本病は全国的に発生が増加しており、今年近畿では和歌山県で注意報が発表されました。
大阪府では平成20年度から散見されるようになり、植物防疫協力員からの情報や予察ほ
場の巡回調査結果から、発生は増加傾向にあります。
縞葉枯病はヒメトビウンカによって媒介されるウイルス病で、本田初期に発生する場合
が多く、新葉が細くなって巻いたまま垂れ下がって枯れ上がり、その症状から「ゆうれい
病」とも呼ばれています。また、幼穂形成期以降に感染すると,葉に黄緑色の斑紋や主脈
に平行して黄緑色のたて縞ができ、これら発病した茎の穂は出すくみとなる場合が多くな
ります。ヒメトビウンカのウイルス保毒は、老齢幼虫及び成虫時に起こり、経卵伝染しま
す。
縞葉枯病に感染した刈り株から生じたひこばえをヒメトビウンカが吸汁することで、保
毒虫率が増加し、次年度の発生が多くなることが懸念されます。そのため、次年度対策と
して収穫後はできるだけ早く耕うんし、ひこばえの発生を防ぐとともに、冬から春に畦畔
の雑草を刈り取り、ヒメトビウンカの越冬密度(数)を下げる等の取組が有効です。
(参考)
○8~9月に和泉市の調査水田内で網振りし、得られたヒメトビウンカ成虫10頭の縞葉
枯病ウイルス保毒虫率を調査した。ウイルス検定には、抗体感作高比重ラテックス液を用
いた。
その結果、10頭のうち8頭が陽性反応を示し、調査地点における保毒虫率が80%であ
った。なお、和泉市では巡回調査でも本病の発生を確認している。
○岸和田市、泉佐野市でも同様に調査を実施し、いずれも保毒虫率が高かった。
〈実施したウイルス検定の結果〉
調査地点 | 保毒虫率 (陽性反応/検定したヒメトビウンカの数) |
和泉市(8月10日、9月8日網振り) | 80%(8頭/10頭) |
岸和田市(8月19日、9月1日網振り) | 60%(3頭/5頭) |
泉佐野市(8月19日網振り) | 50%(1頭/2頭) |
○予察ほ場における縞葉枯病の発生状況
(巡回調査で縞葉枯病が見つかったほ場の割合)
(%)
◎防除薬剤については、
●Web版大阪府病害虫防除指針(http://www.jppn.ne.jp/osaka/)
●農林水産消費安全技術センター 農薬登録情報提供システム
(http://www.acis.famic.go.jp/index_kensaku.htm)
にて確認してください。