病害虫発生・防除メールサービス(12月後半)

(平成23年12月16日発信)


 果樹では、休眠期防除の季節になりました。多忙な時期ですが、しっかりと防除をして
ください。また、剪定の時期です。病害虫の被害枝等は整理してください。
 また、学校が休みとなり、農地周辺で遊ぶ子供が増えるので、ほ場や施設の周辺、農作
業で事故のないよう一層気をつけてください。

1 トマト・ミニトマト(施設栽培)
(トマトとミニトマトで登録内容が異なる場合があるので薬剤使用にあたっては注意する)

【葉かび病】
◇冬期にハウスを閉め切ることが多くなる頃から発生が増える。
◇適度に換気を行い、過湿にならないようにする。
◇被害葉は早めに除去し、ハウス外に持ち出して処分する。
◇発生した場合は、カンタスドライフロアブル、トップジンM水和剤等を散布する。
(2剤ともトマト、ミニトマト双方に登録あり)
◇トリフミン乳剤はトマトのみに適用があり、ミニトマトでは使用できない。
◇トリフミン水和剤はトマト・ミニトマト両方に適用がある。
◇多発する場合は、次作から葉かび病抵抗性品種を用いる。抵抗性品種でも葉かび病のレ
 ースによっては発病することがあるので注意する。

【すすかび病】
◇多湿条件で発生しやすい。
◇発生した場合は、トリフミン水和剤等を散布する。

【灰色かび病】
◇冬期にハウスを閉め切ることが多くなる頃から発生が増える。
◇適度に換気を行い、過湿にならないようにする。
◇開花後の花弁から発生することが多いので、取り除く。
◇被害葉は早めに除去し、ハウス外に持ち出して処分する。
◇発生した場合は、ゲッター水和剤等を散布する。

【トマト黄化葉巻病(TYLCV)】
◇タバココナジラミによって媒介されるウイルス病である。
◇近年、府内での発生が増えており、大きな被害も発生している。
◇感染してからは対策がないので、コナジラミ類の侵入防止と防除を徹底する。
◇感染株はすぐに処分する。感染株をビニル袋等に入れて口を縛り、完全に枯死させて
 から処分する。

【コナジラミ類】
◇タバココナジラミは、吸汁による直接被害のほかに、トマト黄化葉巻病(TYLCV)
 を媒介する。(前述)
◇施設では、開口部を寒冷紗で被覆し、成虫の侵入を阻止する。
◇作業者が、タバココナジラミを服に付着させたまま、複数の施設を移動しないよう注意
する。
◇発生を確認した場合は、コルト顆粒水和剤、コロマイト乳剤等を散布する。(2剤と
 もトマト、ミニトマト双方に登録あり)

2 キャベツ等あぶらな科野菜および葉ぼたん
(作物ごとに農薬の登録内容が異なる場合があるので薬剤使用にあたっては注意する)

【黒腐病】
◇長雨や強い風雨のあと発生することが多い。
◇害虫の食害による傷口からも病原菌が侵入するので、害虫防除を徹底する。
◇発生が予測される場合は、キャベツの場合は、ベジキーパー水和剤やZボルドーを
 予防的に散布する。
(Zボルドーは野菜類に適用あり。葉ぼたんには使用不可)

【軟腐病】
◇長雨や強い風雨のあと発生することが多い。
◇発生が予測される場合は、バイオキーパー水和剤やZボルドーを予防的に散布する。
(両薬剤とも野菜類に適用あり。葉ぼたんには使用不可)

【菌核病】
◇発病したほ場では、菌核が土中に残って伝染源となるので、被害株は放置せず、ほ場外
 へ持ち出す。

3 野菜類全般

【病害虫対策】
◇果菜類施設では、収穫後の残さ除去を徹底するとともに、ハウス内除草も励行して、病害虫の温床(第一次伝染源)とならないよう、ほ場衛生に努める。

4 ぶどう

【休眠期防除】
◇黒とう病や晩腐病、褐斑病が発生した園では、粗皮削りのあと、ベフラン液剤25等
 を散布する。
◇ハダニ類・カイガラムシ類対策に石灰硫黄合剤等を散布する。 
◇石灰硫黄合剤は、メーカーによって登録内容が異なるので注意する。
◇石灰硫黄合剤とベフラン液剤25を混用するときは、ベフラン液剤25を先に溶かし、
 かき混ぜながら石灰硫黄合剤を加える。

【黒とう病】
◇被害を受けた枝は剪定時に取り除く。
◇巻きひげなどでも病原菌が越冬することがあるので、丁寧に取り除く。

【コナカイガラムシ類】
◇粗皮削りを行うことで越冬虫を減らすことができる。

【ブドウトラカミキリ、ブドウスカシバ】
◇被害枝や剪定枝を細かく切断するか、園外に持ち出して処分する。
◇剪定前に枝を引っ張って簡単に折れた場合は、中に幼虫が入っていることが多い。

5 みかん

【休眠期防除】
◇収穫が終わった園はマシン油乳剤を散布し、ハダニ類・カイガラムシ類を防除する。
◇厳寒時に薬剤を散布すると薬害の恐れがある。
◇12月中に散布できなかった場合は、翌年3月頃に散布する。

6 いちじく

【霜対策】
◇霜害にあい樹勢が低下すると、カミキリムシ類など病害虫の被害を受けやすい。
◇一文字整枝の場合、主枝が霜害を受けやすい。
◇マルチや敷きわらを残しておくと、霜害が出やすいので、取り除く。
◇樹体にわらなどで霜よけをするときは、春遅くまで残しておく方が効果が高い。

7 果樹類全般

【間伐・整枝・剪定】
◇落葉果樹では、落葉がはじまると剪定作業の時期になる。
◇密植園や過繁茂状態、樹高が高すぎる樹では、日照・通風条件が悪く、病害虫の発生が
 増え、薬剤散布も行いにくい。
◇適切な樹間距離になるよう樹を間伐する。
◇防除しやすい樹高になるよう剪定する。
◇枯死したり衰弱した枝は、病害虫の発生源となるので、取り除く。
◇樹皮の下で越冬する病害虫が多いので、粗皮削りを行う。
◇大きな切り口は、木工ボンドや接ぎロウなどで保護する。

【鳥獣害対策】
◇放任樹や、収穫残りの果実などが、鳥やサル、アライグマ、イノシシなどの餌になる。
◇農地周辺から餌になるものを取り除いて、農地に接近する習性をつけさせない。

8 水稲

【病害虫対策】
◇収穫後のひこばえが来年以降の病害虫を増やす可能性があるため、早めに刈り株をすき
 込む。

【スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)】
◇貝殻が壊されると越冬できず死滅する。
◇刈り取り後、耕うんして貝をひき潰し、越冬貝を減らす。
◇被害の拡大を防ぐため、捕獲した貝を水田や水路に逃がさない。
◇耕うん機などに土と一緒に付着することがあるので、他のほ場等への移動の際は
 しっかり土を落とす。
◇水田、水路に水がたまっていると生息するので、水をためないようにする。

【鳥獣害対策】
◇収穫後のひこばえが、イノシシやシカの餌となることがある。
◇ひこばえを放置すると、来年以降の鳥獣害を増やすことになる。
◇刈り取り後、水田を耕うんし、刈り株をすき込むなとの対策を行う。

 次の情報は、1月16日頃にお知らせします。

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