予報第2号(6月)


                                大 防 第 1012号
                              平成22年5月27日


 関係各位



                             大阪府病害虫防除所長

             病害虫発生予察情報について

 標記について次のとおり発表したので送付します。

             病害虫発生予報第2号(6月)

                             平成22年5月26日
                             大阪府病害虫防除所

農作物名 病害虫名 予想発生量
水稲 いもち病
縞葉枯病・ヒメトビウンカ
イネミズゾウムシ
ニカメイガ
ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)
イネアオムシ(フタオビコヤガ)
ぶどう べと病
灰色かび病
褐斑病
クワゴマダラヒトリ
フタテンヒメヨコバイ
みかん 黒点病
そうか病
コナジラミ類
ミカンハダニ
もも せん孔細菌病
いちじく イチジクヒトリモドキ
果樹全般 果樹カメムシ類
なす 灰色かび病
すすかび病
うどんこ病
ミナミキイロアザミウマ
トマト 灰色かび病
葉かび病
非結球あぶらな科葉菜類
(大阪しろな、こまつな等)
コナガ類
きく 黒斑病
白さび病
野菜・花き類 アブラムシ類
ミカンキイロアザミウマ
シロイチモンジヨトウ
ハモグリバエ類
オオタバコガ
コナジラミ類
▲:少ない △:やや少ない □:並 :やや多い :多い

 

6月気象予報(大阪管区気象台5月22日発表)
低い
(少ない)
平年並 高い
(多い)
気温(確率) 40 30 30
降水量 30 30 40
日照時間 40 30 30

A 水稲
【いもち病】
[予報内容]  発生量 :並
[予報の根拠]
(1)5月の降水量はやや少なく、いもち病が発生しにくい気象条件であった。 
(2)6月上旬の降水量はやや多く、気温がやや低めと予報され注意が必要である。
[防除上考慮すべき事項]
(1)育苗箱において発生した場合、その箱の苗は本田に移植しない。
(2)田植後の余り苗を水田に放置しない。
(3)発生が予想される場合は、田植前に箱施用剤を処理する。
(4)密植をしない。
[メモ]
(1)低温、日照不足、降雨が多いと発病が多くなる。
(2)近年、他府県においてMBI-D剤(メラニン合成阻害剤)耐性菌の発生が報告されている。
MBI-D剤成分例:カルプロパミド(ウィン)、ジクロシメット(デラウス)、フェノ キサニル(アチーブ)等

【縞葉枯病】(ヒメトビウンカ)
[予報内容]  発生量 :並
[予報の根拠]
(1)耕起前水田の捕虫網によるすくい取り調査では、ヒメトビウンカは捕獲されなかった。
(2)近年、西日本で増加傾向にある。
[防除上考慮すべき事項]
(1)前年度発生があった地域あるいはその周辺地域では、田植前に箱施用剤を処理する。
[メモ]
(1)ヒメトビウンカは縞葉枯病を媒介する。

【イネミズゾウムシ】
[予報内容]  発生量 :並
[予報の根拠]
(1)昨年度の予察ほ場での発生はやや少なかった。
(2)5月の予察灯への飛来は見られなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)常発地では、田植前に箱施用剤を処理する。さらに発生が多いほ場は、移植後の防 除を行う。
(2)手植田では、苗の活着後に粒剤を施用する。


【ニカメイガ】(第1世代幼虫)
[予報内容]  発生量 :やや少ない
[予報の根拠]
(1)昨年度の予察ほ場での発生は平年同様ほとんど見られなかった。
(2)5月の予察灯への飛来は見られなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)前年発生の多かった水田では、田植前にフィプロニル剤(プリンス粒剤など)を含む箱施用剤を処理する。
(2)箱施用剤を処理しない場合は、7月上中旬に防除を行う。

【ジャンボタニシ】(スクミリンゴガイ)
[予報内容]  発生量 :並
[予報の根拠]
(1)昨年度のほ場での発生量は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)水深4cm下の浅水管理とする。
(2)桃色の卵塊は水中へ掻き落とし、成貝は拾い取り、処分する。
[メモ]
(1)田植後20日以内の苗が食害されるので、この時期の防除を徹底する。

【イネアオムシ】(フタオビコヤガ)
[予報内容]  発生量 :並
[予報の根拠]
(1)昨年度の予察ほ場での発生はやや多かった。
(2)近年、府内中山間部を中心に局地的に多発している。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期の防除を徹底する。
(2)フィプロニル粒剤の効果は低いので注意する。
[メモ]
(1)この虫の生育適温は25~27度。
(2)多肥栽培は発生を助長する。

B 果樹
1 ぶどう(デラウェア) 
【べと病】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、平年と同様に発生は見られなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発病を認めたら、被害葉を速やかに取り除くとともに、初期防除を徹底する。
[メモ]
(1)5月~10月にかけて、降雨が続き、気温が低めに経過すると発生が多い。
【灰色かび病】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生は平年並だった。
[メモ]
(1)ハウス栽培では換気やマルチを行い、湿度を下げる。
(2)灌水や薬剤散布は午前中に行い、夜間の湿度が上がらないようにする。

【褐斑病】
[予報内容]発生量:やや多い
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生はやや多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)近年発生が増えている。
(2)ストロビルリン系殺菌剤に対する感受性の低下が見られる。
(3)施設ぶどうでは、収穫期が近いので、薬剤散布は収穫前日数に十分注意する。

【クワゴマダラヒトリ】
[予報内容]発生量:やや多い
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生がやや多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)春の低温で生育が遅れている園では、大きな被害を受けやすいので注意する。

【フタテンヒメヨコバイ】
[予報内容]発生量:やや多い
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生がやや多かった。

2 みかん
【黒点病】
[予報内容]発生量 :やや多い
【予報の根拠】
(1)5月の巡回調査では、平年と同様に発生は見られなかった。
(2)6月は雨が多く、気温も低めと予報されている。
[防除上考慮すべき事項]
(1)枯枝が多く残っているところでは、直ちに伝染源となる枯枝の除去に努める。
(2)降雨の影響で防除適期(5月下旬)に薬剤散布できなかった園では、特に注意する。
[メモ]
(1)この病気は、枯枝上から雨滴によって広がっていく。
【そうか病】
[予報内容]発生量:やや多い
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、平年と同様に発生は見られなかった。
(2)6月は雨が多く、気温も低めと予報されている。
[防除上考慮すべき事項]
(1)伝染源となる越冬病斑は除去する。
(2)降雨の影響で防除適期(落弁期)に薬剤散布できなかった園が多い。

【コナジラミ類】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、平年と同様、発生は見られなかった。

【ミカンハダニ】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、発生は平年より少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)同一薬剤の連用を避ける。

3 もも
【せん孔細菌病】
[予報内容]発生量:やや多い
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、平年と同様、発生は見られなかった。
(2)6月の降水量はやや多いと予報されている。
(3)5月下旬に強い風雨があった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)多発すると防除が困難となるので、早期防除を心掛ける。
(2)強い風雨後の発生に十分注意する。

4 いちじく
【イチジクヒトリモドキ】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月下旬の調査では発生は確認されなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)新梢生育期に食害を受けると、被害が大きい。
(2)春の低温で新梢の生育が遅れており、食害が大きな被害につながりやすい。
(3)本種は蛹で越冬し5月下旬頃、第1世代の幼虫が発生する。年5世代程度発生する。
5 果樹全般
【果樹カメムシ類】
[予報内容]発生量:多い
[予報の根拠]
(1)5月下旬のフェロモントラップで誘殺数が多かった。
(2)隣接する和歌山県でも、予察灯飛来虫数が多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)果樹をよく加害するカメムシは、チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサギカメムシの3種である。
(2)もも、うめ、かきなどの果樹類を加害する。多発生した場合は、みかんやぶどうを 加害することもある。
[メモ]
(1)園地によって発生量に大きな差がある。
(2)昨年の発生は少なかった。

C 野菜
1 なす
【灰色かび病】 
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]  
(1)5月下旬のなすの巡回調査では、発生は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)多湿条件下で発生が多くなるので施設の換気を十分行うとともに、茎葉が過繁茂に ならないよう整枝を工夫する。
(2)果実に付着した花弁からの感染が多いので花弁の除去に努める。
(3)同一薬剤の連用を避け、薬剤のローテーション散布を行う。
[メモ]
(1)灰色かび病は、低温多湿条件で発生が多くなる。

【すすかび病】
[予報内容] 発生量:やや多い
[予報の根拠]    
(1)5月下旬のなすの巡回調査では、発生はやや多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)ストロビルリン系薬剤(アミスター20フロアブル、ストロビーフロアブル)に対す る感受性が低下している。
(2)病葉は早めに摘除し、ハウス外に持ち出し処分する。
(3)初期防除が重要となるので、発病を認めた場合には、葉の裏にもかかるように
ていねいに薬剤散布を行う。
(4)同一薬剤の連用を避け、薬剤のローテーション散布を行う。 
[メモ]
(1)すすかび病は多湿条件下や草勢が低下したときに発生が多くなる。

【うどんこ病】
[予報内容] 発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)5月下旬のなすの巡回調査では、発生はやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)こまめに摘葉、摘芯を行い、過繁茂にならないようにする。
(2)発生初期の防除を徹底する。
(3)草勢が弱ると多発しやすいので、肥切れにならないように管理する。
[メモ]
(1)うどんこ病は、日照不足、乾燥条件下で多発する。

【ミナミキイロアザミウマ】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月下旬のハウスなす巡回調査では、発生は平年並、露地なすでの発生はやや少な かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)果実や葉の被害に注意し、少発生時の防除を徹底する

2 トマト
【灰色かび病】
[予報内容]発生量 :並
[予報の根拠]  
(1)5月下旬のトマトの巡回調査では、発生は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)多湿条件下で発生が多くなるので施設の換気を十分行うとともに、茎葉が過繁茂に ならないよう整枝を工夫する。
(2)果実に付着した花弁からの感染が多いので花弁の除去に努める。
(3)同一薬剤の連用を避け、薬剤のローテーション散布を行う。
[メモ]
(1)灰色かび病は、低温多湿条件で発生が多くなる。

【葉かび病】
[予報内容] 発生量 :やや多い
[予報の根拠]   
(1)ハウストマトの5月下旬の巡回調査では、発生はやや多かった
[防除上考慮すべき事項]    
(1)施設栽培においては換気に努め、マルチを行う等、湿度を低く保つ。
(2)下~中位葉に発生しやすいので、発病を認めたら早めに摘葉し、病葉はハウス外に 持ち出し処分する。
(3)初期防除が重要となるので、発病を認めた場合には直ちに防除を行う。
(4)同一薬剤の連用を避け、薬剤のローテーション散布を行う。
(5)例年発生の多いほ場では、抵抗性品種の導入を行う。

3 非結球あぶらな科葉菜類(大阪しろな、こまつな等)
【コナガ】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]    
(1)5月のフェロモントラップへの誘殺虫数はやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期に防除を行う。

D 花き
1 きく
【黒斑病】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月下旬の巡回調査では、発生は少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発病を認めたら、被害葉を速やかに取り除くとともに、初期防除を徹底する。
[メモ]
(1)降雨が多いと発生が多い。

【白さび病】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月の巡回調査では、一部で発生が見られた。

E 野菜・花き類
【アブラムシ類】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)5月下旬の巡回調査では、発生は平年並であった。
(2)黄色水盤での5月の誘殺虫数は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)少発生時の防除を徹底する。
(2)同一薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
[メモ]
(1)アブラムシ類は多種類のウイルス病を媒介する。

【ミカンキイロアザミウマ】
[予報内容] 発生量 :やや少ない
[予報の根拠]    
(1)5月下旬の露地水なすの巡回調査では、発生は少なかった。
きくの青色粘着トラップの誘殺虫数は平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]   
(1)収穫後の残さは、他作物等への発生源となるので、速やかにほ場から持ち出し処分 する。
(2)きくでは膜割れ(蕾から着色した花弁が見える前)前後の防除を徹底する。
[メモ]
(1)ミカンキイロアザミウマやヒラズハナアザミウマなどは、作物を加害するだけでなくウイルス病(TSWV)を媒介する。

【シロイチモジヨトウ】
[予報内容] 発生量 :やや少ない
[予報の根拠]    
(1)フェロモントラップでの5月下旬の誘殺虫数は、平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]    
(1)発生初期(若齢幼虫期)の防除を徹底する。
(2)黄色蛍光灯を終夜点灯すれば、成虫の行動や産卵を抑制し、被害を軽減できる。
  
【ハモグリバエ類】
[予報内容] 発生量 :やや少ない
[予報の根拠]    
(1)5月下旬の巡回調査では、発生はやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)被害葉、残さはほ場から持ち出し処分する。
(2)しゅんぎくや大阪しろな等の軟弱野菜では、収穫後に地表面をビニール被覆し、太 陽熱により土中の蛹を殺すことで、次作の被害を軽減できる(4~10月の間可能)。

【オオタバコガ】
[予報内容] 発生量 :やや少ない
[予報の根拠]
(1)5月下旬の巡回調査では、平年と同様発生は見られなかった
(2)フェロモントラップでの5月の誘殺虫数は平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)被害のあった果実や新芽は早急に処分し、周辺の幼虫を探して捕殺する。
(2)施設では、開口部を寒冷紗等(5mm目合以下)で被覆し、成虫の侵入を防止する。

【コナジラミ類】
[予報内容] 発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)5月下旬のなす巡回調査ではハウス、露地ともに発生は平年よりやや少なかった。
トマトハウスの黄色粘着トラップの誘殺虫数は、平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期の防除に努める。
(2)被害葉や残さは、ほ場より持ち出し、穴を掘って埋めるなどして処分する。
(3)施設では、開口部を寒冷しゃで被覆し、成虫の侵入を阻止する。
(4)同一薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
(5)ほ場周辺の除草にも努める。

●大阪府病害虫防除所ホームページ
 http://www.jppn.ne.jp/osaka
 防除指針を掲載しています(毎月アップデート)

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 TEL 072-958-6551(内線232)
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     企画調整部技術普及課
     おおさかアグリメール受付担当
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●Web版大阪府園芸植物病害虫図鑑     
「ひと目でわかる花と野菜の病害虫」
 http://www.epcc.pref.osaka.jp/afr/zukan/index.html
(社団法人大阪府植物防疫協会)

                        

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