発生確認の経過
平成15年頃から、県内のトマトでシルバーリーフコナジラミには効果の高い薬剤で 十分な効果が得られないコナジラミの発生が見られた。また、これまでは発生の少なかったナス、アスパラガスにおいてコナジラミが多発する事例が認められ、九州の他県で問題となっているタバココナジラミ バイオタイプQの発生が疑われた。
そこで、平成17年6〜11月にトマト産地等から採集したタバココナジラミのバイオタイプを検定した結果、バイオタイプQの発生が確認された(表)。検定は、総合農林試験場および病害虫防除所にて、九州沖縄農業研究センター上田氏のPCR法に準じて行った。
バイオタイプとは形態的な差異は小さいが、その他の生物学的性質が異なる系統のことで、タバココナジラミには多くのバイオタイプが存在することが知られている。このうち、バイオタイプBは1994年(平成6年)に別種であるとされ、シルバーリーフコナジラミとして命名された。
形態及び生態
(1)形態
シルバーリーフコナジラミとの形態上の差異は成虫、幼虫ともに確認されておらず、肉眼での区別は困難である。
(2)生態
ア 1996年(平成8年)にスペインで初めて確認され、他にイタリア、中国等で発生しているが、詳細な生態は不明である。
イ 宮崎県病害虫防除所・肥料検査センターの試験では、シルバーリーフコナジラ ミとの交雑は認められていない(未発表)。
被害の特徴
(1)シルバーリーフコナジラミと同様の被害を起こすと考えられ、トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)の媒介(トマト、ミニトマト等)、成虫の吸汁による生育阻害、成虫の分泌物に起因するすす病による葉・果実等の汚れが問題となる。
(2)熊本県病害虫防除所の試験では、カボチャ葉の白化症の発現能力はないか、低いと考えられている(未発表)。
九州での発生状況
宮崎県ではピーマン、シシトウ、トマト、ミニトマト、ナス、キュウリ、メロン、大葉、サツマイモで、熊本県ではトマト、ミニトマト、メロンで、福岡県ではトマト、ミニトマト、ナス、キュウリ、アスパラガス、パプリカ、ブーバルディアで、鹿児島県ではトマト、ミニトマト、ピーマン、ナス、キュウリで、大分県ではトマト、ミニトマト、ナス、キュウリで発生が確認されている。 防除対策
(1)シルバーリーフコナジラミに比べ薬剤抵抗性が発達しており、ピリプロキシフェン剤、一部のネオニコチノイド剤、合成ピレスロイド剤に対する感受性が低いの注意する。薬剤散布に際しては、有効薬剤に対する抵抗性の発達を回避するため、同一系統薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
(2)施設栽培では目合いの細かい防虫ネット、紫外線カットフィルム、光反射マルチ黄色粘着板等を有効活用し、コナジラミの侵入防止・密度抑制につとめる。
(3)施設内および周辺の雑草を除き、コナジラミ増殖源の除去につとめる。
(4)施設栽培終了後は蒸し込みを行い、コナジラミを完全に死滅させる。 |