6331−27
平成16年5月31日
各関係機関の長
各病害虫防除員 殿
宮崎県病害虫防除所長
平成16年度病害虫発生予報第2号について
平成16年度病害虫発生予報第2号を発表したので送付します。
平成16年度病害虫発生予報第2号
向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。
○ 発生予報の概要
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作 物 名
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病 害 虫 名
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発 生 量 の
平 年 比 |
記載ページ
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早期水稲
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葉いもち
紋枯病
斑点米カメムシ類 |
並
並
やや多 |
2
2
2 |
普通期水稲
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葉いもち
スクミリンゴガイ |
―
― |
2
3 |
野菜・工芸作
物全般 |
アブラムシ類
ハスモンヨトウ |
やや少
並 |
3
3 |
施設野菜
|
土壌病害
コナジラミ類 |
―
― |
3
3 |
冬春トマト |
トマト黄化葉巻病(TYLCV) |
多 |
3 |
果樹全般 |
果樹カメムシ類 |
並 |
4 |
かんきつ
|
そうか病
かいよう病
黒点病
ミカンハダニ
ミカンハモグリガ |
並
やや多
並
並
やや多 |
4
4
4
5
5 |
茶
|
炭疽病
輪斑病
カンザワハダニ
チャノコカクモンハマキ
チャハマキ
チャノホソガ
チャノミドリヒメヨコバイ
チャノキイロアザミウマ
クワシロカイガラムシ
|
やや多
並
並
並
並
並
並
やや多
―
|
5
5
5
5
6
6
6
6
6
|
|
○ 作物の生育状況(5月中旬)
早期水稲は、4月中旬以降気温がやや高めに推移し、平年より生育が進んでいる。 温州ミカンは落弁期〜果実肥大期、茶は1番茶収穫後の整枝期であった。
○ 6月の気象予報
向う1か月の天候は、平年に比べて曇りや雨の日が多く、気温は平年より高い・降水量は平年より多い・日照時間は平年並か少ないと予想されている。(1か月予報鹿児島地方気象台5月21日発表)
○ 発生予報の根拠および防除対策
1 葉いもち
[予報の根拠]
1) イネの草丈は平年よりやや高く、茎数は平年よりやや多、葉令は平年より進んでいる。
2) 5月10日に本田での初発生を確認している。
3) 5月19〜21日の台風2号・前線の影響等によりほぼ全域で好適〜準好適条件(BLASTAM)が発生している。
4) 6月の気温は高い・降水量は多い・日照時間は平年並か少ないと予想されている。
[防除上の注意]
1) 曇雨天が続く場合はあらかじめ粒剤を水中施用するか、または葉いもちの早期発見に努め、病斑が認められたら直ちに粉剤または液剤で防除する。
2) 同一系統の薬剤の連用は、薬剤耐性菌が発生しやすいので避ける。
2 紋枯病
[予報の根拠]
1) イネの草丈は平年よりやや高く、茎数は平年よりやや多、葉令は平年より進んでいる。
2) 6月の気温は高い・降水量は多い・日照時間は平年並か少ないと予想されている。
[防除上の注意]
1) 防除適期は穂ばらみ期から出穂期である。
3 斑点米カメムシ類
[予報の根拠]
1) 5月中旬のイタリアンライグラスにおけるすくい取り調査では、前年より発生が多い傾向である。
[防除上の注意]
1) 米の上位等級確保のためには、穂揃期とその7〜10日後の2回防除が必要である。
2) 出穂の早い、又は遅い水田には集中的に飛来する恐れがあるので注意する。
1 葉いもち
[防除上の注意]
1) 育苗期の発生に注意し、本田への持ち込みを防止する。
2) 育苗箱施薬は予防的効果が高く、本田での第一次伝染と生育初期の蔓延を防止するので必ず実施する。特に長期残効型箱施薬剤は持続効果が約80日と長く、省力的でもある。
3) 6月の気温は高い・降水量は多い・日照時間は平年並か少ないと予想されている。
4) 補植用の取り置き苗は葉いもちが発生しやすく、本田への伝染源になりやすいので補植が終わったら処分する。
5) 育苗箱施薬を実施していない場合、曇雨天が続くときはあらかじめ粒剤を施用するか、葉いもちの早期発見に努め、病斑が認められたら直ちに粉剤または液剤で防除する。
6) 同一系統の薬剤の連用は、薬剤耐性菌が発生しやすいので避ける。
2 スクミリンゴガイ
[防除上の注意]
1) 水稲の被害は、田植え直後から3週間に著しく、その時期に深水状態ほど食害が激しいので、活着後は浅水管理とする。
2) 貝の生息数が多い場合は、捕殺するか粒剤の水面施薬を行う。
3) 粒剤の水面施薬に際しては、水深が3cm程度になるように調整し、少なくとも4日間はかけ流し、落水はしない。
1 アブラムシ類
[予報の根拠]
1) 黄色水盤トラップによる誘殺数は、4月以降平年より少なめに推移している。
(右図参照)
2 ハスモンヨトウ
[予報の根拠]
1) フェロモントラップによる誘殺数は、4月以降平年並で推移している。
1 土壌病害
[防除上の注意]
土壌病害のみられたハウスでは、収穫後被害残さを施設外に持ち出し焼却処分する。 また、ハウス内は耕起を行って残さの分解を早めることが重要である。
PMMoV等による土壌伝染性ウイルス病は、臭化メチル剤によって的確に防除する。
2 コナジラミ類(シルバーリーフコナジラミ)
[防除上の注意]
中部沿海地帯では、施設果菜(主としてトマト・ピーマン)でコナジラミ類が増加 傾向にある。栽培終了後、野外への拡散により、コナジラミ類の地域での密度増加、
トマト黄化葉巻病ウイルス(TYLCV)の拡散・次期作の伝染源となる可能性が高いので、十分な注意が必要である。
コナジラミ類発生ほ場では、栽培終了後10日間程度施設を密閉するなど防除の徹底を図る。
1 トマト黄化葉巻病(TYLCV)
※病害虫発生予察警報準備中
[予報の根拠]
1) 4〜5月に県内沿岸部を中心とした調査では、トマト黄化葉巻病の発生面積は12.3haで、昨年同時期3.5haと比較して大幅に増加している。
2) 媒介虫(シルバーリーフコナジラミ)が増加傾向にある。(前項)
[防除上の注意]
1) トマト黄化葉巻病はシルバーリーフコナジラミによって伝染するので、発病株は見つけ次第抜根し、ほ場から持ち出し埋めて処分する。
2) 育苗施設も含めて、栽培ほ場内外の雑草その他栽培植物はシルバーリーフコナジラミの寄主植物となるので、除草を徹底し栽培ほ場内外で不要な作物や観葉植物等 を栽培しない。
3) 栽培終了後は株を抜き取り、10日間程度施設を密閉してシルバーリーフコナジラミを死滅させた後、残さを処分する。
4) 育苗施設の開口部は、シルバーリーフコナジラミの侵入を防ぐために、0.8mm目以下(0.4mm以下が望ましい)の防虫ネットを設置し、育苗期間中は定期的に防除する。
1 果樹カメムシ類
防除情報第2号(平成16年5月18日発表)参照
[予報の根拠]
1) 県内の3地点に設置したフェロモントラップのうち2地点で5月1〜2半旬に誘殺数の急激な増加がみとめられた。
2) 一部の地域のカンキツ園においてチャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシの飛来が確認されている。
3) 予察灯による誘殺数は平年並である。
[防除上の注意]
1) 果樹カメムシ類は園外から飛来し、地域や時期によって発生量が大きく変動する。
多飛来を見てからの防除では手遅れとなるので、園内外を見回り、早期発見、早期防除に努める。
2)成熟・着色の早い果実を集中して加害する傾向があるので注意する。
1 そうか病
[予報の根拠]
1) 5月中旬の発生面積率3.7%(平年13.3%)、発病葉率0.3%(平年1.0%)は平年並である。
2) 6月の気温は高い・降水量は多い・日照時間は平年並か少ないと予想されている。
[防除上の注意]
1) 防除適期は幼果期である。
2 かいよう病
[予報の根拠]
1) 5月中旬の発生面積率3.7%(平年3.3%)は平年並、発病葉率0.4%(平年0.2%)は平年よりやや多い。
2) 一部の中晩柑ほ場では昨年に続き発生が多い。
3) 6月の気温は高い・降水量は多い・日照時間は平年並か少ないと予想されている。
4) ミカンハモグリガの発生は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 梅雨期に予防散布する。
2) ミカンハモグリガの防除に務める。
3 黒点病
[予報の根拠]
1) 5月中旬の発生面積率14.8%(平年23.9%)、発病葉率1.3%(平年4.0%)は平年並である。
2) 6月の気温は高い・降水量は多い・日照時間は平年並か少ないと予想されている。
[防除上の注意]
1) 防除適期は幼果期、梅雨期であるが、降水量が多いほど発生が多くなるので、前回防除してからの積算降水量300mmを農薬散布間隔の目安として予防散布する。
4 ミカンハダニ
[予報の根拠]
1) 5月中旬の発生面積率18.5%(平年21.1%)、寄生葉率1.3%(平年1.7%)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 生息密度が高くなると防除が困難になるので、寄生葉率30%(1葉当たり虫数0.5〜1頭)を目安に防除を行う。
5 ミカンハモグリガ
[予報の根拠]
1) 5月中旬の発生面積率11.1%(平年8.1%)、寄生葉率0.3%(平年0.3%)は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) かいよう病の発生を助長するので、新梢伸長期間中は定期的に防除する。
2) 成虫の活動は夜間で、日中は葉裏に潜んでいるので、樹全体の防除が効果的である。
1 炭疽病
[予報の根拠]
1) 5月中旬の発生面積率46.7%(平年27.3%)で平年よりやや多く、u当たり病葉数1.3枚(平年1.2枚)は平年並である。
2) 6月の気温は高い・降水量は多い・日照時間は平年並か少ないと予想されている。
[防除上の注意]
1) 2番茶の萌芽期に防除する。
2 輪斑病
[予報の根拠]
1) 5月中旬の巡回調査では発生未確認である。
2) 6月の気温は高い・降水量は多い・日照時間は平年並か少ないと予想されている。
[防除上の注意]
1) 病原菌は摘採時にできた葉や茎の傷口から侵入する。摘採後、早く薬剤散布するほど防除効果が高いのでできるだけ摘採当日に防除する。摘採後4日以降の防除では効果がない。
3 カンザワハダニ
[予報の根拠]
1) 5月中旬の発生面積率46.7%(平年54.7%)は平年並、寄生葉率3.6%(平年6.6%)は平年よりやや少ない。
[防除上の注意]
1) 同一薬剤の連用を避け、作用性の異なる薬剤のロ−テ−ション散布を実施する。
4 チャノコカクモンハマキ
[予報の根拠]
1) 5月中旬の巡回調査では発生未確認である。
[防除上の注意]
1) フェロモントラップ調査では、昨年同様平年より早い4月3〜4半旬に発蛾最盛期があり、次回の発蛾最盛期は平年より早く6月2半旬頃と考えられる。
2) 顆粒病ウイルスによる防除適期は、6月の発蛾最盛期の10日後である。
5 チャハマキ
[予報の根拠]
1) 5月中旬の発生面積率6.7%(平年4.0%)は平年並み、u当り巻葉数0.3枚(平年0.1枚)は平年よりやや多い。
2) 次回の発蛾最盛期は3半旬頃と考えられる。
[防除上の注意]
1) チャノコカクモンハマキの発蛾最盛期と10日以上差がなければ、チャノコカクモンハマキと同時に防除する。
6 チャノホソガ
[予報の根拠]
1) 5月中旬の発生面積率6.7%(平年4.0%)は平年よりやや多く、u当り巻葉数0.5枚(平年0.4枚)は平年並である。
[防除上の注意]
1) 都城での次回の発蛾最盛期は6月4〜5半旬頃と予想される。防除適期は発蛾最盛期の約10日後である。
2) 脱皮阻害剤は遅効性なので卵期に散布する。
7 チャノミドリヒメヨコバイ
[予報の根拠]
1) 5月中旬の払い落し調査による発生面積率13.3%(平年20.0%)は平年並、払い落とし虫数0.8頭(平年0.6頭)は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 萌芽直後から1、2葉期を重点に防除する。
8 チャノキイロアザミウマ
[予報の根拠]
1) 5月中旬の払い落し調査による発生面積率66.7%(平年58.7%)は平年並み、払い落とし虫数7.2頭(平年11.1頭)は平年よりやや多い。
[防除上の注意]
1) 例年、2番茶期から発生が増えてくるので注意する。
9 クワシロカイガラムシ
[防除上の注意]
1) 最近、増加傾向にあるので発生を確認したら早めに防除する。
2) 第2世代幼虫の防除適期は幼虫ふ化開始から1週間後、または幼虫ふ化最盛期であるが、第1世代の幼虫ふ化は平年より4〜5日早くなっているので、ふ化状況をよく観察し防除する。
3) 薬剤散布は、枝幹に十分かかるように適切な量をていねいに行う。
○ その他
1 防除上の留意点等については、「度病害虫・雑草防除等指導指針」(宮崎県・宮崎県植物防疫協会)を参照するが、農薬適用の有無などについては次のホームページで 確認する。
日本植物防疫協会ホームページ http://jppn.ne.jp
農林水産省ホームページ http://www.maff.go.jp/nouyaku/
2 農薬の使用に当たっては、農薬安全使用基準の遵守並びに危被害の発生防止に努める。特に水質汚濁性農薬ベンゾエピン剤(商品名、マリックス乳剤、粒剤等)は使用 しないこと。
3 発生量(程度)の区分
多 い (高 い) やや多いの外側10%の度数の入る幅
やや多い (やや高い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
平年並 平年値を中心として40%の度数の入る幅
やや少ない (やや低い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
少ない (低 い) やや少ないの外側10%の度数の入る幅
(平年値は過去10年間の平均)
4 予察情報の種類
病害虫防除所から発表する情報は次の5つです。
1)予 報・・・向こう1か月の発生状況を予測し、毎月25日前後に発表します。
2)注 意 報・・・主要な病害虫の多発生が予想され、かつ早めに防除が必要な場合に発表する。
3)警 報・・・主要な病害虫の大発生が予想され、かつ緊急に防除が必要な場合に発表する。
4)特 殊 報・・・県内で初めて発生を認めた病害虫がある時や、病害虫の発生様相が特異な時に発表する。
5)防除情報・・・注意をうながす必要がある病害虫の発生状況や、各種の防除技術指導情報について随時発表する。(従来の防除速報にあたります)
○ お知らせ(http://www.jppn.ne.jp/miyazaki/)
病害虫防除所では、ホームページで情報を提供しています。予察情報の根拠となる地域別調査データ、防除対策等を登録しています。ぜひご利用ください。
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