トマト黄化葉巻病(TYLCV)
新葉の黄化 黄化、葉巻 健全株との対比
タバココナジラミ成虫 タバココナジラミ幼虫 トルコギキョウでの症状

病害虫名:トマト黄化葉巻病
 
病原ウイルス:トマト黄化葉巻ウイルス  (Tomato yellow leaf curl virus:TYLCV)
 
TYLCVの主な宿主範囲
ナス科:○トマト、○ミニトマト、ピーマン、ジャガイモ、タバコ、ペチュニア、チョウセンアサガオ
リンドウ科:○トルコギキョウ
マメ科:インゲンマメ、ヒラマメ
※○印は自然感染が確認されている植物。他は実験的に感染が確認されている植物。
 
トマトでの病徴
はじめ新葉が黄化し、葉が表側に巻くようになる。その後、葉の萎縮や生長の抑制といった症状が現れ、それ以降の着果・収穫は望めない。病徴が発現する前に着果した果実への影響はほとんど見られないが、生育初期に感染すれば収穫皆無となる。
 
トルコギキョウでの病徴
茎の節間が縮み、葉が小型化、葉脈が隆起し、トマトと同様に表側に巻くようになる。
 
伝染方法
@本ウイルスはタバココナジラミ類(タバココナジラミバイオタイプQ、シルバーリーフコナジラミ)によって媒介される。
Aアブラムシ類等その他の害虫は媒介しない。同じコナジラミでもオンシツコナジラミは媒介しない。
Bタバココナジラミ類は幼虫〜時に感染株を吸汁することでウイルスを保毒し、その個体が死ぬまで一生ウイルス伝搬能力を持つ(永続伝搬)が、経卵伝染はしない。
C種子伝染、土壌伝染、汁液伝染はしない。
 
防除対策
(1)発病株は伝染源となるので、直ちに抜き取りほ場外に持ち出し埋没処分するか、ビニール袋等に入れて完全に枯れるまで密封処理する。
(2)施設栽培では施設開口部に防虫ネット(目合い0.4mm以下が望ましい)を設置し、コナジラミ類の侵入を防ぐ。
(3)黄色粘着トラップを施設内に設置し、媒介虫の早期発見と捕殺に努める。
(4)タバココナジラミバイオタイプQに効果のある殺虫剤が少ないことから、薬剤散布後は防除効果に注意を払い、必要に応じて適宜追加防除を行う。有効な薬剤に対する抵抗性の発達を回避する観点からも同一薬剤の連用は極力行わず、ローテーション散布を心がける。また、抵抗性発達の可能性が低い微生物農薬やコナジラミを物理的に窒息死させる薬剤を防除体系に組み込む。光反射マルチや近紫外線カットフィルム、黄色粘着板等の物理的防除手段も利用する。
(5)摘葉残さも、卵や幼虫が付着していることがあるので、放置せず施設外に持ち出し適切に処分する。
(6)ほ場周辺及び内部の雑草は、媒介虫の生息・増殖場所となるので、除草する。
(7)施設栽培では、栽培終了時はハウスを密閉処理を行ってから片づけ、コナジラミ類が施設外に飛び出さないようにする。