病害虫発生・防除メールサービス(10月前半)

(平成24年9月28日発信)


 大阪府内の9月後半の病害虫発生状況と10月前半の防除対策についてお知らせします。
 農繁期になりましたが、農作業中の事故には気をつけてください。

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注意報第1号「果樹カメムシ類 注意報」発表(6月13日)
注意報第2号「水稲いもち病 注意報」発表(7月26日)
注意報第3号「水稲ウンカ類 注意報」発表(8月24日)
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1 水稲
 今年発生した病害虫を次年度に持ち越さないないように注意する。
【縞葉枯病】(ヒメトビウンカ)
◇近年、発生が増加している。
◇縞葉枯病は、ヒメトビウンカにより媒介される。
◇感染した刈り株から伸びるひこばえをヒメトビウンカが吸汁し、保毒する可能性がある
 ため、発生したほ場の稲わらは早めに耕うんし、すきこむ。

【もみ枯細菌病】
◇今年もみ枯細菌病が発生した水田からの採種は行わない。
◇発病ほ場の稲わらやもみ殻は水田に還元せず、堆肥化など病原菌密度を減らしてから利 用する。

【内えい褐変病】
◇発生したほ場の稲わらや不稔もみは、堆肥化してから利用する。

【スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)】
◇貝殻が壊されると越冬できず死滅する。
◇刈り取り後、耕うんして貝をひき潰し、越冬貝を減らす。
◇被害の拡大を防ぐため、捕獲した貝を水田や水路に逃がさない。
◇耕うん機などに土と一緒に付着することがあるので、移動の際はしっかり土を落とす。
◇水田や水路に水があると越冬貝が増えるので、水を溜めないようにする。

2 なす
【うどんこ病】
◇日照不足、乾燥条件下で多発する。
◇こまめに摘葉、摘芯を行い、過繁茂にならないようにする。
◇草勢が弱ると多発しやすいので、肥効切れにならないように管理する。
◇発生初期に、パンチョTF顆粒水和剤、トリフミン乳剤等をしっかり散布する。
※パンチョTFとトリフミンは、同一成分を含むため合計5回まで。

【アザミウマ類】
◇発生が見られたら、アファーム乳剤やプレオフロアブル(ミナミキイロアザミウマ)、
 ディアナSC等を散布する。
◇薬剤散布にあたっては、農薬使用履歴を確認し、収穫前日数、使用回数制限に気をつけ る。
◇系統の異なる薬剤を組み合わせて、ローテーション散布する。
◇施設では、天敵や寄生菌を使った生物農薬も利用できる。
・スワルスキー、スワルスキープラス(アザミウマ類を食べるスワルスキーカブリダニ)
 適温:15〜35度
・ボタニガードES(アザミウマ等に寄生するカビ)(散布後、施設内を保湿する)
 適温:18〜28度

【オオタバコガ】
◇1頭の幼虫が数個の果実を食害するので、1頭あたりの被害が大きい。
◇被害を受けた果実は、中に幼虫が入っている可能性が高いので、早めに処分する。
◇老齢幼虫は薬剤が効きにくく、果実内にいるため、若齢幼虫の防除に重点を置く。
◇発生を確認した場合は、スピノエース顆粒水和剤、プレオフロアブル等で防除する。
◇黄色灯を終夜点灯すれば、成虫の飛来を減らすことができる。(文末参照)

【ハダニ類】
◇合成ピレスロイド系の薬剤を多用すると、天敵が減少し、ハダニ類が増えやすい。
◇発生初期の方が防除効果が高いので、発見後早めにマイトコーネフロアブル、ダニサラ
 バフロアブル、スターマイトフロアブル等を散布する。
◇使用回数が1回の薬剤が多いので、農薬の使用履歴をしっかり記帳する。
◇購入苗の場合は、育苗期の散布履歴もしっかり確認する。

【ソルゴ囲い込み栽培】
◇気温が下がると土着天敵のハナカメムシ類の活動が鈍くなり、アザミウマ類が増加する
 ことがあるので注意する。
◇ソルゴ囲い込み栽培により、殺虫剤散布回数が少なくなると、テントウムシダマシ類や
 スズメガなどが発生しやすいので注意する。
◇同様に、殺菌剤の散布回数が少ないとうどんこ病が発生しやすいので注意する。

3 トマト・ミニトマト
(トマトとミニトマトで登録内容が異なる場合があるので薬剤使用にあたっては注意する)
【トマト黄化葉巻病(TYLCV)】
◇タバココナジラミによって媒介されるウイルス病である。
◇近年、府内での発生が増えている。
◇感染してからは対策がないので、コナジラミ類の防除を徹底する。
◇ほ場周辺に、こぼれ種等から発芽したり、残渣から再生したトマトがあれば、処分する。
◇感染株はすぐに処分する。感染株をビニル袋等に入れて口を縛り、完全に枯死させてか
 ら処分する。

【コナジラミ類】
◇タバココナジラミは、吸汁による直接被害のほかに、トマト黄化葉巻病(TYLCV)
 を媒介する。
◇施設では、開口部を防虫ネットで被覆し、成虫の侵入を阻止する。
◇発生を確認した場合は、コルト顆粒水和剤、ベストガード水溶剤等を散布する。

4 キャベツ等あぶらな科野菜および葉ぼたん
(作物ごとに農薬の登録内容が異なる場合があるので薬剤使用にあたっては注意する)
【根こぶ病】
◇あぶらな科野菜の連作を避ける。
◇土壌pHが低いと発生しやすいので、石灰質資材を施用して、pH6.5〜7に調整する。
◇発生が予測される畑では、キャベツの定植前に、ネビジン粉剤(キャベツ、はくさい等)
 を散布し、又、定植前日か当日にランマンフロアブル(キャベツ、はくさい等)等をセ
 ル成型育苗トレイにかん注する。

【ハイマダラノメイガ(ダイコンシンクイ)】
◇定植時には健全苗だけを使用し、本ぽへの持ち込みを防ぐ。
◇被覆資材によるべたがけ、トンネルがけの防除効果は高い。
◇セル成型育苗トレイにプリンス粒剤(キャベツ、ブロッコリー)等を施用するか、プレ
 バソンフロアブル5(キャベツ、はくさい)、ジュリボフロアブル(キャベツ、はくさ
 い等)等をかん注する。
◇発生初期にスピノエース顆粒水和剤(キャベツ、はくさい等)等を散布する。

【ハスモンヨトウ】
◇200個程度の卵塊で産卵し、若齢幼虫は集団で食害する。中齢幼虫になると分散する。
◇老齢幼虫には薬剤が効きにくいので、若齢幼虫の防除に重点をおく。
◇発生を認めたら、キャベツではアファーム乳剤やフェニックス顆粒水和剤等で防除する。
◇薬剤防除に当たっては、適用作物に注意する。
◇黄色灯を終夜点灯することで成虫の飛来を抑制できる。(文末参照)

5 きゅうり
【うどんこ病】
◇草勢が弱ると多発しやすいので、肥効切れにならないように管理する。
◇うどんこ病は、日照不足、乾燥条件下で多発する。
◇こまめに摘葉を行い、過繁茂にならないようにする。
◇ブルームレス台木では、うどんこ病が発生しやすい。
◇発生が見込まれる時期にトリフミン水和剤、フルピカフロアブル等を予防散布する。
◇ストロビルリン系剤(アミスター、ストロビー)の使用は1作1回に留める。

【べと病】
◇ハウス内が多湿になると発生しやすいので、排水、換気に注意する。
◇肥効切れになると発生しやすいので、追肥をこまめに行う。
◇発生が見込まれる時期にペンコゼブ水和剤やジマンダイセン水和剤を散布して予防す
 る。
◇発生を確認した場合は、リドミルMZ水和剤やホライズンドライフロアブル等を散布す
 る。
※ペンコゼブ水和剤やジマンダイセン水和剤、リドミルMZ水和剤は共通した成分を含む
 ため合計3回までしか使用できないので注意する。

【炭そ病】・【褐斑病】
◇過湿条件で発生しやすいので、ハウス内の過湿を避ける。
◇窒素過多は発生を助長するので、窒素肥料のやりすぎに注意する。
◇べと病にも似た病斑を形成するので、正確に診断し、薬剤を選択する。

6 ぶどう
【べと病】
◇気温が下がってくると、発生しやすくなる。
◇秋雨や台風などで雨が続くと蔓延する可能性がある。
◇多発して落葉すると樹勢が低下し次年度にも影響するので、収穫が終わった園もしっか
 り防除する。
◇発生が予測される時期に、ボルドー液などを散布し予防する。
◇収穫前の園では、収穫前日数に気をつけて防除する。

【ブドウトラカミキリ】
◇成虫発生時期は8月中旬〜10月上旬である。
◇収穫終了後、モスピラン顆粒水溶剤等を散布して防除する。

7 温州みかん
【黒点病】
◇雨によって広がるので、注意が必要である。
◇発生を確認した場合は、ジマンダイセン水和剤等で防除する。

【ミカンハダニ】
◇秋に温暖で雨が少ないと発生が多くなる。
◇合成ピレスロイド系の殺虫剤は、天敵を減らすため、多用するとハダニ類の増加を招く
 恐れがある。
◇同一薬剤や同一系統の薬剤を連用すると、抵抗性が発達する恐れがある。
 同一系統剤の例:ダニトロンフロアブル、サンマイト水和剤、ピラニカ水和剤

【ミカンサビダニ】
◇被害果(ちゃんぶくろ)が数多く確認されてからの防除では充分な効果を得にくい。
◇樹高の高い樹の上部や密植された場所など薬剤がかかりにくい部分から発生することが
 多いので、薬剤散布を行うときは散布ムラがないように注意する。
◇早生種では収穫期が近いので、収穫前日数に注意して薬剤を選択する。
◇早生種と晩生種が近接している園ではドリフトに注意する。
◇ダニトロンフロアブル、マイトコーネフロアブル等で防除する。

8 いちじく
【イチジクヒトリモドキ】
◇9〜10月に発生が多かったことがある。
◇若齢幼虫は集団で加害するので、葉ごと処分する方法が効果的である。
◇発生を確認した場合は、デルフィン顆粒水和剤やアディオン乳剤を散布する。
◇ハダニ類が発生しやすい園では、合成ピレスロイド系の薬剤を散布すると、天敵が減っ
 てハダニ類が増加することがあるので、ハダニ類の天敵に影響が少ないデルフィン顆粒
 水和剤を使用する。

◎黄色灯によるヤガ類の防除
[対象害虫]
◇野菜・花き類を食害するハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ、オオタバコガ等。
◇成虫の飛来や産卵を抑制するもので、幼虫に対する直接の防除効果はない。

[設置方法]
◇ほ場内の照度が1ルクス以上になるように、設置する。
◇ほ場の上方や外側にも光が行き届くほうが効果が高い。
◇日没1時間前から、日の出1時間後まで点灯する。
◇きくは夜間に強い光を受けると開花しない。周辺にこのような作物がある場合は
 黄色灯の設置方向に注意すること。

 次の情報は、10月15日頃にお知らせします。

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