○カンキツ黒点病防除用簡易降水量計の製作法
簡易降水量計を利用した黒点病防除タイミング決定の原理
「黒点病の薬剤防除は果実を対照に5〜9月に3〜4回行う。初回防除後は降水量(積算降水量)と散布後の経過日数から次回の防除時期を決定する。
散布後の積算降水量250〜300mmまたは散布後30日経過した時期が次の散布時期となる。」(平成12年度防除員研修会資料より抜粋)
つまり、防除対照となる園での降水量を測定できれば、より効率的・効果的な防除が可能となる。ここでは、自分で制作できる簡易降水量計についてその原理と作成法を解説します。
簡易降水量計のつくり方
じょうごとポリタンクを使って簡易降水量計を作ることができます。
この簡易降水量計は、一般的な転倒ます式降水量計との比較観測の結果、降水量10mm以上の場合では、転倒ます式降水量計に対する観測誤差が±10%以内となっています。
◎降水量の計り方
降雨量(mm)=雨水の体積(ccまたはcm3)÷受け口の面積(cm2)×10
今回使用したじょうご(受け口)の面積は
12(cm)×12(cm)×3.14=452.16(cm2)
降水量が 100mmの時の雨水の体積
100(mm)×452.16(cm2)÷10=4521.6≒4520(ccまたはcm2)
同様にして計算すると次のようになる
降水量 (mm) |
雨水の体積 |
|
(ccまたはp3) |
(リットル) |
|
50 |
2,260 |
2.26 |
100 |
4,520 |
4.52 |
150 |
6,780 |
6.78 |
200 |
9,040 |
9.04 |
250 |
11,300 |
11.30 |
300 |
13,560 |
13.56 |
◎実際の作成法
★タンク
1)まず、メスシリンダーで2,260ccの水を計る。
2)その水をポリタンクに入れ、鉛筆かペンで水面に印を入れる(これが50mmの線となる)。
3)1)および2)を5回繰り返す(50mmごとに300mmまでの線が入る)。
4)赤、黄、青のビニルテープを貼り、マジックで線と数字を書き込むと完成。
○テープの色と降水量の関係
赤:降雨量250mm〜300mm
(薬剤の効果がなくなっているので急いで散布する)
黄:降雨量200mm〜250mm
(そろそろ散布する時期に入っているので、機会を見て散布する)
青:降雨量 0mm〜200mm
(まだ薬剤の効果が十分残っている)
★じょうご
1)ポリタンクの2つのふたのうち、ホースを取り付ける方のふた(穴あき)を準備する。
2)ふたの穴を通すようにして、じょうごとホースを接着し、ふたに固定する。
3)ホースの上部に空気穴をあける。
タンクにじょうごを取り付けると簡易降水量計の完成です。
※この簡易降水量計は佐賀県果樹試験場病害虫研究室の田代室長が考案されたものです。