病害虫発生・防除メールサービス(3月後半)

(平成24年3月19日発信)


 大阪府内の3月後半の病害虫発生状況と防除対策についてお知らせします。
 果樹の萌芽期が近づきました。いまのうちにしっかり手入れをしましょう。
 暖かくなるにつれ病害虫の発生も増えてくるので、注意しましょう。
 春は強風の日が多いので、薬剤散布の際はドリフトに注意しましょう。

1 なす(施設栽培)
【すすかび病】
◇保温のため閉めきることが多くなるが、適度に換気を行い、湿度を下げる。
◇発生が予測される時期にベルクート水和剤を予防的に散布する。
◇発生が見られたらトリフミン乳剤を散布する。

【灰色かび病】
◇保温のため閉めきることが多くなるが、適度に換気を行い、湿度を下げる。
◇発生が予測される時期にボトキラー水和剤を予防的に散布する。
◇暖房機ダクトが設置されている施設では、ボトキラー水和剤のダクト内投入による散布
 も効果的である。
◇発生が見られたらセイビアーフロアブル20等を散布する。

【アザミウマ類】
◇一部でミナミキイロアザミウマなどの発生が確認されている。
◇発生が見られたら、プレオフロアブル(ミナミキイロアザミウマ)等を散布する。
◇天敵や寄生菌を使った生物農薬の利用も効果がある。
・スワルスキー、スワルスキープラス(アザミウマ類を食べるスワルスキーカブリダニ)
 適温:摂氏12〜35度
・ボタニガードES(アザミウマ等に寄生するカビ)
 適温:摂氏18〜28度

【チャノホコリダニ】
◇定植時に苗と一緒に持ち込まれる場合があるので注意する。
◇体長0.2ミリと非常に微細なダニなので、発見は難しい。
◇新梢の先端付近が集中的に被害をうけ、灰褐色に変色する。
◇多発すると果実に大きな被害が出るので注意が必要になる。
◇カネマイトフロアブルやコテツフロアブル(劇)を予防的に散布する。
◇天敵を使った生物農薬の利用も効果がある。
・スワルスキー、スワルスキープラス(スワルスキーカブリダニ)
 適温:摂氏12〜35度

2 トマト・ミニトマト(施設栽培)
(トマトとミニトマトで登録内容が異なる場合があるので薬剤使用にあたっては注意する)
【葉かび病】
◇例年、この時期から発生が増える。
◇適度に換気を行い、過湿にならないようにする。
◇被害葉は早めに除去し、ハウス外に持ち出して処分する。
◇発生した場合は、カンタスドライフロアブル、トップジンM水和剤等を散布する。
(2剤ともトマト、ミニトマト双方に登録あり)
◇トリフミン乳剤はトマトのみに適用があり、ミニトマトでは使用できない。
◇トリフミン水和剤はトマト・ミニトマト両方に適用がある。

【灰色かび病】
◇例年この時期から発生が増える。
◇適度に換気を行い、過湿にならないようにする。
◇開花後の花弁から発生することが多いので、こまめに取り除く。
◇被害葉や果実は早めに除去し、ハウス外に持ち出して処分する。
◇発生した場合は、ゲッター水和剤等を散布する。

【トマト黄化葉巻病(TYLCV)】
◇タバココナジラミによって媒介されるウイルス病である。
◇近年、府内での発生が増えており、大きな被害をもたらしている。
◇感染してからは対策がないので、コナジラミ類の防除を徹底する。
◇感染株はすぐに処分する。感染株をビニル袋等に入れて口を縛り、
 完全に枯死させてから処分する。

【コナジラミ類】
◇タバココナジラミは、吸汁による直接被害のほかに、トマト黄化葉巻病(TYLCV)
 を媒介する。
◇施設では、開口部を寒冷紗で被覆し、成虫の侵入を阻止する。
◇作業者が、タバココナジラミを付着させたまま、複数の施設を移動しないよう注意する。
◇発生を確認した場合は、コルト顆粒水和剤、コロマイト乳剤等を散布する。
(2剤ともトマト、ミニトマト双方に登録あり)

3 たまねぎ
【べと病】・【白色疫病】
◇例年3〜5月に発生する。
◇温暖で雨が続くと発生しやすい。排水不良の畑で発生が多い。
◇発生が見込まれる時期にジマンダイセン水和剤かランマンフロアブルを予防的に散布す
 る。
◇発生を認めたら、リドミルMZ水和剤かホライズンドライフロアブルを散布する。
(注)リドミルMZとジマンダイセンは、同一成分(マンゼブ)を含むため合計5回まで

4 ぶどう(加温栽培)
【灰色かび病】
◇開花期〜幼果期に発生すると大きな被害になる。
◇施設を閉め切る時間が長いとハウス内の湿度が高くなり、発生しやすい。
◇巨峰などでは、花流れの原因となる場合がある。
◇開花後の花かすが発生源となることが多い。
◇換気を適切に行って、湿度を下げるようにする。
◇開花期前後にマルチを設置することで、湿度を下げる。
(萌芽期や果実肥大期には湿度が必要なので、マルチは設置しない)
◇換気を適切に行って、湿度を下げるようにする。
◇加温機の送風だけを利用しても、病気の予防効果が期待できる。
◇開花後には、刷毛やブロワーで花かすを取り除く。
◇発生した場合は、ゲッター水和剤等を散布する。

【ハダニ類】
◇早期加温栽培で発生しやすい。
◇加温機の近く、ダクトの先端部など高温になりやすいところから発生するので、注意し
 て観察する。
◇発生を確認した場合は、マイトコーネフロアブルかバロックフロアブルを散布する。
◇天敵(生物農薬)を放飼して、防除することもできる。
・スパイカルEX(ハダニを食べるミヤコカブリダニ)

5 みかん
【せん定作業】
◇せん定は3月下旬までに終了させる。
(せん定の際には、せん定前の70%以上の葉が残るようにする)
◇大きな切り口には、トップジンMペースト等を塗布して保護する。
◇樹勢が著しく低下した樹は病害虫の発生源にもなりやすいので、間伐する。
◇枯死した枝も病害虫の発生源になりやすいので、切除する。
◇樹高を低くし、農薬散布等の管理が楽になるようにする。
◇樹と樹の間隔を広げ、日当たりと風通しをよくする。
◇樹の間隔は、人が楽に通行できる距離を目安にする。
◇極端な強せん定は樹勢を低下させるので、行わない。

【休眠期防除】
◇12月にマシン油剤を散布しなかった園では3月に散布する。
◇カイガラムシ類、ミカンサビダニ、ミカンハダニの越冬を減らす効果がある。

6 もも
【縮葉病】・【せん孔細菌病】
◇萌芽期前にICボルドー412を散布して、予防する。
◇開花後は薬害が発生するので、ボルドーは散布しない。

7 いちじく
【ネコブセンチュウ】
◇3月下旬にネマトリンエース粒剤を樹冠下処理する。

【霜対策】
◇霜害にあい樹勢が低下すると、カミキリムシ類など病害虫の被害を受けやすい。
◇一文字整枝の場合、主枝が霜害を受けやすい。
◇霜除けは4月まで残しておく。

8 その他(農薬の散布に適切な時間帯について)
【温度の問題】
◇農薬散布は、涼しく、風のない時間帯に行う。(薬液の乾く時間を考慮にいれる)
◇高温条件での散布は薬害が発生することが多い。
◇薬剤の種類や作物によって、適温は異なる。
◇労力的にも、防除衣(カッパ)を着て暑く感じない程度の気温がよい。
◇3月でも施設内は高温になることが多いので注意する。

【湿度の問題】
◇基本的には夕方より朝方に散布する。
◇夕方に散布すると、ハウス内の散布した薬液が乾く前にハウスを閉めることになり、
 夜間にハウス内の湿度が高い条件が続くことになる。
◇薬液が一晩中残ると薬害の原因にもなる。
◇灰色かび病やすすかび病など多くの病害は高湿度条件で発生しやすい。
◇午前中に散布すると、充分に薬液が乾いてから閉めるので、夜間の湿度も上がらない。

【生菌を使った農薬】
◇生菌を使った農薬は、散布後一定時間湿度が高い方が効果が高い。
◇下記の薬剤は、夕方に散布する方がよい  
・ボタニガードES、マイコタール、バータレック、バイオキーパー水和剤

次の情報は、3月30日頃にお知らせします。

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