6011−1481
令和3年9月24日
各関係機関の長
各病害虫防除員 殿
宮崎県病害虫防除・肥料検査センター所長
令和3年度病害虫生予報第6号について
令和3年度病害虫発生予報第6号を発表したので送付します。
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令和3年度病害虫発生予報第6号
向こう1か月間における農作物の主な病害虫の発生動向は、次のように予想されます。
○ 発生予報の概要
作 物 名 |
病 害 虫 名 |
発生量の 平年比 |
記載ページ |
普通期水稲 |
1トビイロウンカ |
少 |
2 |
大豆及び野菜・花き類 |
1 ハスモンヨトウ等のチョウ目(鱗 翅目)害虫 |
やや少 |
2 |
施設野菜全般 |
1 土壌病害虫 |
― |
3 |
トマト |
1 トマト黄化葉巻病(TYLCV) |
― |
3 |
ウリ類 |
1 黄化えそ病(MYSV) 2 キュウリ・メロン退緑黄化病(CCYV) |
― ― |
4 4 |
ピーマン |
1 ヒラズハナアザミウマ |
― |
4 |
促成いちご |
1 炭疽病、萎黄病 2 その他の病害虫 |
― ― |
5 5 |
果樹全般 |
1 果樹カメムシ類 |
並 |
5 |
カンキツ類 (露地栽培) |
1 黒点病 2 ミカンハダニ |
並 やや少 |
6 6 |
茶 |
1 炭疽病 2 チャノコカクモンハマキ 3 チャハマキ 4 チャノホソガ 5 カンザワハダニ 6 チャノミドリヒメヨコバイ 7 チャノキイロアザミウマ 8 クワシロカイガラムシ |
並 やや多 並 並 やや少 並 やや少 やや多 |
6 7 7 7 8 8 8 9 |
※注意報を発表
○ 作物の生育状況(9月中旬)
極早生うんしゅうみかんは収穫期、その他のカンキツ類は果実肥大期、茶は秋芽生育期であった。
○ 向こう1か月の気象予報
向こう1か月の気温、降水量、日照時間の各階級の確率(%)
要 素 |
低い(少ない) |
平年並 |
高い(多い) |
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気 温 |
10 |
20 |
70 |
|
降水量 |
40 |
40 |
20 |
|
日照時間 |
30 |
40 |
30 |
(1か月予報 鹿児島地方気象台9月16日発表)
○ 発生予報の根拠および防除対策
普通期水稲 |
1 トビイロウンカ (少)
(1)9月中旬の巡回調査結果
発生面積率 : 0%(平年 66.8%、前年 97.6%) 平年より少
株当たり虫数: 0頭(平年 5.2頭、前年 4.4頭) 平年より少
[防除上の注意]
(1)成虫・幼虫ともに株元に生息しているので、株元まで十分農薬が到達するように防除する。
大豆及び野菜・花き類 |
1 ハスモンヨトウ等のチョウ目害虫 (やや少)
[予報の根拠]
(1)9月中旬のサツマイモほ場でのハスモンヨトウ等の発生面積率 91.7%(平年 88.3%、前年 50.0%)は平年並、被害葉率 25.4%(平年 36.7%、前年 13.4%)は平年よりやや少である。 (2)9月中旬の大豆ほ場でのハスモンヨトウ等の発生面積率 85.7%(平年 90.9%、前年 42.9%)は平年よりやや少、食害度 10.1(平年 19.6、前年 1.7)は平年よりやや少である。 (3)国富町、都城市、西都市、宮崎市に設置したフェロモントラップ調査による誘殺数は、いずれも平年より少なく推移している。 [防除上の注意] (1)幼虫が大きくなると薬剤が効きにくくなるので、早期発見に努め若齢幼虫期に防除する。 |
施設野菜全般 |
1 土壌病害虫
[防除上の注意]
(1)台風等による大雨でほ場が冠水した場合は、土壌消毒の効果がなくなり、疫病や青枯病、線虫等の被害が発生する恐れがあるので、排水対策を十分行うとともに、必要に応じて再度土壌消毒を行う。 (2)薬剤による土壌消毒を行う場合は、事前の耕起、整地は丁寧に行い、土壌水分の調整を適切に行う。 (3)苗等の生育状況をこまめに観察し、疫病等の発病が疑われる場合は、早めに防除を行う。 |
トマト |
1 トマト黄化葉巻病(TYLCV)
[防除上の注意]
(1)病原ウイルスは、タバココナジラミによって伝搬されるので、媒介虫の施設内への飛び込みを防止し、増殖しないよう防除を行う。また発病株は見つけ次第抜根し、ほ場から持ち出し埋没処分する。 (2)生育初期に感染すると被害が激しく、全滅する場合もあるので、媒介虫の施設への侵入を防ぐため、育苗・栽培施設の開口部には、目合い0.4mm以下の防虫ネットを設置するとともに、育苗期間中および栽培初期には特に防除を徹底する。 (3)タバココナジラミは、一旦密度が増加すると防除が難しいので、定植時に粒剤処理を行うとともに発生初期の防除を徹底する。また、黄色粘着トラップを設置し、早期発見・密度抑制に努める。 (4)特にタバココナジラミ バイオタイプQは、農薬に対する感受性が低く防除効果が劣る薬剤があるので、適切な薬剤の選択が必要である。 (5)タバココナジラミは多くの植物に寄生し、増殖するので、育苗・栽培施設内外の除草を徹底するとともに栽培目的以外の作物や観葉植物等を持ち込まない。 |
ウリ類 |
1 黄化えそ病(MYSV)
[防除上の注意]
(1)現在、県内全域のきゅうり栽培地域で発生が確認されている。 (2)近紫外線カットフィルムや施設開口部に防虫ネット(0.4mm目合い以下)を必ず設置するとともに、施設周囲に光反射マルチ(少なくとも70cm幅以上)を被覆するなどの物理的防除手段を利用し、本ウイルス媒介虫であるミナミキイロアザミウマの施設内への侵入を抑制する。 (3)媒介虫であるミナミキイロアザミウマは各種薬剤に対する感受性低下が確認されており、薬剤のみの防除は困難である。そのため、本虫が土中や地表面で蛹化することを防止するためのマルチ被覆や、誘殺のための有色粘着板の設置、生物農薬の使用など、総合的な防除対策を講じる。 (4)ミナミキイロアザミウマは多くの植物に寄生し、増殖するので、育苗・栽培施設 内外の除草を徹底するとともに栽培目的以外の作物や観葉植物等を持ち込まない。 |
2 キュウリ・メロン退緑黄化病(CCYV)
[防除上の注意]
(1)病原ウイルスは、タバココナジラミによって伝搬されるので、媒介虫の施設内への飛び込みを防止し、増殖しないよう防除を行う。 (2)きゅうりでは、特に摘心栽培で影響が出やすく、栽培初期の感染では収量の減少につながる。メロンでは着果前に感染すると、症状が激しくなり品質・収量が低下する。 (3)きゅうり、メロンともに育苗期からの感染防止に努め、特にメロンでは開花結実期までの防除を徹底する。 (4)草勢の低下により症状が進行するため、葉面散布等の実施により草勢の維持管理に努める。 (5)防除対策については、トマト黄化葉巻病の項を参照する。 |
促成ピーマン |
1 ヒラズハナアザミウマ
[防除上の注意]
(1)本虫は主に花に寄生し、果実ヘタ部表面の褐変や白ぶくれ症状などの被害につながる。近年、定植後早い時期から発生が認められ、平成30年産と令和元年産では、平年より多く発生し、果実被害も確認されている。 (2)ピーマンに発生する個体群は、多くの薬剤に対して感受性低下が認められているため、多発してからの防除は非常に困難である。そのため、定植直後から以下の防除対策を実施し、密度の抑制に努める。 (3)本虫は青色粘着板による誘殺が効果的であるため、樹冠部付近へ10a当たり300〜500枚を設置する。青色粘着板はミナミキイロアザミウマに対しても有効である。 ただし、天敵カスミカメ類が青色粘着板に誘殺される可能性があるので、カスミカメ類導入ほ場には設置をしない。 (4)ほ場外の除草を徹底する。 (5)主に花の内部に生息することから、薬剤防除は、薬液が花の内部にしっかり付着するように行う。また、薬剤の付着性を高めるために、必ず展着剤か気門封鎖剤を混用する。多発時は複数回の連続防除が必要である。 ピーマンの花数が減少する時期は防除適期となるので、この時期を逃さず、防除の徹底を図る。 |
促成いちご |
1 炭疽病、萎黄病 [防除上の注意] (1)罹病苗の持ち込みは本ぽ内での感染源となるため、健全苗の定植に努める。苗床で発病が確認された場合は、その周囲の苗も感染苗と見なし、適切に処分する。(発病苗及び半径3ポット程度は廃棄する。圃場周囲に放置しない。) (2)定植後に発病した株は早期に除去し、ビニール袋に入れて隔離するなど病原菌の拡大防止に努める。 2 その他の病害虫 [防除上の注意] (1)近年、苗からの持ち込みによるうどんこ病やハダニ類の発生が多く、定植初期から病害虫の発生が多い状況が見られるので、定植前に防除を徹底し、本ぽに病害虫を持ち込まないよう注意する。 |
果樹全般 |
1 果樹カメムシ類(並)
[防除上の注意]
(1)予察灯による誘殺数調査(国富町、日南市、都城市、宮崎市)では、9月上旬以降チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシともおおむね平年並で推移しているが、延岡市のチャバネアオカメムシについては、誘殺数がやや多くなっている。 (2)果樹カメムシ類は園外から飛来し、地域や時期によって発生量が大きく変動するので、園内外を見回り、早期発見・早期防除に努める。 (3)うんしゅうみかんでは、色ぬけから着色始め頃の加害は落果を生じやすく、特に 注意が必要である。 |
チ チャバネアオカメムシの予察灯誘殺状況
カンキツ類(露地栽培) |
1 黒点病 (並)
[予報の根拠]
(1)9月中旬の巡回調査結果
発生面積率:55.6%(平年 62.3%、前年 44.4%)平年並
発病果率 :29.6%(平年 37.1%、前年 17.8%)平年並
[防除上の注意]
(1)感染源となる枯れ枝は、可能な限り取り除き園外に持ち出して処分する。
(2)防除間隔の目安は積算降水量250mmで、降水量が少なくても1か月後には次の防除が必要である。
2 ミカンハダニ (やや少)
[予報の根拠]
(1)9月中旬の巡回調査結果 発生面積率:27.8%(平年 42.5%、前年 27.8%)平年よりやや少 寄生葉率 : 5.8%(平年 8.3%、前年 1.2%)平年並 [防除上の注意] (1)生息密度が高くなると防除効果が劣るので、寄生葉率30%または1葉当たり虫数 0.5〜1頭を目安に、発生初期に防除を行う。 (2)同一系統剤の連用を避け、作用性の異なる薬剤のロ−テ−ション散布を実施する。 |
茶 |
1 炭疽病 (並)
[予報の根拠]
(1)9月中旬の巡回調査結果
発生面積率 :56.3%(平年 48.3%、前年 46.7%)平年よりやや多
u当たり病葉数: 8.5葉(平年 9.0葉、前年 18.5葉)平年並
2 チャノコカクモンハマキ (やや多)
[予報の根拠] (1)9月中旬の巡回調査結果 発生面積率 :6.3%(平年 1.8%、 前年 0%)平年よりやや多 u当たり虫数:0.1頭(平年 0.03頭、前年 0頭)平年よりやや多 (2)宮崎市、都城市、三股町、川南町に設置しているフェロモントラップ調査による誘殺数は、宮崎市および都城市は平年より多いが、その他は平年並の状況である。 |
[予報の根拠]
(1)9月中旬の巡回調査結果 発生面積率 :0%(平年 1.8%、 前年 0%)平年並 u当たり虫数:0頭(平年 0.03頭、 前年 0頭)平年並 (2)宮崎市、都城市、三股町、川南町に設置しているフェロモントラップ調査による誘殺数は、いずれも平年並の状況である。 |
4 チャノホソガ (並)
[予報の根拠]
(1)9月中旬の巡回調査結果 発生面積率 :56.6%(平年 45.4%、前年 13.3%)平年並 u当たり巻葉数: 3.5葉(平年 5.8葉、前年 0.7葉)平年並 (2)宮崎市、都城市、三股町、川南町に設置しているフェロモントラップ調査による誘殺数は、平年より多く推移していたが、9月以降はおおむね平年並である。 |
55 カ ンザワハダニ (やや少)
[予報の根拠]
(1)9月中旬の巡回調査結果 発生面積率:12.5%(平年 33.0%、前年 46.6%)平年より少 寄生葉率 : 0.9%(平年 2.4%、前年 2.9%)平年よりやや少 [防除上の注意] (1)防除適期は越冬前の10月中下旬であるが、気象要因による変動が大きいため、茶園を観察して防除の必要性および時期を判断する。 (2)冬季のマシン油散布が密度抑制に有効である。ただし、赤焼病の発生を助長するため、赤焼病の発生が懸念される茶園においては、十分に気温の低下した時期(耐凍性を獲得する時期)に散布を実施する。 (3)本県では冬期においてもハダニが繁殖可能なため、越冬前の防除がより重要である。この時期の防除が不十分な場合は、翌年の一番茶における被害が大きい。 (4)同一系統薬剤の連用を避け、作用性の異なる薬剤のロ−テ−ション散布を実施する。 |
6 チャノミドリヒメヨコバイ (並)
[予報の根拠]
(1)9月中旬の巡回調査結果 発生面積率:31.3%(平年 40.0%、前年 46.7%)平年よりやや少 寄生葉率 : 1.0%(平年 2.4%、前年 1.9%)平年よりやや少 [防除上の注意] (1)秋整枝を行う成木園では特別に防除をする必要性は低いが、更新園や幼木園では新芽の生育期間が長く、被害を受けやすいので、芽の状況に合わせて防除する。 |
7 チャノキイロアザミウマ (やや少)
[予報の根拠]
(1)9月中旬の巡回調査結果 発生面積率: 0%(平年 44.4%、前年 26.7%)平年より少 寄生葉率 : 0%(平年 4.5%、前年 0.7%)平年より少 [防除上の注意] (1)秋整枝を行う成木園では特別に防除をする必要性は低いが、更新園や幼木園では新芽の生育期間が長く、被害を受けやすいので、芽の状況に合わせて防除する。 |
8 クワシロカイガラムシ (やや多)
[予報の根拠]
(1)9月中旬の巡回調査結果 発生面積率:18.8%(平年 11.9%、前年 6.7%)平年よりやや多 寄生株率 : 8.1%(平年 3.1%、前年 0.7%)平年より多 [防除上の注意] (1)防除適期は幼虫ふ化最盛期なので、園内のふ化状況をよく観察して防除する。 (2)薬剤散布量は、成木園で10a当たり1,000リットル程度を目安に、専用噴口を使うなどして枝幹に十分かかるように丁寧に散布する。 |
○ その他
1 農薬適用の有無などについては次のホームページで確認する。
宮崎県農薬安全使用啓発
http://nouyaku-tekisei.pref.miyazaki.lg.jp/noyaku/user/top/miyazaki
日本植物防疫協会 http://jppn.ne.jp
農林水産省(農薬コーナー) http://www.maff.go.jp/j/nouyaku/
農林水産消費安全技術センター http://www.acis.famic.go.jp/
2 農薬の使用に当たっては、農薬使用基準の遵守並びに危被害の発生防止に努める。
3 発生量(程度)の区分
多 い (高 い) やや多いの外側10%の度数の入る幅
やや多い (やや高い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
平年並 平年値を中心として40%の度数の入る幅
やや少ない (やや低い) 平年並の外側20%の度数の入る幅
少ない (低 い) やや少ないの外側10%の度数の入る幅
(平年値は過去10年間の平均)
4 予察情報の種類
病害虫防除・肥料検査センターから発表する情報は次の5つです。
(1)予 報・・・向こう1か月の発生状況を予測し、毎月25日前後に発表する。
(2)注 意 報・・・主要な病害虫の多発生が予想され、かつ早めに防除が必要な場合に発表する。
(3)警 報・・・主要な病害虫の大発生が予想され、かつ緊急に防除が必要な場合に発表する。
(4)特 殊 報・・・県内で初めて発生を認めた病害虫がある時や、病害虫の発生様相が特異な時に発表する。
(5)防除情報・・・注意をうながす必要がある病害虫の発生状況や、各種の防除技術指導情報について随時発表する。
○ お知らせ
病害虫防除・肥料検査センターでは、ホームページで情報を提供しています。
ホームページアドレスは、http://www.jppn.ne.jp/miyazaki/です。
【文書取扱】 病害虫防除・肥料検査センター 久野 TEL:0985-73-6670 FAX:0985-73-2127 E-mail:byogaichu-hiryo @pref.miyazaki.lg.jp |