病害虫発生・防除メールサービス(5月前半)

(平成24年4月27日発信)


 大阪府内の5月前半の病害虫発生状況と防除対策についてお知らせします。
 水稲育苗や露地夏野菜の定植の時期になりました。
 大型連休等で野外へ出る人が増えるので、薬剤散布の際には飛散防止にご注意ください。

1 水稲
【育苗準備】
◇育苗箱などの資材は使用前にケミクロンG、イチバン等で消毒する。
 
【種子消毒】
◇いもち病やもみ枯細菌病などの防除のため、塩水選を行った後に種子消毒を実施する。
◇塩水選の濃度
 うるちの場合:水10Lに対し、食塩1.1kgまたは硫安1.4kg
 もちの場合:水10Lに対し、食塩0.8kgまたは硫安1.0kg
◇薬剤使用する場合は以下の薬剤を使用する。
・テクリードCフロアブル、スポルタックスターナSE等で消毒する。
◇消毒後は種子を水洗いせずに12〜24時間陰干しする。
◇種子消毒後の廃液は、川や池などに流さず、適切に処理する。
◇温湯消毒の場合の注意
・温湯消毒をする場合は、必ず乾燥した籾を使用する。
・袋に籾を詰め過ぎず、温湯処理中も時々、袋を揺すり、温度ムラを防ぐ。
・60度の温湯に10分間浸漬する。引き上げ後直ちに冷水で冷やす。
・処理中に温度が60度以下にならないよう十分注意する。
・処理した籾はできるだけ速やかに播種する。

【苗腐敗症】
◇イネもみ枯細菌病により発生する。塩水選を必ず実施する(上記参照)。
◇出芽時の高温(30度を超える)や多湿は発病を助長するので適正に管理する。

【スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)】
◇田植え後20日ほど経過し、葉が硬化すると食害を受けにくくなる。
◇水深4cm以下では自由に移動できないので、田植え後の浅水管理が有効である。
◇浅水管理がしやすいように、水田はなるべく均平にならす。
◇高低差のため田面の一部が水面上に露出すると除草剤の効果が低くなる。

【縞葉枯病】(ヒメトビウンカ)
◇縞葉枯病は、ヒメトビウンカにより媒介される。
◇近年、西日本で発生が増加している。
◇育苗ほにヒメトビウンカが飛来しないように、周辺のイネ科雑草を除草する。
◇ヒメトビウンカの密度を下げるため、秋冬期の耕起を早めに行う。

2 なす(施設栽培)
【すすかび病】
◇適度に換気を行い、湿度を下げる。
◇下〜中位の葉に発生しやすい。被害葉は早めに除去し、ハウス外で処分する。
◇発生が予測される時期にベルクート水和剤等を予防的に散布する。
◇発生が見られたらトリフミン乳剤、カンタスドラフロアブル、シグナムWDG等を散布
 する。

【アザミウマ類】
◇ミナミキイロアザミウマなどの発生が確認されている。
◇発生が見られたら、プレオフロアブル(ミナミキイロアザミウマ)、アファーム乳剤等
 を散布する。
◇天敵や寄生菌を使った生物農薬の利用も効果がある。
・スワルスキー、スワルスキープラス(アザミウマ類を食べるスワルスキーカブリダニ)
 適温:15〜35度
・ボタニガードES(アザミウマ等に寄生するカビ)(散布後、施設内を保湿する)
 適温:18〜28度

3 なす(露地栽培)
【育苗期の管理】
◇施肥、かん水を適切に行い、徒長苗にならないよう注意する。
◇育苗ハウス内で病害虫の発生がないか注意して観察し、初期防除を徹底する。
◇病害虫が発生した苗は処分するなど、本ぽに病害虫を持ち込まないようにする。
◇アザミウマ類、ハダニ類、アブラムシ類、チャノホコリダニ等の微小な害虫に特に注意
 する。

【青枯病・半身萎凋病】
◇ナス科野菜(なす、トマト、ピーマン、とうがらし、じゃがいも)の連作は避ける。
◇以前、青枯病、半身萎凋病などが発生したほ場への植え付けを避ける。

【アザミウマ類】
◇定植時にアドマイヤー1粒剤(ミナミキイロアザミウマ)等を施用する。

【ソルゴの管理】
◇なす畑の周囲に牧草のソルゴを植え付ける場合は、なすの定植と同時期には種する。
◇は種量は、畝幅2mの場合、長さ約100〜120mにつき、種子約1kgである。
◇は種後、種子が隠れる程度に軽く覆土する。
◇覆土が厚いと発芽しない。種子が露出していると鳥による食害を受ける。
◇発芽までは、乾燥させないようこまめにかん水をする(なすの苗と同程度の管理)

4 トマト・ミニトマト(施設栽培)
(トマトとミニトマトで登録内容が異なる場合があるので薬剤使用にあたっては注意する)
【葉かび病】
◇草勢の低下や、過湿条件で多発しやすいので注意が必要。
◇下〜中位葉で発生が多い。被害葉は早めに除去し、ハウス外に持ち出して処分する。
◇発生した場合は、ポリオキシンAL乳剤(トマトのみ)、トリフミン乳剤(トマトのみ)
 トリフミン水和剤(トマト、ミニトマト)、カンタスドラフロアブル(トマト、ミニト
 マト)等を散布する。

【灰色かび病】
◇例年この時期から発生が増える。
◇適度に換気を行い、過湿にならないようにする。
◇開花後の花弁から発生することが多いので、こまめに取り除く。
◇被害葉は早めに除去し、ハウス外に持ち出して処分する。
◇発生した場合は、セイビアーフロアブル20、ゲッター水和剤等を散布する。

【ウイルス病】
◇府内でトマト黄化葉巻病やトマト黄化えそ病等の発生が確認されている。
◇感染してからでは対策がないので、予防に努める。
◇アブラムシ類、コナジラミ類、アザミウマ類などがウイルス病を媒介する。
◇感染が疑われる苗は株元から切り取り、ビニル袋等に入れて完全に枯死させる。
◇媒介昆虫の防除を徹底する。
◇開口部に設置した寒冷紗なども、破れ等がないか今のうちに点検する。

【コナジラミ類】
◇開口部に防虫網(目合0.4mm)を設置して侵入をふせぐ。
◇発生を確認した場合は、コルト顆粒水和剤、コロマイト乳剤等を散布する。
(2剤ともトマト、ミニトマト双方に適用あり)

5 たまねぎ
【べと病】・【白色疫病】
◇発生を認めたら、リドミルMZ水和剤、ホライズンドライフロアブル等を散布する。
(注)リドミルMZとジマンダイセンは、同一成分を含むため使用は合計5回まで。
◇収穫期が近いので、収穫前日数には注意する。

6 ぶどう
【べと病】
◇気温20〜27度で雨が多いと発生しやすい。
◇まん延すると防除が困難になるので、しっかり防除する。
◇ICボルドー66DやICボルドー48Q、ストロビードライフロアブル等を散布する。
(注)ジベレリンとボルドーの近接散布を避ける。

【クワゴマダラヒトリ】
◇体色は黒色で、長い毛に覆われた毛虫である。
◇萌芽期に食害を受けると、被害が大きいので、発見したら捕殺するとともにデルフィン
顆粒水和剤等で防除する。

7 温州みかん
【そうか病】
◇昨年多発した園では、予防的にトップジンM水和剤等の薬剤を散布する。

8 もも
【アブラムシ類】
◇直接の吸汁害の他、ウイルス病を媒介することもあるので、防除が必要である。
◇発生を確認した場合はモスピラン水溶剤、アドマイヤー顆粒水和剤等で防除する。

9 いちじく
【イチジクヒトリモドキ】
◇葉や果皮を加害する黒い毛虫である。
◇大阪府内では、平成19年度に初めて発生を確認した害虫である。
◇蛹で越冬し、5月下旬頃、第一世代の幼虫が現れる。
◇高槻、柏原、羽曳野、堺など府内各地で発生が確認されている。
◇新梢生育期に食害を受けると被害が大きいので注意が必要である。
◇発生を確認した場合は、アディオン乳剤やデルフィン顆粒水和剤等を散布する。

10 きく
【黒斑病、褐斑病】
◇品種により、発生しやすいので、注意が必要である。
◇被害葉は取り除いて処分する。
◇ダコニール1000、ストロビーフロアブル等を散布して予防する。

【白さび病】
◇品種により、発生しやすいので、注意が必要である。
◇被害葉は取り除いて処分する。
◇ストロビーフロアブル、ステンレス等を散布し、予防に努める。

【ハモグリバエ類】
◇被害葉は取り除き、ほ場外に持ち出して処分する。
◇発生がみられたら、トリガード液剤(マメハモグリバエ)等を散布する。

【アザミウマ類】
◇品種により、被害の現れ方に差がある。
◇発生源となる周辺の除草を行う。
◇発生を確認したらディアナSC、ハチハチ乳剤等を散布する。

【アブラムシ類】
◇吸汁による直接被害の他、ウイルス病を媒介することもある。
◇発生を確認したらアドマイヤーフロアブル、スタークル顆粒水溶剤、アルバリン顆粒水
 溶剤等を散布する。
(注)スタークルとアルバリンは、同一成分を含むため定植後の使用は合計4回まで。

 次の情報は、5月15日頃にお知らせします。

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