病害虫発生・防除メールサービス(12月前半)

(平成24年11月27日発信)


 大阪府内の11月後半の病害虫発生状況と12月前半の防除対策についてお知らせします。
 寒くなってきました。露地作物の凍霜害の発生にご注意ください。
 施設栽培では、結露が原因で増える病害が多いので、十分な換気をしましょう。
 落葉果樹の剪定時期です。病害虫対策も同時に行いましょう。

1 水稲
 今年発生した病害虫を次年に持ち越さないないように注意する。
 収穫後、早期に耕うんすることで、翌年の病害虫や鳥獣害の被害を軽減できる。

【縞葉枯病】(ヒメトビウンカ)
◇縞葉枯病はヒメトビウンカによって媒介されるウイルス病である。
◇ウイルスは、ヒメトビウンカによって経卵伝染(※)する。
 ※ウイルスが、保毒虫の産んだ卵を介して次世代にも伝搬すること。
◇越冬前の保毒虫が多いと、次年度に病害の発生が増える。
◇発病株から生じたひこばえを介して、さらに越冬保毒虫が増える可能性があるため、早 めに刈り株をすき込む。

【ばか苗病・いもち病・もみ枯細菌病・内えい褐変病・イネシンガレセンチュウ】
◇上記の病害虫は、種子、もみ殻、被害わらを通じて伝染する恐れがある。
◇自家採種する場合は、上記の病害虫が発生した水田からの採種を避ける。
◇上記の病害虫が発生した水田で、もみ殻や生わらをすき込む場合は、早め(年内)に
 すき込みを行い、完全に腐熟させる。
◇特にもみ枯細菌病が発生した水田では、稲わらやもみ殻は水田に直接還元せず、堆肥化 など病原菌を減らしてから利用する。

【ミナミアオカメムシ】
◇斑点米カメムシ類の一種である。
◇収穫後のひこばえの稲穂が餌となって越冬虫が増える可能性があるため、早めに刈り株
 をすき込む。

【スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)】
◇貝殻が壊されると越冬できず死滅する。
◇刈り取り後、耕うんして貝をひき潰し、越冬貝を減らす。
◇被害の拡大を防ぐため、捕獲した貝を水田や水路に逃がさない。
◇耕うん機などに土と一緒に付着することがあるので、他のほ場等への移動の際は
 しっかり土を落とす。
◇水田、水路に水がたまっていると生息するので、水をためないようにする。

【鳥獣害対策】
◇収穫後のひこばえが、イノシシやシカの餌となることがある。
◇ひこばえを放置すると、来年以降の鳥獣害を増やすことになる。
◇刈り取り後、水田を耕うんし、刈り株をすき込むなどの対策を行う。

2 トマト・ミニトマト(施設栽培)
(トマトとミニトマトで登録内容が異なる場合があるので薬剤使用にあたっては注意する)

【葉かび病】
◇冬期にハウスを閉め切ることが多くなる頃から発生が増える。
◇被害葉は早めに除去し、ハウス外に持ち出して処分する。
◇発生が予測される場合は、ベルクート水和剤等を散布する。
◇発生した場合は、ポリオキシンAL乳剤(トマトのみ)、トリフミン乳剤(トマトのみ)、
 トリフミン水和剤等を散布する。

【すすかび病】
◇多湿条件で発生しやすい。
◇発生した場合は、トリフミン水和剤等を散布する。

【トマト黄化葉巻病(TYLCV)】
◇タバココナジラミによって媒介されるウイルス病である。
◇近年、府内での発生が増えており、大きな被害も発生している。
◇感染してからは対策がないので、コナジラミ類の侵入防止と防除を徹底する。
◇ほ場周辺に、こぼれ種等から発芽したり、残さから再生したトマトがあれば、処分する。
◇感染株はすぐに処分する。感染株をビニル袋等に入れて口を縛り、完全に枯死させてか
 ら処分する。

【コナジラミ類】
◇タバココナジラミは、吸汁による直接被害のほかに、トマト黄化葉巻病(TYLCV)
 を媒介する(前述)。
◇施設では、開口部を寒冷紗で被覆し、成虫の侵入を阻止する。
◇複数の施設を移動するときに、成虫を持ち運ばないよう注意する。
◇発生を確認した場合は、コルト顆粒水和剤、ベストガード水溶剤等を散布する。

3 キャベツ等あぶらな科野菜および葉ぼたん
(作物ごとに農薬の登録内容が異なる場合があるので薬剤使用にあたっては注意する)

【黒腐病】
◇長雨や強い風雨のあと発生することが多い。
◇害虫の食害による傷口からも病原菌が侵入するので、害虫防除を徹底する。
◇発生が予測される場合は、キャベツでは、ベジキーパー水和剤やZボルドーを予防的に
 散布する。(Zボルドーは野菜類に適用あり)

【軟腐病】
◇長雨や強い風雨のあと発生することが多い。
◇発生が予測される場合は、バイオキーパー水和剤やZボルドーを予防的に散布する。
 (どちらも野菜類に適用あり)

【菌核病】
◇被害株は早めに抜き取って処分する。
◇菌核が土中に残って伝染源となるので、り病株は放置せず、ほ場外へ持ち出して処分す る。
◇発生が予測される場合は、キャベツでは、ベンレート水和剤、ロブラール水和剤等を散 布する。

【灰色かび病】
◇被害株は早めに抜き取って処分する。
◇り病株は放置せず、ほ場外へ持ち出して処分する。

【白さび病】
◇平均気温が15度前後で、降雨が多いと発生しやすい。
◇被害葉は取り除いて処分する。
◇非結球あぶらな科葉菜類では、発生が見込まれる時期にライメイフロアブル等を散布す
 る。

【根こぶ病】
◇あぶらな科野菜の連作を避ける。本病害は、あぶらな科野菜にのみ発生する。
◇根こぶ病が発生し収穫が見込めない畑では、根こぶが崩壊する前に作物を根こぶごと畑
 から持ち出して処分する。

4 ぶどう

【休眠期防除】
◇黒とう病や晩腐病が発生した園では、粗皮削りのあと、ベフラン液剤25等を散布する。
◇ハダニ類・カイガラムシ類対策に石灰硫黄合剤等を散布する。 
◇石灰硫黄合剤は、メーカーによって登録内容が異なるので注意する。
◇石灰硫黄合剤とベフラン液剤25を混用するときは、ベフラン液剤25を先に溶かし、
 かき混ぜながら石灰硫黄合剤を加える。

【黒とう病】
◇被害を受けた枝は剪定時に取り除く。
◇巻きひげなどでも病原菌が越冬することがあるので、できる限り取り除く。

【コナカイガラムシ類】
◇粗皮削りを行うことで越冬虫を減らすことができる。

【ブドウトラカミキリ、ブドウスカシバ】
◇被害枝や剪定枝を細かく切断するか、園外に持ち出して処分する。
◇剪定前に枝を引っ張って簡単に折れた場合は、中に幼虫が入っていることが多い。

5 いちじく

【霜対策】
◇霜害にあい樹勢が低下すると、カミキリムシ類など病害虫の被害を受けやすい。
◇一文字整枝の場合、主枝が霜害を受けやすい。
◇マルチや敷きわらを残したままだと、霜害が出やすいので、片付けておく。
◇わらなどで霜よけをするときは、冬早めに設置するより、春遅くまで設置する方が
 効果が高い。

6 果樹類全般

【間伐・整枝・剪定】
◇落葉果樹では、落葉がはじまると剪定作業の時期になる。
◇密植園や過繁茂状態、樹高が高すぎる樹では、日照・通風条件が悪く、病害虫の発生が
 増え、薬剤散布も行いにくい。
◇適切な樹間距離になるよう樹を間伐する。
◇防除しやすい樹高になるよう剪定する。
◇枯死したり衰弱した枝は、病害虫の発生源となるので、取り除く。
◇樹皮の下で越冬する病害虫が多いので、粗皮削りを行う。
◇大きな切り口は、木工ボンドや接ぎロウなどで保護する。

【鳥獣害対策】
◇放任樹や、収穫残りの果実などが、鳥やサル、アライグマ、イノシシなどの餌になる。
◇農地周辺から餌になるものを取り除いて、農地に接近する習性をつけさせない。

7 野菜類全般

【病害虫対策】
◇果菜類栽培施設では、収穫後の残さ除去を徹底するとともに、ハウス内除草も励行して、
 病害虫の温床(第一次伝染源)とならないよう、ほ場衛生に努める。

 次の情報は、12月14日頃にお知らせします。

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