平成15年度病害虫発生予報第12号を発表したので送付します。
向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。
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作 物 名
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病 害 虫 名
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発 生 量 の
平年比
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記載ページ
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早期水稲
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いもち病
イネミズゾウムシ
スクミリンゴガイ
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―
―
―
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2
2
2
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野菜・工芸作物
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アブラムシ類
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やや多
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2
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冬春キュウリ
(半促成栽培)
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べと病
うどんこ病
褐斑病
ミナミキイロアザミウマ
コナジラミ類
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やや少
少
少
並
やや多
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2
3
3
3
3
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冬春ピーマン
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うどんこ病
斑点病
ミナミキイロアザミウマ
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やや多
並
やや多
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3
3
4
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冬春トマト
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葉かび病
灰色かび病
コナジラミ類
トマト黄化葉巻病(TYLCV)
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多
並
並
―
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4
4
4
4
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冬春イチゴ
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ハダニ類
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やや多
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5
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カンキツ
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そうか病
かいよう病
ミカンハダニ
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並
並
やや多
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5
5
5
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チャ
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カンザワハダニ
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並
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5
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早期水稲は育苗期、冬春キュウリの半促成栽培は定植直後、冬春ピーマン・冬春トマト・冬春イチゴは収穫期であった。
天気は数日の周期で変わり、平年と同様に曇りや雨の日が多く、気温・降水量は平年並、日照時間は平年並か平年より少ないと予想されています。
1)補植用の置き苗は、いもち病の発生源となり伝染源となるので早めに処分する。
1)イネミズゾウムシに効果のある育苗箱施薬剤を使用していない水田では、発生が目立ち始めたら(10株当たり成虫数5頭)直ちに粒剤の水面施用を行う。
1)用排水路からの侵入を防ぐため水の出入り口にネットを設置する。
2)田植後2〜3週間はできるだけ水深1cm以下の浅水管理とする。
3)貝の生息が多い場合には、薬剤の育苗箱施用と本田施用を実施する。
1)黄色水盤トラップ(佐土原町)での3月上旬〜中旬の誘殺数は、22頭(平年15.3頭、前年10頭)で平年よりやや多い。
1)ウイルス病の媒介を防ぐため育苗期から防除を徹底する。育苗期の寒冷紗被覆はコナジラミ類などの飛来防止にも有効である。
2)露地栽培では、シルバープラスチックフィルムやシルバーストライププラスチックフィルム等でマルチを行うと、有翅虫の飛来が少なくなる。
3)発生が多くなると防除効果が上がりにくいので、早期発見に努め発生が少ないうちに防除する。
2)1か月予報では、日照時間は平年並か平年より少ないと予想されている
1)多湿条件で発生しやすく、発生が多くなると防除効果が上がりにくいので、予防散布に重点をおき発生が見られたら初期防除を徹底する。
3)肥料切れや草勢の衰えは発生を助長するので、肥料切れしないように肥培管理に注意する。
1)発生が多くなると防除効果が上がりにくいので、発病を確認したら早めに防除する。
2)薬剤耐性菌を生じやすいので、系統の異なる薬剤をローテーションで使用する。
3)乾燥時に発生が多くなるので、ほ場が過乾燥にならないように管理に注意する。
1)発生が多くなると防除効果が上がりにくいので、初期防除を徹底する。
2)窒素質肥料の多用は発病を助長し、過繁茂になって通風を妨げるので適正な肥培管理に努める。
1)3月中旬の巡回調査では6ほ場中3ほ場で微発生(葉当り虫数0.5頭以下)であったが、葉当り虫数平均0.02頭(平年0.20頭)は平年並である。
1)発生が多くなると防除効果が上がりにくいので、低密度の内に防除する。
1)3月中旬の巡回調査では6ほ場中3ほ場で微発生(葉当り虫数0.5頭以下)であったが、葉当り虫数平均0.05頭(平年0.01頭)は平年よりやや多い。
1)発生が多くなると防除効果が上がりにくいので、低密度の内に防除する。
病害虫発生予察注意報第5号(平成16年1月29日発表)参照
1)3月中旬の発生面積率72.7%(平年45.2%)、発病葉率10.2%(平年3.9%)は平年よりやや多い。
1)乾燥した条件で発生しやすいので、乾燥させすぎないようにする。
2)発生が多くなると防除効果が上がりにくいので、発病を確認したら早めに防除する。
1)3月中旬の発生面積率27.3%(平年42.4%)は平年よりやや少なく、発病葉率1.3%(平年4.3%)は平年並である。
1)ハウス内が高温多湿にならないように、換気と水管理に注意する。また、整枝を行って茎葉が過繁茂にならないようにする。
2)病原菌が植物体に侵入した後では防除効果が上がりにくいので、予防散布を行う。
1)3月中旬の発生面積率45.5%(平年36.6%)は平年並、10花当り寄生虫数2.8頭(平年1.4頭)は平年よりやや多い。
1)10花当り寄生虫数が1頭から被害果が出始める。また発生が多くなると防除効果が上がりにくいので、低密度の内に防除を徹底する。
1)3月中旬の発生面積率60.0%(平年12.0%)、発病葉率7.8%(平年0.6%)は平年より多い。
1)多湿条件で発生しやすいので、ハウスの換気を良くする。
1)3月中旬の発生面積率10.0%(平年27.8%)、発病葉率0.2%(平年1.3%)は平年並である。
1)ハウスの換気に努めるとともに、曇雨天日に防除する場合はくん煙剤を使用する等、ハウス内の湿度が高くならなようする。
2)発病果・被害茎葉は、伝染源となるのでハウス外に持ち出し処分する。
3)薬剤耐性菌が発達しやすいので、系統の異なる薬剤をローテーションで使用する。
病害虫発生予察注意報第3号(平成16年1月6日発表)参照
1)3月中旬の巡回調査では10ほ場中5ほ場で微発生(葉当り寄生虫数0.5頭以下)であったが、葉当り虫数平均0.03頭(平年0.10頭)は平年並である。
1)シルバーリーフコナジラミはトマト黄化葉巻病を媒介するので、後述の「4.トマト黄化葉巻病(TYLCV)」を参考に防除する。
2)薬剤抵抗性が発達しやすいので、系統の異なる薬剤をローテーションで使用する。
病害虫発生予察注意報第1号(平成15年8月11日発表)参照
1)トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)はシルバーリーフコナジラミによって他の株に次々に伝染していくことから、発病株は見つけ次第抜き取り、ビニール等の袋に入れて施設外に持ち出し埋没処分するかビニール等の袋に入れたまま枯死するまで隔離する。
2)栽培施設内外の雑草及び栽培植物はシルバーリーフコナジラミの増殖を助長する種類が多いので、除草を徹底し栽培目的以外の作物や観葉植物等を栽培しない。
3)シルバーリーフコナジラミの施設への侵入を防ぐために、施設の開口部は最低0.8mm目以下の防虫ネットを設置すると効果が認められる。
4)施設内に黄色粘着トラップを設置し、シルバーリーフコナジラミの早期発見と初期防除に努める。
5)収穫期間終了後は、シルバーリーフコナジラミを施設外に出さないために、残さが枯死してからさらに1週間程度蒸し込み死滅させてから処分する。
病害虫発生予察注意報第4号(平成16年1月6日発表)参照
1)3月中旬の発生面積率75.0%(平年47.9%)は平年よりやや多く、寄生株率16.8%(平年14.2%)は平年並である。
1)発生が多くなると防除効果が上がりにくいので、低密度時から防除を徹底する。
2)株整理後の葉数が少なくなった時期に薬剤散布を行うと防除効果が高くなる。茎葉繁茂時には散布圧を強めて、葉裏に良くかかるように散布する。
3)薬剤抵抗性が発達しやすいので、系統の異なる薬剤をローテーションで使用する。
1) 重点防除時期は、萌芽期・落花期・梅雨期である。
1)3月中旬の中晩柑における越冬葉調査では、発生面積率20.0%(平年25.8%)、発病葉率1.2%(平年3.7%)は平年並である。
1) 防除は予防散布が原則であり、防除適期は萌芽前(3月中下旬)・開花直前・花弁落下後・秋芽生育期である。
1)3月中旬の発生面積率55.5%(平年34.5%)、寄生葉率8.8%(平年6.9%)は平年よりやや多い。
1)本虫の要防除水準は寄生葉率30%あるいは10葉当たり寄生虫数5〜10頭となっている。特に冬季マシン油乳剤を散布できなかったほ場では発生状況に注意し、要防除水準に達する前の発生初期に防除する。
2)同一薬剤及び同一系統薬剤の使用は年1回が望ましい。
1)3月中旬の摘採面における発生面積率46.7%(平年50.7%)、寄生葉率3.3%(平年5.7%)は平年並である。
1)一番茶萌芽期の防除は、発生が多くやむを得ない場合のみとする。
2)薬剤抵抗性が発達しやすいので、系統の異なる薬剤をローテーションで使用する。
1.農薬適用の有無などについては次のホームページで確認する。
日本植物防疫協会ホームページ http://www.jppn.ne.jp
農林水産省ホームページ http://www.maff.go.jp/nouyaku
2.農薬の使用に当たっては、農薬使用基準の遵守及び危被害の発生防止に努める。特に水質汚濁性農薬ベンゾエピン剤(商品名、マリックス乳剤、粒剤等)は使用しないこと。
多 い (高 い) やや多いの外側10%の度数の入る幅
やや多い (やや高い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
やや少ない (やや低い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
少ない (低 い) やや少ないの外側10%の度数の入る幅
病害虫防除所では、ホームページ(アドレスはhttp://www.jppn.ne.jp/miyazaki)で、予察情報の根拠となる地域別調査データ、防除対策等の情報を提供していますのでご利用ください。
1.病害虫発生予察注意報第3号(平成16年1月 6日発表)
2.病害虫発生予察注意報第4号(平成16年1月 6日発表)
3.病害虫発生予察注意報第5号(平成16年1月29日発表)

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