病害虫発生・防除メールサービス(4月前半)

(平成24年4月2日発信)


 4月前半の病害虫発生状況と防除対策についてお知らせします。
 山間部など田植えが早い地域では、水稲の育苗を始めます。
 春は強風の日が多いので、薬剤散布の際はドリフトに注意しましょう。
 薬剤使用の際は、病害虫防除グループホームページに掲載している防除指針もご参照く
ださい。

1 水稲
【育苗準備】
◇育苗箱などの資材は使用前にケミクロンG、イチバン等で消毒する。
 
【種子消毒】
◇いもち病やもみ枯細菌病などの防除のため、塩水選を行った後に種子消毒を実施する。
◇薬剤を使用する場合の注意
 テクリードCフロアブル、スポルタックスターナSE等で消毒する。
 消毒後は種子を水洗いせずに12〜24時間陰干しする。
 種子消毒後の廃液は、川や池などに流さず、適切に処理する。
◇温湯消毒の場合の注意
 温湯消毒をする場合は、必ず乾燥した籾を使用する。
 60度の温湯に10分間浸漬する。引き上げ後直ちに冷水で冷やす。
 処理中に温度が60度以下にならないよう十分注意する。
 処理した籾はできるだけ速やかに播種する。

【苗腐敗症】
◇出芽時の高温(30度を超える)や多湿は発病を助長するので適正に管理する。

2 なす(施設栽培)
【すすかび病】
◇発生が確認されている。
◇保温のため閉めきることが多くなるが、適度に換気を行い、湿度を下げる。
◇発生が予測される時期にベルクート水和剤を予防的に散布する。
◇発生が見られたらトリフミン乳剤、ダコニール1000を散布する。

【灰色かび病】
◇一部で多発生が確認されている。
◇保温のため閉めきることが多くなるが、適度に換気を行い、湿度を下げる。
◇発生が予測される時期にボトキラー水和剤を予防的に散布する。
◇暖房機ダクトが設置されている施設では、ボトキラー水和剤のダクト内投入による散布
 も効果的である。
◇発生が見られたらセイビアーフロアブル20、カンタスドライフロアブルを散布する。

【アザミウマ類】
◇ミナミキイロアザミウマなどの発生が確認されている。
◇気温が上がるにつれ、発生が増える。
◇発生が見られたら、プレオフロアブル(ミナミキイロアザミウマ)などを散布する。
◇天敵や寄生菌を使った生物農薬の利用も効果がある。
・スワルスキー、スワルスキープラス(アザミウマ類を食べるスワルスキーカブリダニ)
 適温:15〜35度
・ボタニガードES(アザミウマ等に寄生するカビ)
 適温:18〜28度

【チャノホコリダニ】
◇定植時に苗と一緒に持ち込まれる場合があるので注意する。
◇体長0.2ミリと非常に微細なダニなので、発見は難しい。
◇新梢の先端付近が集中的に被害をうけ、灰褐色に変色する。
◇多発すると果実に大きな被害が出るので注意が必要になる。
◇カネマイトフロアブルやコテツフロアブル(劇)を予防的に散布する。
◇天敵を使った生物農薬の利用も効果がある。
・スワルスキー、スワルスキープラス(スワルスキーカブリダニ)
 適温:摂氏12〜35度

3 なす(露地栽培)
【育苗期の管理】
◇育苗ハウス内で病害虫の発生がないか注意して観察し、初期防除を徹底する。
◇アザミウマ類、ハダニ類、チャノホコリダニなどの微小な害虫に特に注意する。
◇施肥、かん水を適切に行い、徒長苗にならないよう注意する。

【ほ場準備】
◇なす、トマト、じゃがいもなどのナス科野菜の連作は避ける。
◇青枯病、半身萎凋病などが発生したほ場への植え付けを避ける。
◇なす畑の周囲に牧草のソルゴを植え付けることで、風害を防ぐとともに、アブラムシ類
 やアザミウマ類の被害を軽減することができるので、ほ場面積に余裕がある場合は、ソ
 ルゴを植えるスペース(ほ場周囲に幅1〜2m)を確保する。

4 トマト・ミニトマト(施設栽培)
(トマトとミニトマトで登録内容が異なる場合があるので薬剤使用にあたっては注意する)
【葉かび病】
◇発生が増えている。
◇適度に換気を行い、過湿にならないようにする。
◇被害葉は早めに除去し、ハウス外に持ち出して処分する。
◇発生した場合は、カンタスドライフロアブル、トップジンM水和剤等を散布する。
(2剤ともトマト、ミニトマト双方に適用あり)
◇トリフミン乳剤はトマトのみに適用があり、ミニトマトでは使用できない。
◇トリフミン水和剤はトマト・ミニトマト両方に適用がある。

【灰色かび病】
◇例年この時期から発生が増える。
◇適度に換気を行い、過湿にならないようにする。
◇開花後の花弁から発生することが多いので、こまめに取り除く。
◇被害葉は早めに除去し、ハウス外に持ち出して処分する。
◇発生した場合は、ゲッター水和剤等を散布する。

【トマト黄化葉巻病(TYLCV)】
◇タバココナジラミによって媒介されるウイルス病である。
◇近年、府内での発生が増えており、大きな被害をもたらしている。
◇感染してからは対策がないので、コナジラミ類の防除を徹底する。
◇感染株はすぐに処分する。感染株をビニル袋等に入れて口を縛り、完全に枯死させてか
 ら処分する。

【コナジラミ類】
◇タバココナジラミは、吸汁による直接被害のほかに、トマト黄化葉巻病(TYLCV)
 を媒介する。
◇施設では、開口部を寒冷紗(目合0.4mm)で被覆し、成虫の侵入を阻止する。
◇作業者が、タバココナジラミを付着させたまま、複数の施設を移動しないよう注意する。
◇発生を確認した場合は、コルト顆粒水和剤、コロマイト乳剤等を散布する。
(2剤ともトマト、ミニトマト双方に適用あり)

5 たまねぎ
【べと病】・【白色疫病】
◇植物防疫協力員から、一部で中程度の発生が報告されている。
◇温暖で雨が続くと発生しやすい。排水不良の畑で発生が多い。
◇発生適温は15度である。例年この時期に発生が多い。
◇発生が見込まれる時期にジマンダイセン水和剤かランマンフロアブルを予防的に散布す
 る。
◇発生を認めたら、リドミルMZ水和剤かホライズンドライフロアブルを散布する。
(注)リドミルMZとジマンダイセンは、同一成分(マンゼブ)を含むため合計5回まで

6 あぶらな科野菜(かぶ、こまつな等)
【白さび病】
◇植物防疫協力員から、一部で中程度の発生が報告されている。
◇春期に雨が多いと発生が多い。
◇「かぶ」と「非結球あぶらな科葉菜類」では、農薬の使用基準が異なるので注意する。

【菌核病】
◇一部で多発生が確認されている。

7 ぶどう(施設栽培)
【灰色かび病】
◇開花期〜幼果期に発生すると大きな被害になる。
◇施設を閉め切る時間が長いとハウス内の湿度が高くなり、発生しやすい。
◇巨峰などでは、花流れの原因となる場合がある。
◇開花後の花かすが発生源となることが多い。
◇開花後には、刷毛やブロワーで花かすを取り除く。
◇換気を適切に行って、湿度を下げるようにする。
◇開花期〜幼果期にマルチを設置することで、湿度を下げる。
(萌芽期や果実肥大期には、マルチは設置しない)
◇加温機の送風だけを利用しても、病気の予防効果が期待できる。
◇発生した場合は、ゲッター水和剤等を散布する。

【コガネムシ類】
◇萌芽期に食害を受けると被害が大きい。
◇発生を確認したら、アディオン水和剤等を散布する。

8 みかん
【剪定作業】
◇剪定作業が遅れている場合は、萌芽期までには終了させる。
◇樹勢が著しく低下した樹は病害虫の発生源にもなりやすいので、伐採する。
◇枯死した枝も病害虫の発生源になりやすいので、切除する。
◇樹高を低くし、農薬散布等の管理が楽になるようにする。
◇樹と樹の間隔を広げ、日当たりと風通しをよくする。
◇樹の間隔は、人が楽に通行できる距離を目安にする。
◇極端な強剪定は樹勢を低下させるので、行わない。
(剪定後に、剪定前の葉数の70%以上を残すようにする)

9 いちじく
【霜対策】
◇霜除けは、遅霜の心配がなくなってから除去する。
◇一文字整枝の場合、主枝が霜害を受けやすい。
◇霜害にあい樹勢が低下すると、カミキリムシ類など病害虫の被害を受けやすい。

次の情報は、4月16日頃にお知らせします。

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