病害虫発生・防除メールサービス(6月前半)

(平成24年5月30日発信)


 大阪府内の6月前半の病害虫発生状況と防除対策についてお知らせします。
 田植えの季節になりました。農繁期ですので健康には気をつけてください。
 例年、梅雨期に病害が多発しますので、しっかり対策をしましょう。

1 水稲
【いもち病】
◇低温や日照不足で発生しやすい。山間部などで、発生が多い。
◇密植や窒素肥料の多用は、発生を助長するので注意する。
◇育苗箱において発生した場合は、本田に移植しない。
◇補植用の苗が発生源になることが多いので、早めに処分する。
◇発生が予想される場合は、田植前にアミスタープリンス粒剤やオリゼメートプリンス粒
 剤等の箱施用剤を処理する。

【縞葉枯病】(ヒメトビウンカ)
◇縞葉枯病は、ヒメトビウンカにより媒介される。
◇近年、西日本で発生が増加している。
◇移植当日にプリンス粒剤やスタークル箱粒剤、アルバリン箱粒剤等を、育苗箱施用する。
(注)スタークルとアルバリンは、同一成分を含むため使用は合計1回まで。

【ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)】
◇田植え後20日ほど経過し、葉が硬化すると食害を受けにくくなる。
◇水深4cm以下では自由に移動できないので、田植え後の浅水管理が有効である。
◇浅水管理がしやすいように、水田はなるべく均平にならす。
◇田面に高低差があると、一部が水面上に露出して除草剤の効果が低くなることがあるの
で注意する。
◇ピンク色の卵塊を発見した場合は、水中に掻き落とす。(卵は水中では生存できない)
◇田植直後にスクミノン等を散布して、食害を防止する。
 スクミノン使用後は7日間湛水状態にし、かけ流しや落水はしない。
 水田以外(用水路等)には使用しない。

【イネミズゾウムシ】
◇例年、地域によって発生量に差がある。
◇移植時にプリンス粒剤、スタークル箱粒剤、アルバリン箱粒剤等を、育苗箱施用する。
(注)スタークルとアルバリンは、同一成分を含むため使用は合計1回まで。
◇越冬世代成虫の飛来が多い場合は、シクロパック粒剤やトレボン粒剤等を散布する。
◇移動範囲が広いので、広域一斉防除の効果が高い。

2 なす(施設栽培)
【うどんこ病】
◇日照不足、乾燥条件下で多発する。
◇こまめに摘葉、摘芯を行い、過繁茂にならないようにする。
◇草勢が弱ると多発しやすいので、肥切れにならないように管理する。
◇発生初期に、パンチョTF顆粒水和剤、トリフミン乳剤等をしっかり散布する。
※パンチョTFとトリフミンは、同一成分を含むため合計5回まで。

【すすかび病】
◇適度に換気を行い、湿度を下げる。
◇下〜中位の葉に発生しやすい。被害葉は早めに除去し、ハウス外で処分する。
◇発生が予測される時期にベルクート水和剤等を予防的に散布する。
◇発生が見られたらトリフミン乳剤、カンタスドライフロアブル、シグナムWDG等を散
 布する。

【アザミウマ類】
◇一部でミナミキイロアザミウマの発生が見られる。
◇発生が見られたらアドマイヤー顆粒水和剤(ミナミキイロアザミウマのみ)、ダントツ
 水溶剤(ミナミキイロアザミウマのみ)、プレオフロアブル(ミナミキイロアザミウマ)、
 アファーム乳剤等を散布する。
◇天敵や寄生菌を使った生物農薬の利用も効果がある。
・スワルスキー、スワルスキープラス(アザミウマ類を食べるスワルスキーカブリダニ)
 適温:15〜35度
・ボタニガードES(アザミウマ等に寄生するカビ)(散布後、施設内を保湿する)
 適温:18〜28度

3 なす(露地栽培)
【アブラムシ類】
◇定植時に使用した粒剤の効果が切れる頃から増加し始める。
◇テントウムシや寄生蜂などの天敵による防除効果が期待できるので、天敵に影響が大き
 い薬剤の使用は控える。
◇発生量が多い場合は、モスピラン顆粒水溶剤やウララDF等を散布する。

【ハダニ類】
◇合成ピレスロイド系の薬剤を多用すると、天敵が減少し、ハダニ類が増えやすい。
◇苗が小さい時期の方が防除効果が高いので、発見後早めにマイトコーネフロアブルや
 ダニサラバフロアブル、ピラニカEW等を散布する。
◇使用回数が1回の薬剤が多いので、農薬の使用履歴をしっかり記帳して確認する。
◇購入苗の場合は、育苗期の農薬使用履歴もしっかり確認する。

【チャノホコリダニ】
◇微小な害虫で、被害が大きくなるまで発生に気づきにくい。
◇発生を認めたらコロマイト乳剤、ピラニカEW等を散布する。

【オオタバコガ】
◇1頭の幼虫が数個の果実を食害するので、1頭あたりの被害が大きい。
◇被害を受けた果実は、果実内に幼虫が入っている可能性が高いので、早めに処分する。
◇老齢幼虫は薬剤が効きにくく、また果実内にいるため薬剤もかかりにくい。
◇発生を確認した場合は、スピノエース顆粒水和剤、プレオフロアブル等で防除する。

【ソルゴ囲い込み栽培の注意点】
◇この時期はソルゴが小さく防風効果がないので、風が強い畑では防風網を設置する。
◇天敵類に影響が強い合成ピレスロイド系薬剤を使用しない。

4 トマト・ミニトマト(施設栽培)
(トマトとミニトマトで登録内容が異なる場合があるので薬剤使用にあたっては注意する)
【葉かび病】
◇発生が増えている。
◇草勢の低下や、過湿条件で多発しやすいので注意が必要。
◇下〜中位葉で発生が多い。被害葉は早めに除去し、ハウス外に持ち出して処分する。
◇発生した場合は、ポリオキシンAL乳剤(トマトのみ)、トリフミン乳剤(トマトのみ)、
 トリフミン水和剤(トマト、ミニトマト)、カンタスドライフロアブル(トマト、ミニ
 トマト)等を散布する。

【ウイルス病】
◇府内でトマト黄化葉巻病やトマト黄化えそ病等の発生が確認されている。
◇罹病してからでは対策がないので、予防に努める。
◇アブラムシ類、コナジラミ類、アザミウマ類などがウイルスを媒介する。
◇罹病が疑われる苗は株元から切り取り、ビニル袋等に入れて完全に枯死させる。
◇媒介昆虫の防除を徹底する。
◇開口部に設置した寒冷紗なども、破れ等がないか点検する。

【コナジラミ類】
◇開口部に防虫網(目合0.4mm)を設置して侵入をふせぐ。
◇発生を確認した場合は、コルト顆粒水和剤、コロマイト乳剤等を散布する。
(2剤ともトマト、ミニトマト双方に適用あり)

5 ぶどう
【べと病】
◇気温20〜22度で、雨が多いと発生しやすい。
◇例年梅雨期に発生するので、梅雨前の予防が重要である。
◇多発して落葉すると樹勢が低下し次年度にも影響するので、収穫が終わった園もしっか
 り防除する。
◇ICボルドー66DやICボルドー48Q、ストロビードライフロアブル等を散布する。
(注)ジベレリン処理とボルドーの近接散布を避ける。

6 温州みかん
【そうか病】
◇昨年多発した園では、予防的にトップジンM水和剤等を散布する。

7 もも
【せん孔細菌病】
◇強風雨で発生が助長される。
◇発生が見込まれる時期にチオノックフロアブルを散布する。

【果樹カメムシ類】
◇本年は全国的にカメムシ類の越冬量が多く、注意が必要。
◇今後気温の上昇とともに活動が活発になり、園への飛来増加が予想される。
◇果樹をよく加害するカメムシ類は、チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサギ
 カメムシの3種である。
◇もも、うめ、かきなどの果樹類を加害する。多発生した場合は、みかんやぶどうを加害
 することもある。
◇果実袋を使用した場合でも、果実の肥大に伴って果実袋と果実が密着すると、袋の上か
 ら吸汁されることもある。
◇発生した場合は、ももの場合はアドマイヤー顆粒水和剤、アディオン乳剤、モスピラン
 顆粒水溶剤等を散布する。
◇成虫の移動能力は高く、次々と飛来するため、こまめな防除が必要となる。
◇収穫期近くでも防除が必要となるため、薬剤散布に当たっては、収穫前日数や使用回数
 に充分注意する。

【アブラムシ類】
◇直接の吸汁害の他、ウイルス病を媒介することもあるので、防除が必要である。
◇発生を確認した場合はモスピラン顆粒水溶剤、アドマイヤー顆粒水和剤等で防除する。

8 いちじく
【イチジクヒトリモドキ】
◇葉や果皮を加害する黒い毛虫である。
◇大阪府内では、平成19年度に初めて発生を確認した害虫である。
◇5月下旬〜6月上旬に第1世代の幼虫が現れ、年に5世代程度発生する。
◇高槻市、柏原市、羽曳野市、堺市など府内各地で発生が確認されている。
◇新梢生育期に食害を受けると被害が大きいので注意が必要である。
◇若齢幼虫は集団で加害するので、葉ごと処分する方法が効果的である。
◇発生を確認した場合は、アディオン乳剤、デルフィン顆粒水和剤等を散布する。

9 きく
【黒斑病、褐斑病】
◇品種により、発生に差があるので、注意が必要である。
◇雨滴によって感染が拡大するので、晴れ間にしっかり防除する。
◇被害葉は取り除いて処分する。
◇ダコニール1000、ストロビーフロアブル等を散布して予防する。

【白さび病】
◇品種により、発生に差があるので、注意が必要である。
◇被害葉は取り除いて処分する。
◇ストロビーフロアブル、ステンレス等を散布し、予防に努める。

【ハモグリバエ類】
◇被害葉は取り除き、ほ場外に持ち出して処分する。
◇発生がみられたら、トリガード液剤(マメハモグリバエ)、スピノエース顆粒水和剤等
 を散布する。

【アザミウマ類】
◇品種により、被害の現れ方に差がある。
◇発生源となる周辺の除草を行う。
◇発生を確認したらディアナSC、ハチハチ乳剤等を散布する。

【アブラムシ類】
◇吸汁による直接被害の他、ウイルス病を媒介することもある。
◇発生を確認したらアドマイヤーフロアブル、スタークル顆粒水溶剤、アルバリン顆粒水
 溶剤等を散布する。
(注)スタークルとアルバリンは、同一成分を含むため定植後の使用は合計4回まで。

 次の情報は、6月15日頃にお知らせします。

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