病害虫発生予察注意報 第2号(果樹カメムシ類)
奈
植 防 第3−2号
平成20年7月 7日
関 係 機 関 長 殿
病 害 虫 防 除 員 殿
調 査 員・情 報 員 殿
農業資材販売等関係者 殿
奈良県病害虫防除所長
平成20年度病害虫発生予察注意報第2号
病害虫名 果樹カメムシ類(チャバネアオカメムシ・クサギカメムシ・ツヤアオカメムシ)
作物名 カキ
1.発生地域 県下全域
2.発生時期 7月〜8月
3.発生程度 多い
4.注意報発表の根拠
(1)平成20年6月27日にスギ、ヒノキ、キリ樹への寄生状況について巡回調査を行った結果、キリ、 ヒノキでチャバネアオカメムシの寄生樹率が高くなっていました(表1)。スギは球果量が非常に 少なく、現時点でカメムシはほとんど確認されていません。調査地点におけるヒノキの球果量は中 〜少ですが、地域により大きなバラツキがみられます。
(2)果樹振興センターにおける予察灯へのチャバネアオカメムシ誘殺数は6月下旬以降増加し、7 月4日には610頭と多数誘殺され、7月第1半旬で968頭に達しています。五條市、下市町、御所市 の病害虫情報員・調査員の調査地点においても、100頭/日を超える誘殺数が確認されています。
5.防除上の注意事項
(1)カメムシの飛来は気温と密接な関係があり、最低気温が高く蒸し暑く感じる夜は特に注意が必 要です。こまめに園地を見回り、新しい被害やカメムシを確認した場合は直ちに防除を行って下さ い。
(2)飛来がない園での予防散布は効果が期待できないばかりか、防除コストの増加や天敵の減少に よってカイガラムシ類、ハダニ類の増加が懸念されるなど弊害が大きいので控えて下さい。
(3)黄色灯はチャバネアオカメムシ以外には効果がないので、光源近くや園内でクサギカメムシや ツヤアオカメムシが目立つ場合は薬剤防除が必要です。本年はツヤアオカメムシの誘殺数がやや多 くなっていますので注意して下さい。また、電撃殺虫器、果樹園に面した蛍光灯などの光源はカメ ムシを誘引するので、できる限り消灯して下さい。
(4)各種の殺虫剤の一般的特徴は次ようなものです。薬剤選択の参考にしてください。
@有機リン剤は比較的天敵への影響は小さいが、残効が短い
Aネオニコチノイド剤は吸汁阻害効果が高く7日程度の残効があるが、連用した場合、鱗翅目害 虫(蛾の幼虫)が増える傾向にある
B合成ピレスロイド剤は殺虫効果が強く残効も長いが、特に天敵への影響が大きい
個々の薬剤についてご不明な点があれば、果樹振興センターまでお問い合わせ下さい。
(5)農薬散布時には、隣接する農作物に飛散しないように風向き等に十分に注意して下さい。また、 農薬使用前にはラベルをよく読み、記載された登録条件を遵守して使用するように指導を徹底して 下さい。
表1 果樹カメムシ類巡回調査結果(H20.6.27)
樹 種 H20 H19 H18 H16(多発年)
キリ 平均虫数 1.4 0.1 1.4 5.3
寄生樹率% 61 7
32 71
スギ 平均虫数 0.1 0.04 0.1 0.4
寄生樹率% 7 4 5
38
ヒノキ 平均虫数 0.9 0.1 0.3 0.3
寄生樹率% 44 7
15 22
表2 カキのカメムシ類に登録のある主な殺虫剤
薬剤名 希釈倍数 使用時期 使用回数 備考
スミチオン水和剤40 800〜1000倍 収穫45日前まで 3回以内 有機リン剤
ディプテレックス乳剤 1000倍 収穫14日前まで 3回以内 有機リン剤
アルバリン顆粒水溶剤 2000倍 収穫前日まで 3回以内 ネオニコ剤*
アクタラ顆粒水溶剤 2000倍 収穫3日前まで
3回以内 ネオニコ剤
アドマイヤー水和剤 1000倍 収穫7日前まで
3回以内 ネオニコ剤
アグロスリン水和剤 1000〜2000倍 収穫前日まで 3回以内 合ピレ剤*
アーデント水和剤 1000倍 収穫7日前まで
3回以内 合ピレ剤
MR.ジョーカー水和剤 2000倍 収穫14日前まで 2回以内 合ピレ類似剤
*:ネオニコ剤:ネオニコチノイド剤、合ピレ剤:合成ピレスロイド剤
※平成20年6月30日現在の登録状況です。農薬使用時にはラベルをよく読み、
その登録条件を遵守し使用して下さい。
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