大 防 第 1019号
平成22年6月30日
関係各位
大阪府病害虫防除所長
病害虫発生予察情報について
標記について次のとおり発表したので送付します。
病害虫発生予報第3号(7月)
平成22年6月29日
大阪府病害虫防除所
農作物名 | 病害虫名 | 予想発生量 |
水稲 | いもち病 | □~○ |
縞葉枯病・ヒメトビウンカ | □ | |
ニカメイチュウ | △ | |
セジロウンカ | ○ | |
ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ) | □ | |
イネアオムシ(フタオビコヤガ) | ○ | |
ぶどう | べと病 | □ |
灰色かび病 | ○ | |
クワゴマダラヒトリ | □ | |
フタテンヒメヨコバイ | ○ | |
チャノキイロアザミウマ | △ | |
みかん | 黒点病 | □ |
そうか病 | □ | |
コナジラミ類 | □ | |
ミカンハダニ | △ | |
もも | せん孔細菌病 | □ |
いちじく | イチジクヒトリモドキ | □ |
アザミウマ類 | △ | |
果樹全般 | 果樹カメムシ類 | ● |
なす | すすかび病 | □~△ |
うどんこ病 | ○ | |
褐色腐敗病 | □ | |
ミナミキイロアザミウマ | □ | |
非結球あぶらな科葉菜類 (大阪しろな、こまつな等) |
コナガ類 | ▲ |
きく | 黒斑病・褐斑病 | □ |
白さび病 | □ | |
野菜・花き類 | アブラムシ類 | □~○ |
ミカンキイロアザミウマ | △ | |
シロイチモンジヨトウ | □ | |
ハスモンヨトウ | □ | |
オオタバコガ | □ | |
ハモグリバエ類 | △ | |
コナジラミ類 | △ | |
▲:少ない △:やや少ない □:並 ○:やや多い ●:多い |
6月気象予報(大阪管区気象台6月25日発表) | |||
低い (少ない) |
平年並 | 高い (多い) |
|
気温(確率) | 10 | 40 | 50 |
降水量 | 30 | 40 | 30 |
日照時間 | 30 | 40 | 30 |
A 水稲
【いもち病】
[予報内容]発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)7月の降水量は平年並、日照時間は平年並と予想されている。
(2)昨年度、予察ほ場での発生はやや多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)置き苗が発生源になるので、早く処分する。
(2)天候の変化に注意し、発病を認めたら直ちに、オリゼメート粒剤等で防除を
徹底する。
[メモ]
低温、多雨、密植、窒素過多で発病が多くなる。
【縞葉枯病】(ヒメトビウンカ)
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)ヒメトビウンカの予察灯への飛来は平年同様少ない。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生が多いほ場では、トレボン粒剤やスタークル顆粒水溶剤等でヒメトビウンカ
の防除を徹底する。
[メモ]
(1)本病はヒメトビウンカによって媒介されるウイルス病で、6月下旬~7月上旬の
感染が多い。
(2)生育初期に発病すると葉が「こより状」に巻いて垂れ下がり、その後枯れる。
(3)近年、西日本で増加傾向にある。
【ニカメイチュウ】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)フェロモントラップの誘殺はなかった。
(2)予察灯への飛来は平年同様見られない。
(3)昨年度、予察ほ場での発生は少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生が見られる場合には、パダン粒剤またはトレボン粒剤等で防除する。
【セジロウンカ】
[予報内容]発生量:やや多い 発生時期:やや早い
[予報の根拠]
(1)6月下旬に、予察灯に平年より早く飛来が見られ、飛来量もやや多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)異常飛来があった場合は、急激に密度が高まる恐れがあるので、
今後の電子メールサービス等の病害虫発生予察情報に注意する。
(2)発生が多い場合は、トレボン粒剤やスタークル顆粒水溶剤等で防除する。
[メモ]
(1)セジロウンカのプリンス粒剤に対する感受性低下が問題となっている。
【ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)近年、府内北部・中部地域に発生が拡大している。
(2)昨年度、府内での発生は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)水深4cm以下の浅水管理をする。
(2)田植後20日以内の苗が食害されるので、この時期の防除を徹底する。
(3)桃色の卵塊を水中へ掻き落とし、成貝は捕殺する。
(4)発生が多い場合はスクミノン(2~4kg/10a,90日/2回)を施用する。
(収穫前日数が長いので、施用時期に注意すること。)
【イネアオムシ(フタオビコヤガ)】
[予報内容]発生量:やや多い 発生時期:やや早い
[予報の根拠]
(1)昨年度、予察ほ場での発生はやや多かった。
(2)6月の巡回調査においてすでに発生が認められた。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期の防除を徹底する。
(2)プリンス粒剤の効果はやや低い。
(3)発生が多い場合には、エルサン乳剤、MR.ジョーカーEW等で防除する。
B 果樹
1 ぶどう(デラウェア)
【べと病】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、平年並であった。
(2)例年、梅雨期から多発する。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発病を認めたら、被害葉を速やかに取り除くとともに、初期防除を徹底する。
(2)収穫終了後の園にも注意し、発生を確認すれば早期に防除する。
[メモ]
(1)5月から10月にかけて、降雨が続き、気温が低めに経過すると発生が多い。
【灰色かび病】
[予報内容]発生量:やや多い
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、発生はやや多かった。
【クワゴマダラヒトリ】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、発生は平年並だった。
【フタテンヒメヨコバイ】
[予報内容]発生量:やや多い 発生時期:やや早い
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、発生がやや多く、7月下旬並の発生量であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)収穫期が近づいている園では、薬剤の使用時期に充分注意する。
(2)収穫終了後の園にも注意し、発生を確認すれば早期に防除する。
【チャノキイロアザミウマ】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、発生がやや少なかった。
(2)黄色粘着トラップでの誘殺数は少なかった。
2 みかん
【黒点病】
[予報内容]発生量:並
【予報の根拠】
(1)6月の巡回調査では、平年と同様に発生は見られなかった。
[メモ]
(1)この病気は、枯枝上から雨滴によって広がっていく。
【そうか病】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、平年と同様に発生は見られなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)前年度発生の多かった園では、梅雨前に防除を行う。
(2)本年は裏年にあたり、結果量の少ない園が多い。
【コナジラミ類】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、発生は見られなかった。
【ミカンハダニ】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、発生は平年より少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)例年梅雨明け後に多発する傾向があるので、注意が必要である。
(2)同一薬剤や同一系統の薬剤を連用すると、抵抗性が発達する恐れがある。
(3)合成ピレスロイド系の殺虫剤(アディオン等)は、天敵を減らすため、
多用するとハダニ類増加を招く恐れがある。
3 もも
【せん孔細菌病】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、発生は見られなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)多発すると防除が困難となるので、早期防除を心掛ける。
(2)強い風雨後の発生に十分注意する。
4 いちじく
【イチジクヒトリモドキ】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月下旬の巡回調査で幼虫が確認されたが、発生は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)本種は蛹で越冬し5月下旬頃、第1世代の幼虫が発生する。年5世代程度発生する。
【アザミウマ類】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)黄色粘着トラップの誘殺数は少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)果実の開口部が開く頃が、防除適期である。
5 果樹全般
【果樹カメムシ類】
[予報内容]発生量:多い
[予報の根拠]
(1)6月のフェロモントラップで誘殺数が多い。
(5月27日 病害虫発生予察注意報第2号発表)
[防除上考慮すべき事項]
(1)果樹をよく加害するカメムシは、チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、
クサギカメムシの3種である。
(2)もも、うめ、かきなどの果樹類を加害する。多発生した場合は、みかんやぶどうを 加害することもある。
(3)果実が肥大し、果実袋と密着すると、袋の上から被害を受けることがある。
[メモ]
(1)園地によって発生量に大きな差がある。
(2)昨年の発生は少なかった。
C 野菜類
1 なす
【すすかび病】
[予報内容]発生量:並~やや少ない
[予報の根拠]
(1)6月後半の巡回調査では、ハウスでは平年よりやや少なく、露地では発生が
見られなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)ストロビルリン系薬剤(アミスター20フロアブル、ストロビーフロアブル)の
効果が低下している。
(2)病葉は早めに摘除し、ほ場外に持ち出し処分する。
(3)初期防除が重要となるので、発病を認めた場合には、葉の裏にもかかるように
丁寧に薬剤散布を行う。
(4)同一薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
[メモ]
(1)すすかび病は多湿条件下や草勢が低下したときに発生が多くなる。
【うどんこ病】
[予報内容]発生量:やや多い
[予報の根拠]
(1)6月後半の巡回調査では、ハウス、露地とも平年より発生はやや多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)こまめに摘葉、摘芯を行い、過繁茂にならないようにする。
(2)発生初期の防除を徹底する。
(3)草勢が弱ると多発しやすいので、肥切れにならないように管理する。
[メモ]
(1)うどんこ病は、日照不足、乾燥条件下で多発する。
【褐色腐敗病】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月後半の巡回調査では、発生は平年と同様見られなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発病した枝や果実は、直ちにほ場外へ持ち出して処分する。
(2)初期防除が重要なので、発病を認めた場合にはすぐに防除を行う。
(3)降雨による泥のはね上がりを防止するために、マルチや敷きわらを行う。
【ミナミキイロアザミウマ】
[予報内容] 発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月下旬の巡回調査では、ハウスなす、露地なすとも発生は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)果実や葉の被害に注意し、少発生時の防除を徹底する
2 非結球あぶらな科葉菜類(大阪しろな、こまつな等)
【コナガ】
[予報内容]発生量:少ない
[予報の根拠]
(1)6月のフェロモントラップへの誘殺虫数は少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期の防除を徹底する。
D 野菜・花き類
【アブラムシ類】
[予報内容]発生量:並~やや多い
[予報の根拠]
(1)6月後半のなす、きく巡回調査では、発生は平年並であった。
(2)6月の黄色水盤による誘殺虫数はやや多かった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)少発生時の防除を徹底する。
(2)同一薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
[メモ]
(1)アブラムシ類は多種類のウイルス病を媒介する。
【ミカンキイロアザミウマ】
[予報内容] 発生量 :やや少ない
[予報の根拠]
(1)6月下旬の露地水なすの巡回調査では、発生は平年よりやや少なかった。
(2)きくの青色粘着トラップの誘殺虫数は平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)収穫後の残さは、他作物等への発生源となるので、速やかにほ場から持ち出し処分 する。
(2)同一薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
(3)薬剤散布は葉の裏にまでかかるように丁寧に行う。
(4)ビニル等で畝をマルチングし、アザミウマが土中で蛹化するのを防ぐ。
(5)きくでは膜割れ(蕾から着色した花弁が見える前)前後の防除を徹底する。
[メモ]
(1)ミカンキイロアザミウマやヒラズハナアザミウマなどは、作物を加害するだけでな くウイルス病(TSWV)を媒介する。
【シロイチモジヨトウ】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月後半のフェロモントラップへの誘殺虫数は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期(若齢幼虫期)に防除を徹底する。
(2)黄色蛍光灯を終夜点灯すれば、成虫の行動や産卵を抑制し、被害を軽減できる。
【ハスモンヨトウ】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月のフェロモントラップへの誘殺虫数は、平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期(若齢幼虫期)に防除を徹底する。
(2)黄色蛍光灯を終夜点灯すれば、成虫の行動や産卵を抑制し、被害を軽減できる。
【オオタバコガ】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月のフェロモントラップへの誘殺虫数は、平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)被害のあった新芽や果実は早期に処分し、周辺の幼虫を探して捕殺する。
(2)施設では、開口部を寒冷紗等(5mm目合で可)で被覆し、成虫の侵入を阻止する。
(3)黄色蛍光灯を終夜点灯すれば、成虫の行動や産卵を抑制し、被害を軽減できる。
【ハモグリバエ類】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)6月後半の巡回調査では発生はやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)被害葉や残さは、ほ場から持ち出し、ビニルで覆い、寄生幼虫を太陽熱で蒸し殺す。
(2)しゅんぎくや大阪しろな等の軟弱野菜では、収穫後に地表面をビニル被覆し、
太陽熱により土中の蛹を殺すことで、次作の被害を軽減できる(4~10月の間可能)。
【コナジラミ類】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では、ハウスなすで、やや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)タバココナジラミはトマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)を媒介する。
(2)発生初期の防除に努める。
(3)被害葉や残さは、ほ場より持ち出し、穴を掘って埋めるなどして処分する。
(4)施設では、開口部を寒冷しゃで被覆し、成虫の侵入を阻止する。
(5)同一薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
(6)ほ場周辺の除草にも努める。
E 花き類
1 きく
【黒斑病・褐斑病】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では発生は平年並であった。
【白さび病】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)6月の巡回調査では発生は平年並であった。
●大阪府病害虫防除所ホームページ
http://www.jppn.ne.jp/osaka/
防除指針を掲載しています(毎月アップデート)
●病害虫発生情報メールサービス
申込先 大阪府病害虫防除所メールサービス担当
TEL 072-958-6551(内線232)
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企画調整部技術普及課
おおさかアグリメール受付担当
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(社団法人大阪府植物防疫協会)