病 害 虫 情 報
 
      

                          平成19年9月3日
                          奈良県病害虫防除所
病害虫名 ハイマダラノメイガ
対象作物 ハクサイ、ダイコン、コマツナ、ハボタン等のアブラナ科作物
 
1.発生地域  県下全域
2.発生時期  8月下旬〜9月上旬
3.発生程度  多い
 
4.予察情報の根拠
(1)橿原市のクレオメ(※1)による調査では、8月中旬以降急増し始め、8月下旬には幼虫寄生株率が83〜100%、被害株率が100%に達し、発生が多くなっています。フェロモントラップでは、多発した2005年に比べると誘殺虫数は少ないものの、8月5半旬に誘殺ピークがあり、8月下旬以降のクレオメでの発生は同程度となっています(図1、2)。
(2)奈良県農業総合センター内の8月中旬定植のキャベツでは、被害株率100%となっています。
(3)本種は8月の高温少雨で多発することが知られており、本年は発生に適した気象条件であったことから、今後の多発が見込まれます。
(4)現在すでにアブラナ科作物の播種・育苗・定植時期であり、被害が拡大すると予想されます。その後も9月下旬頃までは発生に注意が必要です。
 ※1:フウチョウソウ科の花き類で、本種の発生を観察しやすい植物です。
 
5.防除上の注意事項
(1)本種はアブラナ科作物の育苗期や本圃の初期に、幼虫が生長点付近の葉や芯を加害します。加害がひどいと芯止まりになり収穫皆無の恐れもありますので、加害部位の観察を励行し、早期発見、早期防除に努めてください。
(2)本種の主な防除薬剤は表1のとおりです。作物ごとの登録条件に留意して系統の異なる薬剤をローテーションして防除を行ってください。散布剤の残効は5〜7日程度と短いので、散布後も発生に注意してください。キャベツやハクサイでは、定植時に粒剤を施用しておくと良いでしょう。IGR剤やBT剤はやや遅効的なので、発生初期に使用してください。
(3)キャベツやブロッコリーよりも、ハクサイやダイコンを好む傾向がありますので、これらをよく観察し、防除適期をつかむと良いでしょう。
(4)コマツナ等のアブラナ科軟弱野菜栽培やハクサイ、ハボタン等の育苗期に、寒冷紗や1mm目合いのネットを被覆すると、成虫の侵入抑制効果が高く有効です。ただし、被覆後も油断せず、被覆内部で害虫発生がないかよく観察してください。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
表 主なハイマダラノメイガ防除薬剤
粒剤


 
アクタラ粒剤
モスピラン粒剤
ダントツ粒剤
プリンス粒剤
BT

 
エスマルクDF
チューンアップ顆粒水和剤
フローバックDF
その他





 
アファーム乳剤
スピノエース顆粒水和剤
パダンSG水溶剤
プリンスフロアブル
トルネードフロアブル
フェニックス顆粒水溶剤
プレオフロアブル
有機リン PAP乳剤
合ピレ
 
トレボン乳剤
アディオン乳剤
IGR

 
アタブロン乳剤
マッチ乳剤
カスケード乳剤
※作物ごとに登録内容を確認してください。