注意報
 
平成18年度病害虫発生予察注意報第3号
 
                          平成19年2月8日
                          奈良県病害虫防除所
 
 
作物名  ホウレンソウ(雨よけ)
 
病害虫名 べと病        
 
 
1.発生地域  県下全域
             
2.発生時期  平成18年10月中旬以降
 
3.発生程度  多い
 
4.病害虫情報の根拠
(1)中山間地域の春まき及び秋まき及び、平坦地域の秋まきの雨よけホウレンソウにおいて、近年発生がほとんどなかったべと病の発生が確認されている。平坦地域の6調査ほ場中4ほ場(発生ほ場率66.7%)、中山間地域の14調査ほ場中13ほ場(発生ほ場率92.9%)で発生が確認された。
(2)宇陀地域において昨年春まき及び秋まきのレース1〜5抵抗性品種において、発病が確認され、高原農業振興センターでの接種試験の結果、新レースの発生が県内で初めて確認された(供試品種;スクープ(R4)、トラッド(R5)で発病し、パスワード7(R7)、タキシード7(R7)では発病しなかった)。

(3)昨秋以降の発生により菌密度が高まっており、また新レースの発生も確認されたことから、今春以降も広域的に発生の拡大が懸念される。
5.防除上の注意事項
(1)発病株は伝染源となるので、見つけ次第、除去処分するとともに、収穫残さはハウス周辺には放置せず、袋詰め・発酵させるなどして処分する。
(2)平均気温8〜18℃で、曇雨天が続いたり、ハウスを閉め切るなど、多湿条件が続くと発生が多くなるので、温度、かん水、通風など栽培管理に注意する。
(3)前作で、べと病が発生していたほ場では、は種時にリドミル粒剤2を全面土壌混和処理し、その後も薬剤による予防に努める。
(4)防除にあたっては、農薬のラベルを確認して、安全・適正に使用する(表2)。
   ビスダイセン水和剤は昨年12月に適用内容の使用時期が変更されたため、2月下旬以降〜晩秋は種の作型で、収穫までの日数が45日に満たないことが予想される場合は、使用しないこと。
(5)特にべと病の多発ほ場では、発病株の処分等の耕種的防除対策を徹底した上で、レース7抵抗性品種に切り替え、薬剤による予防に努める他、他作目の輪作も検討する。
 
 
表1 ホウレンソウ べと病の発生が確認された地点および品種

 
調査地点 品  種(抵抗性) 発生時期
宇陀市菟田野区 マジェスタ(R5) 4月〜5月
トラッド(R5),ウィンダム(R5),ビリーブ(R4),アップライト(R4) 
10月〜2月
宇陀市大宇陀区 アップライト(R4)   10月〜2月
御杖村 トラッド(R5) 9月〜10月
曽爾村 トラッド(R5) 9月〜10月
天理市 アクティオン(R4),ソロモン(R3) 12月〜2月
R5;レース1〜5に抵抗性、R4;レース1〜4に抵抗性         (農業総合センター調べ)
                 
               
 
表2 ホウレンソウのべと病に登録があり、春期以降も使用可能な薬剤(2007年2月6日現在)
農薬種類名  商品名  希釈倍数・使用量 使用方法名称 使用時期 本剤の使用回数 総使用回数 
ホセチル水和剤  アリエッティ水和剤  1500倍  散布  収穫前日まで 2回以内 2回以内 
銅水和剤 コサイドボルドー 1000倍 散布 -    
ノニルフェノールスルホン酸銅水和剤 ヨネポン水和剤  500倍  散布  収穫14日前まで 4回以内 4回以内 
メタラキシル粒剤  リドミル粒剤2  9kg/10a  全面土壌混和  は種時  1回  2回以内(種子粉衣は1回以内、は種時は1回以内)
シアゾファミド水和剤  ランマンフロアブル  2000倍  散布  収穫3日前まで 3回以内 3回以内 
注)薬剤耐性菌の発生を防ぐため,同一薬剤の連用は避けること。