2)施設栽培ピーマン主要害虫の天敵等利用技術の実証 (2)
(1) 目的
近紫外線除去フィルムで被覆した施設栽培ピーマンにおいて、複数の天敵を組み合わせた天敵利用技術を検討する。
(2) 方法
@試験地:川南町 農家圃場
A耕種概要:
ア 品 種:試験区 さらら 播種:8月24日 定植:10月7日
対照区 京ゆたか 播種:8月19日 定植:10月3日
イ 面 積:天敵区 13a 定植本数 960本
対照区 8a 定植本数 650本
(3) 薬剤及び天敵の使用
@天敵区
ア 天敵の放飼
ククメリスカブリダニの放飼:10月12日、同17日、同25日、同31日(各100頭/株)
タイリクヒメハナカメムシの放飼:11月21日、同28日(各2頭/株)
イ 殺虫剤の散布
アドマイヤー粒剤:10月7日(定植日)
デルフィン顆粒水和剤:10月19日、11月26日、3月4日
チェス水和剤:11月17日、1月22日、2月4日、3月28日
ゼンターリ顆粒水和剤:12月23日、1月11日
スピノエース顆粒水和剤:3月16日
A対照区
ア 殺虫剤の散布
アドマイヤー粒剤:10月3日(定植日)
デルフィン顆粒水和剤:10月19日、11月26日、3月4日
チェス水和剤:11月17日、3月28日
アファーム乳剤:12月8日
ゼンターリ顆粒水和剤:12月23日、1月11日
スピノエース顆粒水和剤:1月11日、3月16日
チェス水和剤:1月22日、2月4日
Bその他
ア 殺菌剤の散布:両区とも農家慣行による
イ 両区とも380nm以下の波長をカットするフィルムを使用したビニールハウス及び1o目合いの防虫ネットを使用
(4) 調査方法
アザミウマ類は任意の100花と、あらかじめマークした10株について、各株任意の10葉の生息数を定期的に計数した。また、ククメリスカブリダニは葉について、タイリクヒメハナカメムシは花について同様に生息数を計数した。また、1月23日から収穫前の任意の100果についてアザミウマ類による被害果を計数した。
(5) 結果
@ククメリスカブリダニは、4回目放飼の約1ヶ月後から葉当虫数0.5頭程度で1月上旬まで推移した。1月中旬以降は葉当虫数0.1〜0.2頭前後で推移してきたが、2月13日の調査では初めて生息を確認することができなかった。その後は、3月27日の調査終了時まで、葉当たり0.1頭以下で推移した。(図−1)
Aタイリクヒメハナカメムシは、最終放飼22日後の12月19日に100花当たり4頭の生息が確認された。その後2月7日に100花当たり1頭の生息を最後に、調査終了時まで生息を確認できなかった。(図−1)
B葉に生息しているアザミウマ類については、葉の食害は見られたものの、1月8日に100葉当たり1頭の生息を確認したのみであった。(図−1)
C花に生息しているアザミウマ類については、天敵区では調査期間を通して1花当たり0.3頭以下に抑制した。対照区では、12月19日〜1月8日にかけて、花当たり0.02頭〜0.08頭を確認したのみであった。(図−2)
Dアザミウマ類による被害果は、天敵区では、調査期間を通して100果当たり1〜2果の発生であった。対照区では、被害果の発生は確認されなかった。(図−2)
(6)考察
紫外線カットフィルムとククメリスカブリダニの組合せにより、年内のアザミウマ類の防除は可能である。
図−1 放飼天敵及びアザミウマ類の葉(花)当たり生息虫数
図−2 被害果率及びアザミウマ類花当たり虫数
