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平成17年度病害虫発生予察注意報第2号
平成17年8月19日  
奈   良   県   
 
 病害虫名 ハイマダラノメイガ(ダイコンシンクイムシ)
 対象作物 ハクサイ、ダイコン、コマツナ、ハボタン等のアブラナ科作物
 
1.発生地域 県下全域
2.発生時期 8月下旬〜10月上旬
3.発生程度 多い
 
4.病害虫情報の根拠
(1)橿原市のフェロモントラップ(※1)では、7月6半旬に誘殺ピークがあり、クレオメ(※2)による調査では、8月以降幼虫寄生株率が86〜90%、被害株率が100%に達し、発生が多くなっています(図1、2)。
(2)8月中旬の巡回調査では、アブラナ科作物において被害株率は4.2%と低いものの、被害発生圃場率は83.3%と高くなっています。8月上旬に適期防除を行っているところでは被害を低く抑えていますが、発生量は平年より多い傾向です。
(3)次の幼虫発生ピークは8月6半旬〜9月2半旬と予想され、アブラナ科作物の播種・育苗・定植時期と重なり、さらに被害が拡大すると予想されます。その後も10月上旬頃までは発生に注意が必要です。
 ※1:フェロモン源(ルアー)は、開発中で市販されていません。
 ※2:フウチョウソウ科の花き類で、本虫の発生を観察しやすい植物です。
 
5.防除上の注意事項
(1)本虫はアブラナ科作物の育苗期や本圃の初期に、幼虫が生長点付近の葉や芯を加害します。加害がひどいと芯止まりになり収穫皆無の恐れもありますので、加害部位の観察を励行し、早期発見、早期防除に努めてください。
(2)本虫の主な適用薬剤は表1のとおりです。使用に当たっては農薬ラベルに記載された使用方法を確認し、遵守してください。散布剤の残効は5〜10日程度と短いので、散布後も発生に注意してください。キャベツでは、定植時に粒剤を施用しておくと良いでしょう。
(3)キャベツやブロッコリーよりも、ハクサイやダイコンを好む傾向がありますので、後者をよく観察し、防除適期をつかむと良いでしょう。
(4)コマツナ等のアブラナ科軟弱野菜栽培やハクサイ、ハボタン等の育苗期に、寒冷紗や1mm目合いのネットを被覆すると、侵入抑制効果が高く有効です。ただし、被覆後も油断せず、被覆内部で害虫発生がないかよく観察してください。
フェロモントラップ誘殺数の推移のグラフ クレオメでの発生状況のグラフ
 
 表1 ハイマダラノメイガの主な適用薬剤(平成17年8月18日現在)
 適用作物名
 
 薬剤の種類
 
  薬 剤 名
 
野菜類 BT剤 チューンアップ顆粒水和剤
キャベツ













 
ネオニコチノイド剤(粒剤)
 
アクタラ粒剤5
モスピラン粒剤
有機リン剤
 
DDVP乳剤75
PAP乳剤
IGR剤


 
アタブロン乳剤
カスケード乳剤
マッチ乳剤
マトリックフロアブル
BT剤
 
エスマルクDF
フローバックDF
その他



 
アファーム乳剤
スピノエース顆粒水和剤
トルネードフロアブル
ハチハチ乳剤
プリンスフロアブル
ハクサイ



 
有機リン剤
 
DDVP乳剤75
PAP乳剤
その他

 
スピノエース顆粒水和剤
ハチハチ乳剤
プリンスフロアブル
ダイコン






 
有機リン剤

 
DDVP乳剤75
PAP乳剤
オルトラン水和剤
合成ピレスロイド剤 アディオン乳剤
ネライストキシン剤 パダンSG水溶剤(※3)
カーバメート剤 ランネート45DF
IGR剤 マトリックフロアブル
その他 ハチハチ乳剤
かぶ

 
有機リン剤
 
DDVP乳剤75
PAP乳剤
BT剤 エスマルクDF
ブロッコリー
 
有機リン剤
 
DDVP乳剤75
PAP乳剤
カリフラワー
 
有機リン剤
 
DDVP乳剤75
PAP乳剤
非結球アブラナ科葉菜類(のざわな、チンゲンサイ、こまつなを除く) その他

 
アファーム乳剤

 
非結球アブラナ科葉菜類(みずなを除く) その他
 
スピノエース顆粒水和剤
 
ストック
 
ネオニコチノイド剤(粒剤) モスピラン粒剤
有機リン剤 オルトラン水和剤
 ※3:夏期高温期、軟弱徒長苗には薬害の恐れがあるため使用しない。