大 防 第 1039号
平成22年9月29日
関係各位
大阪府病害虫防除所長
病害虫発生予察情報について
標記について次のとおり発表したので送付します。
病害虫発生予報第6号(10月)
平成22年9月28日
大阪府病害虫防除所
農作物名 | 病害虫名 | 予想発生量 |
ぶどう(デラウェア) | べと病 | ○ |
みかん | 黒点病 | ○ |
そうか病 | □ | |
ミカンハダニ | ▲ | |
ミカンサビダニ | □ | |
果樹全般 | 果樹カメムシ類 | □ |
なす | うどんこ病 | □ |
ハモグリバエ類 | △ | |
きゅうり | うどんこ病 | △ |
炭そ病 | □ | |
べと病 | △ | |
ワタヘリクロノメイガ(ウリノメイガ) | △ | |
ハモグリバエ類 | △ | |
トマト | コナジラミ類 | △ |
トマト黄化葉巻病(TYLCV) | △ | |
キャベツ等あぶらな科 野菜 |
コナガ | △ |
ハイマダラノメイガ | □ | |
野菜・花き・大豆 | アブラムシ類 | △ |
野菜・花き | ミカンキイロアザミウマ | △ |
ミナミキイロアザミウマ | △ | |
シロイチモジヨトウ | □ | |
ハスモンヨトウ | □ | |
オオタバコガ | □ | |
ハダニ類 | □ | |
コナジラミ類 | △ | |
▲:少ない △:やや少ない □:並 ○:やや多い ●:多い |
9月気象予報(大阪管区気象台8月21日発表) | |||
低い (少ない) |
平年並 | 高い (多い) |
|
気温(確率) | 20 | 30 | 50 |
降水量 | 30 | 30 | 40 |
日照時間 | 40 | 30 | 30 |
A 果樹
1 ぶどう(デラウェア)
【べと病】
[予報内容] 発生量:やや多い
[予報の根拠]
(1)植物防疫協力員からの報告で、発生がやや多い。
(2)気温が下がり、病害の発生しやすい状況になっている。
[防除上考慮すべき事項]
(1)気温20~25度で、雨が多いと発生が増加する。
(2)早期に落葉すると、再萌芽で貯蔵養分を消費し、樹勢が低下する。
(3)収穫終了後の園にも注意し、発生を確認すれば早期に防除する。
2 みかん
【黒点病】
[予報内容]発生量:やや多い
[予報の根拠]
(1)9月の巡回調査では、発生はやや多かった。
(2)10月の気象は降水量は平年より多いと予報されている。
[防除上考慮すべき事項]
(1)本年は、裏年にあたり結果量の少ない園が多いため、病害が減収につながりやすい。
[メモ]
(1)この病気は、枯枝上から雨滴によって広がっていく。
【そうか病】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)9月の巡回調査では、発生は平年並であった。
(2)10月の気象は降水量は平年より多いと予報されている。
[防除上考慮すべき事項]
(1)本年は、裏年にあたり結果量の少ない園が多いため、病害が減収につながりやすい。
【ミカンハダニ】
[予報内容]発生量:少ない
[予報の根拠]
(1)9月の巡回調査では、発生は少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)同一薬剤や同一系統の薬剤を連用すると、抵抗性が発達する恐れがある。
(2)合成ピレスロイド系の殺虫剤(アディオン等)は、天敵を減らすため、多用すると ハダニ類増加を招く恐れがある。
【ミカンサビダニ】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)9月の巡回調査では、一部で発生が多く、全体としては平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)微小な害虫であるため、被害が発生するまで気がつきにくい。
(2)薬剤のかかりにくい密植園、樹高が高い樹の上部、樹の内側で発生しやすい。
(3)発生が多かった場所を記録しておき、剪定時に改善を図る。
3 果樹全般
【果樹カメムシ類】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)9月のフェロモントラップの誘殺虫数は、平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)果樹をよく加害するカメムシ類は、チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、
クサギカメムシの3種である。
(2)なし、かきなどの果樹類を加害する。
(3)多発生した場合は、みかんやぶどうを加害することもある。
[メモ]
(1)8月頃から新成虫が羽化し、果樹園に飛来が見られる。
(2)園地によって発生量に大きな差がある。
B 野菜類
1 なす
【うどんこ病】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)9月の巡回調査では、発生は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)こまめに摘葉、摘芯を行い、過繁茂にならないようにする。
(2)発生初期の防除を徹底する。
(3)草勢が弱ると多発しやすいので、肥切れにならないように管理する。
[メモ]
(1)うどんこ病は、日照不足、乾燥条件下で多発する。
【ハモグリバエ類】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)9月の巡回調査では、発生は見られなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)ハウスの開口部を寒冷紗(1mm目合)等で被覆し、成虫の侵入を防止する。
2 きゅうり
【うどんこ病】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)9月後半の巡回調査では、発生は見られかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)こまめに摘葉を行い、過繁茂にならないようにする。
(2)発生初期の防除を徹底する。
(3)草勢が弱ると多発しやすいので、肥切れにならないように管理する。
[メモ]
(1)うどんこ病は、日照不足、乾燥条件下で多発する。
(2)ストロビルリン系剤(アミスター、ストロビー)の連用は避ける。
(3)ストロビルリン系剤の使用時には、薬害の恐れがあるため、浸透性展着剤は加用し ない。
(4)ブルームレス台木では、うどんこ病が発生しやすい。
【炭そ病】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)9月の巡回調査では、発生は平年と同様に見られなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)ハウス内の過湿を避ける。
(2)窒素過多は発生を助長するので、窒素肥料のやりすぎに注意する。
【べと病】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)9月の巡回調査では、一部ほ場で発生が認められたが全般的には、平年よりやや少 なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)ハウス内の過湿を避ける。
(2)肥切れすると発病しやすいので、肥培管理に注意する。
【ワタヘリクロノメイガ(ウリノメイガ)】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)9月の巡回調査では、発生は平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)ハウスの開口部を寒冷紗(2mm目合)等で被覆し、成虫の侵入を防止する。
(2)食害株の幼虫を捕殺する。
[メモ]
(1)ハウス抑制栽培の定植直後に発生が認められることが多い。
【ハモグリバエ類】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)9月の巡回調査では、発生は平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)ハウスの開口部を寒冷紗(1mm目合)等で被覆し、成虫の侵入を防止する。
3 トマト
【トマト黄化葉巻病(TYLCV)】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)9月の巡回調査で発生は確認されなかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)感染後の治療薬はないので感染株はすぐに処分する。
(2)タバココナジラミがウイルスを媒介するので、コナジラミ類の防除に努める。
【コナジラミ類】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)9月の巡回調査では発生は平年よりやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期の防除に努める。
(2)被害葉や残さは、ほ場より持ち出し、穴を掘って埋めるなどして処分する。
(3)施設では、開口部を寒冷しゃで被覆し、成虫の侵入を阻止する。
(4)同一薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
(5)ほ場周辺の除草にも努める。
[メモ]
(1)タバココナジラミはトマト黄化葉巻病(TYLCV)を媒介する。
4 キャベツ等あぶらな科野菜
【コナガ】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)9月のフェロモントラップへの誘殺虫数はやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期の防除を徹底する。
【ハイマダラノメイガ(ダイコンシンクイ)】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)9月の巡回調査では、発生はやや少なかった。
(2)9月のフェロモントラップへの誘殺虫数は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)生育初期に食害されると、キャベツ等では結球せず商品価値を失う。
(2)被覆資材によるべたがけ、トンネルがけの防除効果は高い。
[メモ]
(1)苗床は寒冷紗等(2mm目合)で被覆し、成虫の侵入を防止する。
(2)食害の見られた株は、速やかに処分する。
C 野菜・花き・大豆
【アブラムシ類】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)9月後半の巡回調査で、なす、きくとも平年より発生はやや少なかった。
(2)9月の黄色水盤による誘殺虫数はやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)少発生時の防除を徹底する。
(2)同一薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
[メモ]
(1)アブラムシ類は多種類のウイルス病を媒介する。
D 野菜・花き
【ミカンキイロアザミウマ】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)9月の露地なす巡回調査の見取り調査や花たたき法による調査では、発生はやや少 なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)収穫後の残さは、他作物等への発生源となるので、速やかに処分する。
[メモ]
(1)ミカンキイロアザミウマは、ウイルス病(TSWV) を媒介する。
【ミナミキイロアザミウマ】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)9月の露地なす巡回調査の見取り調査や花たたき法による調査では、発生は平年と 比べやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)葉の被害に注意し、少発生時の防除を徹底する。
(2)同一薬剤の連用を避けローテーション散布を行う。
【シロイチモジヨトウ】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)9月の巡回調査では発生は平年並であった。
(2)9月のフェロモントラップへの誘殺虫数は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期(若齢幼虫期)に防除を徹底する。
(2)施設では、開口部を寒冷紗等(5mm目合で可)で被覆すれば、成虫の侵入を阻止でき る。
(3)フェロモンディスペンサーを設置すれば、成虫の交尾を阻害し、被害を軽減できる。
(4)黄色蛍光灯を終夜点灯すれば、成虫の行動や産卵を抑制し、被害を軽減できる。
【ハスモンヨトウ】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)9月の巡回調査では、発生は平年並であった。
(2)フェロモントラップへの誘殺虫数は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期(若齢幼虫期)に防除を徹底する。
(2)卵塊が付着していたり、若齢幼虫が集団で食害している葉は、直ちに摘葉し、ほ場 から持ち出して処分する。
(3)施設では、開口部を寒冷紗等(5mm目合で可)で被覆すれば、成虫の侵入を阻止でき る。
(4)黄色蛍光灯を終夜点灯すれば、成虫の行動や産卵を抑制し、被害を軽減できる。
【オオタバコガ】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)9月下旬の巡回調査では、なすで被害の発生はやや少なかった。
(2)9月のフェロモントラップへの誘殺虫数は平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期(若齢幼虫期)に防除を徹底する。
(2)被害のあった新芽や果実は早期に処分し、周辺の幼虫を探して捕殺する。
(3)施設では、開口部を寒冷紗等(5mm目合で可)で被覆し、成虫の侵入を阻止する。
(4)黄色蛍光灯を終夜点灯すれば、成虫の行動や産卵を抑制し、被害を軽減できる。
【ハダニ類】
[予報内容]発生量:並
[予報の根拠]
(1)9月の巡回調査での発生は、平年並であった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期の防除を徹底する。
(2)同一薬剤の連用を避ける。
【コナジラミ類】
[予報内容]発生量:やや少ない
[予報の根拠]
(1)9月の巡回調査では、発生は平年より発生はやや少なかった。
[防除上考慮すべき事項]
(1)発生初期の防除に努める。
(2)被害葉や残さは、ほ場より持ち出し、穴を掘って埋めるなどして処分する。
(3)施設では、開口部を寒冷しゃで被覆し、成虫の侵入を阻止する。
(4)同一薬剤の連用を避け、ローテーション散布を行う。
(5)ほ場周辺の除草にも努める。
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