次へ


平成17年度病害虫発生予察注意報第1号
平成17年7月22日  
奈   良   県   
 1 害 虫 名:斑点米カメムシ類  
 2 作  物:水 稲 (極早生・早生品種)
 
 3 注意報の内容
  (1) 発生地域:中山間地域
  (2) 発生時期:平年並(7月下旬〜8月下旬)
  (3) 発生程度:多い
  
 4 注意報発表の根拠
 (1)7月19、20日に県中山間部の巡回調査で行った捕虫網による20回すくい取り調査では、水田周辺のイネ科雑草での斑点米カメムシ類の発生地点率は71.4%、平均捕獲虫数は7.6頭、水田での発生圃場率は35.7%、平均捕獲虫数2.5頭と多い発生となっています(表1)。
 (2)主な発生種は、ホソハリカメムシ、クモヘリカメムシ、トゲシラホシカメムシで、すでに出穂している水田に集中して侵入しています。除草されていない水田畦畔や休耕田を中心に、水田周辺のイネ科雑草でも発生が認められており、今後、イネの出穂にともない水田への一層の侵入が予測されます。
 (3)今後1カ月間の気象予報によると、気温、降水量ともに平年並の見込みであり、イネの出穂期に本田への斑点米カメムシ類の侵入が多くなると予測されます。
 
 5 防除上の注意点
 (1) 斑点米カメムシ類は、イネ科雑草で増殖してイネが出穂すると水田に侵入し、穂を吸汁加害します。イネの出穂20日前までに、畦畔や水田周辺の雑草の刈り取りを1回だけ行った場合、一時的に生息  数を減らせますが、その後再び増加する場合があります。雑草の穂が出る前に再度除草をするか、乳熟期に殺虫剤を散布してください。また、これまで除草を行っていない場合、出穂直前の除草は、餌場を失ったカメムシ類の水田への侵入を促し、逆効果となります。除草は行わず、殺虫剤散布で防除してください(表2)。既に出穂している中山間地では特に注意してください。
 (2)乳熟期(出穂10日後)から黄熟期(出穂20日後)に加害されると斑点米になりますので、出穂後にカメムシを見かけた場合には出穂 10日後までに防除します(表2)。ただし、毎年発生が多いところや、中山間部の早生品種では出穂7日後と14日後の2回防除してください。
 (3)カメムシは畦畔や水田の周縁部に多い傾向がありますので、畦畔を含めた額縁防除でも有効です。
  (4)休耕田の雑草にいるカメムシ類に対しては、休耕田で使用できる薬剤で防除してください。
 (5)作期の異なるイネが混在して栽培されている地域では、早生品種に斑点米被害が多くなる傾向がありますので、注意してください。
 (6)薬剤は、農薬使用基準を必ず守って使用してください。
 
 
 
 表1 県中山間部の水田および水田畦畔・休耕田のイネ科雑草における斑点米カメムシ類の発生状況
                      (7月中旬 捕虫網による20回すくい取り調査)
   H12  H13  H14  H15  H16  H17
雑草 発生地点率(%)
   捕獲虫数
 77.0
  3.0
100.0
 14.1
 71.4
  5.8
 78.0
 14.0
 58.3
  8.7
 71.4
  7.6
水田 発生圃場率(%)
   捕獲虫数
 61.5
  1.2
 92.0
  4.4
 23.1
  0.5
 25.0
  0.4
 25.0
  1.0
 35.7
  2.5
  注)捕獲虫数:1地点当たりの平均成幼虫数
 
 
 表2  水田に散布する主な防除薬剤
  薬 剤 名
 
使用量/10a
または使用濃度
収穫前
使用日数
使用回数
 
総使用回数
 
休耕田
合成ピレスロイド剤
 トレボン粉剤DL
 トレボン乳剤
 MRジョーカー粉剤DL
 MRジョーカーEW

 3〜4kg
 2000倍
 3〜4kg
 2000倍

  7日
 21
  7
 14

  3回
  3
  2
  2

  3回
  3
  2
  2




有機リン剤
 スミチオン粉剤3DL

 スミチオン乳剤
 バイジット粉剤2DL

 3〜4kg

 1000倍
 3〜4kg

 14

 21
 21

3(但し出
穂前は1)
  3
  2

  4

  4
  2




有機リン剤+カーバメート剤
 スミバッサ粉剤20DL

 バイバッサ粉剤DL

 マラバッサ粉剤DL
 

 3〜4kg

 3〜4kg

 3〜4kg
 

 14

 21

  7
 

3(但し出
穂前は1)
  2

  5
 

 BPMC5
 MEP 4
 BPMC5
 MPP 2
 マラソン5
 BPMC 5






 
ネオニコチノイド剤
 スタークル/アルバリン粉剤DL

 スタークル/アルバリン粒剤
 

   3kg

   3kg
 

  7

  7
 

  3

  3
 

4(本田期は
  3回以内)
4(本田期は
  3回以内)




 
   ※ヨシ、オギ、ススキ、セイタカアワダチソウ等の多年生雑草が優先している休耕田で使用できる薬剤