宮崎県

TSWVの発生に注意しましょう


トマト黄化えそウイルス(Tomato spotted wilt virus:TSWV)が発生しています。本病は挿し穂やアザミウマ類によって伝染・媒介されるため、穂木は健全な親株から採り、アザミウマ類の防除を徹底することが必要です。ウイルスに感染すると以下のような症状になりますので十分注意してください。

きく
一般に葉に退緑斑を生じ、やがて葉は黄化、枯死する。枯死葉の付近の茎にえそ条斑が認められ、症状が進行すると髄部にまで病変が及ぶ。発症は出蕾期に多い。発生園で2度切り栽培すると多発する傾向がある。

ピーマン
促成栽培で11〜4月ごろまでに発生すると、はじめに生長点付近の葉に軽いモザイクと奇形が見られ、やがて生長点のみが枯死する。成葉に不鮮明な黄緑輪紋を生じ、茎にはえそを生じる。果実は軽いモザイクや不規則な褐色えそを生じ、奇形化する。

トマト
葉に褐色のえそ斑点を生じ、葉先から黄化する。茎や葉柄に褐色えそ斑を生じ、茎の内部は空洞化し、萎凋枯死することもある。果実は表面に褐色えそ斑を生じ、こぶ状に盛り上がった奇形果となり、上段果房ほど脱落しやすくなる。



キクの茎に発生したえそ条斑

茎の縦断面

ピーマンのモザイク症状

(茨城県農業総合センター津田新哉原図)


ピーマンの奇形果

(茨城県農業総合センター津田新哉原図)


トマトの被害
(茨城県農業総合センター津田新哉原図)


トマトの奇形果


感染
植物

キク科

キク、ガーベラ、ダリアなど

マメ科

ササゲ、ソラマメ、ラッカセイなど

ナス科

トマト、ピーマン、ナスなど

アカザ科

ホウレンソウなど

雑草

ヨモギ、ヨメナ、セイタカアワダチソウ、セイヨウタンポポ、ツユクサ、シロツメクサ、カラスノエンドウ、イヌビユ、ハコベ、イヌタデなど
伝搬
  • ミカンキイロアザミウマなどのアザミウマ類(他にヒラズハナアザミウマ、ミナミキイロアザミウマ、ダイズウスイロアザミウマ、ネギアザミウマなど)の1齢幼虫のみがウイルスを吸汁獲得し、羽化した成虫がウイルスを永続伝搬する。伝搬能力は24日〜43日以上継続する。経卵伝染はしない。

  • 種子伝染、土壌伝染はせず、アザミウマ類による伝搬が主と考えられるが、管理作業での伝染の危険性もある。

防除
対策
  • TSWVの媒介虫であるアザミウマ類の防除を徹底する。

  • 栄養繁殖性作物の親株には、健全株を使用する。

  • 作業の際には被害株に触れた器具や手で健全株に触れないようにする。

  • ほ場内や、ほ場周辺の除草を徹底する。

  • 発病株は直ちに抜き取り焼却する。

  • 施設では収穫終了後、施設を密閉して蒸し込み、作物とともにアザミウマ類の防除の徹底に努める。

※ミカンキイロアザミウマの生態、登録薬剤等については、平成8年9月に発行したリーフレット「ミカンキイロアザミウマの生態と防除」に記載していますので参照してください。

問い合わせ先
宮崎県病害虫防除・肥料検査センター 〒880-0212

宮崎市佐土原町
下那珂5805
(0985)73-6670
宮崎県総合農業試験場
 生物環境部
(0985)73-2124

または、各地域農業改良普及センターまで

平成9年6月

宮崎県病害虫防除所