トップ > 長崎県内で新たに発生した病害虫 > ハラアカモリヒラタゴミムシ(イチゴ)
         
 

         
 

発生確認の経過


平成15年12月、平戸市のハウスイチゴで、収穫時の果実に直径2〜3mmの穴があき、果実内部に食入したような被害が発生した。被害発生ハウスではゴミムシ成虫が確認され、果実とマルチの間に潜入したり、果実内部に食い込んでいた。
 ゴミムシ成虫を病害虫防除所に持ち帰り、イチゴ成熟果実に放飼したところ、同様の症状が再現された。加害ゴミムシを滋賀県立琵琶湖博物館八尋克郎主任学芸員及び兵庫県の伊藤昇氏に同定依頼した結果、ハラアカモリヒラタゴミムシ(Colpodes japonicus  Motschulsky )であることが判明した。これまでに本種によるイチゴ果実の被害報告はない。
 本県での被害は平戸市内の農家2戸で確認した。類似した症状は佐世保市吉井町、佐世保市や大村市でも発生しているが、虫の確認はしていない。

形態、生態及び被害状況
 成虫の体長は 9.4mmで、全体が黄赤褐色で、頭胸背面は黒褐色、前翅背面は緑銅色である。
 北海道、本州、四国、九州に分布し、生息地は水辺湿地、樹葉上で、灯火にもくる。平戸市ではイチゴハウス脇の草地や石の下で生息を確認した。
 被害は12月中旬からみられ、虫の密度の高まりとともにハウス全体に広がり、12月下旬には収穫果実の約7割に及んだ。また、被害は成熟果実に多く、未成熟果実にはほとんどみられなかった。
 本種は夜間に加害して、日中はハウス内のビニルマルチの下に潜んでいた。
 ゴミムシ類は一般的に肉食性の昆虫だが、動植物質ともに食する雑食性の種も知られており、密度が高まった時に被害が発生することがある。イチゴを加害するゴミムシとして、宮城県でマルガタゴミムシ、ゴミムシ、ホシボシゴミムシ、福岡県でマルガタツヤヒラタゴミムシが確認されている。

         
     
  ハラアカモリヒラタゴミムシ成虫   果実被害(黒円内の穴)  
         
     
  加害部からの腐敗(黒円内)   被害果実の切断面