平成22年度病害虫発生予察注意報第2号
病害虫名 果樹カメムシ類(チャバネアオカメムシ・ツヤアオカメムシ・クサギカメムシ) 作物名 カキ
1.発生地域 県下全域
2.発生時期 7月〜8月
3.発生程度 多い
4.注意報発表の根拠
(1)県内のチャバネアオカメムシ越冬個体の密度は、平均11.4頭と過去10年間で3番目に高 い値でした。また、越冬成虫がすべての調査地点で確認されています。
(2)6月下旬以降、チャバネアオカメムシの誘殺数が急増し、果樹振興センターでは6月28 日〜30日の3日間で約900頭が誘殺されました。県内各所の予察灯調査地点においても、1日 あたりの誘殺数が100頭を超える日が多数確認されています(表1)。
(3)本年はツヤアオカメムシの誘殺数が例年になく多く、各所でチャバネアオカメムシと同 程度またはそれ以上の誘殺数が確認されています(表2)。
(4)6月下旬の巡回調査では、カメムシ類の主な生息場所であるスギ・ヒノキの球果数が少 ない傾向がみられ、果樹園への早期の飛来が懸念されます。
5.防除上の注意事項
(1)カメムシの飛来は気温と密接な関係があり、最低気温が高く、蒸し暑く感じる夜は特に 注意が必要です。こまめに園地を見回り、新しい被害やカメムシを確認した場合は直ちに防 除を行います。
(2)飛来がない園での予防散布は、効果が期待できないばかりか、天敵の減少によってカイ ガラムシ類、ハダニ類の増加につながるなど弊害が大きいので控えます。
(3)黄色灯はチャバネアオカメムシの被害軽減に有効な対策です。ただし、ツヤアオカメムシやクサギカメムシには効果がなく、光源近くには両種が誘引されます。今年はツヤアオカメムシの発生が例年になく多くなっていますので、黄色灯点灯後に園内でツヤアオカメムシの姿が目立つ場合や、カメムシによる被害が増加した場合は直ちに点灯を中止し、薬剤防除を行います。
(4)農薬散布時には、薬液が隣接する農作物に飛散しないように十分注意します。また、農 薬使用前にはラベルをよく読み、記載された使用条件を遵守します(表3)。
表1 チャバネアオカメムシの誘殺数(頭/日)
調査場所 |
西吉野町 |
西吉野町 |
西吉野町 |
五條市 |
下市町 |
御所市 |
橿原市 |
西吉野町 |
|
湯川 |
百谷 |
北曽木 |
火打 |
新住 |
南郷 |
農総センター |
果樹センター |
6/26 |
|
7 |
3 |
0 |
14 |
|
1 |
15 |
6/27 |
98 |
|
5 |
15 |
155 |
21 |
87 |
27 |
6/28 |
75 |
84 |
43 |
214 |
222 |
92 |
|
466 |
6/29 |
42 |
60 |
48 |
|
116 |
121 |
|
280 |
6/30 |
|
49 |
44 |
|
|
|
|
142 |
表2 ツヤアオカメムシの誘殺数(頭/日)
調査場所 |
西吉野町 |
西吉野町 |
西吉野町 |
五條市 |
下市町 |
御所市 |
橿原市 |
西吉野町 |
|
湯川 |
百谷 |
北曽木 |
火打 |
新住 |
南郷 |
農総センター |
果樹センター |
6/26 |
|
2 |
13 |
8 |
14 |
|
2 |
3 |
6/27 |
165 |
|
42 |
21 |
123 |
160 |
44 |
15 |
6/28 |
112 |
101 |
91 |
403 |
126 |
210 |
|
410 |
6/29 |
63 |
63 |
80 |
|
65 |
163 |
|
324 |
6/30 |
|
37 |
114 |
|
|
|
|
173 |
表3 カキのカメムシ類に登録のある主な殺虫剤
薬剤名 希釈倍数 使用時期 使用回数 備 考
スミチオン水和剤40 800〜1000 倍 収穫45日前まで 3回以内 有機リン剤
アドマイヤー水和剤 1000倍 収穫7日前まで 3回以内 ネオニコチノイド剤
アクタラ顆粒水溶剤 2000 倍 収穫3日前まで 3回以内 ネオニコチノイド剤
アルバリン顆粒水溶剤 2000倍 収穫前日まで 3回以内 ネオニコチノイド剤
MR.ジョーカー水和剤 2000倍
収穫14日前まで 2回以内 合成ピレスロイド系
アグロスリン水和剤 1000〜2000倍 収穫前日まで 3回以内 合成ピレスロイド剤
※平成22年6月25日現在の登録状況ですが、農薬使用前にはラベルをよく読み、その登録条件を遵守して使用して下さい。