統の異なる薬剤をローテーションで使用する。
5 菌核病
[予報の根拠]
1) 12月中旬の巡回調査では発生未確認である。
[防除上の注意]
1) 曇雨天が続く時は、日中でも加温機を稼働させるなど除湿に努める。
6 ミナミキイロアザミウマ
[予報の根拠]
1) 12月中旬の巡回調査では18ほ場中2ほ場で発生を確認したが、いずれのほ場も葉当り虫数0.5頭以下の微発生である。
[防除上の注意]
1) 多発してからでは防除効果が低くなるので、低密度の内に防除する。
1 斑点病
[予報の根拠]
1) 12月中旬の発生面積率18.2%(平年41.4%)、発病葉率0.2%(平年3.4%)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 多湿条件では発生した場合の被害も大きくなるので、除湿に努める。
2) 病原菌が植物体に侵入した後の防除効果は低いので、予防散布を行う。
2 うどんこ病
[予報の根拠]
1) 12月中旬の発生面積率9.1%(平年49.5%)は平年よりやや少なく、発病葉率4.1%(平年5.2%)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 乾燥した条件で発生しやすいので、乾燥させすぎないようにする。
2) 病勢が進展してからでは防除効果が低いので早期発見に努め、発病を確認したら早めに防除する。
3 ミナミキイロアザミウマ
[予報の根拠]
1) 12月中旬の発生面積率63.6%(平年44.4%)は平年よりやや多く、10花当り寄生虫数0.9頭(平年2.2頭)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 10花当り寄生虫数が1頭から被害果が出始める。また多発してからでは防除効果が低くなるので、低密度の内に防除を徹底する。
1 葉かび病
[予報の根拠]
1) 12月中旬の巡回調査では発生未確認である。
[防除上の注意]
1) 多湿条件で発生しやすいので、ハウスの換気を良くする。
2) 発病初期の防除を徹底する。
2 灰色かび病
[予報の根拠]
1) 12月中旬の巡回調査では発生未確認である。
[防除上の注意]
1) 日中の換気、夜間の保温を行い、曇雨天日には加温器の送風を作動させる等、結露防止に努める。
2) 花弁の発病に注意し、初期防除を徹底する。なお、薬剤耐性菌が出現しやすいので、系統の異なる薬剤をローテーションで使用する。
3 ハモグリバエ類
[予報の根拠]
1) 12月中旬の発生面積率40.0%(平年48.9%)、寄生葉率1.5%(平年7.3%)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 多発してからの防除効果は低いので初期防除を徹底する。
4 トマト黄化葉巻病(TYLCV)
病害虫発生予察注意報第1号(平成15年8月11日発表)参照
[防除上の注意]
1) 宮崎市及び周辺地域で被害が発生している。トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)はシルバーリーフコナジラミによって他の株に次々に伝染していくことから、発病株は見つけ次第抜き取り、ビニール等の袋に入れて施設外に持ち出し埋没処分するかビニール等の袋に入れたまま枯死するまで隔離する。
2) 栽培施設内外の雑草及び栽培植物はシルバーリーフコナジラミの増殖を助長する種類が多いので、除草を徹底し栽培目的以外の作物や観葉植物等を栽培しない。
3) シルバーリーフコナジラミの施設への侵入を防ぐために、施設の開口部は最低0.8mm目以下の防虫ネットを設置すると効果が認められる。
4) 施設内に黄色粘着トラップを設置し、シルバーリーフコナジラミの早期発見と初期防除に努める。
5) 収穫期間終了後は、シルバーリーフコナジラミを施設外に出さないために、残さが枯死してからさらに1週間程度蒸し込み、シルバーリーフコナジラミを死滅させる。残さは無病徴であっても発病株と同様に土中に埋める。
1 うどんこ病
[予報の根拠]
1) 12月中旬の発生面積率16.6%(平年37.9%)、発病葉率3.5%(平年3.6%)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 葉裏に発生しやすいので早期発見に努め、初期防除を徹底する。
2) 激しく発病すると防除効果が低くなるので、予防に重点をおき、発病後は散布間隔を短くするなど発病初期の防除を徹底する。
3) 発病果など被害部は伝染源になるので早めに取り除きほ場内に放置しない。
2 アブラムシ類
[予報の根拠]
1) 12月中旬の発生面積率25.0%(平年16.8%)、寄生株率3.0%(平年2.6%)は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 開花期に薬剤を使用する場合は十分注意し、ミツバチに影響の少ない薬剤を寄生株とその周辺に部分散布する。
2) 株整理後の葉数が少なくなった時期に薬剤散布を行うと防除効果が高くなる。茎葉繁茂時には散布圧を強めて、葉裏に良くかかるように散布する。
3 ハダニ類
病害虫発生予察注意報第4号(平成16年1月6日発表)参照
[予報の根拠]
1) 12月中旬の発生面積率58.3%(平年40.5%)、寄生株率14.3%(平年7.8%)は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 収穫期に寄生数が増加してからの防除は困難なので、低密度時から防除を徹底する。
2) 株整理後の葉数が少なくなった時期に薬剤散布を行うと防除効果が高くなる。茎葉繁茂時には散布圧を強めて、葉裏に良くかかるように散布する。
3) 薬剤抵抗性が発達しやすいので、異なる系統の薬剤をローテーションで使用する。
○ その他
1 農薬適用の有無などについては次のホームページで確認する。
日本植物防疫協会ホームページ http://www.jppn.ne.jp
農林水産省ホームページ http://www.maff.go.jp/nouyaku
2 農薬の使用に当たっては、農薬安全使用基準の遵守並びに危被害の発生防止に努める。特に水質汚濁性農薬ベンゾエピン剤(商品名、マリックス乳剤、粒剤等)は使用しないこと。
3 発生量(程度)の区分
多 い (高 い) やや多いの外側10%の度数の入る幅
やや多い (やや高い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
平年並 平年値を中心として40%の度数の入る幅
やや少ない (やや低い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
少ない (低 い) やや少ないの外側10%の度数の入る幅
(平年値は過去10年間の平均)
○ お知らせ
病害虫防除所では、ホームページ(アドレスはhttp://www.jppn.ne.jp/miyazaki)で情報を提供しています。予察情報の根拠となる地域別調査データ、防除対策等を登録しています。ぜひご利用ください。
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1 病害虫発生予察注意報第3号(平成16年1月6日発表)
2 病害虫発生予察注意報第4号(平成16年1月6日発表)
