近畿地方の向こう1か月(10/22−11/21)の気象予報では、天気は数日の周期で変わり、平年に比べ曇りや雨の日が多い見込みです。気温は高い確率が60%で、前半はかなり高くなる可能性もあります。降水量は多い確率が50%で平年並が30%、日照時間は少ない確率が50%で平年並が30%と予想されています。
T.普通作物
(1)水稲
1.縞葉枯病
予報内容 発生時期 平年並 発生量 やや多い (県南部地域)
予報の根拠
1)10月下旬の調査では、県南部地域において、収穫後に発生しているヒコバエで、縞葉枯ウイルスによると思われる葉の黄化症状が確認されています。
2)今年度、県内において生育期間中に本病が多発した圃場は確認されていませんが、近年、西日本での発生が増加しており、注意が必要です。
防除上の注意
1)年内のうちに耕起を行い、ウイルスに感染した稲株を腐熟させるとともに、媒介虫であるヒメトビウンカの越冬場所を無くして、越冬密度を低下させます。
2)水田周辺のイネ科雑草は越冬場所となるため、枯れ草も含めて除草を行います。
3)発生地域では、次年度、ムギ畑やイネ科雑草地周辺での育苗は避け、移植時にはウンカに適用のある箱施用剤を必ず施用します。
U.果樹・茶
(1)チャ
1.チャトゲコナジラミ
予報内容 発生時期 − 発生量 平年並
予報の根拠
1)平年並みの越冬世代幼虫の発生が認められています。
防除上の注意
1)発生の多い園では、2月末までにトモノールS又はラビサンスプレーで防除します。この時期の防除は次年度の密度抑制に効果的です。2回散布でより効果が高まりますが、赤焼け病の常発地では年明け後に行います。
2)すそ部を中心に葉裏に薬剤がかかるようていねいに防除する必要があります。
V.野菜・花き類
(1)イチゴ
1.うどんこ病
予報内容 発生時期 平年並 発生量 平年並
予報の根拠
1)10月下旬の調査では、発生ほ場率は18.2%、平均発生小葉率5.8%でした。
2)ビニル被覆後の環境条件は、分生胞子の形成・伝搬に特に好適であり、新葉や花梗を中心に病勢が急速に進展しますので注意が必要です。
防除上の注意
1)「さがほのか」、「アスカルビー」等の罹病性品種で発生が認められています。発生ほ場では、直ちに防除を開始し、開花期まで防除を徹底します。防除が遅れると、出蕾後の花梗や果実に発生し、防除困難になるので、特に注意します。
2)薬剤散布前には必ず下葉かきを行い、動噴の圧力を下げて、薬液が葉裏や株全体にむらなくかかるようていねいに散布します。
3)使用する薬剤は同一系統の連用は避け、必ず薬剤散布2〜3日後に葉裏を観察し、防除効果を確認します。白い菌そうが薄くでも残っている場合は、薬剤の防除効果が低下しているので、その薬剤の使用を控えます。
4)薬剤散布時には、薬液の付着をよくするため展着剤を加用します。但し、アミスター20フロアブル及びストロビーフロアブルは、薬害の恐れがあるため、乳剤との混用やアプローチBI、ミックスパワー、ニーズ等の浸透性を高める機能性展着剤は加用しません。
5)硫黄粒剤によるくん煙処理は、発生後では効果が劣りますが、発生前や防除後の予防には有効です。
2.ハダニ類
予報内容 発生時期 平年並 発生量 やや少
予報の根拠
1)10月下旬の調査では、発生ほ場率は9%、平均発生株率0.4%でした。
2)ビニル被覆後はハウス内温度が上昇するので、ハダニが増加しやすくなります。
防除上の注意
1)この時期には古い葉の裏側で増殖しており、発見しにくいので、葉かきの際に注意して観察します。
2)発生がみられた場合は早期に防除を行います。薬剤散布は、葉裏にも十分薬液がかかるように噴口を上向きにして、株の周りを回すように散布します。葉かき後の葉数の少ない時期の薬剤散布が効果的です。
3)ハダニが寄生した作物の茎葉はハウス外に出して、肥料袋に入れるか、焼却するなど完全に処分します。
3.アブラムシ類
予報内容 発生時期 平年並 発生量 平年並
予報の根拠
1)10月下旬の調査では、発生ほ場率27%、平均発生株率6%でした。
防除上の注意
1)ミツバチ放飼後には、殺虫剤の使用が困難となりますので、開花するまでに防除を徹底します。ミツバチに対する薬剤の影響については、平成20年度防除指導指針を参考にしてください。
2)ミツバチ導入後にはモスピラン水溶剤、チェス顆粒水和剤、ウララDFのいずれかで防除します。その際、モスピラン水溶剤では1日、チェス顆粒水和剤、ウララDFでは散布薬液が乾くまで、ミツバチをハウス外へ持ち出します。
(2)アブラナ科野菜
1.べと病
予報内容 発生時期 平年並 発生量 平年並
予報の根拠
1)10月下旬の調査では、発生ほ場率及び発病株率は、ハクサイでは33.3%と2.0%、ダイコン及びキャベツでは発生は認められていません。
防除上の注意
1)15〜20゚Cの気温で連続した降雨があると、発病は助長されます。
2)発病株や残さは伝染源となりますので、発生初期に早めに除去・処分します。
3)晩秋期の発生が予想されるほ場では、使用時期(収穫前使用日数)に注意して、降雨後に薬剤による防除を行います。
2.コナガ
予報内容 発生時期 平年並 発生量 平年並
予報の根拠
1)10月下旬の調査では、発生ほ場率は、ダイコンでは50%でした。ハクサイとキャベツでは発生は認められませんでした。
2)橿原市、大和高田市に設置している性フェロモントラップへの誘殺数は平年並となっています。
防除上の注意
1)発生が見られた場合には、薬剤抵抗性を持っていることが多いので、異なる系統の薬剤をローテーション散布します。
3.アブラムシ類
予報内容 発生時期 平年並 発生量 少ない
予報の根拠
1)10月下旬の調査では、発生は認められませんでした。
防除上の注意
1)発生が見られた場合には、ネオニコチノイド系薬剤等で防除します。
(3)ホウレンソウ
1.べと病
予報内容 発生時期 平年並 発生量 やや多い
予報の根拠
1)10月下旬の調査では発生は認められていませんが、昨年の晩秋から今年の春にかけて、レース1〜7抵抗性品種での発生が認められていますので、注意が必要です。
防除上の注意
1)11月以降天候不順が続くと、特に発生しやすい条件となりますので、施設内の高湿度を避けるため、換気と排水対策を徹底します。
2)発病株は伝染源となるので、見つけ次第、除去処分するとともに、収穫残さはハウス周辺には放置せず、袋に入れて密封し、腐熟させてから処分します。
3)今後、天候不順時には、ランマンフロアブルやレーバスフロアブル等で予防します。
4)レース1〜7の抵抗性品種で発病が確認された場合には、新レースの発生が疑われますので、直ちに病害虫防除所または農業総合センタ−に連絡します。
2.ホウレンソウケナガコナダニ
予報内容 発生時期 平年並 発生量 平年並
予報の根拠
1)10月下旬の調査では、発生ほ場率は25%、平均被害株率は5%でした。
2)例年、晩秋の11〜12月は被害が比較的多い時期ですので、注意が必要です。
防除上の注意
1)これから播種する場合には、播種前のネマモール粒剤30の全面土壌混和処理と2葉期のカスケード乳剤の散布、4〜6葉期のアファーム乳剤散布の体系防除を行います。
2)寒熟ホウレンンソウ栽培ほ場では作期が長いため、必要に応じて薬剤散布を1回増やします。
3)コナダニは湿度の高い時には、深さ1cmまでの土壌中に多く生息するため、かん水後等の高湿度時に散布すると薬液がかかりやすく、効果が高いと考えられます。
4)被害株や収穫後の残さはハウス内にすき込まず、圃場外に持ち出して処分します。
5)稲ワラ、モミガラ、未熟堆肥などの有機物を土壌に投入すると発生を助長します。特にモミガラの使用は、モミガラ堆肥も含め控えます。やむを得ず有機物を投入する場合は、最低限の量の完熟堆肥を使用し、投入後の1〜2作目には必ず前述の粒剤と散布剤の体系防除を行います。
6)冬に休作するハウスでは、栽培終了後早めに被覆ビニルを除去し、できるだけ降雨にさ らす期間を長くします。
(4)野菜・花き共通害虫(イチゴ・アブラナ科野菜・ホウレンソウ等)
1.ヨトウムシ類
予報内容 発生時期 平年並 発生量 ヨトウガ やや多い
ハスモンヨトウ やや少ない
シロイチモジヨトウ 平年並
予報の根拠
1)10月下旬の調査では、ヨトウガの発生ほ場率は、イチゴで9%でした。ハスモンヨトウの発生ほ場率は、イチゴで36%、ハクサイ20%、ホウレンソウ、ダイコン、キャベツでは発生は認められませんでした。
2)性フェロモントラップ誘殺数は、ヨトウガでは平年よりやや多く、ハスモンヨトウは平年よりやや少なく、シロイチモジヨトウは平年並となっています。
防除上の注意
1)発育が進むと薬剤の効果が劣るので、若齢幼虫期での防除が重要です。
2)イチゴのハスモンヨトウには、トルネードフロアブル、プレオフロアブル、プレバソンフロアブル5等が有効です。その際、トルネードフロアブル、プレバソンフロアブル5では1日間、プレオフロアブルでは散布薬液が乾くまでミツバチをハウス外へ持ち出します。
3)キャベツやハクサイのヨトウムシには、コテツフロアブルやアファーム乳剤、トルネードフロアブル、プレオフロアブルなどが有効です。
4)ホウレンソウでは、ヨトウムシにはノーモルト乳剤、ハスモンヨトウにはアファーム乳剤とカスケード乳剤を使用します。また、ハウスサイドや換気部に4ミリネットを被覆すると、ヨトウムシ類のような大型の蛾成虫の侵入を防止できます。