6011−1361
令和3年7月28日
各関係機関の長
各病害虫防除員 殿
宮崎県病害虫防除・肥料検査センター所長
令和3年度病害虫発生予報第4号について
令和3年度病害虫発生予報第4号を発表したので送付します。
|
令和3年度病害虫発生予報第4号
向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。
○ 発生予報の概要
作 物 名 |
病 害 虫 名 |
発生量の 平年比 |
本文の記 載ページ |
普通期水稲 |
1 いもち病(葉) 2 紋枯病 3 セジロウンカ
4 トビイロウンカ 5 ヒメトビウンカ 6 コブノメイガ |
並 並 やや少 並 並 並 |
2 2 2 3 3 3 |
野菜類全般 |
1 アブラムシ類 2 ハスモンヨトウ等のチョウ目(鱗 翅目)害虫 |
やや少 やや少 |
3 3 |
さといも |
1 疫病 |
― |
4 |
かんしょ |
1 基腐病 |
― |
4 |
果樹全般 |
1 果樹カメムシ類 |
やや少 |
4 |
カンキツ (露地栽培) |
1 黒点病 2 かいよう病 3 ミカンハダニ 4 チャノキイロアザミウマ |
並 やや多 並 並 |
5 5 6 6 |
茶 |
1 炭疽病 2 もち病 3 輪斑病
4 チャノコカクモンハマキ 5 チャハマキ 6 チャノホソガ 7 カンザワハダニ
8 チャノキイロアザミウマ 9 チャノミドリヒメヨコバイ 10クワシロカイガラムシ |
やや少 並 やや多 並 並 多 並 並 やや少 やや多 |
6 6 6 7 7 8 8 8 8 9 |
○ 作物の生育状況(7月中旬)
普通期水稲は分けつ期、うんしゅうみかんは果実肥大期、茶は三番茶の摘採前〜摘採始めであった。
○ 向こう1か月の気象予報
向こう1か月の気温、降水量、日照時間の各階級の確率(%)
要 素 |
低い(少ない) |
平年並 |
高い(多い) |
|
気 温 |
30 |
40 |
30 |
|
降水量 |
20 |
40 |
40 |
|
日照時間 |
40 |
30 |
30 |
(1か月予報 鹿児島地方気象台7月15日発表)
○ 発生予報の根拠および防除対策
普通期水稲 |
1 葉いもち (並) [予報の根拠] (1)7月中旬の巡回調査結果 発生面積率: 9.8%(平年 10.0%、前年 12.2%)平年並 発病株率 : 3.1%(平年
3.4%、前年 9.7%)平年並 [防除上の注意] (1)箱施薬剤を施用したほ場であっても、薬剤の効果が切れると発病することがあるので適宜観察し、分げつ期までに発生が見られる場合には早めの追加防除を行う。 (2)穂いもちについては、粉剤または液剤による穂ばらみ後期と穂揃期の防除を徹底する。 2 紋枯病 (並) [予報の根拠] (1)7月中旬の巡回調査結果
発生面積率: 0%(平年 0%、前年 0%)平年並 発病株率 : 0%(平年 0%、前年 0%)平年並 [防除上の注意] (1)イネの抵抗性が低下する幼穂形成期から穂ばらみ期にかけて上位葉鞘に進展するので、防除は穂ばらみ期に行う。その後の上位葉鞘への進展に応じて、2回目の防除の有無を検討する。 (2)株が成長して風通しが悪くなると急激に病勢が進展するので、前年多発したほ場では十分注意する。 3 セジロウンカ (やや少) [予報の根拠] (1)7月中旬の巡回調査結果
発生面積率 :26.8%(平年 54.0%、前年 65.9%)平年よりやや少 20回すくい取り虫数: 0.2頭(平年 9.3頭、前年
3.4頭)平年よりやや少 [防除上の注意] (1)幼穂形成期頃に多発生すると、吸汁による生育抑制、下位茎葉の黄変枯死、出穂の遅れが生じるので、発生状況を見て若齢幼虫期に防除する。 (2)イネ南方黒すじ萎縮病を媒介するので注意する。 4 トビイロウンカ (並) [予報の根拠] (1)7月中旬の巡回調査結果
発生面積率 : 0%(平年 5.4%、 前年 24.4%) 平年並 株当たり虫数: 0頭(平年 0.004頭、前年
0.022頭)平年並 [防除上の注意] (1)6月第1〜7月3半旬における県内予察灯の累積誘殺数は2頭(平年85.2頭、前年671頭)で平年より少ない。 (2)本虫は増殖率が高く、坪枯れ被害が発生するため、今後の防除を徹底する。長期残効型の箱施薬を行っている場合でもほ場での発生に注意し、幼虫の寄生が認められる場合は、防除を実施する(8月上中旬の要防除密度は、短翅型雌成虫が株当たり0.2頭以上)。 第2世代幼虫の防除適期は8月3〜5半旬頃と予想される。 5 ヒメトビウンカ (並) [予報の根拠] (1)7月中旬の巡回調査結果
発生面積率 :39.0%(平年 39.1%、前年 14.6%)平年並 20回すくい取り虫数: 0.2頭(平年 1.2頭、前年
0.2頭)平年並 [防除上の注意] (1)本虫は縞葉枯病を媒介するので注意する。 6 コブノメイガ (並) [予報の根拠] (1)7月中旬の巡回調査結果
発生面積率 : 0%(平年 6.4%、
前年 19.5%)
平年並 被害葉率 : 0%(平年 0.24% 、前年 0.03%) 平年並 [防除上の注意] (1)防除適期は、粒剤を使用する場合は発蛾最盛期、粉剤及び水和剤等を使用する場合は幼虫ふ化期(発蛾最盛期の7日後)であるので、ほ場での発生状況を把握し適期防除に努める。 |
野菜類全般 |
1 アブラムシ類 (やや少) [予報の根拠] (1)黄色水盤トラップ(宮崎市佐土原町)による誘殺数は平年よりやや少の誘殺数で推移している。 [防除上の注意] (1)作用性の異なる薬剤のローテーション散布を行う。 |
![]() |
2 ハスモンヨトウ等のチョウ目(鱗翅目)害虫 (やや少) [予報の根拠] (1)ハスモンヨトウのフェロモントラップ(宮崎市、都城市、西都市、国富町)での直近1ヶ月の誘殺数は平年より少である。 (2)西都市でのタバコガは平年より少なく、オオタバコガは平年並の誘殺数である。 [防除上の注意] (1)早期発見に努め、若齢幼虫期の防除を徹底する。 |
さといも |
1 疫病 [防除上の注意] (1)サトイモ疫病(フィトフトラ コロカシエ)は、多湿条件下でまん延する。 (2)本病は発生すると急激に進展し、まん延するので予防防除に重点をおく。 (3)ほ場をこまめに巡回し、発病前はマンゼブ水和剤による予防散布を実施する。発病後は治療効果のあるアミスルブロム・シモキサニル水和剤を散布し、その7日後にアゾキシストロビン水和剤を散布する。台風の前後や長雨が予想される場合は、軟腐病予防と併せて炭酸水素ナトリウム・銅水和剤を散布する。圃場の見回りを行い、発生を認めたら直ちに薬剤散布を行う。 (4)薬剤散布は、薬剤が下葉に達するように十分量を散布する。 |
かんしょ |
1 基腐病 [防除上の注意] (1)本病の二次伝染を防止するため、発病株(つるや塊根)は速やかに抜き取り、ほ場や周辺に残さないようにする。また、発病株を除去したあとは、感染拡大を防止するために登録薬剤による防除を実施する。薬剤を散布する際は、使用時期(収穫前日数)に注意する。 (2)収穫後の発病残渣は次年度の伝染源となるため、ほ場から持ち出した後すみやかに耕耘を行う。その後も複数回耕耘を行い、ほ場に残った残渣の分解を促進させる。 |
果樹全般 |
1 果樹カメムシ類 (やや少) [予報の根拠] (1)県内3か所(延岡市、日南市、国富町)に設置した予察灯への誘殺数は、チャバネアオカメムシおよびツヤアオカメムシいずれも平年並からやや少である。 [防除上の注意] (1)果樹カメムシ類は園外から飛来し、地域や時期によって発生量が大きく変動するので、園内外を見回り、早期発見、早期防除に努める。 (2)台風が襲来した場合は、カメムシが餌としているヒノキやスギの毬果が落果し、果樹園に大量飛来するおそれがあるので、注意が必要である。 |
チャバネアオカメムシの予察灯誘殺状況
ツヤアオカメムシの予察灯誘殺状況
カンキツ(露地栽培) |
1 黒点病 (並) [予報の根拠] (1)7月中旬巡回調査結果
発生面積率:11.1%(平年 32.3%、前年 11.1%)平年よりやや少 発病果率 : 6.7%(平年 11.0%、前年
2.0%)平年並 (2)向こう一ヶ月の降水量は、平年並の予想である。 [防除上の注意] (1)感染源となる枯枝は、可能な限り取り除く。 (2)剪定枝をそのままほ場周辺に放置していると激発するおそれがあるので、埋設する等適切に処理する。 (3)防除間隔の目安は積算降水量250mmで、降水量が少ない場合でも1か月後には次の防除が必要である。 2 かいよう病 (やや多) [予報の根拠] (1)7月中旬の巡回調査結果(春葉調査) 発生面積率:22.2%(平年 12.8%、前年 11.1%)平年より多 発病葉率 : 0.1%(平年
1.2%、前年 1.6%)平年より少 (2)7月中旬巡回調査結果(果実)
発生面積率: 5.6%(平年
8.4%、前年
5.6%)平年並 発病果率 : 0.3%(平年
0.7%、前年
0.3%)平年並 [防除上の注意] (1)発病した枝葉は、伝染源となるので可能な限り取り除き、園外に持ち出し適切に処理する。 (2)台風の襲来が予想される時は、事前に薬剤散布を行う。強風による枝葉の損傷を少なくするため防風垣等を整備する。 (3)ミカンハモグリガの被害は、病原菌の侵入口となるので、夏秋梢の発生が多いほ場ではハモグリガの防除を徹底する。 3 ミカンハダニ (並) [予報の根拠] (1)7月中旬の巡回調査結果
発生面積率 : 5.6%(平年 19.5%、前年
5.6%)平年よりやや少 百葉当たり雌虫数:13.8頭(平年 10.8頭、前年 1.3頭)平年よりやや多 [防除上の注意] (1)高温・乾燥状態で生息密度が高まる。 (2)生息密度が高くなると防除が困難になるので、寄生葉率30%または1葉当たり雌成虫数0.5〜1頭を目安に防除を行う。 4 チャノキイロアザミウマ (並) [予報の根拠] (1)7月中旬の巡回調査結果
発生面積率: 0%(平年 1.7%、前年 0%)平年並 寄生果率 : 0%(平年 0.1%、前年 0%)平年並 [防除上の注意] (1)密度が高くなると防除が困難になるので、1果当たり虫数0.3頭を目安に防除を行う。 (2)防風垣にイヌマキが植栽されているほ場では、その新芽にも寄生するので防除に努める。 |
茶 |
1 炭疽病 (やや少) [予報の根拠] (1)7月中旬の巡回調査結果
発生面積率 :43.8%(平年 58.1%、前年 64.7%)平年よりやや少 u当たり発病葉数: 4.7葉(平年 13.9葉、前年 11.3葉)平年よりやや少 (2)向こう一ヶ月の降水量は、平年並の予想である。 [防除上の注意] (1)新芽の生育期に雨が多いと発生しやすい。防除は秋芽の萌芽〜1葉期に予防効果のある剤を散布し、その後、2〜3葉期に治療効果のある剤を散布する。 2 もち病 (並) [予報の根拠] (1)7月中旬の巡回調査結果
発生面積率 :6.3%(平年 10.1%、前年 6.0%)平年並 u当たり発病葉数:2.2葉(平年 2.1葉、前年 0.0葉)平年よりやや多 [防除上の注意] (1)秋芽に発病すると次年度の新芽への影響が大きいので、防除は秋芽の萌芽〜1葉期に実施し、秋芽への感染を防ぐ。 (2)防除適期が炭疽病と同じであるため同時に防除する。 3 輪斑病 (やや多) [予報の根拠] (1)7月中旬の巡回調査結果
発生面積率 :18.8%(平年 14.3%、前年 11.8%)平年よりやや多 u当たり発病葉数: 2.5葉(平年
0.4葉、前年 0.2葉)平年より多 [防除上の注意] (1)摘採・整枝直後の傷口から感染するので、作業後なるべく早く防除を行う。 (2)多発園では新梢枯死症の発生が懸念されるので、秋芽開葉期にも防除を行う。 4 チャノコカクモンハマキ (並) [予報の根拠] (1)7月中旬の巡回調査結果
発生面積率 :0%(平年 2.4%、 前年 0%)平年並 u当たり幼虫数:0頭(平年 0.04頭、前年 0頭)平年並 [防除上の注意] (1)県内4か所(宮崎市田野町、都城市、三股町、川南町)に設置しているフェロモントラップ調査では、次回の発蛾最盛期は、7月中〜下旬と予想される。 (2)発蛾最盛期の7〜10日後が防除適期である。 5 チャハマキ (並)
[予報の根拠]
(1)7月中旬の巡回調査結果
発生面積率 :0%(平年 2.4%、前年 5.9%)平年並 u当たり幼虫数:0頭(平年 0.1頭、前年 0.1頭)平年並
[防除上の注意]
(1)フェロモントラップ調査では、次回の発蛾最盛期は7月下旬〜8月上旬と予想される。
(2)発蛾最盛期の7〜10日後が防除適期である。
6 チャノホソガ (多)
[予報の根拠]
(1)7月中旬の巡回調査結果
発生面積率 :43.8%(平年 27.3%、前年 23.5%)平年より多 u当たり巻葉数: 4.5葉(平年
1.0葉、前年 0.7葉)平年より多
[防除上の注意]
(1)フェロモントラップ調査では、次の発蛾最盛期は7月下〜8月上旬と考えられる。
(2)発蛾最盛期の10日後が防除適期である。 7 カンザワハダニ (並) [予報の根拠] (1)7月中旬の巡回調査結果
発生面積率:6.3%(平年 10.7%、前年 5.9%)平年並 寄生葉率 :0.3%(平年 0.5%、前年 0.2%)平年並 [防除上の注意] (1)同一薬剤の連用を避け、作用性の異なる薬剤のロ−テ−ション散布を実施する。 8 チャノキイロアザミウマ (並) [予報の根拠] (1)7月中旬の巡回調査結果
発生面積率:31.3%(平年 51.6%、前年 58.9%)平年よりやや少 寄生葉率 : 1.0%(平年
4.7%、前年 9.2%)平年よりやや少 [防除上の注意] (1)この時期は卵・幼虫・蛹・成虫が混在し、卵と蛹には薬剤がかかりにくく防除効果が劣るので、残効の長い薬剤か1週間間隔での連続散布を行う。 9 チャノミドリヒメヨコバイ (やや少) [予報の根拠] (1)7月中旬の巡回調査結果
発生面積率:31.3%(平年 55.1%、前年 76.5%)平年よりやや少 寄生葉率 : 0.3%(平年
4.9%、前年
12.3%)平年より少 [防除上の注意] (1)チャノキイロアザミウマとの同時防除とする。 [予報の根拠] (1)7月中旬の巡回調査結果
発生面積率:12.6%(平年 10.1%、前年 23.5%)平年よりやや多 寄生株率 : 7.5%(平年
2.1%、前年 3.5%)平年より多 [防除上の注意] (1)防除適期は幼虫ふ化開始から1週間後、または幼虫ふ化最盛期の2〜3日であるので、ふ化状況をよく観察して防除する。 (2)薬剤散布量は、成木園で10a当たり1,000リットル程度を目安に、専用噴口を使うなどして枝幹に十分かかるようにていねいに散布する。 ○ 農薬危害防止運動 6月1日から8月31日の3か月間、農薬危害防止運動を実施しています。農薬散布にあたっては、ラベル表示の確認を十分に行い、農薬使用基準を遵守し、危害防止に努めましょう。 ○ その他 1 農薬適用の有無などについては次のホームページで確認する。 宮崎県農薬安全使用啓発ホームページ http://nouyaku-tekisei.pref.miyazaki.lg.jp/noyaku/user/top/miyazaki 日本植物防疫協会 http://www.jppn.ne.jp 農林水産省(農薬コーナー) http://www.maff.go.jp/j/nouyaku/ 農林水産消費安全技術センター http://www.acis.famic.go.jp/ 2 農薬の使用に当たっては、農薬使用基準の遵守並びに危被害の発生防止に努める。 3 発生量(程度)の区分 多 い (高 い) やや多いの外側10%の度数の入る幅 やや多い (やや高い) 平年並の外側20%の度数の入る幅 平年並 平年値を中心として40%の度数の入る幅 やや少ない (やや低い) 平年並の外側20%の度数の入る幅 少ない (低 い) やや少ないの外側10%の度数の入る幅 (平年値は過去10年間の平均) 4 予察情報の種類 病害虫防除・肥料検査センターから発表する情報は次の5つです。 (1)予 報・・・向こう1か月の発生状況を予測し、毎月25日前後に発表する。 (2)注 意 報・・・主要な病害虫の多発生が予想され、かつ早めに防除が必要な場合に発表する。 (3)警 報・・・主要な病害虫の大発生が予想され、かつ緊急に防除が必要な場合に発表する。 (4)特 殊 報・・・県内で初めて発生を認めた病害虫がある時や、病害虫の発生様相が特異な時に発表する。 (5)防除情報・・・注意をうながす必要がある病害虫の発生状況や、各種の防除技術指導情報について随時発表する。 ○ お知らせ 病害虫防除・肥料検査センターでは、ホームページで情報を提供しています。ホームページアドレスはhttp://www.jppn.ne.jp/miyazaki/です。 |
【文書取扱】 病害虫防除・肥料検査センター 久野 TEL:0985-73-6670 FAX:0985-73-2127 E-mail:byogaichu-hiryo@pref.miyazaki.lg.jp |