病害虫発生・防除メールサービス(11月後半)

(平成24年11月14日発信)


 昼夜の気温差が大きいので、施設栽培では結露による病害の発生に注意しましょう。
 薬剤使用の際は、病害虫防除グループホームページに掲載している防除指針もご参照く
ださい。

1 水稲
 今年発生した病害虫を次年度に持ち越さないように注意する。
 収穫後に耕うんすることで、翌年の病害虫や鳥獣害の被害を軽減できる。

【縞葉枯病】(ヒメトビウンカ)
◇縞葉枯病はヒメトビウンカによって媒介されるウイルス病である。
◇ウイルスは、ヒメトビウンカによって経卵伝染(※)する。
 ※ウイルスが、保毒虫の産んだ卵を介して次世代にも伝搬すること。
◇越冬前の保毒虫が多いと、次年度に病害の発生が増える。
◇発病株から生じたひこばえを介して、さらに越冬保毒虫が増える可能性があるため、早めに刈り
 株をすき込み、ひこばえを処分する。

【ばか苗病・いもち病・もみ枯細菌病・内えい褐変病・イネシンガレセンチュウ】
◇上記の病害虫は、種子、もみ殻、被害わらを通じて伝染する恐れがある。
◇自家採種する場合は、上記の病害虫が発生した水田のもみは種もみとして使用しない。
◇上記の病害虫が発生した水田で、もみ殻や生わらをすき込む場合は、早め(年内)に
 すき込みを行い、完全に腐熟させる。
◇特にもみ枯細菌病が発生した水田では、稲わらやもみ殻は水田に直接還元せず、堆肥化 など病原菌を減らしてから利用する。

【ミナミアオカメムシ】
◇斑点米カメムシ類の一種である。
◇収穫後のひこばえの稲穂が餌となって越冬虫が増える可能性があるため、早めに刈り株
 をすき込む。

【スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)】
◇貝殻が壊されると越冬できず死滅する。
◇刈り取り後、耕うんして貝をひき潰し、越冬貝を減らす。
◇被害の拡大を防ぐため、捕獲した貝を水田や水路に逃がさない。
◇耕うん機などに土と一緒に付着することがあるので、移動の際はしっかり土を落とす。
◇水田や水路等に水がたまらないようにする。

【鳥獣害対策】
◇収穫後のひこばえが、イノシシやシカの餌となることがある。
◇ひこばえを放置すると、来年以降の鳥獣害を増やすことになる。
◇刈り取り後、水田を耕うんし、刈り株をすき込むなどの対策を行う。

2 トマト・ミニトマト
(トマトとミニトマトで登録内容が異なる場合があるので薬剤使用にあたっては注意する)

【トマト黄化葉巻病(TYLCV)】
◇タバココナジラミによって媒介されるウイルス病である。
◇近年、府内での発生が増えており、大きな被害も発生している。
◇感染してからは対策がないので、コナジラミ類の防除を徹底する。
◇ほ場周辺に、こぼれ種等から発芽したり、残さから再生したトマトがあれば、処分する。
◇感染株はすぐに処分する。感染株をビニル袋等に入れて口を縛り、完全に枯死させてか
 ら処分する。

【コナジラミ類】
◇タバココナジラミは、吸汁による直接被害のほかに、トマト黄化葉巻病(TYLCV)
 を媒介する。
◇施設では、開口部を寒冷紗で被覆し、成虫の侵入を阻止する。
◇複数の施設を移動するときに、持ち運ばないよう注意する。
◇発生を確認した場合は、コルト顆粒水和剤、ベストガード水溶剤等を散布する。

3 キャベツ等あぶらな科野菜および葉ぼたん
(作物ごとに農薬の登録内容が異なる場合があるので薬剤使用にあたっては注意する)

【黒腐病】
◇強い風雨のあと発生することが多い。
◇発生が予測される場合は、キャベツでは、ベジキーパー水和剤やZボルドーを散布する。
 (Zボルドーは野菜類に適用あり)

【軟腐病】
◇強い風雨のあと発生することが多い。
◇発生が予測される場合は、バイオキーパー水和剤やZボルドーを散布する。
(どちらも野菜類に適用あり)

【菌核病】
◇被害株は早めに抜き取って処分する。
◇菌核が土中に残って伝染源となるので、り病株は放置せず、ほ場外へ持ち出して処分す る。
◇発生が予測される場合は、キャベツでは、ベンレート水和剤、ロブラール水和剤等を散 布する。

【白さび病】
◇平均気温が15度前後で、降雨が多いと発生しやすい。
◇被害葉は取り除いて処分する。
◇非結球あぶらな科葉菜類では、発生が見込まれる時期にライメイフロアブル等を散布す
 る。

【根こぶ病】
◇あぶらな科野菜の連作を避ける。
◇被害株は早めに抜き取って処分する。り病残さはほ場外に持ち出して処分する。

【ハスモンヨトウ】
◇例年この時期の発生量・被害が多い。
◇200個程度の卵塊で産卵され、若齢幼虫は集団で食害する。
◇老齢幼虫には薬剤が効きにくいので、若齢幼虫の防除に重点をおく。
◇卵塊や若齢幼虫を発見した場合は、葉ごと処分する。
◇発生を認めたら、キャベツではアファーム乳剤やフェニックス顆粒水和剤等で防除する。
◇薬剤防除に当たっては、適用作物に注意する。
◇黄色灯を終夜点灯することで成虫の飛来を抑制できる。(文末参照)

4 きゅうり

【うどんこ病】
◇草勢が弱ると多発しやすいので、肥効切れにならないように管理する。
◇うどんこ病は、日照不足、乾燥条件下で多発する。
◇ストロビルリン系剤(アミスター、ストロビー)の使用は1作1回程度にとどめる。
◇ブルームレス台木では、うどんこ病が発生しやすい。
◇病葉、老化葉等の摘葉を行い、適正な草勢を保つ。
◇発生が見込まれる時期にトリフミン水和剤、フルピカフロアブル等を散布する。

【べと病】
◇一部ハウスで発生が増加している。
◇ハウス内が多湿だと発生しやすいので、排水、換気に注意する。
◇肥効切れになると発生しやすいので、追肥をこまめに行う。
◇発生が見込まれる時期にペンコゼブ水和剤やジマンダイセン水和剤を散布して予防す 
 る。
◇発生を確認した場合は、リドミルMZ水和剤やホライズンドライフロアブル等を散布す
 る。
※ペンコゼブ水和剤やジマンダイセン水和剤、リドミルMZ水和剤は共通した成分
 (マンゼブ)を含むため合計3回までしか使用できないので注意する。

【褐斑病】・【炭そ病】
◇過湿条件で発生しやすいので、ハウス内の過湿を避ける。
◇窒素過多は発生を助長するので、窒素肥料のやりすぎに注意する。
◇被害葉や老化葉は早めに除去する。
◇発生を確認した場合は、ゲッター水和剤等を散布する。

【コナジラミ類】
◇栽培終了後、収穫残さをほ場外に持ち出して処分する。
◇ハウス周辺の雑草を除去し、発生源をなくす。

5 施設野菜全般

【過湿注意】
◇施設内の湿度が高いと、灰色かび病、菌核病や葉かび病等の病害が発生しやすい。
◇適切な換気を行い、湿度を調整する。

6 温州みかん
(早生種は収穫期が始まっているので、薬剤散布の際は収穫前日数に気をつける)
(早生種と晩生種が近接している園では、ドリフトに充分気をつける)

【貯蔵病害】
◇貯蔵みかんには、収穫前に下記の薬剤を散布する。
 ・トップジンM水和剤(青かび病・緑かび病・軸腐病)
 ・ベンレート水和剤(青かび病・緑かび病・軸腐病・炭そ病・黒斑病)
 ・ベフラン液剤25(青かび病・緑かび病・白かび病・黒腐病)
 (※なお、ベフラン液剤25と石灰硫黄合剤を混用するときは、ベフラン液剤25の
  希釈液を作ってから、石灰硫黄合剤を加えて調製すること。)

7 果樹類全般

【間伐・整枝・剪定】
◇落葉果樹では、落葉がはじまると剪定作業の時期になる。
◇密植園や過繁茂状態、樹高が高すぎる樹では、日照・通風条件が悪く、病害虫の発生が
 増え、薬剤散布も行いにくい。
◇適切な樹間距離になるよう樹を間伐する。
◇防除しやすい樹高になるよう剪定する。
◇枯死したり衰弱した枝は、病害虫の発生源となるので、取り除く。
◇大きな切り口には、木工ボンドや接ぎロウなどをぬり保護する。

【鳥獣害対策】
◇放任樹や、収穫残りの果実などが、鳥やサル、アライグマなどの餌になる。
◇農地周辺から餌になるものを取り除いて、農地に接近する習性をつけさせない。

◎黄色灯によるヤガ類の防除
[対象害虫]
◇野菜・花き類を食害するハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ、オオタバコガ等。
◇成虫の飛来や産卵を抑制するもので、幼虫に対する直接の防除効果はない。

[黄色灯の設置方法]
◇ほ場内の照度が1ルクス以上になるように、設置する。
◇ほ場の上方や外側にも光が行き届くほうが効果が高い。
◇日没1時間前から、日の出1時間後まで点灯する。
◇きくは夜間に強い光を受けると開花しない。周辺にこのような作物がある場合は
 黄色灯の設置方向に注意すること。

 次の情報は、12月3日頃にお知らせします。

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