6331−19
平成16年4月30日
各関係機関の長
各病害虫防除員 殿
宮崎県病害虫防除所長
平成16年度病害虫発生予報第1号について
平成16年度病害虫発生予報第1号を発表したので送付します。
平成16年度病害虫発生予報第1号
向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。
○ 発生予報の概要
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作 物 名
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病 害 虫 名
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発 生 量 の
平 年 比 |
記載ページ
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早期水稲
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葉いもち
イネミズゾウムシ
スクミリンゴガイ |
並
やや多
並 |
2
2
2 |
冬春きゅうり
(半促成)
|
べと病
うどんこ病
褐斑病
ミナミキイロアザミウマ |
やや少
やや少
やや少
並 |
2
2
3
3 |
冬春ピ−マン
|
うどんこ病
ミナミキイロアザミウマ
ヒラズハナアザミウマ |
多
多
やや少 |
3
3
3 |
冬春トマト
|
葉かび病
トマト黄化葉巻病(TYLCV)
コナジラミ類
ハモグリバエ類 |
やや多
―
並
並 |
3
3
4
4 |
野菜・工芸作
物全般 |
アブラムシ類
ハスモンヨトウ |
並
並 |
4
4 |
かんきつ
|
そうか病
かいよう病
灰色かび病
ミカンハダニ |
並
並
−
やや多 |
4
4
4
5 |
果樹共通 |
カメムシ類 |
− |
5 |
茶
|
炭疽病
カンザワハダニ
チャノコカクモンハマキ
チャハマキ
チャノミドリヒメヨコバイ
チャノキイロアザミウマ
クワシロカイガラムシ
|
並
やや多
並
並
並
並
―
|
5
5
5
5
6
6
6
|
|
○ 作物の生育状況(4月中旬)
3月下旬以降平均気温がやや高めに推移し、早期水稲は順調な生育であった。冬春 キュウリ・冬春ピーマン・冬春トマトは収穫期、かんきつは新梢伸長期、茶は萌芽期 〜発芽展開期であった。
○ 5月の気象予報
平年に比べて曇りや雨の日が多く、気温は平年並、降水量は平年並か多い、日照時 間は平年並か少ないの見込みである。(1か月予報
鹿児島地方気象台4/23発表)
○ 発生予報の根拠および防除対策
1 葉いもち
[予報の根拠]
1) 4月中旬の稲の草丈・葉令は平年並である。
2) 5月の気温・降水量は平年並と予想されている。
[防除上の注意]
1) 補植用の取り置き苗は、葉いもちが発生しやすく伝染源になるので、補植が終わ ったら速やかに処分する。
2) 曇雨天が続く場合はあらかじめ粒剤を施用するか、または葉いもちの早期発見に 努め、病斑が認められたら直ちに粉剤または液剤で防除する。
3) 同一系統の薬剤の連用は、薬剤耐性菌が発生しやすいので避ける。
2 イネミズゾウムシ
防除情報第1号(平成16年4月30日発表)参照
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率60.4%(平年44.4%)及び百株当たり成虫数3. 7頭(平年4.8頭)は平年並だが、被害程度10.5(平年5.8)は平年より やや高い。
[防除上の注意]
1) 成虫が10株当たり5頭以上のほ場では、粒剤の水面施用を行う。水面施用に当 たっては水管理に十分注意し、水深が3p程度になるように調整し、少なくとも
4日間はかけ流しや落水はしない。
3 スクミリンゴガイ
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率16.6%(平年15.1%)、u当たり貝数0.4頭
(平年1.0頭)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 水田の入排水口には金網を張り、貝の侵入を防止する。
2) 貝の生息数が多い場合は、捕殺するか粒剤の水面施用を行う。
3) 粒剤の水面施用に際しては水管理に十分注意し、水深が3cm程度になるように調 整し、少なくとも4日間はかけ流し、落水はしない。
1 べと病
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率50.0%(平年81.4%)、発病葉率3.5%(平年 23.0%)は平年よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) ハウス内の換気を良くし、高温多湿にならないように注意する。
2) 肥料切れやなり疲れによる草勢の衰えは発生を助長するので、適切な肥培管理に努 める。
2 うどんこ病
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率16.7%(平年30.5%)、発病葉率0.5%(平年 5.3%)は、平年よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) 整枝・誘引・老化葉の摘葉等を行い、採光・通風を良くする。
2) 耐性菌の発達を避けるため、同一系統薬剤の連用を避け、作用性の異なる薬剤を 輪番で使用する。
3 褐斑病
[予報の根拠]
1) 4月中旬の巡回調査では、発生を認めていない。
4 ミナミキイロアザミウマ
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率16.7%(平年21.8%)、1葉あたり成虫数0.27 は平年並である。
[防除上の注意]
1) 収穫の終わった発生ハウスは太陽熱利用による蒸し込みを行って死滅させる。
1 うどんこ病
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率は63.6%(平年41.3%)で平年並、発病葉率9. 1%(平年5.9%)は平年よりやや高い。
[防除上の注意]
1) ハウス内の換気を良くし、高温にならないように注意する。
2) 茎葉が過繁茂にならないように整枝を行い、発病葉は除去する。
2 ミナミキイロアザミウマ
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率45.5%(平年31.7%)は平年よりやや多い、10 花当たり虫数0.8頭(平年2.3頭)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 本虫は薬剤抵抗性が発達しやすいので、同一薬剤の連用を避け、作用性の異なる薬 剤の輪番で使用する。
3 ヒラズハナアザミウマ
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率9.1%(過去9か年平均30.9%)、10花当たり虫 数0.1頭(過去9か年平均4.3頭)は、過去9か年平均よりやや少である。
[防除上の注意]
1) 本虫の薬剤感受性はミナミキイロアザミウマとは異なるので、薬剤の選定には注意 する。
1 葉かび病
病害虫発生予察注意報第1号(平成16年4月30日)参照
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率50.0%(平年12.8%)はやや多、発病葉率15. 7%(平年2.5%)は平年より高い。
2 トマト黄化葉巻病(TYLCV)
[防除上の注意]
1) トマト黄化葉巻病はシルバーリーフコナジラミによって他の株に伝染するので、 発病株は見つけ次第抜根し、ほ場から持ち出し埋没処分する。
2) 栽培終了後はコナジラミ類防除後に株を抜き取り、10日間程度施設を密閉して 本虫を死滅させた後、残さを処分する。
3) ハウスの周辺雑草は休閑期のシルバーリーフコナジラミの生息場所となり、次作 への伝染源となるので除草を徹底する。
3 コナジラミ類
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率0.0%(平年14.1%)、10葉当たり虫数0.0頭 (平年0.2頭)は平年よりやや少ないものの、過半の調査ほ場で微発生(1葉あ たり0.5頭以下)が確認された。
2) 気温の上昇に伴い、急激に増加する恐れがある。
4 ハモグリバエ類
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率40.0%(過去9か年平均28.4%)、寄生葉率5.7 %(過去9か年平均7.1%)は過去9か年平均並である。
[防除上の注意]
1) 多発してからの防除は困難なので、被害葉の焼却処分及び初期防除に努める。
2) 栽培終了後は、土壌全面をビニルマルチで覆うかハウスを蒸し込んで死滅させる。
1 アブラムシ類
[予報の根拠]
1) 黄色水盤トラップによる有翅虫誘殺数(佐土原町)は、平年並である。
2 ハスモンヨトウ
[予報の根拠]
1) フェロモントラップによる誘殺数(西都市、都城市)は、平年並である。
1 そうか病
[予報の根拠]
1) 3月中旬の越冬葉調査では、1ほ場で確認したものの微発生である。
2) 4月中旬の新葉調査では、発生を認めていない。
3) 5月の降水量は平年並か多いと予想されている。
[防除上の注意]
1) 防除適期は萌芽期・落花期・幼果期である。
2 かいよう病
[予報の根拠]
1) 3月中旬の越冬葉調査では、発生を認めていない。
2) 4月中旬の新葉調査では、発生を認めていない。
3) 5月の降水量は平年並か多いと予想されている。
[防除上の注意]
1) 防除適期は開花直前、落花後、梅雨期、秋芽生育期である。
3 灰色かび病
[予報の根拠]
1) 本年は表年で、開花数は多いと予想される。
2) 5月の降水量は平年並か多いと予想されている。
[防除上の注意]
1) 防除適期は落弁期〜幼果期である
2) 幼果表面に付着した発病花弁から幼果に伝染するので、枝をゆするなどしてでき るだけ花弁の離脱を促す。
4 ミカンハダニ
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率37.0%(平年24.3%)、寄生葉率6.7%(平年 3.9%)は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 生息密度が高くなると防除が困難になるので、寄生葉率30%(1葉当たり虫数
0.5〜1頭)を目安に防除を行う。
1 カメムシ類
[予報の根拠]
1) 日向市、門川町等の県北の一部のみかん園で越冬虫の飛来が確認されている。
[防除上の注意]
1) 急激に発生する恐れは低いと考えられるが、局所的に発生する場合も考えられる ので、結実中の園では飛来に注意し、初期防除を徹底する。
1 炭疽病
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率20.0%(平年34.3%)、u当たり病葉数0.7 (平年2.9)は平年並である。
2) 5月の降水量は平年並か多いと予想されている。
2 カンザワハダニ
[予報の根拠]
1) 4月中旬の発生面積率40.0%(平年51.9%)は平年よりやや少なく、寄 生葉率7.1%(平年7.0%)は平年よりやや高い。
[防除上の注意]
1) 同一薬剤の連用を避け、作用性の異なる薬剤のロ−テ−ション散布を実施する。
2) 合ピレ剤の春季使用はリサ−ジェンスが発生しやすいので注意する。
3 チャノコカクモンハマキ
[予報の根拠]
1) 4月中旬の巡回調査では、発生を認めていない。
[防除上の注意]
1) フェロモントラップによる誘殺状況では、都城では4月3〜4半旬が発蛾最盛期 であったと考えられる。
2) 顆粒病ウイルスによる防除適期は、第1世代に対しては越冬世代の発蛾最盛期の 17日後、第2世代に対しては第1世代の発蛾最盛期の10日後である。
3) 本年は防除適期が一番茶の時期と重なり、適期防除が困難であると考えられるの で第2世代以降に重点的に防除する。
4 チャハマキ
[予報の根拠]
1) 4月中旬の巡回調査では、発生を認めていない。
[防除上の注意]
1) フェロモントラップによる誘殺状況では、都城では4月3〜4半旬頃が発蛾最盛 期であったと考えられる。
2) 本年は防除適期が一番茶の時期と重なり、適期防除が困難であると考えられるの で第2世代以降に重点的に防除する。
5 チャノミドリヒメヨコバイ
[予報の根拠]
1) 4月中旬の払い落し調査による発生面積率6.7%(平年5.5%)、払落虫数 0.1頭(平年0.1頭)は平年並である。
6 チャノキイロアザミウマ
[予報の根拠]
1) 4月中旬の払い落し調査による発生面積率20.0%(平年34.2%)、払い 落とし虫数0.3頭(平年2.7頭)は、平年並である。
[防除上の注意]
1) 例年、2番茶期から発生が増えてくるので注意する。
7 クワシロカイガラムシ
[防除上の注意]
1) 第2世代幼虫の防除適期は幼虫ふ化開始から1週間後、または幼虫ふ化最盛期で あるが、第1世代の幼虫ふ化は平年より4〜5日早くなっているので、ふ化状況を よく観察し防除する。
2) 薬剤散布は量を多めに(10a当たり1,000リットル)、枝幹に十分かかる ようていねいに行う。
○ その他
1 防除上の留意点等については、「度病害虫・雑草防除等指導指針」(宮崎県・宮崎 県植物防疫協会)を参照するが、農薬適用の有無などについては次のホームページで 確認する。
日本植物防疫協会ホームページ http://jppn.ne.jp
農林水産省ホームページ http://www.maff.go.jp/nouyaku/
2 農薬の使用に当たっては、農薬安全使用基準の遵守並びに危被害の発生防止に努め る。特に水質汚濁性農薬ベンゾエピン剤(商品名、マリックス乳剤、粒剤等)は使用 しないこと。
3 発生量(程度)の区分
多 い (高 い) やや多いの外側10%の度数の入る幅
やや多い (やや高い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
平年並 平年値を中心として40%の度数の入る幅
やや少ない (やや低い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
少ない (低 い) やや少ないの外側10%の度数の入る幅
(平年値は過去10年間の平均)
4 予察情報の種類
病害虫防除所から発表する情報は次の5つです。
1)予 報・・・向こう1か月の発生状況を予測し、毎月25日前後に発表します。 2)注
意 報・・・主要な病害虫の多発生が予想され、かつ早めに防除が必要な場合に 発表する。
3)警 報・・・主要な病害虫の大発生が予想され、かつ緊急に防除が必要な場合に 発表する。
4)特 殊 報・・・県内で初めて発生を認めた病害虫がある時や、病害虫の発生様相が 特異な時に発表する。
5)防除情報・・・注意をうながす必要がある病害虫の発生状況や、各種の防除技術指 導情報について随時発表する。(従来の防除速報にあたります)
○ お知らせ(http://www.jppn.ne.jp/miyazaki/)
病害虫防除所では、ホームページで情報を提供しています。予察情報の根拠となる地 域別調査データ、防除対策等を登録しています。ぜひご利用ください。
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