病害虫発生・防除メールサービス(5月後半)

(平成24年5月16日発信)


 大阪府内の5月後半の病害虫発生状況と防除対策についてお知らせします。
 水稲育苗や露地夏野菜の生育の盛んな時期になりました。
 気温も高くなってきました。農作業中の熱中症には気をつけてください。
 高温時の薬剤散布は薬害がでやすいので注意しましょう。
 薬剤使用の際は、病害虫防除グループホームページに掲載している防除指針もご参照ください。

1 水稲
【種子消毒】
◇いもち病やもみ枯細菌病などの防除のため、塩水選を行った後に種子消毒を実施する。
◇塩水選の濃度
 うるちの場合:水10Lに対し、食塩1.1kgまたは硫安1.4kg
 もちの場合:水10Lに対し、食塩0.8kgまたは硫安1.0kg
◇薬剤を使用する場合の注意
・テクリードCフロアブル、スポルタックスターナSE等で消毒する。
・消毒後は種子を水洗いせずに12〜24時間陰干しする。
・種子消毒後の廃液は、川や池などに流さず、適切に処理する。
◇温湯消毒の場合の注意
・温湯消毒をする場合は、必ず乾燥した籾を使用する。
・袋に籾を詰め過ぎず、温湯処理中も時々、袋を揺すり、温度ムラを防ぐ。
・60度の温湯に10分間浸漬する。引き上げ後直ちに冷水で冷やす。
・処理中に温度が60度以下にならないよう十分注意する。
・処理した籾はできるだけ速やかに播種する。

【苗腐敗症】
◇イネもみ枯細菌病等により発生する。塩水選を必ず実施する(上記参照)。
◇出芽時の高温(30度を超える)や多湿は発病を助長するので適正に管理する。

【スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)】
◇田植え後20日ほど経過し、葉が硬化すると食害を受けにくくなる。
◇水深4cm以下では自由に移動できないので、田植え後の浅水管理が有効である。
◇浅水管理がしやすいように、水田はなるべく均平にならす。
◇田面に高低差があると、一部が水面上に露出して除草剤の効果も低くなることがあるの
で注意する。
◇田植直後にスクミノン等を散布して、食害を防止する。
 スクミノン使用後は7日間湛水状態にし、かけ流しや落水はしない。
 水田以外(用水路等)には使用しない。

【縞葉枯病】(ヒメトビウンカ)
◇縞葉枯病は、ヒメトビウンカにより媒介される。
◇近年、西日本で発生が増加している。
◇育苗ほにヒメトビウンカが飛来しないように、周辺のイネ科雑草を除草する。
◇ヒメトビウンカの密度を下げるため、耕起を早めに行うとともに畦畔の除草をする。

2 なす
【すすかび病】(施設栽培)
◇適度に換気を行い、湿度を下げる。
◇下〜中位の葉に発生しやすい。被害葉は早めに除去し、ハウス外で処分する。
◇発生が予測される時期にベルクート水和剤等を予防的に散布する。
◇発生が見られたらトリフミン乳剤、カンタスドライフロアブル、シグナムWDG等を散
 布する。

【アザミウマ類】
◇一部でミナミキイロアザミウマの発生が見られる。
◇発生が見られたらアドマイヤー顆粒水和剤(ミナミキイロアザミウマのみ)、ダントツ
 水溶剤(ミナミキイロアザミウマのみ)、プレオフロアブル(ミナミキイロアザミウマ)、
 アファーム乳剤等を散布する。
◇天敵や寄生菌を使った生物農薬の利用も効果がある。
・スワルスキー、スワルスキープラス(アザミウマ類を食べるスワルスキーカブリダニ)
 適温:15〜35度
・ボタニガードES(アザミウマ等に寄生するカビ)(散布後、施設内を保湿する)
 適温:18〜28度

3 トマト・ミニトマト(施設栽培)
(薬剤使用にあたってはトマトとミニトマトで登録内容が異なる場合があるので注意する)
【葉かび病】
◇草勢の低下や、過湿条件下で多発しやすいので注意が必要。
◇下〜中位葉で発生が多い。被害葉は早めに除去し、ハウス外に持ち出して処分する。
◇発生した場合は、ポリオキシンAL乳剤(トマトのみ)、トリフミン乳剤(トマトのみ)、
 トリフミン水和剤(トマト、ミニトマト)、カンタスドライフロアブル(トマト、ミニ
 トマト)等を散布する。

【ウイルス病】
◇府内でトマト黄化葉巻病やトマト黄化えそ病等の発生が確認されている。
◇罹病してからでは対策がないので、予防に努める。
◇アブラムシ類、コナジラミ類、アザミウマ類などがウイルスを媒介する。
◇罹病が疑われる苗は株元から切り取り、ビニル袋等に入れて完全に枯死させる。
◇媒介昆虫の防除を徹底する。
◇開口部に設置した寒冷紗なども、破れ等がないか点検する。

【コナジラミ類】
◇開口部に防虫網(目合0.4mm)を設置して侵入をふせぐ。
◇発生を確認した場合は、コルト顆粒水和剤、コロマイト乳剤等を散布する。
(2剤ともトマト、ミニトマト双方に適用あり)

4 ぶどう
【べと病】
◇気温20〜22度で、雨が多いと発生しやすい。
◇例年梅雨期に発生するので、梅雨前の予防が重要である。
◇ICボルドー66DやICボルドー48Q、ストロビードライフロアブル等を散布する。
(注)ジベレリン処理とボルドーの近接散布を避ける。

【クワゴマダラヒトリ】
◇体色は黒色で、長い毛に覆われた毛虫である。
◇萌芽期に食害を受けると、被害が大きいので、発見したら捕殺するとともにデルフィン
 顆粒水和剤等で防除する。

5 温州みかん
【そうか病】
◇昨年多発した園では、予防的にトップジンM水和剤等を散布する。

【訪花昆虫】(ハナムグリなど)
◇みかんの開花期頃にモスピラン顆粒水溶剤等を散布する。

6 もも
【アブラムシ類】
◇直接の吸汁害の他、ウイルス病を媒介することもあるので、防除が必要である。
◇発生を確認した場合はモスピラン顆粒水溶剤、アドマイヤー顆粒水和剤等で防除する。

7 いちじく
【イチジクヒトリモドキ】
◇葉や果皮を加害する黒い毛虫である。
◇大阪府内では、平成19年度に初めて発生を確認した害虫である。
◇蛹で越冬し、5月下旬頃、第一世代の幼虫が現れる。
◇高槻、柏原、羽曳野、堺など府内各地で発生が確認されている。
◇新梢生育期に食害を受けると被害が大きいので注意が必要である。
◇発生を確認した場合は、アディオン乳剤、デルフィン顆粒水和剤等を散布する。

8 果樹類
【カメムシ類】
◇本年は全国的にカメムシ類の越冬量が多く、注意が必要。
◇今後気温の上昇とともに活動が活発になり、園への飛来増加が予想される。
◇発生を確認したら薬剤を散布する。
◇園全体を目合4mmのネットで覆い、侵入を防ぐ。
◇黄色蛍光灯を設置、点灯して園への侵入を防ぐ。

9 きく
【黒斑病、褐斑病】
◇品種により、発生に差があるので、注意が必要である。
◇被害葉は取り除いて処分する。
◇ダコニール1000、ストロビーフロアブル等を散布して予防する。

【白さび病】
◇品種により、発生に差があるので、注意が必要である。
◇被害葉は取り除いて処分する。
◇ストロビーフロアブル、ステンレス等を散布し、予防に努める。

【ハモグリバエ類】
◇被害葉は取り除き、ほ場外に持ち出して処分する。
◇発生がみられたら、トリガード液剤(マメハモグリバエ)、スピノエース顆粒水和剤等
 を散布する。

【アザミウマ類】
◇品種により、被害の現れ方に差がある。
◇発生源となる周辺の除草を行う。
◇発生を確認したらディアナSC、ハチハチ乳剤等を散布する。

【アブラムシ類】
◇吸汁による直接被害の他、ウイルスを媒介することもある。
◇発生を確認したらアドマイヤーフロアブル、スタークル顆粒水溶剤、アルバリン顆粒水
 溶剤等を散布する。
(注)スタークルとアルバリンは、同一成分を含むため定植後の使用は合計4回まで。

 次の情報は、5月31日頃にお知らせします。

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