平成19年度病害虫発生予察特殊報 第2号
                                                                              平成20年2月4日
                                                                              奈良県病害虫防除所
1.病害虫名:キュウリ黄化えそ病

2.発生作物:キュウリ

3.病原ウイルス名:メロン黄化えそウイルス  学名 Melon yellow spot virus (MYSV)

4.発生確認の経過
 平成19年11月に五條市の抑制栽培のキュウリ(品種:WF−3)で新葉にえそ斑点、果実表面にモザイク症状が発生した。本施設にはミナミキイロアザミウマが発生しており、農業総合センターにおいて発病葉を電子顕微鏡で観察したところ、トスポウイルスと思われる球状粒子が多数観察された。そこで、MYSV抗血清(日本植物防疫協会製)を用いてTPI法による検定を実施した結果、葉及び果実からメロン黄化えそウイルス(MYSV)が検出された。キュウリ黄化えそ病の発生を確認したのは、本県では初めてである。発生面積は30a。本病は1996年に高知県で初めて確認され、これまで西日本を中心に15県で発生が確認されている。

5.病徴及び被害
 葉には初め葉脈透過症状が現れ、その後退緑や黄化、えそ斑点を生じ、生育不良となる。また果実表面にモザイクや波打ったような奇形を生じる場合がある。

6.発生生態
(1)本ウイルスはミナミキイロアザミウマによって媒介される。その他の種による媒介については不明である。幼虫時の吸汁で保毒し、成虫になるとウイルスを伝搬する。経卵伝染はしない。
(2)土壌伝染、種子伝染はせず、管理作業や接触による伝染の可能性も低い。
(3)本ウイルスの宿主範囲は比較的狭く、自然感染が認められているのは、キュウリ以外では、メロン、スイカ、シロウリである。

7.防除対策
(1)育苗期から媒介虫であるミナミキイロアザミウマの発生に注意し、本圃に持ち込まないよう防除を徹底する。また、定植時にはネオニコチノイド系粒剤〔アドマイヤー1粒剤、ベストガード粒剤、スタークル(アルバリン)粒剤〕等を施用する。
(2)栽培期間中は、ミナミキイロアザミウマの防除を徹底する。本種は殺虫剤抵抗性の発達が著しいので、系統の異なるアファーム乳剤、ハチハチ乳剤、スピノエース顆粒水和剤、コテツフロアブル、ネオニコチノイド系剤等をローテーション散布する。ただし、薬剤の防除効果の低下が認められる場合には、病害虫防除所又は農業総合センター普及技術課に相談する。
(3)発病株は抜き取って埋没等の処分を行う。
(4)ハウスへの侵入防止には開口部への0.4mm目合いネットの被覆が有効である。また、栽培終了後にはハウスを閉め切って蒸し込み、ミナミキイロアザミウマの分散を防止する。