病害虫発生予察注意報 第1号(果樹カメムシ類)
奈 病 防 第 7 号
平成18年 5月29日
各関係機関長
病害虫防除員 殿
観察員、調査員、情報員
奈良県病害虫防除所長
平成18年度病害虫発生予察注意報第1号(果樹カメムシ類)について
このことについて、下記のとおり病害虫発生予察注意報第1号果樹カメムシ類(チャバネアオカメムシ・クサギカメムシ)を発表しましたので送付します。
平成18年度 病害虫発生予察注意報 第1号
1.病害虫名:果樹カメムシ類(チャバネアオカメムシ・クサギカメムシ)
2.対象作物:ナシ・ウメ・モモ
3.注意報の内容
(1)発生が予想される地域:県下全域
(2)発生程度:多い
(3)発生時期:早い
4.注意報の根拠
(1)カメムシ類成虫の平均越冬量は調査地点あたり約4.6頭と、平年よりも多くなっています。
(2)平成18年5月23日に、捕虫網を用いた野外巡回調査を行った結果、果樹産地のサクラ、 キリ、クワ等の多くの地点でカメムシ類成虫が確認されました(表2)。誘殺灯ではチャバネ アオカメムシが多数誘殺されています。(表1)
(3)今後1か月の気象は、気温が平年並の見込みです。降水量が平年並または多いと予想されており、カメムシ類の飛来にも好適と考えられます。
5.防除対策
(1)カキ産地ではカキ受粉用ミツバチの放飼が行われているので、薬剤散布上の申し合わせを 守って下さい
(2)カメムシの飛来は園地条件によって大きな差があります。発生状況に応じて防除を行って 下さい。ウメ園では小梅に集まる傾向があります。園内のカメムシが集まりやすいところを 中心に、飛来の有無を十分確認の上防除して下さい。
(3)飛来の無い園での予防散布はカイガラムシやハダニの多発の要因となりますので、不要な 防除は絶対に行わないで下さい。
(4)黄色灯を点灯可能な圃場はできるだけ早急に点灯して下さい。カキでは幼果期(6月中旬) 以降の発生に注意して下さい。
(5)ウメのカメムシ類に登録のある薬剤は、スカウトフロアブル(2000倍、収穫前21日前)で す。収穫前日数に注意して散布して下さい。ウメ以外の果樹の登録薬剤には下記の物があ ります。他にも登録薬剤はあります。いずれの薬剤も使用基準を守って使用して下さい。
(6)隣接する農作物に農薬が飛散しないように注意して下さい。
表1 5月の県内誘殺灯のチャバネアオカメムシ誘殺虫数(100w水銀灯)
場所
|
西吉野湯川 |
西吉野百谷 |
西吉野北曾木 |
五條
滝 |
下市
新住 |
御所
南郷 |
天理
萱生 |
橿原
四条 |
西吉野
湯塩 |
1半旬
2半旬
3半旬
4半旬 |
0
25
0
5 |
ー
ー
ー
98 |
0
2
1
23 |
0
0
0
9 |
1
61
0
|
0
45
2
57 |
0
0
0
|
0
46
0
75 |
3
148
1
301 |
表2 巡回調査結果(平成18年5月23日に5枝の捕虫網払い落とし調査)
|
調査地点 |
樹種 |
チャバネ |
クサギ |
|
調査地点 |
樹種 |
チャバネ |
クサギ |
|
桜井 高家
|
サクラ
キリ |
2
8.5 |
0
|
五條 吉祥寺五條 火打
保天山
車谷 |
サクラ
サクラ
キリ
キリ |
3.5
0.5
2
0.5 |
1
0
0.5
0 |
桜井 穴師
|
クワ
サクラ |
2.5
0 |
0
0 |
天理 中山
萱生
園原 |
サクラ
サクラ
サクラ |
1
0
3.5 |
0
0.5
0 |
西吉野 百谷
平沼田
湯川
江出 |
サクラ
サクラ
キリ
キリ |
2
1
0.5
3 |
0
1
0
1 |
明日香 上 |
サクラ |
0 |
0 |
下市 栃原
栃原
地蔵
新住 |
サクラ
キリ |
4.5
2 |
1
0 |
|
サクラ |
1 |
0 |
|
|
チャバネ |
クサギ |
キリ |
5 |
1 |
サクラ 平均在虫数
在虫率 |
1.8
65.6 |
0.4
25.0 |
高取 松山 |
クワ |
1 |
0 |
御所 鴨神 |
サクラ |
0.5 |
0.5 |
キリ 平均在虫数
在虫率 |
3.1
84.6 |
0.3
23.1 |
極楽寺 御所 葛城山
ロープウエー乗り場 |
サクラ |
0.5 |
0 |
サクラ1 |
6 |
0 |
クワ 平均在虫数
在虫率 |
4.5
83.3 |
0.7
33.3 |
サクラ2 |
8 |
2 |
|
表3 モモ、ナシの主な殺虫剤の登録(収穫前使用日数/使用回数)
|
|
薬剤名
|
急性毒性 |
魚毒性 |
モモ
|
ナシ
|
合ピ
レ剤 |
アグロスリン水和剤 |
劇 |
C |
7日/5回 2000倍 |
前日/3回1000〜2000 |
スカウトフロアブル |
劇 |
C |
|
前日/5回1500倍 |
ネオニコ剤 |
アクタラ顆粒水和剤
アドマイヤー水和剤
アルバリン顆粒水溶剤 |
劇
劇
普 |
A
A
A |
14日/3回 2000倍
3日/2回 1000倍
7日/2回 2000倍 |
前日/3回 2000倍
3日/2回 1000倍
前日/3回 2000倍 |
|
上記のほかにも薬剤はありますが、希釈倍率など使用基準を遵守して使用して下さい。
このページのトップへ