6331−145
                           平成16年2月27日
 各関係機関の長
 各病害虫防除員  殿
                         宮崎県病害虫防除所長
       平成15年度病害虫発生予報第11号について
 平成15年度病害虫発生予報第11号を発表したので送付します。

  平成15年度病害虫発生予報第11号
 
 向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。
○発生予報の概要































 


作 物 名
 


 病 害 虫 名
 

 発 生 量 の

  平年比


記載ページ
 

早期水稲

スクミリンゴガイ

並(過去3か年比)

 2

冬春キュウリ




 

うどんこ病
べと病
灰色かび病
褐斑病
ミナミキイロアザミウマ
コナジラミ類

   多
   並
   並
  やや多
  やや少
  やや多

 2
 2
 3
 3
 3 
 3

冬春ピーマン


 

うどんこ病
斑点病
ミナミキイロアザミウマ
ヒラズハナアザミウマ

  やや多
   並
   並
   並

 3
 4
 4
 4

冬春トマト



 

葉かび病
灰色かび病
ハモグリバエ類
コナジラミ類
トマト黄化葉巻病(TYLCV)

  やや多
   並
   並
   並
   ―

 4
 4
 4
 5
 5

冬春イチゴ
 

うどんこ病
ハダニ類

  やや多
  並

 5
 5

カンキツ

ミカンハダニ

   並

 6


 

カンザワハダニ
 

  やや多
 

 6
 
○作物の生育状況(2月中旬)
 冬春キュウリの促成栽培、冬春ピーマン、冬春トマト、冬春イチゴは収穫期であった。
○3月の気象予報
 平年と同様に晴れの日が多く、気温は平年並か高く、降水量・日照時間は平年並と予想されています。(1か月予報 鹿児島地方気象台2月20日発表)
○ 発生予報の根拠および防除対策


 

早期水稲
 
1.スクミリンゴガイ
 [予報の根拠]
 1)水稲収穫後の未耕起水田(佐土原町)での2月下旬のu当り総貝数5.2頭は過去3か年平均(8.5頭)より38.8%少なく、用水路でのu当り総貝数39.5頭は過去3か年平均(41.3頭)と同程度である。
 2)未耕起水田での生貝率69.2%は過去3か年平均(69.4%)と同程度、用水路での生貝率65.8%は過去3か年平均(75.0%)より12.3%少ない。
 [防除上の注意]
 1)水田に生息する貝は、耕耘により破砕し防除する。この場合、土壌が硬いほど、耕耘ピッチが小さいほど、貝が大きいほど殺貝効果が高い。耕耘する深さは殺貝効果にあまり違いがないので、貝が主に越冬生息している土壌表層部を細かく耕耘するのが有効である。
 2)用排水路からの侵入を防ぐため水の出入り口にネットを設置する。
 3)田植後2〜3週間はできるだけ水深1cm以下の浅水管理とする。
 4)貝の生息が多い場合には、薬剤の育苗箱施用と本田施用を実施する。


 

冬春キュウリ
 
1.うどんこ病
  病害虫発生予察注意報第5号(平成16年1月29日発表)参照
 [予報の根拠]
 1)促成栽培では、2月中旬の発生面積率69.3%(平年38.4%)、発病葉率18.5%(平年5.5%)は平年より多い。
 2)半促成栽培では定植直後ということもあって発生未確認である。
 [防除上の注意]
 1)発生が多くなると防除効果が上がりにくいので、発病を確認したら早めに防除する。
 2)耐性菌を生じやすいので、系統の異なる薬剤をローテーションで使用する。
 3)乾燥時に発生が多くなるので、ほ場が過乾燥にならないように管理に注意する。
 4)半促成栽培でも急速に病勢が進展することがあるので促成栽培と同様の注意が必要である。
2.べと病
 [予報の根拠]
 1)促成栽培では、2月中旬の発生面積率76.9%(平年79.7%)は平年並、発病葉率14.9%(平年22.2%)は平年よりやや少ない。
 2)半促成栽培では発生未確認である。
 [防除上の注意]
 1)多湿条件で発生しやすく、発生が多くなると防除効果が上がりにくいので、予防散布に重点をおき発生が見られたら初期防除を徹底する。
 2)肥料切れや草勢の衰えは発生を助長するので、肥料切れしないように肥培管理に注意する。
 
3.灰色かび病
 [予報の根拠]
 1)促成栽培では、2月中旬の発生面積率15.4%(平年34.6%)は平年よりやや少なく、発病葉率%0.8(平年2.5%)は平年並である。
 2)半促成栽培では発生未確認である。
 [防除上の注意]
 1)ハウス内が多湿にならないように換気や灌水に注意する。
 2)予防及び発病初期の防除を徹底する。
 3)耐性菌が発生しやすいので、系統の異なる薬剤をローテーションで使用する。
4.褐斑病
 [予報の根拠]
 1)促成栽培では、2月中旬の発生面積率53.9%(平年28.0%)、発病葉率7.1%(平年4.4%)は平年並であるが、やや多に近い発生となっている。
 2)半促成栽培では発生未確認である。
 3)1か月予報では、気温は平年並か平年より高く、降水量は平年並と予想されている。
 [防除上の注意]
 1)発生が多くなると防除効果が上がりにくいので、初期防除を徹底する。
 2)窒素質肥料の多用は発病を助長し、過繁茂になって通風を妨げるので適正な肥培管理に努める。
5.ミナミキイロアザミウマ
 [予報の根拠]
 1)促成栽培では、2月中旬の発生面積率7.7%(平年18.5%)、葉当虫数0.1頭(平年0.5頭)は平年よりやや少ない。
 2)半促成栽培では、国富町の1ほ場で発生を確認したが、葉当虫数0.1頭以下の微発生である。
 [防除上の注意]
 1)発生が多くなると防除効果が上がりにくいので、低密度の内に防除する。
6.コナジラミ類
 [予報の根拠]
 1)促成栽培では、2月中旬の発生面積率7.7%(平年2.7%)、葉当虫数0.10頭(平年0.05頭)は平年よりやや多い。
 2)半促成栽培では、高岡町の1ほ場で発生を確認したが、葉当虫数0.5頭以下の微発生である。
 [防除上の注意]
 1)発生が多くなると防除効果が上がりにくいので、低密度の内に防除する。


 

冬春ピーマン
 
1.うどんこ病
  病害虫発生予察注意報第5号(平成16年1月29日発表)参照
 [予報の根拠]
 1)2月中旬の発生面積率63.6%(平年42.4%)は平年よりやや多く、発病葉率6.5%(平年4.8%)は平年並である。
 [防除上の注意]
 1)乾燥した条件で発生しやすいので、乾燥させすぎないようにする。
 2)発生が多くなると防除効果が上がりにくいので、発病を確認したら早めに防除する。
 
2.斑点病
 [予報の根拠]
 1)2月中旬の発生面積率18.2%(平年37.5%)は平年よりやや少なく、発病葉率3.5%(平年3.8%)は平年並である。
 [防除上の注意]
 1)ハウス内が高温多湿にならないように、換気と水管理に注意する。また、整枝を行って茎葉が過繁茂にならないようにする。
 2)病原菌が植物体に侵入した後の防除効果は低いので、予防散布を行う。
3.ミナミキイロアザミウマ
 [予報の根拠]
 1)2月中旬の発生面積率18.2%(平年38.2%)、10花当り寄生虫数0.2頭(平年1.9頭)は平年よりやや少ない。
 2)今後の気温は、平年並か平年より高いと予想されている。
 [防除上の注意]
 1)10花当り寄生虫数が1頭から被害果が出始める。また発生が多くなると防除効果が上がりにくいので、低密度の内に防除を徹底する。
4.ヒラズハナアザミウマ
 [予報の根拠]
 1)2月中旬の発生面積率18.2%(平年31.5%)、10花当り寄生虫数0.7頭(平年6.1頭)は平年並である。
 [防除上の注意]
 1)発生が多くなると防除効果が上がりにくいので、低密度の内に防除を徹底する。


 

冬春トマト
 
1.葉かび病
 [予報の根拠]
 1)2月中旬の発生面積率20.0%(平年7.9%)、発病葉率3.0%(平年 0.3%)は平年より多い。
 2)主要な産地の農業改良普及センターの調査では、例年よりやや多めの発生である。
 3)今後の降水量、日照時間は平年並と予想されている。
 [防除上の注意]
 1)多湿条件で発生しやすいので、ハウスの換気を良くする。
 2)発病初期の防除を徹底する
2.灰色かび病
 [予報の根拠]
 1)2月中旬の巡回調査では発生未確認である。
 [防除上の注意]
 1)低温多湿条件で発生しやすいので、日中の換気、夜間の加温等で湿度低下をはかり、曇雨天日には加温機の送風を作動させる等、結露防止に努める。
 2)花弁の発病に注意し、初期防除を徹底する。なお、薬剤耐性菌が出現しやすいので、系統の異なる薬剤をローテーションで使用する。
3.ハモグリバエ類
 [予報の根拠]
 1)2月中旬の発生面積率30.0%(平年35.7%)、寄生葉率1.3%(平年4.5%)は平年並である。
 [防除上の注意]
 1)発生が多くなると防除効果が上がりにくいので初期防除を徹底する。
 
4.コナジラミ類
  病害虫発生予察注意報第3号(平成16年1月6日発表)参照
 [予報の根拠]
 1)2月中旬の巡回調査では10ほ場中6ほ場で発生を確認したが、いずれのほ場も葉当り寄生虫数0.5頭以下の微発生である。
 [防除上の注意]
 1)シルバーリーフコナジラミはトマト黄化葉巻病を媒介するので、後述の「5.トマト黄化葉巻病(TYLCV)」を参考に防除する。
 2)薬剤抵抗性が発達しやすいので、系統の異なる薬剤をローテーションで使用する。
5.トマト黄化葉巻病(TYLCV)
  病害虫発生予察注意報第1号(平成15年8月11日発表)参照
 [防除上の注意]
 1)トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)はシルバーリーフコナジラミによって他の株に次々に伝染していくことから、発病株は見つけ次第抜き取り、ビニール等の袋に入れて施設外に持ち出し埋没処分するかビニール等の袋に入れたまま枯死するまで隔離する。
 2)栽培施設内外の雑草及び栽培植物はシルバーリーフコナジラミの増殖を助長する種類が多いので、除草を徹底し栽培目的以外の作物や観葉植物等を栽培しない。
 3)シルバーリーフコナジラミの施設への侵入を防ぐために、施設の開口部は最低0.8mm目以下の防虫ネットを設置すると効果が認められる。
 4)施設内に黄色粘着トラップを設置し、シルバーリーフコナジラミの早期発見と初期防除に努める。
 5)収穫期間終了後は、シルバーリーフコナジラミを施設外に出さないために、残さが枯死してからさらに1週間程度蒸し込み、シルバーリーフコナジラミを死滅させてから処分する。


 

冬春イチゴ
 
1.うどんこ病
 [予報の根拠]
 1)2月中旬の発生面積率25.0%(平年25.5%)は平年並、発病葉率3.0%(平年1.2%)は平年よりやや多い。
 [防除上の注意]
 1)葉裏に発生しやすいので早期発見に努め、初期防除を徹底する。
 2)発生が多くなると防除効果が上がりにくいので、予防に重点をおき、発病後は散布間隔を短くするなど発病初期の防除を徹底する。
 3)発病果など被害部は伝染源になるので早めに取り除きほ場内に放置しない。
2.ハダニ類
  病害虫発生予察注意報第4号(平成16年1月6日発表)参照
 [予報の根拠]
 1)2月中旬の発生面積率50.0%(平年44.0%)、寄生株率5.2%(平年9.6%)は平年並である。
 [防除上の注意]
 1)発生が多くなると防除効果が上がりにくいので、低密度時から防除を徹底する。
 2)株整理後の葉数が少なくなった時期に薬剤散布を行うと防除効果が高くなる。茎葉繁茂時には散布圧を強めて、葉裏に良くかかるように散布する。
 3)薬剤抵抗性が発達しやすいので、系統の異なる薬剤をローテーションで使用する。
 
 


 

カンキツ
 
1.ミカンハダニ
 [予報の根拠]
 1)2月中旬の発生面積率48.1%(平年44.7%)、寄生葉率8.6%(平年7.2%)は平年並である。
 [防除上の注意]
 1)越冬密度の高いほ場や冬季マシン油乳剤を散布できなかったほ場では、春季(3月上中旬、萌芽前)にマシン油乳剤による防除を行う。


 


 
1.カンザワハダニ
 [予報の根拠]
 1)2月中旬の摘採面における発生面積率53.3%(平年37.2%)は平年並、寄 生葉率3.3%は過去10年間と比較すると3番目に多く、平年よりやや多となる。
 [防除上の注意]
 1)防除適期は、増殖が始まる前の密度の低い時期(3月上中旬)で、株の内部やすそ部の葉裏に多く生息しているので、十分な薬液が到達するように丁寧に散布する。
 
○その他
1.農薬適用の有無などについては次のホームページで確認する。
  日本植物防疫協会ホームページ http://www.jppn.ne.jp
  農林水産省ホームページ    http://www.maff.go.jp/nouyaku
2.農薬の使用に当たっては、農薬使用基準の遵守及び危被害の発生防止に努める。特に水質汚濁性農薬ベンゾエピン剤(商品名、マリックス乳剤、粒剤等)は使用しない こと。
3.発生量(程度)の区分
  多  い     (高  い)    やや多いの外側10%の度数の入る幅
  やや多い   (やや高い)  平年並の外側20%の度数の入る幅
  平年並                平年値を中心として40%の度数の入る幅
  やや少ない  (やや低い)  平年並の外側20%の度数の入る幅
  少ない      (低  い)    やや少ないの外側10%の度数の入る幅
                          (平年値は過去10年間の平均)
○お知らせ
  病害虫防除所では、ホームページ(アドレスはhttp://www.jppn.ne.jp/miyazaki)で、予察情報の根拠となる地域別調査データ、防除対策等の情報を提供していますのでご利用ください。
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