トマトで、「葉かび病」を対象とした薬剤防除を行っても、期待した効果が得られない場合があります。この原因として、葉かび病菌の薬剤感受性の低下(耐性菌の出現)、抵抗性品種を侵す菌の系統(レース)の出現、および「葉かび病」に酷似した病害である「すすかび病」が発生している場合が考えられます。
薬剤の防除効果が低下した場合、「葉かび病」の抵抗性品種の活用や、「すすかび病」も念頭に入れた薬剤の使用を検討しましょう。
府内では、「葉かび病」の抵抗性品種を侵す菌の系統(特に、抵抗性品種CF9を侵す系統)は、現在のところ確認されていません。
詳しくは、各農と緑の総合事務所農の普及課、農政室推進課病害虫防除グループ、環境農林水産総合研究所にご相談ください。
トマトの葉かび病とすすかび病の見分け方
<葉かび病>
(病原菌)Passalora fulva (旧Fulvia fulva)
(病徴)葉に発生。初め葉の表面の一部分がわずかに黄変し、
その後裏側に、灰白色で輪郭が不鮮明な病斑を生じる。
後に灰白色のかびを生じる。
<すすかび病>
(病原菌)Pseudocercospora fuligena
(病徴)葉に発生。初め葉裏にぼんやりした淡黄緑色の病斑が現れ、
その後黒褐色のかびが生じる。その後、次第に病斑が拡大し、
褐色~黒褐色になる。
*酷似しているので、病徴だけでは、判断の決め手となりにくい
場合があるが、胞子での識別は容易である。
葉かび病の防除対策
・多湿条件で発病しやすいため、過繁茂にならないように管理を行い、室内の換気に努め る。
・予防散布に努め、発生の拡大防止に努める。
・薬剤の感受性低下(耐性菌の出現)を防ぐため、薬剤のローテーション散布を行う。
・葉かび病に抵抗性のある品種(下記、参照)を栽培する。
・葉かび病のみに登録がある薬剤を使用して防除効果が現れにくい場合、すすかび病に登 録がある薬剤を使用する。
トマト葉かび病(被害葉<葉裏>)
トマトすすかび病(被害葉<葉裏>)
トマト葉かび病菌胞子
トマトすすかび病菌胞子
(原図提供:(独)大阪府立環境農林水産総合研究所:岡田主幹研究員)
<参考:登録薬剤:トマト(葉かび病・すすかび病)>
アミスター20フロアフ゛ル (葉かび病)2000倍 前日/4 (すすかび病)登録なし
アミスターオフ°ティフロアフ゛ル (葉かび病)1000倍 前日/4 (すすかび病)1000倍 前日/4
ヘ゛ルクートフロアフ゛ル (葉かび病)2000倍 前日/3 (すすかび病)2000倍 前日/3
ヘ゛ルクート水和剤 (葉かび病)3000~6000倍 前日/3 (すすかび病)登録なし
ダイマジン (葉かび病)1500倍 前日/3 (すすかび病)登録なし
ト゛ーシャスフロアフ゛ル (葉かび病)1000倍 前日/4 (すすかび病)登録なし
ケ゛ッター水和剤 (葉かび病)1000~1500倍 前日/5 (すすかび病)登録なし
スコア顆粒水和剤 (葉かび病)2000倍 前日/3 (すすかび病)2000倍 前日/3
テーク水和剤 (葉かび病)800倍 前日/2 (すすかび病)登録なし
ホライス゛ント゛ライフロアフ゛ル (葉かび病)2500倍 前日/3 (すすかび病)登録なし
フ゛リサ゛ート゛水和剤 (葉かび病)1200倍 前日/3 (すすかび病)1200倍 前日/3
カリク゛リーン (葉かび病)800倍 前日/- (すすかび病)登録なし
トッフ°シ゛ンM水和剤 (葉かび病)1500~2000倍 前日/5 (すすかび病)登録なし
トリフミン水和剤 (葉かび病)3000 ~5000倍 前日/5 (すすかび病)3000倍 前日/5
トリフミン乳剤 (葉かび病)2000倍 前日/5 (すすかび病)登録なし
◎防除薬剤については、
●Web版大阪府病害虫防除指針(http://www.jppn.ne.jp/osaka/)
●農林水産消費安全技術センター 農薬登録情報提供システム
(http://www.acis.famic.go.jp/index_kensaku.htm)
にて確認してください。